IS~無い物だらけの物語~(休載中)   作:大同爽

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一日に二話目のアップ。
ちょっと短めかも。



第25話 噂の発信

「ねえねえ、ナッシー」

 

「んー、何ー?」

 

 夕食後、部屋に帰ってきてベッドにうつぶせになっていると、洗面所の方から布仏さんの声が聞こえてくる。そちらに顔を向けると洗面所の扉から顔だけ出した布仏さんがいた。

 

「シャワー先に使うけどいいー?」

 

「おう、いいぞ~」

 

 俺は手をひらひらと振って、先に使えと促す。

 

「わかったー。ありがとー」

 

 扉が閉まり、布仏さんの顔が消える。

 バタンッ。

 と思ったらまた布仏さん顔を出した。

 

「ナッシーは今日どうするのー?シャワー浴びれる?」

 

 布仏さんの言葉に俺は一瞬考える。確かに今日は軽い打撲でシャワーを浴びるのも一苦労かもしれない。

 

「んー。まあ、大変だろうけど浴びる」

 

「そっかー……」

 

 少し考えるように布仏さんが黙る。

 

「ねえ、一緒に入ってげようかー?背中流してあげるよー」

 

「……はぁ!!?」

 

 布仏さんの言葉に驚き、バランスを崩してしまい、ベッドから転がり落ちてしまう。

 

「……っ!!」

 

 ぶつけた左肩を押さえてその場でのたうち回る俺。

 

「大丈夫!?」

 

 布仏さんが心配そうに洗面所から出てくる。って、おいおいおいおい!!

 

「布仏さん下着じゃないか!!」

 

 咄嗟に布仏さんから体ごと顔を逸らし、入口の方に顔を向ける。

 

「そんな事より、ナッシーは大丈夫なの?」

 

「俺は平気だから!!」

 

 ダメだ、なんとかしてこの場から逃げなくては!

 

「そうだ!一夏に貸した本を取りにいかないと!後で来てくれって言ってたんだった!じゃあ行ってくる!!シャワーは先に使ってくれればいいからな!!俺は後で一人で浴びるから!!」

 

 そうその場の勢いで言って、返事も聞かずに部屋から飛び出す俺。そのまま逃げ込むために一夏たちの部屋へ。

 と思ったら、一夏の部屋の近くまで来ると話し声が聞こえてきた。スピードを落とし、確かめると、一夏たちの部屋の前に箒が立っていた。ドアが開いているのでそこで話しているのだろう。一夏の声も聞こえてくるのでおそらく相手は一夏だろう。

 なんとなく、割り込んではいけない気がするので身を隠し、二人の声に耳を澄ます。

 

『……箒、用がないなら俺は寝るぞ』

 

『よ、用ならある!』

 

 いきなりの大声に驚く俺。てか、何話してるんだろう。

 

『ら、来月の、学年別個人トーナメントだが……』

 

 学年別個人トーナメントとは六月末に行われる自主参加の個人戦らしい。学年別で区切られている以外は特に制限もないらしい。しかし、専用気持ちが圧倒的に有利なことは変わらない。

 

「わ、私が優勝したら――」

 

 少し離れた俺の場所からでもわかる。箒は今、頬を紅潮させている。

 

『つ、付き合ってもらう!』

 

 びしっと指さす箒。

 な、なんですと~~~~!!!!?

 

 

 ○

 

 

 そこからどういう風に歩いたかわからないが、それなりに時間が経っていたらしく、部屋に戻ると布仏さんはとっくにシャワーを終え、ベッドの上でお菓子食べながら雑誌を読んでいた。

 

「あ、おかえりー。遅かったねー」

 

「お、おう。ただいま」

 

「ん?どうしたの?」

 

 ベッドに座った俺の顔を見て、布仏さんが訊く。

 

「とんでもないところに遭遇しちゃったよ」

 

「とんでもないところ?」

 

 布仏さんが首を傾げる。

 

「……箒が一夏に告白してた!『今度の学年別個人等な面とで優勝したら付き合ってもらう』って!!」

 

「……ええ!!それは大ニュースだー!!」

 

 そう言って布仏さんが立ち上がり、ドアの方へ。

 

「え?どこ行くだ?」

 

「ちょっとみんなにも教えてくるー!!」

 

 そう言って、止める間もなく部屋から飛び出していった。

 一人部屋に残された俺は気付いた。

 

「やっべぇー。これはすぐに学校全体に広まっちまうな」

 

 

 

 ●

 

 

 

「フフフフ~ン♪」

 

 とある場所で、一人の女性が鼻歌まじりにキーボードを叩いていた。部屋全体は薄暗く、女性の周りに並ぶディスプレイの明かりでかろうじて部屋の中が見えるくらいだ。

 

「ん~。やっぱり、自分で考えたものじゃなきゃ使い勝手悪いな~。天才な私ならもっとうまく作るし~」

 

 その女性が見ているディスプレイには、IS学園の映像――一夏や鈴があの謎のISと戦っている映像や星水爆弾を上に押し上げる航平の姿、爆弾の爆発するさまが映っていた。

 

「ん~。でも、この子はちょっと面白そうかも」

 

 その女性の言葉とともにディスプレイの中で再生されていた映像が止まり、映像の一部分が大きくアップされる。

 

「ふ~ん。『梨野航平』くんか~。へ~、なんだか――」

 

 その女性はどこまでも無邪気に、そして、とても楽しそうに言った。

 

「――一度解剖して詳しく調べてみたいな~」

 

 女性の感情を表すように、女性の頭の上ではうさ耳がピコピコと動いていた。




てなわけで一巻の内容は終わりです。
次回からは多分オリジナルストーリーになります。
お楽しみに~。
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