奴隷たちが「助けてくれ」と言ってきたので買って自由にさせたら、なぜか敵国やエルフの姫が求婚してくるのはなぜだ。 作:主義
そしてついにその日がやってきた。
二週間前に僕は奴隷たちに三つの選択を出した。
一つ目は金貨や必要なものを持って故郷に帰るというもの、二つ目は僕の一族が舵取りをしている商会で働く、三つ目としては屋敷内で働く。
この中で好きなものを選んでいいと。
そしてあれから二週間が経ち、今日それぞれの道を決める日。
これまで六人とはそれぞれコミュニケーションを取った。個人、個人とはもちろん、それ以外でも色々と接してきた。
一昨日とかは、ブリアナが「ご主人様と一緒に寝たいのであれば…ダメでしょうか?」と聞いてきた。そして結局、六人と僕で寝ることになり、床に寝ることになった。
さすがに六人だってもう十代だ。そんなに体だって小さくないから、ダブルベッドとかで横になっても全員は寝れない。そうなると自然と、床で寝ることになる。
昨日は六人がしたいことをなるべく叶えた。何人かここに残りそうな奴もいるけど、中には故郷に帰る選択を取る奴だっていると思う。
そう思うとこれが過ごす最後の日。
その日ぐらいは何でも言うことを聞こうと。
様々なお願い事をされたが、どうにか全員の願いに答えられたようで良かった。
そして選択の日。
僕は六人を自室に集めて、それぞれの気持ちを聞いていくことにする。目の前には六人がそれぞれ覚悟を決めた……いやまだ悩んでいるかな。
というか、コリンナに関しては今にも泣きそうで、シリルはどうにか涙をこらえているような感じだ。
他の四人は静かに僕のことを見つめているので覚悟が決まっているのかもしれないな。
「まず、こんな選択をキミたちにさせて申し訳ない」
僕としてはいち早く故郷に帰って欲しい。その気持ちが二週間という短い期日にさせた。
自分の将来が決まる選択をするには、短い期間のような気もする。もし僕が反対の立場だったとして、選択を迫られたとして答えを出すことが出来ただろうかと考えるほど。
ブリアナが一歩前に出て、右手を心臓の部分に持っていく。
「いいえ、ご主人様は私たちに選ぶ権利を与えてくれました。それに私たちはご主人様の奴隷です。ご主人様の意向に従うのが私たちの役目です」
こういう時に発言するのは決まって、ブリアナだ。この中でリーダー的なポジションに収まったのだろう。
「本当にすまないね」
「それでは一人ずつ、聞いていこう。まずはコリンナから教えてくれるかな」
「……わ…たし…は…おとうさん…おかあさん…ところに…いく…」
「そうか。勇気を出して答えてくれてありがとう」
僕はコリンナのことを優しく抱きしめて、落ち着かせる。ここまで色々と考えたのだろう。
そしてその結果が僕の望んでいた故郷に帰るという選択だった。
「次にシリル…教えてくれ」
「ボクも…決めました。生まれた故郷に帰る選択をしました」
「わかった。色々と考えて、悩んで、答えを出してくれてありがとう」
この辺りは予想通りだ。
「セシリアの答えを教えて」
「アタシは帰る。しっかりと挨拶だけはしておきたい」
「うん、答えてくれてありがとう」
これもある程度は予想通り。
「シェリルの答えを教えてくれ」
「…私は主様の元を離れて、あの国に帰る選択をしました」
「……そうか。答えてくれてありがとう」
なるべく顔に出ないようにしたけど、さすがに驚いた。少し前に話した感じだと、かなり故郷に帰ることに反対的な考え方だったから。
確か『帰りたくない』みたいなことを真正面から言われたんだが。
まぁ、心変わりしてくれたんだったら嬉しい限りだ。
「イーデンの答えを教えてくれ」
「父様、ルクリエへと一度帰還しようと思います」
「うん、答えてくれてありがとう」
これはもしかしたら…。
「ブリアナの答えを教えてくれ」
「ご主人様…私もリロニエルに帰ろうと思います。国に残してきた者もいるので」
「わかった、答えてくれてありがとう」
まさか、まさかの全員が帰る選択をしてくれるとは。
正直、話してみた感じだと一人や二人はここに留まる選択をしてもおかしくなかったと思う。
結果は全員がここを出て行くというもの。
僕が望んでいたように事が運び過ぎていることに、少し怖くはあるが、これは六人が選択したことだ。
「それぞれに悩んだ末に答えを出してくれてありがとう」
「まずは全員が無事に帰れるように手配を整えるから、もうしばらくはこの家で生活をしてくれ」
「わかりました、ご主人様」
「うん、それじゃあ、今日はこれで解散かな」
僕はただ答えを待つだけだから疲れていないが、六人は多分、かなりの時間を費やしたはずだ。
でも、これでやっと方向が決まったことで、休めるはずだ。
それに、故郷に帰るよりも前に病気とかになられても困る。だから休める時にちゃんと休んでおいた方が良い。
「今日まで色々と悩んで疲れたと思うから、少し休んで。夕食は奮発するつもりだからね」
今までも食事にはお金を掛けていた。何故ならまだ父親が残した金貨が終わっていないから、少しずつでも使っていかない事には無くなる目途が全く立たない。
でも、今日は今までよりも奮発しよう。
だってまさかこんな思い通りになるなんて、今日祝わなくていつ祝うんだ。
その日の夕食は普段の料理よりも豪華な品々が並んだ。