IS~無い物だらけの物語~(休載中)   作:大同爽

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ここからオリジナルな話を少し書きます。
オリジナルと言っても原作一巻と二巻の間での話なんでそれほど長くはないです。
今のところ僕の頭の中でのことなのでどうなるかはわかりませんが…。


第26話 航平命名「超・記憶喪失」

 六月頭、日曜日。

 IS学園の寮、一年生用食堂で朝食を食べようとやってくると見知った二人の人物がいた。

 

「おはよう、一夏、鈴」

 

 俺の言葉に二人が振り返る。

 

「おう。おはよう、航平」

 

「となりいいか?」

 

 俺が訊いた途端、鈴が少しいやそうな顔をする。たぶん一夏と二人っきりだったのを邪魔されたからだろう。いいじゃん別に、減る物でもないんだし。

 

「いいぞ」

 

 一夏の返事を聞いて、一夏の隣に座る。

 

「今日は日曜なのにアンタ早いじゃない」

 

「それは二人もだろ。俺は習慣だし、それに今日は午前中の内に買い物に行きたかったから」

 

「俺も今日は久しぶりに家の様子見に行こうと思ってな」

 

「あたしはもともと日曜だろうと関係なく、規則正しく生活してるから」

 

 へー、鈴ってもっと大雑把だと思ってた。

 

「へー、鈴ってもっと大雑把だと思ってた」

 

「な、何よ!失礼ね!」

 

 一夏が俺と同じことを思っていたらしく、一夏の言葉に鈴が怒る。言わなくてよかった。

 

「そりゃ、たまに目覚まし止めて二度寝しちゃって、起きたら十時だったなんてこともあるけどさ……」

 

「「ダメじゃん!」」

 

 鈴が徐々に自信なさげになっていくのを俺と一夏が声を揃えて突っ込みを入れる。

 

「あらあら、朝からにぎやかですわね」

 

 俺たちの後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。振り返ると朝食のトレーを持ったセシリアが立っていた。

 

「おう、セシリア。おはよう」

 

「おはようございます。ご一緒してもいいかしら?」

 

「いいぜ。なあ?」

 

「おう」

 

 俺と一夏の返事を聞いて俺の隣に座るセシリア。

 

「セシリアも日曜なのに早いな」

 

「わたくしは規則正しい生活を常日頃から心がけていますから」

 

 おお、鈴と同じセリフだけど、セシリアは鈴と違って二度寝とかしてなさそう。なんか納得できる気がする。

 

「その点、布仏さん休日どころか平日もなかなか起きないからなー。おかげで何回遅刻しかけたか」

 

「お前も大変だな、航平」

 

 一夏が苦笑いを浮かべながら俺の肩にポンと手を置く。

 

「今までだったら”大変”ですんだんだよ」

 

 あー、考えただけで胃が痛い。

 

「最近、朝起きたらたまに俺の布団の中に布仏さんが一緒に寝てることがあるんだよ」

 

「何!?アンタたち一線超えたの!?」

 

「超えてねえよ!!」

 

 朝からとんでもないこと言うなよ鈴!まだそんなに人がいなかったからいいけど。

 

「夜寝るときはそれぞれのベッドで寝るんだよ。でもなぜか朝起きたら俺にくっついて寝てるんだよ」

 

「それは毎朝?」

 

「いや、流石に毎朝じゃない。多い時で二日に一回かな。結構不定期だけどな。昨日朝起きたらいたから今日はいないって感じでもないんだよ」

 

 ちなみに今朝は自分のベッドで寝てた。俺のベッドで寝る日の共通点がさっぱりわからない。

 

「本人に聞いても『えー。なんとなくだよー』としか言わないし、何度言っても暖簾に腕押しだしさぁ」

 

 ため息をつくと幸せが逃げる、なんていうけれど、今だけは許してください。

 

「はぁ~~~」

 

 自分で思っていたよりも大きくて長いため息が出る。

 

「なんていうかもう、アンタたち付き合っちゃいなさいよ」

 

「なんでだよ?」

 

 まったくもって意味が分からない。そう言う何でも恋愛方面にすぐ話を持って行くのは女子の悪い癖なんじゃないか?

 

「大体布仏さんのそういう行動はそう言うんじゃないだろ」

 

「なんでそう言い切れるんですの?」

 

 セシリアまで話に乗ってきた。おいおい、誰か助けてくれるやつはいないのか?あ、一夏はどうだ。お前は味方だよな?

 そう思いながら一夏の方を見るが一夏は一夏で興味深そうにこっちを見ている。ブルータス、お前もか!!

 

「だってさー。……俺だぜ?超・記憶喪失の俺だぜ?」

 

「なんだよ、『超』って?」

 

 俺の言葉に一夏が首を傾げる。

 

「そう言えば、今まで俺の記憶喪失について詳しく話したことなかったな」

 

「おう、そうだな」

 

 一夏の言葉に賛同するように鈴とセシリアも頷く。

 

「普通の記憶喪失ってさ、『自分の過去を覚えていないー』とか、『ここはどこ!?私は誰!?』とかでしょ?」

 

「あぁ…?まぁ…そうね」

 

「俺の場合、その他のすべても忘れてしまったのさ!」

 

「「「は?」」」

 

「つまり…『ここはどこ!?私は誰!?あれは何!!?これも何!!?』」

 

「つまり『ダメ人間』と」

 

「…ハイ」

 

 鈴の言葉が的確に俺の胸をえぐる。

 

「お、おい。その言い方どうなんだよ鈴」

 

「だってしょうがないじゃない。そう思ったんだからさ」

 

「でも、言い方ってものがあるんじゃないんですの?」

 

 三人が俺の気の沈みようを見て、焦ったようにこそこそと話す。

 

「でも、実際あれもこれも分からないと大変だったぜ。ISを初めて動かしたときに織斑先生と山田先生に軽くISのこと教えてもらったんだよ。その時に俺、『銃』が分からなくてさ。手に取って観察してたら、銃口のぞいて引き金引いちゃってさー」

 

「大丈夫だったんですの、それ!!?」

 

「いやー、危なかったよ。織斑先生が銃口逸らしてくれなかったらまずかったね」

 

「それ危ないどころじゃないだろ」

 

「おう。おかげで織斑先生にものすごい怒られた」

 

 あの時の織斑先生は怖かったな~。ああいうのを鬼の形相っていうんだろうな。

 

「あれ?じゃあ名前は?名前も憶えてなかったの?」

 

 鈴がふと気づいたように訊く。

 

「おう。だからこの『梨野航平』って名前は便宜上織斑先生がつけたものだ」

 

「へー。ちなみに何かその名前って意味があるのか?由来とかさ」

 

「織斑先生に訊いたら、『名無しのゴンベイ』をもじったんだってさ。ちなみに第二案で『名無しの〝ナナ″』ってのもあったらしい」

 

「その名前の付け方どうなんだ?」

 

 一夏の言葉に同意するように鈴やセシリアも微妙な顔をしている。

 

「そうか?俺の現状を表したいい名前じゃないか?結構気に入ってるぜ。『ナナ』でも良かったくらいだ」

 

「まあ、航平がいいならいいんじゃない?」

 

 鈴の言葉に一夏やセシリアも頷いている。

 

「まあ、そんなわけだから、俺みたいな超・記憶喪失な奴を好きになるなんて、と思うわけですよ」

 

「で、でも、航平って優しいじゃん」

 

 一夏がフォローを入れてくれる。ありがとう一夏。

 

「そうですわ。優しいというのは美点だと思いますわ」

 

「そうよ。それにあんたすらっとしてるし顔のつくりいいし、超絶美少年じゃん」

 

 セシリアと鈴もフォローしてくれる。てか鈴。前に俺のこと線が細いって言ってませんでしたっけ?

 

「う、うん。まあ、俺の悪いところは記憶が無いことだけじゃないけどな……」

 

 依然織斑先生に聞いた星水爆弾の話。あれが本当なら記憶を失う前の俺は、もしかしたら……。

 

「って、あ。やべ。そろそろ行く準備しねぇと」

 

 そう言って、残っていた朝食を急いで食べ始める一夏。時計を見るとそこそこ時間が経っていた。

 

「結構早く出るんだな」

 

「中学の友達にも会いに行こうと思ってたからな。ごちそうさん。じゃあ、お先に」

 

「いってらー」

 

 去って行く一夏に手を振り、俺たちも自分の朝食に戻る。

 

「……そう言えばさ。航平の記憶喪失の話聞いて気になったんだけど。アンタって買い物とか行けるの?一人で大丈夫なの?」

 

「ああ、大丈夫だよ。入学するまでの二か月の間に四回ほど織斑先生と山田先生に連れて行ってもらってたから」

 

「ああ、そうなんだ」

 

「……前から気になっていたんですが、航平さんはこの女子だけの学園で二か月間どうやって過ごしてたんですの?航平さんの存在って隠されていたんですよね?」

 

「ああ、そのこともちゃんと話してなかったっけ?」

 

 俺の問いに二人が頷く。

 

「大変だったぜ。リハビリを兼ねたトレーニングも朝早くやらなきゃいけないし、基本一日中宿直室に籠って勉強したり、手の空いてる時に織斑先生か山田先生に勉強教えてもらってた。大浴場も誰も使わない真夜中に使ったり。トイレも使うときは清掃中の札を出して使ったり」

 

「結構窮屈な生活してたのね」

 

 鈴が同情したような目で俺の肩にポンと手を置く。

 

「あれ?でも……」

 

 そこで、セシリアが何か疑問が浮かんだようだ。

 

「部屋から出るのは最小限にしていたでしょうけど、その期間まったく誰からも見つからなかったんですの?」

 

 ……まずい。流石は代表候補生。なかなか痛いところ突く。

 

「そう言えばそうよね。買い物行くときとかも、IS学園はもう一人の男性操縦者を秘匿してたんだから、各国の監視がついていてもおかしくないのに」

 

 くそっ。鈴もいたいとこ突くじゃないか。

 

「ま、まあ、そこは努力と友情と勝利で……」

 

「「…………」」

 

 うっ。二人の視線が…。やっぱりごまかせないか。

 

「……おっと、俺もそろそろ行く準備しないと!」

 

 話をそらすために、手早く朝食を食べ、トレーを持って立ち上がる。

 

「あ!逃げる気――」

 

「じゃあな、二人とも!」

 

 鈴の言葉を遮り、俺はさっさと退散した。

 

「危ない、危ない。もうちょっとでばれるところだった」

 

 俺のつぶやきは二人にはおろか片手で数えるほどしかいないその場の誰にも聞こえていなかった。

 

 

 ○

 

 

 

「ねえ、今のどう思う?」

 

「怪しいですわね。確実に何か隠していますわ」

 

 航平が逃げた後、その場に残った二人は先ほどの航平の様子を話していた。

 

「何隠してんのかしら。帰ってきたら追及してやろうかな」

 

「でも、あの様子ではきっとはぐらかされるばかりでしょうね」

 

「……そうね。でも、いつか聞き出してやるんだから」

 

「ほどほどにした方がいいですわよ」

 

 意気込む鈴にセシリアが軽く注意をするが、セシリア自身も少しは気になっているようだった。

 

「あ、そう言えば、今日千冬さんに貰っておかないといけない書類があったんだった」

 

「では、一緒に行きません?わたくしも山田先生に渡してあった書類を受け取りにいかなければいけませんの」

 

「じゃあ、あとで行きますか」

 




朝起きたら美少女が同じベッドで寝てるとか、最高じゃないですか!!!
ちっ。羨ましい。
今のところ布仏さんがヒロインぽくなってきましたが、今もう一人ほどヒロイン化させようかと思ってます。
え?誰かって?
それは秘密です。
ではまた次回もお楽しみに。
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