隣の苦労人JKと電柱から生まれた赤ん坊を育てることになりました 作:みたらし団子!!
彩葉が可愛いとさえ分ければいいんです
あの熱狂の配信と、三人での豪華な打ち上げから数日後。
「で? 一体どういう風の吹き回しなのかなぁ〜?」
おしゃれなカフェの奥の席。
冷たいドリンクのストローを咥えながら、ニヤニヤとした目で俺と彩葉を見つめてくる芦花だった。
その隣では、真実がフフッと含み笑いを漏らしながら、自分のスマホの画面を俺たちのローテーブルに向けて見せつけてくる。
そこに映っていたのは、あのお昼に配信された『あさP&いろP声出し解禁配信』の切り抜き動画だった。
再生数がすでに数十万回を突破しているその動画のタイトルには、デカデカと文字が躍っている。
【朗報】あさP、いろPに泣き落されていた【神回】
「いや〜! 配信マジで最高だったよ〜! お腹痛くなるくらい笑った!」
「笑い事じゃない……」
真実の大爆笑に、俺は頭を抱えてテーブルに突っ伏した。
「私と真実でね、『旭くんは気が利く子だから、私達や周りに迷惑がかからないように一人で身を引こうとしてるんだと思う』って、このあいだ海で話してたの覚えてる?」
「あ、うん。覚えてる」
酒寄が少し気まずそうに目を逸らすと、真実は身を乗り出し、ニヤニヤとした笑みを深めた。
「旭くんが遠慮して離れようとしてたのは、私たちの予想通りだったんだけどさ……彩葉の連れ戻し方が、肉食どころの騒ぎじゃないんだけど!? 部屋の前で大泣きして部屋に引きずり込むって 愛が重すぎてホラーの域なんだけど!?」
「……べ、別にホラーじゃないわよ!」
顔を真っ赤にした酒寄が、プイッと横を向いてストローを強く吸う。
「でもでも! 芦花も真実も、あさPのこと応援してくれるでしょ!?」
かぐやが嬉しそうに身を乗り出すと、芦花と真実はお互いに顔を見合わせて、柔らかく微笑んだ。
「もちろん! 旭くんが勇気を出して『二人を守る』って前に出てくれたのも、彩葉達がそこまでして旭くんを引き止めたのも、すごく素敵だと思うよ」
「うんうん! 正直、あさPがいてくれた方が配信も絶対に面白くなるしね! ……で、あさP?」
真実が急にイタズラっぽい視線を俺に向け、楽しそうに覗き込んでくる。
「『逃亡不可』オムライスを食べた感想は? もうクーリングオフは効かないらしいけど?」
「……胃にずっしり来ました……」
俺が苦笑交じりに答えると、カフェのテーブルがどっと弾けたような笑い声に包まれた。
「でも、本当によかったね。旭くん」
芦花が少し真面目な顔になり、温かい眼差しで俺を見つめた。
「一人で気を使って背負い込もうとしてた時は心配だったけど……こんなに愛されてるんだから、もう変な遠慮は禁止だよ?」
「……はい。身にしみてわかりました」
「ふふ、彩葉も、これからは堂々とあさPの隣にいられるね」
真実にそう振られた酒寄は、まだ少し赤い顔のまま、フンと鼻を鳴らした。
「……当たり前でしょ。あいつがまた逃げようとしたら、今度は鍵をすり替えてでも閉じ込めておくわ」
「重い重い! 表現が物騒なんだよ!」
すかさず俺がツッコミを入れると、かぐやが「あはは! 旭と彩葉、やっぱりお似合い〜!」と手を叩いて笑う。
「ちょっとかぐや! 変なこと言わないの!」
「だって本当だもん〜!」
賑やかに笑い合う声が、カフェの空気に心地よく溶けていく。
一人で納得して身を引こうとしていたあの頃の自分に見せてやりたいと思う。
格好つけて距離を置くよりも、こうして泥臭くぶつかり合って、笑い合える今の方が、何百倍も愛おしくて宝物なんだと。
芦花と真実に見守られながら、俺たちの新しい一歩は、これからもっと賑やかで最高の物語になっていくのだと確信した。
(◕‿‿◕)
芦花...ごめん