Хорошоです。
読んでいただいている皆さん、Спасибо!
俺は毎朝の日課のトレーニングを終え、自室へと戻っていた。
前回のタッグマッチではアクシデントはあったものの俺はあまり役に立てていなかったことを少しばかり悔しく思い、普段のメニューを少しづつきつくしていっている。
毎週日曜日の千冬さんとの特訓では上達してきていると言われるのだが、正直俺には自覚できていない。どうせならもっともっと強くなりたい。
少し前に行われたタッグマッチが行われた数日後俺の部屋は一夏の同室となった。部屋割りが変わったことで平日の朝に本音を起こす手間が減ったので以前よりももう少しトレーニングに時間を使う余裕ができている。
本音を起こすのも、はじめは起きてくれていたのだが、だんだん俺の起こし方に慣れて来たのかなかなか起きなくなったものだ。
そう言えば、本音と言えば部屋替えの時は少し駄々をこねられたな。あの時は――
○
「部屋割りの調整が出来ました。梨野君は織斑君の部屋になります」
夕食後、俺と布仏さんの部屋に訪ねて来た山田先生は一仕事終えたようにやり遂げた顔をしていた。
「そうですか。先生も大変だったでしょう。お疲れ様です」
「いえいえ、これくらい。なにせ私は先生ですから」
えっへんと胸を張る山田先生。――うん、これ以上は考えないでおこう。前に布仏さんにつねられたし。
「じゃあすぐに準備した方がいいですね。ちょっと待ってくだ――」
「ねーえー、ナッシー」
自分の荷物をまとめようと動き始めた俺を布仏さんが遮る。
「ナッシーホントに部屋変わっちゃうの?」
「まあ、そういう決定だしな」
「やだやだ~!私ナッシーと一緒の部屋がいいー!」
俺の言葉を聞いて布仏さんが俺に抱き着くようにダダをこねはじめる。
「ちょっと、布仏さん…」
突然のことに俺もどうしていいかわからない。
「ナッシーと一緒がいいー!ナッシーとじゃなきゃやだー!」
うーん、弱ったどうすればいいんだ。
「なんでそんなに俺と一緒がいいんだ?」
「だって……ナッシーが同室じゃなかったら誰が毎朝私を起こすのー?」
「俺は目覚まし代わりかよ」
「お菓子だって一緒に食べたいし……」
しょんぼりとした布仏さんを見ているとなんともいたたまれない。山田先生も少し困惑気味だ。
俺は一つため息をつくと、布仏さんの頭にポンと手を置いて撫でる。
「布仏さん、大丈夫だよ。別にこれで永遠に会えなくなるわけじゃない。クラスだって一緒だし、呼んでくれれば布仏さんの部屋に行くし、来たかったら俺の部屋に来たっていいんだ。まあ俺が行くときは同室の人がいいって言ったらだけど…」
「……ホントに?」
俺の言葉に布仏さんが不安げに見上げてくる。
「本当だよ。俺にとって布仏さんはこの学校でまともに話した初めての女子なんだ。俺にとって大事な友達だ。これからももっともっと仲良くしていきたい」
「………わかったー」
俺の言葉に頷いた布仏さんに俺はほっと一安心したが、
「でも!」
さらに布仏さんは言葉を続ける。
「条件が一つだけあるの」
「条件?」
「うん。私のことを〝本音〟って呼んで。そしたら部屋変わってもいいよー」
……それだけ?下の名前で呼ぶのに何か意味があるのだろうか。
「うん、別にいけど…えっと、本音さん?」
「ぶー!〝さん〟はいらない―!呼び捨てー!」
「お、おう。…本音?」
「うんうん。それで良し」
俺が呼び捨てで呼ぶと、布仏さ――本音は納得したように頷いた。なんなんだろうか、一体。
○
まあ、そんな騒動もありつつ、俺は現在一夏と同室で暮らしているのだが、一夏は気が利くし、何より同じ男なので気を使う場面が少なくて助かっている。
と、考えながら部屋の前までやって来た俺は一人の人物に遭遇する。
「……何やってんだ、箒」
「うわっ!航平か、びっくりさせるな」
俺に声をかけられ、箒が飛び上がるように驚く。俺が声をかける前には熱心に髪型をいじったり咳払いをしていた。何やってたんだろう。
「まあ良いや。で、一夏に用なのか?」
「う、うむ。一緒に朝食をとろうと思ってな。あ、もちろんお前も一緒にと思ったのだが」
「そうか、ありがたいんだがもう少し待っててくれるか?俺今運動して来たから汗かいてて、シャワー浴びたいんだ」
「む、そうか。ではもう少ししてからくるとしよう」
「悪いな」
「気にするな。では後ほどまた来る」
そう言って箒は去って行った。
………さて、これで第一の問題は解決である。一番の問題はここからだ。
一夏が同室になって何も不満はない。そう、一夏に関しては…だ。この問題は一夏も…まあ関わっているが、どちらかと言えば一夏も被害者っぽいのだ。
「……はぁー」
俺は一つため息をつくと、ドアを開ける。
「あっ!航平!頼む、助けてくれ!」
自室に入った俺が見たのは、ベッドに押し倒され、銀髪の少女にキスされようとしている一夏の姿だった。
「ん?おお!お兄ちゃんではないか。朝からトレーニングとはせいが出るな。私も見習わなくてわ」
俺の方を見ながらそう言ったのは、現在一夏を押し倒してキスを迫っている銀髪少女――ラウラ・ボーデヴィッヒだった。ちなみになぜか全裸。
現在俺は明後日の方向を見てラウラの体を視界に入れないようにしている。
なぜラウラがここにいるかは不明。朝トレーニングに行こうと五時に起きた俺は一夏の布団が不自然に膨らんでいた。不思議に思って布団をめくったところ、きれいな銀髪と全裸の女子の体が出て来たので、すぐさま布団を戻し、トレーニングに向かったのだ。俺はこの時俺の見たものが今日俺の見ていた夢の延長だと思っていた。そう信じていたのだが、現実とは残酷なものだ。
ちなみに箒に時間を空けてくるようにしたのもこれが原因だ。こんな場面見られたら一夏はタダの肉片になってしまうかもしれない。
「……とりあえずラウラは服着てくれる?目のやり場に困る」
「どうしてだ?兄妹とはすなわち家族だ。家族の裸など気にするようなものではないだろう?」
「……あのさあ、これで何回目か忘れたけど、俺お前のお兄ちゃんじゃないからな?」
そう。今日まで何度か言ったことだ。そして――
「何を言うか。お兄ちゃんは教官の弟子だ。教官の弟子になろうとしている私にとってはお兄ちゃんは兄弟子だ。兄弟子なので私の兄と考えても間違っていないだろう。それに、日本人の男は皆〝お兄ちゃん〟と呼ばれたがっているのだと知り合いに聞いたぞ」
この返事も前に聞いたものと同じだ。初めは本当の妹だと信じていたが、詳しく聞いてみると、つまりはどこからの知識かもわからない知識でのことだったようだ。結局記憶を失う以前の俺のことはわからず終いだった。
「……もう…お兄ちゃんでも兄貴でもなんでもいいから、とりあえず服を着てくれ。頼むから」
「むぅ……まあお兄ちゃんがそういうなら…」
「ふう、助かった……」
俺の言葉に素直に頷いたラウラを見て一夏が安堵のため息をつく。
「そういやいまさらだけど、ラウラ、眼帯外したのか」
一夏の言葉に俺もラウラの顔を見る。その左目はいつもは覆われているはずの眼帯がなく、金色の瞳が現れている。
ラウラの左目は昔行った手術の影響で変わってしまったらしい。ラウラ自身はこの左目に引け目を感じていたと聞いていたが…。
「確かに、かつて私はこの目を嫌っていたが、今はそうでもない」
「へぇ、そうなのか。それは何よりだ。うんうん」
うんうんと頷く一夏を見つめるラウラの頬が桜色に染まる。
「よ、嫁がきれいだと言うからだ……」
あー、好きな人に褒められたからってことですな。前は刃物みたいに鋭い目をしていたのに、今は恋する乙女のような目になっている。まあそれはいいことだと思う。だが相手が問題だ。相手がこの鈍感一夏だったら苦労すると思う。ライバルも多いし。
というかいい加減一夏の鈍感具合には呆れてきた。
「……とりえず、俺はシャワー浴びるから、あとは若い二人でごゆっくり…」
「ちょ!航平!」
「嫁よ。お兄ちゃんもこう言っていることだし、お言葉に甘えさせてもらおう」
「ラウラまで!ちょ!だから馬乗りになるなよ!」
俺がシャワーを浴びるために洗面所に行き、俺が出てくるまで存分にイチャイチャした(ラウラ視点では)二人だった。
というわけで、ラウラは主人公の妹ではありませんでした。
まあ皆さん分かっていたでしょうけどね。
さて、これからリアルの方が少し忙しくなるので更新が不定期になるかもしれません。
更新はしますがその頻度が毎日じゃなくなると思います。