あまり筆が進まない……
「航平の居場所が分かったかもしれない!?」
千冬の言葉に一夏は驚きの声を上げ、その場に集まっていた箒たち専用機持ちの面々も驚愕の表情を浮かべている。
「で、ですがいったいどうやって」
「うち会社の情報網でね。それでも流石の『亡国機業』だね。かなり時間がかかっちゃったけどね」
セシリアの問いにシトリーが答える。
「そ、それで!?もちろん助けに行くんですよね!?」
「ああ、もちろん。正式に国連からうちにも依頼が来たしな」
シャルロットの問いにベリアルが頷く。
「そ、それじゃあ――」
「だが、悪いがお前たちを連れて行くことは出来ない」
「なっ!?」
決意を固めた表情で言いかけた一夏だったがそれを千冬が遮る。千冬の言葉に一同の顔に衝撃が走る。
「何故ですか!?」
「今回は一筋縄ではいかん。お前たち未熟者がいては足手纏いだ」
「そんな!我々は邪魔だと言うんですか!?」
「そうだ」
「そんな……」
自身が尊敬してやまない千冬からの邪魔者という扱いにラウラは絶句する。
「で、でも千冬ね――」
「織斑先生と呼べ。今ここでは家族ではなくお前たちの教師であり上司だ」
「っ!」
千冬の冷たい言葉に一夏は息を飲む。
「そして、これは命令だ。お前たちは学園で待機。『亡国機業』との決戦と梨野航平の救出にはベリアル達『トライピース』と私が向かう」
「なっ!?」
「織斑先生みずから!?」
千冬の言葉に驚きの声が上がる。
「不満か!?」
「で、ですが先生!?」
「話は以上だ。全員解散しろ」
そう言って千冬は踵を返す。
「お願いです、織斑先生!僕たちも一緒に!」
しかしそんな千冬にシャルロットは縋るように言う。
「シャルロット・デュノア、勘違いするなよ?この話をお前たちにしたのは我々のあずかり知らぬところからお前たちが情報を手に入れ勝手に動かないように釘をさすためだ」
「そんな……」
「大人しくしておけ。命令を破るようなら懲罰房送りは覚悟しておけよ」
「ですが!」
「これ以上議論を続けるつもりはない」
そう言い残し、千冬は今度こそ去って行った。
『…………』
千冬が去った後、一夏たちは重苦しく口を閉ざしていた。そんな面々を見てシトリーとベリアルも顔を見合わせため息をつく。
「あぁ~……その、なんだ、彼女の気持ちも汲んでやってくれるか?」
「え?」
ベリアルの言った言葉に一夏が顔を上げる。
「あいつは航平の事を言葉にはしないが相当大事にしてたみたいだし、航平が消えた直後は態度には出さねぇが相当堪えてたみてぇだった」
「だねぇ」
ベリアルの言葉にシトリーも頷く。
「だからよ、彼女としては今回の事に自分で決着つけてぇし、他に気を配ってる余裕もなくなるかもしれない。だからお前たちに参加してほしくねぇんだよ」
「二度も大事な生徒、大事な家族を危険には曝したくないってわけだね」
「千冬姉ぇ……」
「「「「「織斑先生……」」」」」
二人の言葉に一夏たちは千冬の去った扉を呆然と眺める。
「それに、これはお前らを彼女が信用してるってことでもあるんだよ」
「え?」
ベリアルの言葉に一夏は視線を向ける。
「彼女が前線に立つなら、この学園の守りは誰か別の人間がしなくちゃいけなくなる。君らにならそれを任せられる、彼女はそう思ったってこったろうよ」
「「「「「「…………」」」」」」
「彼女の気持ちに応えてあげて」
それじゃ、と言い残してベリアルとシトリーも去って行った。
残された六人の間に言葉は無かったが、お互いに顔を見合わせ、力強く頷き合ったのだった。