男女比が偏っている世界で女性アイドルのマネージャーになる   作:主義

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北岡光彩Side

あたしは北岡《きたおか》光彩《ひかり》。

 

アイドルグループ、アモールの一人で女子校に通う生徒。

 

 

古川正行という存在を知ったのは数か月前。それは定期ライブの日でいつも通り、アイドルとして舞台の上で踊っていると男を見つけた。舞台上はみんなが思っているよりも色々と見えている。

 

特にこの会場はそこまで大きくないから後ろの方までよく見える。

 

 

 

まさか女性アイドルのライブに男の子が来るとは思っていなかった。男の子なんて女に興味がないのは当然だと思ってたし、来るにしても冷やかしだと。

 

でも、彼は違った。女性のファンよりも声を出して、熱心に応援してくれていた。あれだけ応援されるとこっちも頑張らないといけないという気持ちがどんどん沸き上がっていく。

 

 

 

それはあたしだけではなくて他の4人の心にも火を付けた。今までだってアイドル活動を真剣に頑張っていたけど、彼を見たのをきっかけにもっと頑張ろうと。

 

 

 

 

 

 

 

そこからどんどん私たちの知名度は増していった。別にTOPアイドルになれたわけではない。だけど、確実にグループ名が浸透していっているのは肌感覚でも分かる。

 

握手会に来てくれた時に初めて名前を聞けた。吉川正行という名前で、あたしたちのことを応援してくれているってことを伝えてくれた。あそこまで熱意をもって、伝えられるとこっちの方が恥ずかしくなってくる。

 

でも、彼はアムール全体を応援しているので、他の子の握手会に行くことももちろんある。それに気付かなければいいけど、うちのアムールの中で『吉川正行』という男の子のことは有名だ。

 

 

『今日は私の元に来てくれた』

 

『次はぼくのところに来てくれると思ったのに』

 

『ウチのところに来て欲しい』

 

 

みたいな感じの話が楽屋では行われていた。

 

 

そんな報告みたいなことをされると、やっぱり嫉妬の火が燃えがあっていく。でも、ウチも彼が自分だけ握手会に来てくれたらいつも煽っているからお互い様なんだけどね。

 

 

あんなに熱心に応援してくれている存在に好意を抱かないなんて無理な話。アムールのメンバー全員が彼に好意を抱き、自分のものにしたいと思っている。そこだけは口に出さないものの、同じ気持ちなのは分かる。

 

 

 

 

 

そしてある日、麻衣が五人で食事を食べに行こうと誘って来た。

 

別に全員で食事をするのは珍しい話じゃないけど、誘って来た時の麻衣が神妙な面持ちだったからちょっと変だと思った。

 

 

そこで麻衣はウチたちに対して『古川正行という男の子をマネージャーとして迎え入れたい』という話をした。それに対してウチたちの中から反対の声が出ることはなかった。

 

 

 

だってあんな男の子を他の女がほっとくわけがない。

 

それなら狙われるよりも前に囲い込んでしまえばいいじゃないかという考え。今はウチらの中で争っているからまだいいけど、いずれ他の女が来たらもっと面倒になる。

 

 

 

 

麻衣もグループのためにそう言ったんだと思う。個人的な感情ももちろんあるとは思うけど。ウチたちは彼が来るようになってからパフォーマンスを含めて、かなり向上したのは周りからの評価を見れば分かる。

 

これからウチたちがもっと上にいくには彼にはずっとウチたちの近くにいてもらわないといけない。他のアイドルに目移りされたら、それこそ『アムール解散』も全然あり得るとウチは思う。

 

 

 

 

これを提案した麻衣がプロデューサーや本人に言ってくれるらしい。彼の住所を知らないメンバーはいないはずだ。それぐらい色んな手段を用いて、特定しているはずだと思う。

 

正直、麻衣だけ二人きりで会うことに何も思わないわけではないが、ここは麻衣に譲る。提案してきたのも準備するのも全部麻衣なわけだし。それにもし、彼がマネージャーという仕事に前向きであれば、これからアタックするチャンスはあると思うし。

 

 

 

 

 

 

 

そしてまたそれから数日して、彼と会えた。麻衣の説明によるとまだマネージャーになることを了承したわけではなくて、マネージャーの仕事や雰囲気を理解するために『仮マネージャー』としてしばらくの間働くらしい。

 

 

久し振りに近くで見た、彼はとってもカッコよかった。これから彼が近くに居てくれると思うだけで心が躍る。短期間からもしれないし、もしかしたら長期的にマネージャーとしてウチたちと一緒に仕事をしてくれるかもしれない。

 

今はまだ分からない。

 

でも、一つ確かなことはしばらくは彼のことを近くで見れること。

 

 

 

 

それだけでウチは幸せだ。

 

 

本当はたくさん質問とか、もっと一緒にいたかったけど、プロデューサーがウチたちを外へと追い出した。

 

 

 

 

まぁ…急がなくてもこれからたくさん話せばいいよね。

 

 

 

 

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