この世界は修羅の世界だ。
俺はいわゆる転生者というものだ。
死因は覚えてない。まあ自分の死に様なんて憶えていても碌なモンじゃないだろう。
俺が生まれた世界は前世で流行っていた漫画の世界。僕らのヒーローアカデミアの世界だ。
内容は触り程度しか知らねえ。前世の俺、アニメは漫画よりなろう系が好きだったし、特撮オタだったから。
人口の約8割が個性という名の超能力を持ち、その能力を悪用する《ヴィラン》と呼ばれる犯罪者とソレを取り締まる《ヒーロー》と呼ばれる職業が存在している。
個性は強力な力だ。
ただ光るだけといった役に立たない或いは使い方次第では生活が少し便利になる程度の個性から、ブラックホールを創り出すなんて殺傷能力どころか大規模破壊を可能とする個性まである。
人間には過ぎた危険物。
発現当初は超能力や異能と呼ばれ、畏怖あるいは崇拝、その逆として迫害されていたそうだ。
まあ、現代は持って生まれたのが多数派だから逆に持ってない奴を障がい者として認識しているが。
そう、誰もが個性という凶器を持ち、簡単にヴィランに成れる世界だ。
個性を使用するには資格が必要だ。
だが、ソレを全て監視して対応出来る程、社会は完備していない。
法整備されてるからといって全ての人間が我慢出来る程、人間も成熟してないない。
取りこぼしは当然いるし、何なら資格が無い一般市民だってこっそり個性を使ってズルしている。
感覚で言えば車で少しスピードをオーバーしたようなもの。その程度だ。
だからヴィランもそんな感覚で生まれてしまう。
ヴィランは増え続ける。
なろうと思えばその場で簡単になれる。
少し強めの個性さえ持って生まれたら、或いは使い方をほんの少し工夫したら。それだけで出来てしまう。
そう、今世ではただの中学生でしかない俺も、なろうと思えばなれてしまう。
俺の個性は
前世で仮面ライダークウガという物語に登場した怪人に変身する戦闘民族たち。
ゲゲルという殺人ゲームで武装した警察でさえ獲物としてしまう悪魔のような種族の力を、俺は一部とはいえ行使できるのだ。
路地裏に立つ一体の怪人。
クワガタを人型に押し込めたかのような外見。
短い金色の角。首に巻かれた薄い赤色のスカーフ。
茶色を基本色とし、眼は薄い赤をしている。
ズ・ダグバ・ダ。
俺が個性という異能で異形と化した姿だ。
「つ、強ぇ…」
「こんなの、反則だろ…」
「強個性…マジずるい…」
俺に絡んできた数十人程の高校生共。
集団で囲って武器だの個性だの使ってきたが、この姿になればそんなものは通じない。
ナイフや鉄バット。
異形と化した外骨格の生体鎧には傷一つ付かない。
火を噴く個性や風の刃を飛ばす個性。
異形と化した身体能力と反射神経なら簡単に避けられる。
集団で個性や武器で袋叩き。
異形と化したこの姿なら全てを拳で粉砕出来る。
全力は出してない。
やろうと思えば皆殺しに出来る。
お遊び感覚でコレだけの力を
「こんなこと続けてたらマジで実刑食らうぞテメエ等」
コイツ等が絡んだ理由は仕返し。
以前、俺はコイツ等が
そしたらしゃしゃり出てくるなとかほざきながら個性使ってきたので、こっちも個性使って迎撃。
あの時は逃がした人が警察呼んでくれたから大事にならなかったが、こうしてお礼参りにあったので迎え撃って今に当たる。
「て、テメエこんなに強かったのかよ…!?」
俺は無視して去りながら個性を解除して人間の姿に戻る。
呪術廻戦の五条悟を黒髪にしたような外見。
五条勇悟。今世の俺だ。
ソレから、俺はあいつらに絡まれなくなった。
不良みたいな奴とすれ違うことはあるが、俺を見るとすぐ消える。
どうやら実刑食らうよりも俺の個性の方が怖いってことだ。
「法律より個性が優先される世界、か」
そりゃ治安悪くなるわ。
前世の俺が夢見た漫画の世界はダークファンタジーみたいな世界だってのか。
まあ、原作知らないけど。