Tier1 ~インフレの速度が速すぎてサ終したソシャゲの環境外キャラに転生したので、原作知識と俺のキャラ愛で第一世代の不人気産廃キャラでもTier1にしてやるよ‼   作:石尾ニシン

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赤桐の木 決戦編!!
「だって私最弱だから、、、」


 俺はホーム画面であった、家から出てこの世界の町へと繰り出す。

 

 俺の目の前にあったのは、石レンガと針葉樹林の木材があしらわれた北欧風の街並みと大きな闘技場だった。原作であるマジコロではあそこで戦いが行われていた。その町には原作の設定の通り色々な肌の色の人種や、亜人族と言われる獣人や妖精族などの様々な人類が闊歩している。原作では今歩いている彼らもスカウトすることが可能だった。

 

 「うおー!マジでマジコロの世界ですやん!最高ですやん!」

 俺の叫び声に対し町の人々は稀有な物でも見るように、顔を顰める。俺はその視線に少し恥ずかしくなった。

 

 今の俺は国家闇魔術師ケヴィンなんだ。こんな子供っぽいことはしない。ケヴィンはいつも他人には紳士のような態度をとっていた。こんな落ち着きのないケヴィンは解釈違いだ。これからは原作再現としてしゃべる時の一人称は僕にしよう。

 

 原作再現、原作再現っと。俺はゆったりと街並みを歩いていく。すると、、、

 

 看板にバトルギルド(マジック&コロシアム)と書かれた、酒場のような大きな木造の建物を発見する。

 

 これはまさか、、、興奮した俺はその店の中にがつがつと入っていく。

 

 するとその中には、俺が親の顔より見てきた原作のバトルルームのような酒場が広がっていた。お母さんお父さんこんな息子でごめんちゃい。俺はその店の掲示板に近づいていく。

 

 そこには2枚の【マジック&コロシアムの掟】というポスターと【マジコロ最強Tierランク表】という頭の悪そうなポスターが貼ってあった。

 

 掟のほうは【4人1組のパーティーをコスト制限以内で組み他のパーティーと戦え!両者準備ができたら相手のパーティと交戦状態に入る。次にクエストを受注し4回のクエストをこなした後装備を整えコロシアムで戦うのだ!】という親の顔より見てきた【マジック&コロシアム】の説明書きが書かれている。こんな息子で、、、以下略。

 

 そして、Tier表の中にはティア1からティア3までのキャラが乗っており、1にはアルスや江戸などの現実世界でも最強クラスだったキャラが載っている。当然そこにケヴィンは乗っていない。確かにやっている人数の少なさの割にガチ勢が多いゲームだったから、こういうのがゲーム内にあっても不思議と解釈違いではない気がする。なんとなくだが、、、

 

 

 すると背後から、会った事はないのに何度も聞いた声が聞こえてくる。

 「おお、ケヴィンじゃないか?どうしたんだ、お前もコロシアムに出たいのか?」

 

 豊満な胸を甲冑ごしに押し付けながら俺に対して肩を組む女性。その女性は赤いマントを羽織り、大きな木製のジョッキを口に傾けながら金髪の長髪をゆらゆらと靡かせている。生臭女勇者アルスだ。

 

 生アルスの飲酒量と胸は思った以上にインフレしているようだ。彼女には無類の酒好きという、裏設定がある。原作ではバトルルームで30秒以上放置していると酒を飲みだすという謎のtipsがあった。そのようなギャップから意外と傲慢かつ剛胆な性格の割にプレイヤーから好感を得ている。あとは見た目が巨乳で可愛い。まあそれが人気の理由の9割だろう。ソシャゲなんて女性キャラの胸と強さをインフレさせておけば人気が出るそんなもんだ。彼女を水着にしたガチャが出た瞬間セルランの数字が一桁減った事からもよく分かる。

 

 「そうだね、アルス。僕は君たちのように強いわけではないからさ、、、少しでも君たちのような英雄に近づけるように鍛錬をしたいんだ、、、」

 俺は自分の中のケヴィンを憑依させ、肩に掛けられた腕を軽く振り払うように言った。うおー!やっぱ生ケヴィンの声帯で話すと俺が考えたセリフなのにかっこよく感じる。これは愛だ。

 

 「そうか、そりゃ殊勝なこった、まあがんばれよ。お前は弱ええからな、、、」

 おい、お前がそんな風にストーリーモードでケヴィンの事を弱い弱い言いすぎて原作でも全然強化もらえずこちとら雑魚キャラ扱い受けてんだよ。

 

 そんな事を考えていると、店の端の方で少女の大きな呻き声が上がる。

 「、、、は、、、そんなひッ、、、じゃないです。」

 その黒い学生服を着た少女は白髪のポニーテールを揺らしながら赤い短髪で黒のトレンチコートを着た大男に首元を掴まれている。幸いと言っていいかは分からないが、赤髪の大男も白髪の赤い目をした兎のような少女も見覚えがある。

 

 「おいやめとけってお前じゃ勝てねえぞ。」

 アルスは声のする方に向かう俺を諭すように言った。

 

 赤髪の大男の名前は火炎王紅桜。原作ではティア3くらいの立ち位置にいたキャラ。

 

 ペナルティ状態、つまり相手に味方のパーティーキャラが倒された状態においてこのゲームで最高の火力を出せるリーダーキャラだ。確かさっき見た掲示板でもティア3にいた。

 

 彼の人の心を無くしたかのようなペナルティ戦術はかなり有名で彼の使用者達は皆その戦術をメインに据えていた。

 

 作中ストーリーの【「俺さえよけりゃそれでいい、俺以外のすべての味方は俺のペナルティのために存在する奴隷だ。アイアムペナ最強生物なり!」】という言葉は彼を使うプレイヤーたちの中では合言葉のようになっておりそのような事もあいまってロマン砲的な立ち位置で愛用者がかなりいたのを覚えている。

 

 そして白髪の少女は、、、

 

 「紅桜君その少女を放してやってくれないか?嫌がってるよ、、、」

 少女は泣きそうな目でこちらを見る。

 

 「ああ、なんだてめえ!お前みたいな国家の犬のクソ雑魚魔術師ごときがなんで俺に指図してくんだ?俺に命令できるのは俺だけだろ、クソ雑魚陰キャ魔術師」

 お前がストーリーでケヴィンに会うたびに陰気だの陰キャだのと言いまくるから、お前の使い手がみんなケヴィン使ってるとその手のチャットで罵倒してくるんだわ。こいつが原作では意外と優しい所もあるってのは知ってるけどなんだかなあ、、、

 

 「なんでって決まっているじゃないか、、、」

 彼女を見た瞬間に、俺は最速でこの世界でティア1まで行くためのチャートを原作知識から脳内で作り出していた。

 

 「その少女、五条悟りちゃんを僕のパーティーメンバーに招待したいからだよ、、、」

 「は!?」

 紅桜は驚き悟りから手を放す。

 「ええええー!」

 悟りちゃんはもっと驚く。

 

 「おいおい!冗談だろ、この世界最弱のウルトラレアであるこいつを同じく最弱クラスのウルトラレアのお前がパーティーに入れる?意味が分かんねえ。コスト制限を知らねえのか?頭でも打ったか?あああ、、、なんか興ざめだわ」

 そういった紅桜はその場から立ち去ろうとする。

 

 コスト制限は文字通りレアリティごとに決まったコストの制限だ。それは最大120と決まっており、俺や悟りみたいなウルトラレアのキャラは一人50。スーパーレアは30、レアは20、ノーマルは10。要はパーティを四人にする場合悟りを入れると他のメンバーをノーマルで固めなくてはならなくなる。

 

 ちなみに火炎王とかいうかっこいい二つ名をつけておいて紅桜のレアリティはレアだ。それも彼の人気の秘訣であるレアリティが低いため比較的手に入りやすく無課金勢にも優しい。

 

 「え!どこに行くの?」

 「あ?」

 俺の呼びかけに半ギレで答える紅桜。

 

 「僕がパーティを組んで戦いたいのは君なんだけど、脳筋ゴリラ君」

 「いい度胸だな、陰キャ野郎?遺言はそれでいいか?」 

 悟りちゃんは口を開いたままだ。

 「うん明日までに組んでくるから。ここで朝9時に待ち合わせとしよう。絶滅させてあげるよ、ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ君。」

 実はケヴィンはたまにこういう事を言う。そういうギャップがまた良い。紅桜はこちらを睨み少しにやけた。

 「学名で言ってくんじゃねえ。殺すぞ、、、」

 紅桜はそれだけ言って立ち去った。いや突っ込んでくれるんかい。

 

 「ええええ!どういうことですかケヴィンさん?」

 悟りちゃんはあたふたとしている。

 「大丈夫だよ、、、」

 「大丈夫じゃないですよ、だって私最弱だから」

 儒教開戦のコラボキャラである彼女の原作再現ゼリフをまさか生で拝めるとは、、、

 

 

 

 

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