十種影法術の一部になりまして 作:ハロウィンに渋谷事変とか配信するから
「なー、まこら。俺前世で色んな作品の設定とか調べるの好きでさー。よくそういうのをネットサーフィンしてたんよ」
「⋯⋯⋯」
もう式神の信頼性は抜群で裏切りや危害を加えられる可能性が一切ないことを知るばかりに魔虚羅に対してユルユルな禪院玄である。
結論から言えば、魔虚羅は取り込めなかった。
今までは「フュー! ジョン! はっ!」といった感じに取り込めてたのだが(大嘘)、やはり術式の核である魔虚羅はそれ自体が要石のようなもので変質してしまえば術式というプログラムに支障をきたすようだった。
「さあ、一つになろう」とバラが舞う主人から全力で逃げる魔虚羅はかなり
「それでさ。たまたま領域展開を調べてたわけ。最近の検索エンジンってさー。AIがある程度まとめてくれんじゃん」
「⋯⋯⋯」
さらに魔虚羅、ゲットだぜ! したことを実家に伝えていない。そもそも数年帰っていない。まだまだ帰る予定もない。何故ならば絶対次期当主レースに担ぎ上げられる可能性があるからだ。
そういうことがないように玄は家を出るときに現当主含め全員ぶちのめした上に、弱みを握って脅したまである。
それでも魔虚羅調伏という功績はド派手にドデカいのでレースを最後の最後で他の馬の骨どもから一馬身以上差しぶち抜いて優勝する可能性があるのだ。本人が望んでいないにも関わらずである。嫌である。
「そしたらさー。そのまとめの領域展開の振り仮名がさ。りょうイキてんかいになってたんだよね。イキって、よりによってそこだけをカタカナにするんかいって」
「⋯⋯⋯」
そもそも実家には良い思い出が無いのだ。
最初のうちは京都! 屋敷デケェ! これが本場の皮肉と嫌味の応酬⋯! とか楽しんでたけど毎日いるもんではない。それに今の京都はガチで洒落にならない歴史を刻んでいる最中。絶対に帰りたくない。
「いや、待って、勘違いはよしな。俺はオリジナル系が好きなの。だからそっち方面をあんま調べたりしなーい。これマジね。でも俺だって男。そりゃーそのカタカナに何があったかを察するに余りあるってもんよ」
「⋯⋯⋯」
魔虚羅とはもうマブダチで日常で何度も呼び出す仲である。
旅のお供から戦闘の相棒まで、最近では上手いもんを食べるとにっこり笑ってサムズアップしてくれるのだ。中々に可愛いげがある。
ただ難儀なのはデカいことだ。いっそのこと武者鎧を着せて和製アルフォンス・エルリックとして各地を回るのはどうだろう。
いや、どう見ても本多忠勝!
「でも流石にツッコむよね。ナニを学習してしてんだよ!」
「⋯⋯⋯」
「てね☆」
「⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
「⋯⋯⋯」
「ごめんて」
おい、笑え☆
呪霊退治の任務を終えて、その帰り道のこと。
夜中に戦い、お月様と共に任務を終え、実に清々しい朝を迎えた。そして、オール明けの深夜テンションである。
今回の事件は呪具となった刀が呪霊を呼び寄せたのが原因で、手元にはその回収した呪具たる刀を持っていた。あとは山を下りて、街で待っている躯倶留隊に本家の忌庫に預けてもらうことで任務完了である。
手元の刀を見る。いまだ刀が未来の流れを左右する時代。
幕末を題材とした作品は数あれど、その題材は新選組か尊皇攘夷派に分かれるだろう。燃えよ剣!
ギャグ漫画でないなら、なるべく史実に近い形で例えばこんな主人公をぶち込んで、あんなルートになったらどうなるだろう、とシュミレーションするモノが殆どである。
そういうのは楽しい。けど、玄が言うならばこういう。ロマンに欠けるぜ、と。
「やっぱり、るろ剣だよなぁ」
玄はめっちゃ技名とか叫びたいタイプの人間だった。
彼は今暇を持て余している。魔虚羅を調伏するという偉業を成し遂げたのだ。そのおかげで自信もついたし、でもその先に何をするかはまだ決めていない。そう、テンションだけが先行している。
そして、幕末と言えば剣戟アクション。
剣戟アクションといえば、るろうに剣心。
飛天御剣流とか、呪力で強化した身体能力(キメラ)なら出来るんじゃないか、むしろ自分が開祖に……⋯。なんて血迷って黒歴史製造機となっていた。
刀を振って、ちょっとカッコつけてみたり。
「よし! 行ける! 天翔龍n「ちょっといいかな」ギャァァァああ!!」
※必殺技の練習は外でやらない様にしましょう。
必死に何でもないフリをして、真っ赤な顔を仰ぎながらどちら様ですかと顔を向けるとまず目に入ったのはおでこに縫い目。血の気が引いて青くなる。ついに玄は人類初の信号機となったのだ。
なんて簡単に相手に表情を読まれるほどマトモな、というかクソイカれメンタルなので0.2秒の早業で立て直す。
腐っても禪院の常時展開のクソ悪空気でどんなに心の中で悪態をついても内心を悟られない、表情を読まれない腹芸はあの家を生きる為には必須技術。
この瞬間だけはサンキュー、禪院! ふぅ、危なかったぜ!
「済まないね。お邪魔だったかな?」
「いいえ、はっはっはっ。これはお恥ずかしいところをお見せしました。丁度暇していたところですよ」
なんて言いつつも半身で構えて臨戦態勢に。いつでも動けるようにしておく。
「そう身構えないでくれ。争うつもりはないんだ。少し、話をしたくてね」
「ハハッ、貴方を前にして警戒しない術師などおりませんよ。そのお噂はかねがね。加茂家のご当主、加茂憲倫殿」
史上最悪の呪術師して御三家の汚点。
その正体は千年生きる呪術界きっての黒幕、羂索。
試されるはポーカーフェイスと言葉選びと知らんぷり。
禪院玄の明日はどっちだぁ!
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思ったよりも反響があって嬉しいなと、続きを書いたらギャグに走ってました。どうしてこうなったか自分でもわかりません。
最強がいない時代ですが最悪がいます。やったね玄くん。
じゃあ、関わりたいかと言われれば、リスクとリターンが見合いませんねぇ。
感想や評価等ありがとうございます。