「ではこれより、一学期の成績表を配布していく」
体育館での終業式も終わり、教室に帰ってくると教卓に立った織斑先生が教卓の上の紙束をポンポンと叩きながら言った。
「名簿順に名前を呼ばれたら前に取りに来い」
織斑先生の言葉に順番に席を立つ。俺は梨野なのでそこそこ後になるので手元の配布されているプリントに目を向ける。プリントには夏休みの過ごし方などの諸注意などが書かれている。
「次、織斑一夏」
聞き慣れた名に反応して顔を上げるとちょうど一夏が席を立ち教卓に向かっているところだった。
「………次はもっと精進しろ」
「う、うっす」
渡された成績表を見ながら一夏が渋い顔をした。成績が思ったより良くなかったのかもしれない。
渋い顔のまま成績表を睨みながら自分の席に戻る一夏。
その後、箒、セシリア、シャルなども呼ばれたがみなそれなりの成績が取れていたのか満足げだった。
そして――
「次、梨野航平」
俺の番になった。
席から立ち上がり教卓の前へ。
「……………」
「……………」
なぜか無言で俺の成績表をじっと見る織斑先生。その間が恐ろしくて俺も黙って織斑先生の言葉を待つ。
「………まあ…それなりには頑張ったんじゃないか」
「……え?」
ぼそっと呟かれた言葉に一瞬ポカンとするがすぐにその言葉の意味を理解する。
「それって……」
「………」
俺の言葉に答えずそのまま俺に成績表をこちらに差し出す織斑先生。
これ以上訊いてもきっと答えてもらえないことを悟って成績表を受け取って自分の席に戻る。
「………ふぅ」
一度大きく息を吐き出し、二つ折りの成績表を開く。そこに書かれていた成績は――
「………」
10評価の平均がだいたい3から4くらいだった。正直これはいい方なのか悪い方なのかよくわからない。
「むぅ……」
「どうかしたの、航平?」
判断に困っている俺に近くの席のシャルが俺の様子に気付いたらしい。
「いや……俺の成績、織斑先生に頑張ったなって言われたんだけど……どうなのかなって……」
「ふ~ん。それは僕が見ても?」
「ああ、いいぜ」
シャルに自分の成績表を渡す。
「これは……」
成績表に視線を走らせながらシャルが呟く。
「え?何?なんなの?ダメなの?いいの?どっち?」
なかなか続きを言ってくれないシャルに俺は織斑先生の時と同様にドキドキしながら待つ。
「……航平…これ…頑張ったね!」
「え?」
シャルが目を輝かせて答えた。
「でも……成績の平均が10のうち3くらいしかないんだけど?」
「でも赤点がないじゃない?」
俺の成績表を指さしながらシャルが言った。
「航平って超・記憶喪失、自分のこと以外のことも忘れてるんでしょ?」
「うん、だから一般常識とかもまったく覚えてなかったから大変だったな」
「そう、そこだよ」
「うい?」
シャルの言葉に首を傾げる。
「航平ってその記憶喪失のせいで知識面での遅れがあるから赤点とっても厳しい補習はないって話だったよね?」
「うん」
「だから、僕も航平は全部じゃないけど何個かの教科は落としちゃうんじゃないかって心配してたんだけど……」
もう一度俺の成績表に視線を向ける。
「赤点になった教科ひとつもないし、すごく頑張ったんじゃない?」
「…………」
笑顔で俺に成績表を返してくるシャルから受け取りながら俺は再度二つ折りの紙を開く。
「……そっか…だから…頑張ったって……」
織斑先生の言葉を思い出しながら顔を上げる。そこにはクラスメイト達に成績表を配布する担任の姿があった。
俺の視線に気づいたらしい先生は一瞬その顔に笑みを浮かべたように見えたが、すぐに元の凛々しい顔に戻っていた。
お久しぶりです!
こっちもなかなか更新できず、やっとできました(;^ω^)
さて、実は最近少しスランプ気味なんでちょっと息抜きにまったく別の三作目の執筆をしようかと思ってます。
あ、安心してください。
メインで書くのは無い物と平凡な俺、です。
三作目はあくまで息抜きなんで更新頻度は低いです。
どっちかが終わらせられたら三作目も更新頻度は上がると思いますが……
ちなみに三作目の原作はラブライブ!を予定しています。