DRAG-ON DRAGON BALL   作:うぇいかた

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ドラゴンボール超ビルス見て思いついたので、勢いだけで書いてます。後々に訂正するかもしれません。


第1話 「異界より舞い降りし歪み」

 

「うおりゃあああああッ!!」

 

 

白い光と無限の虚無が広がる「精神と時の部屋」

 

その中心で、2人の男は全身から黄金のオーラを迸らせながら、猛烈な連続拳を繰り出していた。拳が空気を裂くたびに、空間がビリビリと震え遠くの壁にまで衝撃波が走る。

 

 

「どうした!?カカロット!! 弛んでるぞ!?」

 

 

悟空の拳を正確に受け流しながら、鋭い蹴りを繰り出す。その蹴りは悟空の腕をかすめ、背後にあった岩山を粉々に粉砕した。

 

 

二人の周囲には荒れ果てた地面が広がっている。精神と時の部屋特有の、無限に続く白い空間。しかし今は、二人の激闘によってあちこちにクレーターが穿たれ、地面が剥き出しになっていた。

 

 

「はぁっ! はぁっ! くそっ、ベジータ、おめぇ本気でやってんのか!?」

 

 

「当然だ! 力の大会まであとわずか! 貴様が負けても良いように、俺が強くなってやるのだから感謝しろ!!」

 

 

悟空は苦笑いを浮かべながらも、その目は爛々と輝いていた。

強い相手と戦える喜び。ベジータの猛攻をかわしながら、悟空は内心で感嘆していた。

 

 

(さすがだな、ベジータは。オラも負けてられねぇ!)

 

 

「いくぞ!!これで決める!」

 

悟空は両手を腰の横に構え、全身の気を右手に集中させる。

青白い光が右手に収束し、凄まじい熱気が周囲の空気を歪ませた。

 

 

 

「かめはめ波ァァァァッ!!」

 

 

ドォオオオオンッ!!

 

光の奔流がベジータ目掛けて一直線に放たれる。

目を見開き、両腕を交差させて防御態勢に入る。

 

 

「ぐぅっ……!」

 

 

かめはめ波の衝撃に押されベジータの足が地面に深くめり込む。

靴底が摩擦で煙を上げ、後方へと滑っていく。だがベジータは耐えきった。

 

 

「ふん、その程度か!」

 

「へへ、まだまだ!」

 

 

悟空は即座に次のかめはめ波をチャージする。しかしその瞬間、異変が起きた。

 

(……ん?)

 

精神と時の部屋の空気が急に軋み始めた。白い空間の壁面に、細かな亀裂が走り始める。それはまるで、ガラスにヒビが入るような不穏な音を立てて。

 

「なんだ……!? 貴様何をしたぁぁっ!?」

 

「いや、オラ何もしてねぇぞ!?」

 

2人が見上げた先——精神と時の部屋の天井部分に、黒い亀裂が走った。その亀裂は見る間に広がり、やがて大きな穴へと変わる。穴の向こうには、暗く淀んだ別の世界の空が覗いていた。

 

「な、なんだありゃ……!?」

 

悟空が目を丸くした瞬間穴から凄まじい吸引力が発生した。精神と時の部屋の空気が音を立てて吸い込まれ、周囲の岩や瓦礫が宙に浮き始める。

 

「くっ……! ベジータ、掴まれ!」

 

「うおおっ!?」

 

 

 

悟空は咄嗟に地面に足を固定しようとするが、引力はあまりに強力だった。ベジータも必死に抵抗するが、体が浮き上がっていく。

 

 

「カカロットォォォッ! 貴様のせいだぞ!」

 

 

「オラのせいじゃねぇって! うわああああっ!?」

 

 

ドォオオオッ!!

 

 

悟空の体が、黒い穴に吸い込まれるようにして飛ばされた。視界がぐるぐると回転し、上下の感覚がなくなる。光と闇が交互に瞬き、耳鳴りが響く。

 

 

「うおおおおおおっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

そして——

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドサッ

 

 

 

「いててて……」

 

 

悟空は尻餅をついていた。目を開けると、そこは見知らぬ海岸だった。

 

灰色の雲が空を覆い、潮風が頬を撫でる。磯の匂いに混じって、鉄錆のような血のような、そんな匂いが漂ってくる。足元は砂浜だが、ところどころに黒い染みがついている。何かの焼け跡だろうか。

 

 

「……ここ、どこだ?」

 

 

悟空は立ち上がり周囲を見回した。切り立った断崖絶壁。荒れ狂う海。そして、遠くに見える城のような建造物。明らかに地球ではない。ナメック星でも、界王星でもない。

 

 

「ベジータは……いねぇな。まぁ、アイツなら勝手に帰るだろ」

 

 

悟空はケロリとした表情で、頭をポリポリと掻いた。

 

 

「それにしても、妙な気の流れだな。この星全体から、どす黒い気配がする。それに……なんか、戦ってる奴がいるな。数も多い。しかも、どんどん減ってる」

 

悟空は目を細め、遠くの気配を探る。どうやらこの世界は、常にどこかで争いが起きているらしい。しかも、殺し合いが行われている。

 

「……放っておけねぇな。とりあえず、行ってみるか」

 

悟空は軽く屈伸運動をすると、地面を蹴って空高く舞い上がった。

 

 

 

 

 

 

◇ー 海の国 ー◇

 

 

 

 

 

切り立った断崖絶壁に囲まれた荒涼とした海岸線。灰色の雲が重苦しく空を覆い尽くし、潮風に硝煙と腐敗の混じった生の血の匂いが絡みつく。

 

「ハァ……ハァ……ッ!」

 

血飛沫を浴びた白い髪を振り乱し、一人の女が巨大な剣を振るう。片目に爛々と咲き誇る白い花。露出の多い歪な衣装に身を包んだその女——ウタヒメ・ゼロは、群がり寄る領主の兵隊たちを虫ケラのごとく切り刻んでいた。

 

「しつこいんだよ、ゴミ共がッ!」

 

ゼロの一閃が鉄の鎧ごと兵士の胴体を両断する。臓物と鮮血が砂浜にぶちまけられ、甲高い悲鳴が波音に消えた。返り血が白い髪を赤黒く染め上げるが、ゼロは気にも留めない。むしろ、その赤が彼女の狂気をより一層際立たせていた。

 

 

「ゼロ! 大丈夫!? ボク、手伝うよ!」

 

上空から舞い降りてきたのは小さく不格好な白い竜“ミハイル”だった。幼く甲高い声でゼロを案ずるが、ゼロは刀身についた血を粗雑に払いながら、吐き捨てるように怒鳴り返した。

 

「すっこんでろミハイル! この程度の雑魚に手ぇ貸すんじゃねえ! テメエは怪我治すことだけ考えてりゃいいんだよ!」

 

「でも……ゼロさっきからずっと一人で戦ってて血がいっぱい出てるよ……」

 

「うるせえ! 黙ってないと蹴り入れるぞ!!」

 

ゼロの狂気を孕んだ眼光に射抜かれ、ミハイルは「ひうっ」と首をすくめた。

 

5人のウタヒメとの激闘で片腕を失い、ミハイルも転生したばかりで幼体へと退化した。満身創痍の旅路。次々と送り込まれる領主の追っ手。イライラは限界に達していた。

 

ゼロは胸のすくような殺戮の快感すら覚えず、ただ目の前を塞ぐ無数の兵士たちへ怒りをぶつけるように剣を構え直す。

 

 

「この程度でアタシを止められると思ってんのか? 笑わせんなよ」

 

 

ゼロはニタリと笑い砂を蹴った。その瞬間、彼女の姿がかき消える。次の瞬間には、兵士の集団の只中に。

 

 

「なっ——」

 

 

兵士が声を上げる間もなかった。ゼロの大剣が横薙ぎに閃き、三人の兵士が腰から上を吹き飛ばされる。悲鳴と血飛沫が舞い散る中、ゼロは回転しながら斬撃を連続で叩き込んでいく。一人、また一人と兵士が倒れ砂浜が赤黒く染まっていく。

 

「君たちなんざ、百人集まってもアタシの相手にはならねえんだよ!」

 

ゼロの笑い声が断崖に反響する。その声は、もはや正気とは言い難い響きを帯びていた。だが、それも無理はない。裏切りと殺戮の連続。信じられるものなど何もない世界で、彼女はたった一人で戦い続けてきたのだ。

 

「ゼロ……」

 

ミハイルが不安げに呟く。ふいに——ゴォオオッ!!

 

頭上から、空を叩き割るような破裂音が轟いた。

 

雷ではない。ドラゴンが吐くブレスの音でもない。空の境界線そのものが歪み、どす黒い空間の亀裂が生じている。亀裂は見る間に広がり、その中心から眩いばかりの純白の光が溢れ出した。

 

 

「な、なんだぁ!? 空が割れてるよ、ゼロ!」

 

「チッ……ウタヒメの新しい魔法か……!?」

 

 

ゼロは牙を剥き出しにし、空の亀裂を睨みつけた。兵士たちも戦いを止め、呆然と天空を見上げている。

 

亀裂から強烈な暴風が吹き荒れ、大気を切り裂く音とともに何かが猛スピードで地上へと落下してくる。

 

——ズゴォオオンッ!!

 

凄まじい衝撃波が海岸を襲った。砂浜が爆発したかのように跳ね上がり、大量の砂煙と爆風が周囲の兵士たちを吹き飛ばす。ミハイルは翼で体を覆って耐え、ゼロは剣を砂に突き立てて踏ん張った。

 

 

「ゴホッ、ゴホッ……! なんだってんだ、一体……!」

 

ゼロは目を細め、立ち込める砂煙の奥を見据えた。

 

巨大なクレーターの真ん中。そこに、一人の男が立っていた。

 

-

 

身に纏っているのはこの世界のいかなる国や宗教とも異なる、橙色の奇妙な胴着。黒いツンツンと尖った髪。背中には、見たこともない紋章が刺繍されている。

 

 

男は後頭部をポリポリと掻きながら、心底困ったような声を上げた。

 

 

「あててて……参ったな。ベジータのやつ、気合い入れすぎて精神と時の部屋の次元まで歪ませやがったか……? ん? どっちにしろ、ここは神様のお神殿じゃなさそうだな」

 

 

男「孫悟空」はきょろきょろと周囲を見回した。そして、鼻をピクピクと動かす。

 

「うわっ……なんだこの匂い。血臭ぇな……それに気の感じが全然ちがうぞ。地球でもナメック星でもねぇ……ここどこだ?」

 

 

「おい」

 

 

底冷えするような声が、悟空の耳に届いた。

 

 

見上げると、血に濡れた大剣を担いだ白髪の女が、片目で自分を殺気爛々と睨みつけている。その眼光は、まさに獲物を狙う猛獣のそれだった。

 

 

「テメエ……どこから湧いて出た? ワンの差し向けた刺客か?」

 

 

悟空はまばたきを二回しゼロの姿をじっくりと観察した。片腕が義手。片目から生えた白い花。そして、全身から漂う圧倒的な殺気とそれにそぐわない凄まじい美貌。

 

「お? おめえ、人間か? なんか不思議な気をしてるな……弱くはねぇけど、なんだか身体がボロボロじゃねえか。大丈夫か?」

 

「……は?」

 

ゼロの顔が引きつった。

 

殺気をぶつけられているというのに、目の前の男からは恐怖も警戒も、一欠片も感じられない。それどころか、近所の肉屋のオヤジに挨拶でもするような軽々しさで話しかけてきている。

 

「命乞いなら聞き入れねえぞ、バカが。死にたい奴から前に出ろって言ったはずだ」

 

「命乞い? いや、別におら死ぬ気はねぇぞ。それより姉ちゃん、ここはどこだ? おら悟空ってんだ。ちょっと修業の最中に妙な穴に落ちちまってさ」

 

「悟空……? 珍妙な名前だな。……フン、知るかよ。ここは海の国だ。そしてテメエは、間もなく死ぬ場所だッ!」

 

ゼロは砂を蹴り、一瞬で悟空の懐へと踏み込んだ。人間離れした踏み込み。空中を切り裂く大剣の一撃が、悟空の首を正確に刈り取りに走る。

 

「ゼロ! ダメだよ!」というミハイルの制止も届かない。

 

——シャキィンッ!

 

甲高い金属音が響き渡った。

 

「……あ?」

 

ゼロの動きが止まる。手に伝わる強烈な手応え。しかし、それは肉や骨を断つ手応えではない。まるで、極厚の鋼鉄の塊を全力で殴りつけたかのような、鈍く重い衝撃。

 

ゼロの瞳が大きく見開かれた。

 

悟空は、避けてもいなかった。ただ右手の人差し指と中指の二本を立て、ゼロの振るった巨大な刃を完璧に受け止めていたのだ。指先と刃が接する部分からかすかな火花が散っている。

 

 

「へぇ、重ぇ剣だな。姉ちゃん見た目より力強いんだな」

 

 

悟空は感心したように口角を上げた。その表情には、一切の苦痛も焦りもない。まるで子供の戯れに付き合っているかのような、圧倒的な余裕。

 

 

「な……ッ!? 指で……私の剣を……!?」

 

 

ゼロの背筋に氷を突きつけられたような戦慄が走った。自分はウタヒメだ。人知を超えた力を持ち、数多の兵士をゴミのように殺戮してきた存在だ。その本気の斬撃を、ウタウタイでもないただの男が、指二本で止めた……?

 

 

「ウソだろ……!? ゼロの剣、止めちゃったよあの人!」

 

 

ミハイルが目玉を飛び出させんばかりに驚愕している。

 

その時、周囲を囲んでいた領主の兵士たちが、隙を見て一斉に襲いかかってきた。

 

「ウタヒメが気を取られているぞ! やれッ! 首を取れぇぇッ!」

 

槍や剣を構えた数十人の兵士が、悟空とゼロ目掛けて殺到する。

 

「チッ、鬱陶しいゴミ共が……!」

 

ゼロが仕切り直そうと剣を引き抜こうとした瞬間、悟空がポンと彼女の肩を叩いた。

 

「姉ちゃん、怪我してんだろ?無理すんな。……ちょっと下がってろ」

 

「は……? おい、何言って——」

 

悟空はゼロの前に歩み出ると襲い来る兵士たちに向かって、すっと息を吸い込んだ。構えすら取らない。ただ、右手を軽く一振り、扇ぐように横に振った。

 

ゴォッ!!

 

それだけで、空間が爆発した。

 

悟空の手振りから放たれたのは、凝縮された「気」の衝撃波。目に見えない空気の壁が超音波となって砂浜を薙ぎ払い、襲いかかってきた兵士たちを一瞬で呑み込んだ。

 

「ギャああッ!?」

 

「ぐはッ!?」

 

鎧が砕け散る音。悲鳴の嵐。数十人の兵士たちが、まるで台風に吹き飛ばされる枯れ葉のように空へと打ち上げられ、遥か沖合の海へとドボンドボンと音を立てて落ちていった。

 

一瞬の出来事だった。

 

静寂が海岸に戻ってくる。波の音だけが、虚しく砂浜に響いていた。

 

「よし、これで邪魔はいなくなったぞ」

 

悟空はニシシと無邪気に笑うと、呆然と立ち尽くすゼロの方へ振り返った。

 

「なんだ、テメエは!?」

 

ゼロの声が震えていた。怒りではない。混乱と、あまりにも不条理な力に対する恐怖に近い感情だった。

 

「呪文も唱えてねえ……ウタも歌ってねえ……ドラゴンでもねえ……なんだその力は! テメエ化け物かッ!?」

 

「化け物? 失礼だなあ。おらはサイヤ人……あいや、地球育ちのサイヤ人だ。別に怪しいもんじゃねぇよ」

 

そう言って、悟空はぐううっ……と凄まじい音を立てて腹を鳴らした。

 

「あー……腹減ったなぁ。修行の途中でおやつ食い損ねたからなぁ。なぁ姉ちゃん、この辺に美味ぇもん食える店とかねぇか?」

 

頭を抱えたくなるような緊張感の欠如。ゼロはガシガシと白い髪を掻きむしり、大剣を力任せに地面に突き立てた。

 

「知るかッ! こっちは命がけで旅してんだよ! 飯だのサイヤ人だの、ふざけたこと抜かしてんじゃねえ!」

 

「えー、冷たいなぁ。おら助けてやっただろ?」

 

「頼んでねえよバカ!!」

 

ブチギレるゼロの横から、ミハイルが恐る恐る近寄ってきた。

 

「あのねあのね! お兄さん、すごく強いんだね! ボク、ミハイルっていうの! ゼロのお友達!」

 

「おう、おらは悟空だ! おめえ喋るトカゲ……じゃなくて、竜か! すげぇな!!神龍とはちょっと違うけど、面白れぇな!」

 

「トカゲじゃないよ! ドラゴンだよ!」

 

無邪気に話し始める悟空とミハイル。ゼロは二人のやり取りを見つめながら、ハッと息を吐いた。

 

(……待てよ)

 

ゼロの思考が、急速に冷えていく。この男の強さは異常だ。原理は意味不明だが、ウタヒメである自分以上の力を持っている可能性がある。そして、このバカ正直で頭の悪そうなツラ……利用価値はある。

 

「おい、悟空」

 

「ん? なんだ姉ちゃん」

 

ゼロはニヤリと極悪非道な笑みを浮かべた。片目の花が、妖しく揺れる。

 

 

「テメエ、元の世界に帰りたいんだろ?」

 

「おう! 皆も心配するしな。戻れるなら戻りたいぞ」

 

「なら、アタシについて来な」

 

ゼロは腰に手を当て、威風堂々と胸を張った。

 

「アタシはゼロ。この世界を支配する腐れ妹どもを殺す旅をしてる。妹どもを全員ぶち殺せば、世界を壊せるだけの『ウタの力』が集まる。そうなれば、キミを元の世界に送り返す穴くらい、開けられるかもしれないだろ?」

 

半分はデタラメであり半分はただの誘導だった。だが、悟空は「ほう!」と目を輝かせた。

 

「本当か!? 妹を殺すってのは穏やかじゃねぇけど……そいつら強いのか?」

 

「ああ、クソ強えよ。化物揃いだ」

 

「そうか! よっしゃ、なら決まりだ! おらもついて行くぞ!」

 

あっさりと騙される悟空を見て、ゼロは心の中で舌を巻いた。チョロすぎる。

 

「決まりだな。……ただし、アタシの邪魔をしたら容赦なく背後から刺すからな」

 

「ハハ! おら、そんなへまはしねぇよ! それより姉ちゃん、まずは飯だ! 腹が減っては戦ができねぇってな!」

 

「ちっ……だからアタシは金なんか持ってねえっつの……」

 

「大丈夫だ! その辺に飛んでるデカい鳥とか捕まえて食おうぜ!」

 

「勝手にしろ……」

 

ゼロは呆れ果てたように呟き大剣を肩に担いだ。

 

「ねえねえ、悟空って空飛べるの!?」

ミハイルとはしゃぎながらその後を追う。

 

悟空は空を見上げ、灰色の雲の向こうに思いを馳せた。

 

(ベジータ、チチ、悟飯、悟天、みんな………ちょっと遅くなるかもしれねぇけど、必ず帰るからな。それにしても——)

 

悟空の口元が、無邪気に緩む。

 

(この世界、なかなか面白ぇじゃねぇか。強い奴がゴロゴロしてるみたいだしな。修行にはもってこいだ!)

 

 

こうして、異次元から落ちてきた規格外のサイヤ人と、絶望の運命を背負うウタヒメの、狂った旅が始まった。

 

 

滅びゆく世界に、場違いな明るすぎる太陽が昇ろうとしていた。

 

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