IS~無い物だらけの物語~(休載中)   作:大同爽

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第86話 結果発表

「みなさん、先日の学園祭ではお疲れ様でした。それではこれより、投票結果の発表を始めます」

 

 体育館に集められた俺たちは正面のモニターに視線を向ける。

 三学年の全校生徒すべてそろったこの場で恐らく一番この結果を気にしているのは二人、俺と一夏だろうが、それでも俺と一夏以外の面々も興味津々な様子だ。

 

「一位は――」

 

 それぞれの思惑にみんなが固唾を飲む中、ついに結果がモニターに映し出される。

 

「生徒会主催の観客参加型劇『シンデレラ』!」

 

「「……え?」」

 

『えぇぇぇぇぇぇぇ!!!?』

 

 俺たち二人がポカンと呆ける中、体育館に全校生徒分の絶叫が響き渡る。

 

「卑怯!ずるい!イカサマ!」

 

「なんで生徒会なの!?おかしいでしょ!?」

 

「私たち頑張ったのに!」

 

 女子一同のブーイングの嵐の中、まぁまぁと生徒会長が宥め

 

「イカサマなんてしてないわよ。劇の参加条件は『生徒会に投票すること』よ。でも、私たちは別に参加を強要したわけではないのだから、立派に民意と言えるわね」

 

 へぇ~、そんな条件だったんだ。

 なんというか、全部計算ずくだったんだろうなぁと、素直に感心する。

 まあもちろんそんな言葉で女子たちが納得するわけもなく、ブーイングは収まらない。

 

「はいはい、落ち着いて。まだ第二位の発表がまだだからね」

 

 ……ん?

 

「あ、そうか!まだ!まだ梨野君がいる!」

 

「神はまだ我々を見捨ててはいない!」

 

「まだ私たちのターンは終わっていない!」

 

 そうだった。確か事前の告知では一位の部活に一夏が、二位の部活に俺が強制入部だった。

 つまりこの第二位の部活に俺は強制入部させられるわけだ。

 

「それでは、第二位の発表に移りたいと思います」

 

 再び体育館内が異様な雰囲気に包まれる。

 俺もできるなら訳分からん部活には入りたくない。まともな……まともな部活であってくれ……。

 全員の祈るような視線の中モニターには――

 

「第二位は――『ロボット研究部』!」

 

『……え?』

 

「ロボッ……ト……?」

 

 「え?」とみんなが呆ける中――

 

「あ、うちか」

 

 うちのクラスの列の前方でボソッと声が聞こえた。

 バッと音が聞こえそうなほどの勢いで全校生徒分の視線が一人に注がれる。そこにいたのはうちのクラスで一番のチビのつい先日転校してきた人物、シロがいた。

 

「えぇ~、ロボット研究部は発足僅か一週間ではありますが、高性能なロボットスーツを発表し、試乗体験という形で出し物として出店してくれました」

 

 会長の言葉に周囲から「そう言えばそんなのあったね」「あれすごかったぁ~」なんて言う声がチラホラ聞こえてくる。

 

「と、いう訳で、今後は織斑一夏君は生徒会の役員として、梨野航平君はロボット研究部の一員として頑張ってもらいましょう!」

 

 こうして会長の言葉の後――

 

「あ、ちなみに一夏君には今後適宜各部活動に派遣します。男子なので大会参加は無理ですが、マネージャーや庶務をやらせてあげてください。それらの申請書は生徒会まで提出するようにお願いします」

 

 という発表により満たされた全校生徒の歓声で締めくくられた。そんな中俺の視線の先でチビの生意気なあの女は――

 

「はぁ~……」

 

 面倒臭そうに、めちゃくちゃ嫌そうに大きくため息をついていた。

 いや……ため息つきたいのは俺の方なんだけど……。

 

 

 ○

 

 

 

「結局、あなたの予定通りになったわけね」

 

「まぁ~ねぇ~。流石私!」

 

 生徒会室。会長の席に座る楯無は目の前に立つ人物――シロの言葉にニヤリと笑いながらVサインをする。

 

「まったく、生徒会が一位になるのは予想できたけど、うちが二位にならなきゃどうするつもりだったわけ?」

 

「ん~そこは心配してなかったわ。ちゃんと仕込んでたし」

 

「仕込んでた?」

 

 楯無の言葉にシロが首を傾げる。

 

「全校生徒のほとんどがあの劇に参加するのはわかってたから、それでも全員は参加しないだろうことも想定済み。もし仮に全校生徒の一割が参加しなかったとしても、その人たちの票は恐らくばらけるでしょうから、各部の得票数はそれほど高くはならない。そんな中でもあなたたちの部活の出し物の内容を見れば人気は出ると思ったし、何より私が個人で動かせる票は全部あなたたちの部に入れるようにしてたしね」

 

「なるほど……」

 

 楯無の解説にシロは納得したように頷く。

 

「つまり、何から何まで終始計画通りだったわけね」

 

「まぁ~ねぇ~」

 

 再びニッとドヤ顔で笑う楯無の顔を見ながら

 

「でも、そこまでするほどなの?」

 

 シロは問う。

 

「はっきり言ってあの男はそれほど警戒が必要とは思えないけど」

 

「ん~、私も学園祭前まではそう思ってたんだけどねぇ~……あんなの見ちゃったら……」

 

 シロの言葉に頷きながら楯無は笑みを消し、真剣な表情で口にする。

 

「彼は――いえ、彼の忘れている彼自身は、ひょっとするとかなりの〝大物〟かもしれないわ」

 

「〝大物〟?」

 

 楯無の言葉にシロは首を傾げる。

 

「まぁ、彼の実力の一端を見せられた時、いままでの想定を大きく変えるべきだと思わされたわ。特に、彼が記憶を取り戻した時、彼が私たちの知っている彼じゃなくなってる可能性も知っちゃったしね」

 

 大きくため息をつき

 

「だから、今後はあなたたちには随時彼の様子を監視し報告してもらうことになるわ」

 

「……ま、初めからそう言う話だったし、私たちとしてはそれに異論はないわ」

 

 楯無の言葉にシロは頷き踵を返す。

 

「ついでだし、あいつにはそれなりに部員としてキビキビ働いてもらうわ。それでいいんでしょ?」

 

「ええ。ちゃんと部員として活動させて頂戴」

 

「そう。まあせいぜい有効利用させてもらうわ」

 

 そう言ってシロは背中越しに手を振って生徒会室を後にしたのだった。

 

「任せたわよ、国連直下組織『トライピース』さん」

 

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