コードゼロ   作:アホアホマン

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第4話 入学②

実際に相手と戦い、戦闘時の判断力や対応力を確認するらしい。

 

ゼロにとっては、ここが一番の難関だった。

 

魔力による身体強化ができない自分には、純粋な剣の技量で勝負するしかない。

 

「次、ゼロ!」

 

「はい」

 

試験官の前に立つ。

 

男はゼロに模造刀を差し出した。

 

「その剣を使いたまえ。魔法が使えない者でも戦えるように、こちらで用意してある」

 

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」

 

ゼロは模造刀を受け取り、構えた。

 

「ほう。剣の構えは分かっているようだな」

 

「一応、練習はしてきました」

 

「そうか。では、始めよう

 

試験官が剣を構える。

 

「来ないのか?」

 

「……」

 

ゼロは動かなかった。

正確には、動けなかった。

見た目こそ構えはできているものの、剣の扱いはまだまだ未熟だ。

無闇に攻めても、簡単に返されてしまうだろう

それから何度か打ち合う。

 

ガキンッ!

 

キンッ!

 

しかし、ゼロは攻めきれず、試験官に押されるばかりだった。

 

「どうした? もう諦めたらどう

試験官が余裕の表情で言う。

 

「このままでは何も変わらんぞ?」

 

ゼロは息を整えながら答えた。

 

「いえ……まだ諦めません!」

 

「ほう?」

 

「僕には目標があるんです!」

 

ゼロは小さく「ハッキング」と呟き、青白い画面を出しスキルを発動カウンターの準備をする。

 

試験官は少しだけ笑みを浮かべた。

 

「そうか。熱いな。ならば、この一撃で終わらせてあげよう!」

 

男は剣を大きく振り上げる。

 

そして、ゼロとの間合いを一気に詰めた。

 

剣が振り下ろされる。

 

その瞬間――

 

(今だ!)

 

ゼロは試験官の剣に意識を集中させた。

 

【対象:模造剣】

 

【重量:通常】

 

(ここだ!)

 

ゼロは重量の項目を書き換える。

 

一瞬、剣の動きが変わった。

 

「なっ!?」

 

試験官の剣が予想以上の重さに引っ張られ、勢いよく地面へと振り下ろされる。

 

そのわずかな隙。

 

ゼロは踏み込んだ。

 

「はああっ!」

 

下から剣を切り上げる。

 

ガキンッ

 

模造剣が試験官の身体に届いた。

 

会場が静まり返る。

 

試験官は自分の剣を見つめ、それからゼロを見た。

 

「……今のは?」

 

ゼロは剣を下ろした。

 

「なんとか、届きました」

 

男は少しの間考え込んでいたが、やがて笑みを浮かべた。

 

「面白い戦い方をする少年だな」

 

ゼロはその場に立っていたが、やがて大きく息を吐いた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

スキルを連続して使用したためか、かなり疲労していた。

 

そこへミラが駆け寄ってくる。

 

「ゼロ! 大丈夫?」

 

「ああ……大丈夫だよ」

 

「またこんな無茶して!」

 

ミラは心配そうにゼロの肩を支えた。

 

「ごめん。でも、二人で入学するって決めたから」

 

その言葉を聞いたミラは、一瞬だけ目を丸くした。

 

そして、ほんのり頬を染める。

 

「……うん。そうだったわね」

 

「君、えっと……ゼロ君だったかな?」

 

試験官が声をかけてきた。

 

「はい」

 

「実技試験は合格だ。魔力量こそ少ないが、君には独特の戦い方があるようだな」

 

「ありがとうございます!」

 

ゼロとミラは顔を見合わせた。

 

「やったわね、ゼロ!」

 

「ああ! よかったよ、ミラ!」

 

二人は嬉しそうに笑った。

 

その後、筆記試験も無事に終え、二人はそろって合格を果たした。

 

入学手続きを終えた二人には、新しい学生証が発行された。

これからは正式にグランド学園の生徒だ。

 

「ねえゼロ、これからどうなるのかしら?」

 

「さあね。でも、きっと楽しいことがたくさんあるよ」

 

「そうね!」

 

二人は学生証を大切にしまい、学園の門を後にした。

 

その様子を、学園の建物の上階から見つめている人物がいた。

 

「ほう……今年は面白そうな子が入ってきたな」

 

窓際に立つ一人の男子生徒。

 

彼は手元にある入学者の資料を眺めていた。

 

そこには、二人の名前が記されている。

 

【ミラ】

 

【スキル:魔法使い】

 

【魔力量:高】

 

そして、もう一人。

 

【ゼロ】

 

【スキル:HACKING】

 

【魔力量:0】

 

男はゼロの資料を指で軽く叩く。

 

「魔力がほとんどないのに、実技試験を突破したか……」

 

口元に笑みが浮かぶ。

 

「しかも、この聞いたこともないスキル……」

 

男は窓の外を眺めた。

 

「これは、少し楽しみになってきたな」

 

その目には、どこか興味深そうな光が宿っていた。

 

「さて……君たちは、どこまでやれるのかな?」

 

男は静かに笑った。

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