IS~無い物だらけの物語~(休載中)   作:大同爽

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第80話 開催!学園祭!

そして、あっという間に時は過ぎ、気付けば学園祭の日を迎えていた。

 

「さ、準備は出来てるみんな?」

 

「あ、うん……」

 

「できてる…ぞ?」

 

「できてはいるのですが……」

 

 クラスのみんなを見回しながら言う俺の言葉に、しかし、シャルと箒、セシリアは歯切れ悪く答える。

 

「どうしたんだよみんな?もうあとちょっとで始まるんだぞ?元気に行こうぜ!」

 

「いや、うん……そうなんだけどね?」

 

「なんと言うか……」

 

「???」

 

 歯切れ悪い面々の様子に首を傾げる俺。そんな俺の服をちょいちょいと誰かが引っ張る。

 見るとそれはラウラだった。

 

「ん?どうした?」

 

「お兄ちゃんよ。訊いてもいいか?」

 

「おう。俺でわかることなら」

 

 ラウラの言葉に頷くとラウラは俺のことをじっと見て

 

「お兄ちゃんは、実はお姉ちゃんだったのか?」

 

 大真面目な顔で訊いた。

 

 

 

 学園祭の我らが1年1組の出し物はメイド喫茶である。

 そんなわけでいま俺の目の前にいるシャルたち四人もメイド服である。

 そして、俺と一夏の服はと言うと、現在一夏は執事服に着替えている。すぐに戻ってくるだろう。対して俺は――

 

 

 

「言ったろラウラ?俺はちゃんと男。ただメイド服着て女装してるだけ」

 

 そう、俺はいろいろあってメイド服を着ている。もちろんただ着ているのではなくちゃんと化粧もして女装として着ている。

 

「だがどこらどう見ても男には見えんぞ」

 

「まあ俺の唯一の特技だからな」

 

 納得がいっていないようで俺の周りをぐるぐる回りながら観察するように見るラウラ。

 

「そっか、そういえばラウラはまだ見たことが無かったんだね」

 

「その疑問もわかりますわ」

 

 そんなラウラの様子にシャルとセシリアが頷く。

 

「知っているはずなのにこうして見ると信じられんな」

 

 箒も同じように俺の顔をじろじろ見ながら言う。

 

「……と言うか」

 

「うん」

 

「そうですわね」

 

 箒に加えシャルとセシリアも俺のことをじろじろと見ながらお互いに頷き合い

 

「男なのに……」

 

「すごい美人……」

 

「なんでしょう、この敗北感……」

 

 三人は揃って俺のことを恨みがましい目で見ながら呟く。

 

「いや、俺に言われても……」

 

 そんな三人の視線を受けて俺は苦笑いを浮かべる。

 

「で、お姉ちゃんよ」

 

「お姉ちゃんじゃねぇよ、お兄ちゃんだよ………いや、お兄ちゃんでもないけどね」

 

 ラウラの言葉を否定し、しかしそれも間違ってたことに気付いて慌てて訂正する。

 

「で?どうした?」

 

「一夏はどうしたんだ?」

 

「あぁまだ着替えてんじゃね?もうそろそろ来ると思うんだけど……」

 

 と言っていると

 

「すまんお待たせ!」

 

 一夏が戻ってきた。

 黒い執事服に身を包んだ一夏。髪もいつもと違いワックスでしっかりとセットされている。

 

「おぉ、みんなよく似合ってるな」

 

 と、一夏が言い、そのまま一夏の視線がシャル、箒、セシリア、ラウラと見て、最後に俺を見て

 

「っ!?」

 

 二度見した。

 

「今何の違和感もなかったけどよく見たら航平!」

 

「よく見なくても俺だろ」

 

「よく見ないとわからなかったんだよ!」

 

 驚いている一夏に俺はやれやれと肩を竦める。

 

「お前は前に見たんじゃなかったか?」

 

「写真でな。生で見たの初めてだけど……」

 

 言いながら一夏はジロジロと見て

 

「え?航平って女だったの?」

 

「ちげぇよ。てか一緒に大浴場使ってるんだから知ってるだろ」

 

 真面目な顔で言う一夏の言葉に俺はため息をつきながら言う。

 

「え?だってお前女の子にしか見えないぞ?」

 

「まあそれなら問題ないな」

 

「うん、問題ない。問題ないって言うか……すげぇなお前!」

 

 感心した様子でへぇ~と見る一夏。

 

「すげぇ……ホントすげぇよ!」

 

「お前ほめ過ぎ」

 

 一夏の言葉に俺は笑う。

 

「いやだってすげぇもんはすげぇだろ!」

 

「あのな一夏、俺お前から『すげぇ』って思われて嫌な気しないからな」

 

 あまりにもすげぇすげぇ言われて俺も嬉しくなってくる。

 

「いやぁ……ホントすげぇ。見れば見るほど美人」

 

「よせよ。照れんだろ」

 

「いやいやマジで。これお前なら世界を狙える」

 

「いやなんのだよ」

 

「いやいける!お前ならいける!」

 

「どこから来るんだよその自信……」

 

「だって今ここで1,2を争うレベルだと思うぜ?」

 

「やめろ!いろんな方面から怒られるからやめろ!」

 

 一夏の一言に俺は思わず叫ぶ。

 

「ほう……?」

 

「お兄ちゃんが1,2を争うか……」

 

「そうですかそうですか……」

 

「ほらぁぁ!ほらぁぁぁぁ!」

 

 どんよりとした目で俺を見る箒、ラウラ、セシリアの三人からの視線に俺は思わず一夏に詰め寄る。

 

「否定しろ一夏!今すぐ!」

 

「え?なんで?」

 

「いいからぁ!でないとお前消されるぞ!誰かから夜道でぶっすり殺られるぞ!」

 

 とか何とか言っていると

 

 ピンポンパンポーン♪

 

『それでは、九時になりましたので、ただいまよりIS学園学園祭を始めます』

 

「あ、ほらほらほら。時間だ時間だ!さぁ頑張ろぉ!!」

 

 三人からの視線から逃れるように俺は叫んだのだった。

 

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