いつの間にかお気に入り件数100を超えてました!
この調子で頑張ります。
文章力のないへたくそですがおつきあいください。
ちなみに、今回は少し短めです。
「じゃあ、次は何を着てもらいましょうか」
「あ!織斑先生みたいなスーツとかはどうですか?」
「いいねー!」
寮の一年生用食堂。現在の時刻は午後六時過ぎ。昼食を食べた後なので、午後二時半ごろに始まった俺の一人女装ファッションショー&撮影会は今現在も続いていた。
最初は〝ナナ〟バージョンで始まり、衣装チェンジを数回とそのたびにその場の全員と写真撮影を行った後に〝ナナミ〟バージョンにチェンジ。そこから数回の衣装チェンジと撮影を行い、現在は〝ナナコ〟バージョンでの最初の撮影が終わったところだ。ちなみに現在の服装は写真と同じIS学園の制服。リボンの色は赤。
正直女子のかわいいものやきれいなものへの情熱をなめていた。もうすでにこれが始まってから三時間半は経つが、疲れてきた俺に対して女子たちはまだまだ元気が有り余っている。むしろ始めたころより元気な気がする。
「お疲れ様ー」
椅子に座り、テーブルに頬杖をついて盛り上がる女の子たちを眺めていた俺の元に布仏さんがやってくる。
「うん、疲れた」
苦笑いを浮かべながら答えた俺に布仏さんがほほ笑む。
「いいじゃん。よく似合ってるよー」
「………」
男として女装が似合っているというのはあまり嬉しくないのだが、頑張って練習した技術だから褒められることは嬉しい。なんとも複雑だ。
「何か飲むー?取って来てあげるよー」
「じゃあ、…バーボン。ロックで」
「りょーかーい」
頷いて飲み物を取りに行く布仏さん。え?あんの?バーボンのロックが?てか未成年の俺らが飲めるの?
「どうだ?楽しんでいるか?」
俺が疑問符を浮かべていると、俺の隣にこの現状の元凶ともいえる人の一人、織斑先生が座る。え?他の元凶?そんなもん今他の女子に混ざってきゃいきゃい騒いでる山田先生に決まってるじゃないか。
ちなみにこのファッションショー中、俺が着させられた衣装の中には山田先生の私服もあった。なんでもサイズが合わなくて買ったはいいが着れないものだったらしい。そんな服はプレゼントされた。いや、貰っても困るんですけど。
「誰かさんのおかげで、この通りですよ」
「そうか。その誰かさんには感謝しておけ」
俺の皮肉をどこ吹く風で一笑する織斑先生。
「……どうだ?クラスメイトとはうまくいっているか?」
「戸惑ってます。俺の特技が意外と簡単に受け入れられて」
正直そのことはとても驚いた。もっと変態扱いされると思ってた。
「でも、楽しいですよ。みんな優しいし」
「……そうか」
織斑先生の表情は特に大きな変化は見られなかった。でも、どこか安心したように見えた。
「ほい、ナッシーお待たせー」
そう言って布仏さんが俺の前に氷と茶色い水の入ったコップを置く。まじで、バーボン?俺の視線は数回コップと布仏さんの顔を行き来する。布仏さんはニコニコ笑っている。
恐る恐るコップを手に取り口を付ける。……ウーロン茶だった。
安心して飲み始めた俺の元に次の衣装会議をしていた女の子たち(山田先生を含む)がやってくる。
「航へ…ナナコさん、次は織斑先生みたいなスーツでお願いします」
言い直さないで下さいよ。と、心の中で思いつつ俺は時計に目を向ける。時刻は午後六時半になろうとしていた。
「あの、もう六時半ですけど、夕食――」
「あれ?なにしてんだ?」
俺が指摘しようとしたところで人垣の向こうから声が聞こえる。
「あ、織斑くん」
人垣の中から誰かが言った。どうやら一夏が帰ってきたようだ。
「よっ。ただいま」
そう言って一夏が人垣の中心、俺の元へやってくる。
「あれ?山田先生に千冬姉まで。それに…」
そこで一夏の目が俺に止まる。
「学校では織斑先生だと何度言えばわかる。あと、こいつの名前は渡辺ナナコ。二年生だ」
ちょい、織斑先生!?
「えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします、渡辺先輩」
そう言って右手を差し出す一夏。どうやら俺の正体に気づいていないようだ。
「いや、おれ――っ!!」
本当のことを言おうとした俺の右の太ももに激痛が走る。見るとテーブルの陰で織斑先生が俺の太ももをつねっていた。
「……渡辺ナナコです。よろしくね」
声色を変えてできるだけ自然にほほ笑み、一夏の手を取って握手する俺。ナナコと名乗った時点で織斑先生がつねっていた手を離した。
あれ?なんか視線を感じる。見ると一夏がじっと俺の顔を見ていた。
「あ、あの、何か?」
「あっ!いえ!なんでもないです!」
俺の言葉に急いで否定する一夏。変な奴。
「えっと、それじゃあそろそろ私は失礼しますね」
「そうか。またな、ナナコ」
「は、はい」
織斑先生やそのほかの他の女子に手を振り、その場を後にする。そんな俺の後ろを布仏さんがトコトコと着いて来る。
「なんか面白いことになったねー」
「……面白いか?」
面白いと言いうよりなんだか面倒なことになりそうだ。
○
「…………」
ナナコ――航平が去って行き、その後ろ姿が見えなくなっても一夏はそちらをぼんやりと見ていた。
「どうしましたの?」
「ぼんやりしてるわよ、一夏」
セシリアと鈴の言葉に一夏が我に返る。
「い、いや、なんでもない!」
そう否定する一夏の顔は少し赤く染まっていた。
芽生える…これは確実に芽生える!
一夏!その道は茨だらけの獣道だぞ!!