IS~無い物だらけの物語~(休載中)   作:大同爽

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自分で読み返して自分のが読みずらかったのでちょっと書き方変えました。
編集後に読んだ方はお気になさらず。

てなわけで、6話はじまるよ♪


第6話 朝食は手早く

「はあ……はあ……」

 

 入学式翌日の早朝、俺は寮の周りを走っていた。起きたのが五時くらいだったが、どのくらい経ったのかはわからない。

 意識が戻ってすぐはうまく体が動かせなかったが、徐々に動けるようになったころ織斑先生にリハビリ兼体力作りをするようにと言われた。今やっているのはそのメニューである。織斑先生曰くこの寮を一周すれば大体一キロらしい。徐々に走る距離を増やしていき、始めてから約一ヶ月ほど経った今では毎朝五周はしている。これが多いのか少ないのかわよくわからないが、終わると汗だくになる。そこから腹筋、背筋、腕立て伏せ、スクワットを百回づつ行う。

 部屋に戻ってきて時計を確認すると六時半。まだまだ、学校に行くまで余裕はあるので余裕をもってシャワーを浴びることができる。洗面所で汗をよく吸ったジャージを脱ぎ、シャワーを浴びる。汗臭いまま学校に行くわけにもいかないので入念に洗う。こういうとき髪が長いと時間がかかるしめんどくさい。

 ゆっくり三十分ほどシャワーを浴び、着替えて出てきたところで布仏さんがセットしていたであろう目覚ましが鳴る。しかもそこそこ音がでかい。

 

「うう………うう………」

 

 呻きながら布団から出した手をゆらゆらとさまよわせ、目覚ましのアラームを止める。起きたのかな?と思いきやまたもぞもぞと動き布団にもぐってしまう。

 

「はあ。これは、昨日した約束を本当にしなきゃいけなくなりそうだ」

 

 俺は布団にくるまれて幸せそうな顔で寝息を立てる布仏さんの顔を見ながらため息をついた。

 

 

 ○

 

 

「なあ……」

 

「………………」

 

「なあって、いつまで怒ってるんだよ」

 

「……怒ってなどいない」

 

「顔が不機嫌そうじゃん」

 

「生まれつきだ」

 

 一年生寮の食堂。相変わらず右を見ても左を見ても女子女子女子女子。職員も全員女性。六人掛けのテーブルに座る俺と一夏以外はみんな女子。ぶっちゃけ肩身が狭い。

 そんな状態で俺の隣に座る一夏はその隣に座る篠ノ之さんとケンカ中らしく頑張って話しかけているが、さっきからまともに会話が成立していない。ケンカしてるならなんで同じテーブルに?と思ったが『同じ部屋のよしみ』らしい。

 さっきからものすごく篠ノ之さんからの言葉のない圧力を感じる気がする。なんでだろう?まるで邪魔者に対しての目をしている気がする。俺が一緒に朝食をとるって決まった瞬間めっちゃ睨まれた気がする。俺の勘違いだろうか。

 ちなみに一夏と篠ノ之さんの朝食メニューは和食セット。ご飯に納豆、鮭の切り身と味噌汁。ついでに浅漬け。実においしそうである。それに対して俺は洋食セット。ちょうどいい焼き加減のトースト。黄色いスクランブルエッグとカリカリのベーコン。サラダとコンソメスープ。デザートのヨーグルト(プレーンのフルーツのせ)。どれも実においしい。でも、和食セットの方の鮭もおいしそうだ。ふんわりほかほかのごはんとよく合いそうだ。

 

「箒、これうまいな」

 

「……………」

 

 無視されている。でも、同意するように篠ノ之さんも鮭をつまんでいる。

 

「おいしそうだな、俺もそっちにすればよかったかな?」

 

 俺は二人のトレーの上の鮭を見ながら言う。

 

「さっきさんざん悩んでたもんな」

 

「悩んだけど諸事情により洋食セット」

 

 俺はフォークでスクランブルエッグをすくって食べる。うん、うまい。トーストによく合う。

 

「諸事情って?」

 

 一夏が俺の言葉に首をかしげる。

 

「俺、あんまり箸の扱いに慣れてないんだ。使えないこともないけどよっぽど食べたいメニューじゃないとあんまり使うのもな~って」

 

「フォーク使えばいいじゃん」

 

「え!?使っていいの!?」

 

「たぶん」

 

「目からすのこだ!」

 

「……は?」

 

 俺の言葉に一夏が首をかしげる。

 

「あれ?目から妹子?数の子?」

 

「それを言うなら、目から鱗ではないか?」

 

「そう、それ!」

 

 俺が思い出そうとしていると横から篠ノ之さんが指摘する。

 

「そんな間違い方はじめて聞いたよ。なあ、箒」

 

「…………」

 

 一夏が笑いながら同意を求めるがやっぱり無視されている。

 

(なあ、何があったの?)

 

(俺にもわかんねえ。なんで箒は怒ってんだろう?)

 

「だから、怒ってなどいないと言っている」

 

 俺と一夏の小声での話が聞こえていたらしく、篠ノ之さんが言う。でも、一夏の方をろくに見ようとしない。偶然目があっても急いでそらしている。う~ん、これって本当に怒ってないのかな?よくわからん。

 

「だから箒――」

 

「な、名前で呼ぶなっ」

 

「……篠ノ之さん」

 

「…………」

 

 一夏が名字で呼ぶと、今度は今度でむすっとしてしまった。あれ?今までの反応見てると、もしかして篠ノ之さんって、一夏のこと――

 

「ねえ、ナッシー。隣いい?」

 

「ん?」

 

 一瞬浮かんだ考えが俺の名を呼ぶ声で消えてしまう。見ると俺の横には布仏さんとそのほかに二人の女子がトレーを持って立っていた。

 

「ああ、別にいいけど」

 

 そう答えると、布仏さんはうれしそうに笑い、後ろの二人は小さくガッツポーズをしている。周囲からは何か妙なざわめきが聞こえた。

 

「ああ~っ、私も早く声かけておけばよかった……」

 

「まだ、まだ二日目。大丈夫、まだ焦る段階じゃないわ」

 

「昨日のうちに部屋に押しかけた子もいるって話だよー」

 

「なんですって!?」

 

 ああ、うん、来たね。確か、一年生が八名、二年生が十五名、三年が二十一名自己紹介に来た。確認したら一夏のところにも来ており、学年&人数がぴったり同じだった。きっとどちらかに来た足でそのままもう片方に行ったんだろう。名前を覚えるのだけで一苦労だった。今『私のこと覚えてる?』と言われてもせいぜい四、五人答えられるくらいだろう。

 で、朝からさらに二人覚えなきゃいけないようだ。

 ちなみに三人はどう座るのか決めていたのか、非常にスムーズに席に着いた。六人掛けののテーブルに窓側から篠ノ之さん、一夏、俺、布仏さん、女子A、女子Bの順である。

 

「そういえば、朝ありがとうねー、ナッシー」

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

 昨日の夜、『明日朝目覚まし鳴ってても私が起きなかったら起こしてー』と布仏さんにお願いされ、『わかったけど、自分で起きる努力はしてね』と言ったんだが、結局目覚ましで起きることはなかった。その後七時半になるまでに何度『あと五分~』と言われたかわからない。

 七時半になってやっと起きた布仏さんがぼんやりしながら身支度をしている中、先に食堂にやってきたのだった。

 

「航平、その子と仲いいみたいだけどどういう知り合いなんだ?」

 

「ああ、俺の同室の布仏本音さん」

 

「よろしくね、おりむー」

 

「お、おりむー?」

 

 一夏のあだ名が決まったらしい。

 

「うわ、二人とも朝すっごい食べるんだー」

 

「お、男の子だねっ」

 

 他二人の女子が俺と一夏のトレーをのぞき込んで言った。

 

「俺は夜少なめに取るタイプだから、朝たくさん取らないと色々きついんだよ」

 

「俺は前に朝食あんまり食べなかったら織斑先生に怒られた。『朝は一日の始まりだ』って」

 

 以来、俺も朝は多めに、夜は少なめに取るようにしている。

 

「なんで千冬姉に?」

 

「俺、この学園で見つかってから学園から出たことないし、他の学年の人に見つからないようにできるだけこの学校の教師の人以外とは会わないように生活ずらしてたから」

 

 コンソメスープをすする。うん、うまい。

 

「その中でも織斑先生と学園長が俺の身元保証人だから、織斑先生には色々お世話になってたんだ」

 

 そう言えば学園長って会ったことないな。

 

「へ~、知らなかった。千冬姉家に帰ってこないと思ったらそんなことしてたのか」

 

 一夏が納得したよう言う。

 

「ていうか、女子って朝それだけしか食べないで平気なのか?」

 

 俺は三人のトレーを見ながら言う。三人はそれぞれトレーの上のメニューこそ違うが、飲み物にパン一枚、おかず一皿(しかも少なめ)だった。

 

「わ、私たちは、ねえ?」

 

「う、うん。平気かなっ?」

 

「お菓子よく食べるしー」

 

 もちろん最後のは布仏さんである。間食は太るらしいよ。

 

「……織斑、私は先に行くぞ」

 

「ん?ああ。また後でな」

 

 俺には言わないってことは、俺は頭数に入っていなかったのかな?

 

「織斑くんって、篠ノ之さんと仲がいいの?」

 

「お、同じ部屋だって聞いたけど……」

 

「ああ、まあ、幼なじみだし」

 

 へ~。仲良さそうだとは思ってたけどそういう理由か。納得納得。と。別段意識することでもないのかと思ったんだけど、周囲がざわつき始めた。誰かが『え!?』という声が聞こえたほどだ。

 

「え、それじゃあ――」

 

 と。布仏さんの隣の女子……ええと、谷本さん?が質問しようとしたところで、突然手を叩く音が食堂に響いた。

 

「いつまで食べている!食事は迅速に効率よく取れ!遅刻したらグラウンド十周させるぞ!」

 

 織斑先生の声がよく通る。途端、食堂にいた全員が慌てて朝食の続きに戻った。なにせこのIS学園のグラウンドは、一周五キロある。

 

「さて、俺もお先に」

 

 俺は話している間も手は止めなかったのでもう食べ終わっている。

 

「ちょっと、ナッシー。同室のよしみで待っててよー」

 

「そうだ!同じ男子のよしみだろっ?」

 

 立ち上がろうとした俺に二人の声がかかる。そう言ってる間に食べてしまえよ。

 

「……しょうがないから、あと一分な」

 

 そう言って俺はさっきまで座っていた椅子に座りなおす。

 

「ありがとう、恩に着る」

 

「ありがと~」

 

 そう言って、二人はさらに手を動かす。一分で間に合うんだろうか。

 

 

 その後、一夏や二人の女子は途中で食べ終わっていたのだが、行こうとするたびに泣きそうな顔で布仏さんに見つめられたら、置いて行けず、結果最後には二人で遅刻ギリギリとなってしまっていた。唯一の救いは織斑先生に怒られることは回避できたことだろう。

 ………俺、早く食べ終わってたのに。




かわいい女子と登校とか死ねばいいのに!と自分の書いてるキャラに軽く嫉妬しました。
いいな~。イチャラブ登校。一歩間違えれば千冬さんにぶっ叩かれるけど。
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