すいません!ネットに問題起きたりして更新できなくなってました!
航平「その割にその前からもう一つの方ばっかり更新してなかったか?」
………………………
航平「目を逸らすな!」
「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないように注意しろ」
「「「よろしくお願いしまーす」」」
織斑先生の言葉の後に全員で挨拶する。
臨海学校初日。天候にも恵まれ、上には青い空、目の前には青い海が広がっている。
俺たちの挨拶した先でこの旅館の着物姿の女将さんが綺麗にお辞儀をしている。
「今年の一年生も元気があってよろしいですね」
見た目の年齢で言えば三十代。大人の雰囲気のある、優しそうな女将さんだった。
「あら、こちらが噂の……?」
と、俺と横に並んで立っていた一夏に視線を向けた女将さんが織斑先生に尋ねる。
「ええ、まあ。今年は男子がふたりいるせいで浴場分けが難しくなって申し訳ございません」
「いえいえ、そんな。それに、ふたりともいい男の子じゃないですか。しっかりしてそうな感じを受けますよ」
「感じがするだけですよ。挨拶をしろ、馬鹿者」
ぐいっと両手にそれぞれ俺と一夏の頭を掴んで押さえる。今しようとしたんですけど。
「な、梨野航平です」
「お、織斑一夏です「よろしくお願いします」」
「うふふ、ご丁寧にどうも。清洲景子です」
そう言って女将さんはまた丁寧にお辞儀をする。そんな女将さんに一夏が若干緊張しているようだ。
「不出来な弟と生徒がご迷惑をかけます」
「あらあら。織斑先生ったら、ふたりにはずいぶん厳しいんですね」
「いつも手を焼かされていますので」
くそうっ、否定できねぇ。
「それじゃあみなさん、お部屋の方にどうぞ。海に行かれる方は別館の方で着替えられるようになっていますから、どうぞそちらをご利用なさってくださいな。場所がわからなければいつでも従業員に訊いてくださいまし」
女将さんの言葉に返事をし、他の女子たちは部屋へと向かって行く。みんな部屋に荷物を置いてから遊ぶのだろう。
ちなみに初日は完全に自由時間だ。食事は旅館でとりさえすればあとは何をしていてもいいらしい。まあたいていの人は海に行くらしいが。
「ね、ね、ねー。ナッシ~」
と、地面に置いたカバンに手をかけた俺に背後から声をかける人物がいた。というか本音だ。
「ナッシーとおりむーって部屋どこー?一覧に書いてなかったー。遊びに行くから教えて~」
本音の言葉に周りの女子たちが聞き耳を立てたのが分かった。そんなに俺たちの部屋が知りたいのだろうか。普通だろ。面白いことなんてないぞ。
「それが俺たちも知らないんだよ」
「案外床で寝るんだったりしてな」
「んー。もしそうだったら、こっそり一緒に寝ようねー、ナッシー」
いやいやいや。それはいろいろ問題あるだろう。見ろよ。まわりの女子がこそこそ何か言ってるじゃないか。一夏なんかドン引きだぞ。
「織斑、梨野、お前たちの部屋はこっちだ。ついてこい」
おっと、織斑先生に呼ばれた。
「じゃあ、行ってくるわ。また後でな」
「うんー。あとでね~」
本音に手を振りながら俺と一夏は織斑先生のもとへ。
「えーっと、織斑先生。俺らの部屋ってどこにあるんでしょうか?」
「黙ってついてこい」
一夏の言葉に織斑先生はピシャリと言い放つ。あーあー、一夏がしょんぼりしてる。
「ここだ」
「え?」
「でも、ここって……」
織斑先生に連れられてやってきた部屋に俺と一夏はポカンとする。ドアにはでかでかと『教員室』と書かれた紙が貼られていた。
「最初はお前たちの二人部屋にする予定だったんだが、そうすると就寝時間を無視した女子が押しかけることが容易に予想できるからな」
いやそうにため息をつく織斑先生。
「結果、私を含めた三人部屋ということになった。本当なら四人部屋なのだから、山田先生も一緒と考えたが、梨野はよくても織斑はダメだろう。まあ私だけで十分女子たちはおいそれと近づかないだろう」
「そりゃまあ、そうだろうけど……」
まあそれが一番確実だろう。わざわざ織斑先生のいる部屋で大騒ぎしには来ないだろう。
「一応言っておくが、あくまで私は教師だ。お前たちの姉でも保護者でもないからな」
「はい、織斑先生」
「了解です、織斑先生」
「それでいい」
そこから俺たちは入室。部屋はもともと四人部屋だけあって広々としていた。四人で使っても十分すぎるほど広い。外側の壁が全面窓になっているので見晴らしがいい。青い海が一望できる。
「おおー、すげー」
俺の横でも一夏が興奮した様子で窓の外の景色を見ている。
それから俺たちは織斑先生の注意をいくつか訊き、やって来た山田先生と入れ違うように海へと向かった………のだが、
「………………」
「………………」
「………………」
俺と一夏、途中で会った箒は呆然とその光景を見ていた。
俺たちの目の前には地面から異様なものが生えていた。何を隠そう「ウサミミ」である。いわゆるバニーさんがしている感じのアレ。あの白いウサミミがそこには生えていた。
しかも横には『引っ張ってください』と貼られている。
「なあ、これって――」
「知らん。私に訊くな。関係ない」
「???」
どうやら一夏と箒にはこの意味が分かっているようだが、箒はこれに関わりたくないらしい。
「えーと……抜くぞ?」
「好きにしろ。私には関係ない」
そう言ってスタスタと歩き去る箒。
「なあ、お前らはこれが何か知ってるのか?」
「ん―……まあ、たぶん」
この状況に一人取り残されている俺が訊くと、一夏は苦笑いを浮かべながら屈む。どうやら本当に抜くようだ。
ウサミミに手をかけた一夏は力を込める。
すぽっ。
「のわっ!?」
勢い余った一夏が後ろにすってんころりんと転ぶ。
「おいおい、大丈夫か?」
「おお。まあ何とか」
「何をしていますの?」
「お、セシリア」
「いや、このウサミミを――あ」
一夏がセシリアへと顔を向けると、寝転がっている状態の一夏からはおそらくセシリアのスカートの中が見えてしまっているのだろう。
「!?い、一夏さんっ!」
一夏の視線に気が付いたセシリアがスカートを押さえて後ずさる。
「す、すまん。その、だな。ウサミミが生えていて、それで……」
「は、はい?」
セシリアが首を傾げる。そりゃそうだ。俺も実際に見てないと信じられなかっただろう。
「いや、束さんが――」
キィィィィン……。
「ん?」
上空から謎の音が聞こえて来た。見上げるとそこには――って!?
ドカ―――――ン!
謎の飛行物体が目の前の地面に突き刺さっていた。しかも驚くべきことにその見た目は
「「「に、にんじん……?」」」
俺たち三人は呆然と呟いた。なんというか、漫画なんかで見る感じの簡単なにんじんだった。しかし大きさだけで言えば人一人くらい余裕で入ってそうな大きさだった。
「あっはっはっはっ!引っかかったね、いっくん!」
ばかっと目の前のにんじんが開き、中から一人の女性が飛び出してきた。
飛び出してきた女性は一夏の持っていたウサミミを取り、自分の頭に装着する。服装は青と白のワンピースなので、俺は以前読んだ「不思議の国のアリス」という本を思い出していた。
呆然とする俺とセシリアの前で一夏はその人物と親しげに会話を始める。
「あ、ところでいっくん。箒ちゃんはどこかな?」
親しげに一夏と話していた女性はふと思い出したようにきょろきょろと見渡し
「――ん?」
そこで俺と目が合う。
「君は……」
ずいっと俺に顔を寄せ、俺の顔を凝視する女性。その視線から逃げるように視線を逸らす、が、無理矢理に顔の向きを戻される。
「ふんふん。ほーほー。へー……君が……」
凝視するだけでなく俺の周りをぐるぐるとまわってつま先から頭のてっぺんまでじっくりと見ながら女性は何かぶつぶつとつぶやく。
「あの……」
「おっと!今は君より箒ちゃんだ!それじゃあね、いっくん!」
そう言い残して謎のウサミミ女性は走り去って行った。
「………なあ一夏」
「………なんだ?」
「い、今のはいったい……」
「あーその、なんだ。束さん。箒の姉さんだ」
「「え……?ええええっ!?」」
俺とセシリアの驚きの声が旅館に響き渡った。
ごめんなさい、久々なのに短くて。
キリのいいところにしておきたかったんです。