銀魂✖️デートアライブ✖️Gemini   作:ゼロナナ

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【地獄のゾンビサノスと、ティチャラ陛下の散り際】

第一章:スマホの画面に映し出された「最悪の巨神」

坂田銀時と十香が「あんな連中に関わってたら脳ミソがウニになる」と全速力で逃げ去った後、かぶき町の十字路には、黒駒勝男、西郷特盛、そしてあず美の三人が取り残されていた。

アスファルトの上に無造作に転がっていた割れたスマートフォン。その画面では、動画配信サービスの『What If…?』から『マーベル・ゾンビーズ』のエピソードへと自動再生が切り替わっていた。

三人は地面に胡坐をかいたりドレスの裾を広げたりしたまま、食い入るように画面を見つめている。

そこに映し出されていたのは、全宇宙を恐怖に陥れた最凶最悪の存在――ゾンビサノスの姿であった。

左手に嵌められたインフィニティ・ガントレットからは不気味な光が放たれ、その巨体はかつての圧倒的な覇気を失い、腐敗しきった死肉の怪物と成り果てていた。目前に迫る絶望的な死の気配。すべてが終わりを迎えると思われたその瞬間――画面の中で、一人の男が静かに、だが揺るぎない決意を秘めて歩み出た。

それは、自らの肉体を削り、長年にわたって仲間たちのためにすべてを捧げ続けてきたワカンダの国王、ティチャラ陛下その人であった。

第二章:ゾンビサノスを前にした陛下の選択

「……おい……見ろや、あれ……」

黒駒勝男が、ガタガタと震える手でスマホの画面を指さした。その七三分けの髪が、冷や汗でびしょ濡れになっている。

画面の中のゾンビサノスは、無限の力を秘めたガントレットを掲げ、容赦なく生存者たちを叩き潰そうと迫っている。もはや逃げ場はない。誰もが絶望の淵に沈み、死を覚悟したその時、ティチャラ陛下は自らの身を挺してサノスの巨大な進路に立ちはだかったのだ。

「あんな……あんな化け物みたいなゾンビサノスを相手に……自分の命を完全に投げ出して、仲間を遠くへ逃がすための時間稼ぎやと……!?」

勝男の声が、極道としての威厳をかなぐり捨てて激しく裏返った。

「自分の足をもぎ取られ、満身創痍になってもなお、他人のためにその高潔な魂を差し出すなんて真似……ワイらのようなヤクザの端くれには、恐ろしくて真似できへん……! 自分のシマや利権を守るために怒鳴り合っとる自分が、恥ずかしくてたまらんわ……っ!」

勝男はこらえきれず、顔をクシャクシャに歪めて大粒の涙をボロボロとこぼし始めた。

第三章:西郷とあず美の号泣と、陛下の讃歌

その傍らで、西郷特盛もまた、ふくよかな体躯を激しく震わせながら、マスカラが黒く滲んだ顔で号泣していた。

「なんてことなの……! ゾンビサノスという名の地獄の業火が目の前に迫っているというのに、あの人は最後まで『誇り高き王』としての気高さを微塵も 崩さなかったわ……!」

西郷は胸元に当てた扇子をギュッと握りしめ、かつて戦場で修羅をくぐり抜けてきた「鬼神」の血潮をたぎらせながら、声を詰まらせて叫んだ。

「愛する者のために世界を滅ぼすWhat Ifも切なくて素敵だけど……! 己の命の火をすべて燃やし尽くして、生き残るべき者たちの未来をその背中で守り抜くなんて……そんなの、母性本能が引き裂かれるほど美しすぎるじゃないのよ……っ!」

さらに、傍らに控えていたあず美も、その長大な顎をボロボロと震わせながら、大声で男泣きしていた。

あず美の号泣と絶叫:「陛下ァァァ――ッ!! アンタって男は、どこまでカッコいいのよ……! アタシらのちっぽけな顎の悩みや、夜の蝶としての意地の張り合いなんて、あの陛下の背中に比べたらミジンコ以下のカスよ! ゾンビサノスごときにその高潔な魂が汚されるものか――ッ!」

あず美のハンカチ号泣:あず美は派手なドレスの袖で大量の鼻水を豪快に拭いながら、ガタガタと全身を震わせた。

第四章:全員揃っての「さすが陛下だよ!」の叫び

スマホの画面の中で、ティチャラ陛下は静かに微笑み、仲間たちに後を託すようにして光の中へと消えていった。

自己の犠牲によって世界に希望を残したその圧倒的な散り際を目の当たりにし、かぶき町の十字路に集う者たちの感情は完全に限界を超えて決壊した。

もはや、理屈や照れは一切ない。

溝鼠組の若頭、元・攘夷志士のオカマバーのママ、そして従業員のオカマ――裏社会の荒波を生き抜いてきた三人の猛者たちが、道の真ん中に突っ伏さんばかりの勢いで号泣し、声を合わせる。

「「「 さすがは陛下や……!! / さすがは陛下よ……!! / さすがは陛下だわ――っ!! 」」」

三人は顔を涙と鼻水まみれにしながら、天を仰いで慟哭した。

あの冷酷非道なゾンビサノスすらも、ティチャラ陛下の圧倒的な人間性と高潔な犠牲の精神の前にあっては、ただの引き立て役にすぎなかったのだ。陛下のカリスマは、かぶき町のダークな空気感を一瞬にして聖者のような感動の涙へと変えてしまった。

そして、感情のピークに達した三人は、再びガバッと立ち上がると、一糸乱れぬ完璧なフォームで両腕を胸の前で交差させた。

「行くで……! 陛下の魂を胸に刻むんや……!」

「「「 ワカンダ・フォーエバーーーーーッ!! 」」」

朝の光が眩しく照らすかぶき町の交差点に、極道とオカマたちの魂の叫びが、盛大な鼻水を伴って轟音のように響き渡ったのだった。

愛犬のメルちゃんだけは、「もう勝手にしてくれ……」と言いたげに、その場で小さくフインと鼻を鳴らしていた。

(第二十六話・終わり)

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