隣の苦労人JKと電柱から生まれた赤ん坊を育てることになりました   作:みたらし団子!!

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芦花を出すといったな....あれはほんとだ
だがすまん、彩葉とどうやってイチャイチャさせたらいいかわかんない....

今回も誤字はありません()


捕獲された裏方さんと『かぐやといろP』始動!

 

------旭が逃げた後

 

「それじゃ、配信に関しては今日の夜、旭が帰ってきたところを捕まえてからまた考えましょ。私もこれからバイトあるから」

 

「しっかり留守番しててよね」

 

彩葉もそう言い残して準備を始め、残されたかぐやは不満げにブーブーと文句を言っていた。

 

そして、その日の夜。バイトを終えてヘトヘトになりながらアパートの廊下を歩き、自室のドアに鍵を差し込もうとしたその瞬間――。

 

ガチャリ、と隣の部屋のドアが勢いよく開き、待ち構えていたかぐやと彩葉にガッチリと捕まった。

 

「おかえり旭ー! さぁさぁ、配信会議のはじまりだよー!」

 

「うわっ!!」

 

「捕まえたわ。逃がすわけないでしょ? さあ入って」

 

左右から腕を引っ張られ、半ば強制的にふたりの部屋へと連行される。

 

「はいはい、分かりました……」

(……ですよね〜、そう簡単にはいかないか……まずは手伝って、怪しまれないように少しずつ自然に距離を置いていこう……)

 

心の中でそう自分に言い聞かせ、俺は苦笑いを浮かべながらテーブルについた。

 

「よし! 配信活動をするなら、まずはチャンネル名を決めないとな」

 

意識を切り替えノートを開きながら切り出す俺に、向かいでジュースのストローを咥えていたかぐやが首をかしげた。

 

「ちゃんねるめー?」

 

「そう。名前が決まってないとリスナーにも覚えてもらえないし、検索もしづらいだろ?」

 

ペンを指先でくるりと回しながら、俺は思いつきの案を口にする。

 

「チャンネル名はそうだな……『かぐやといろP』なんてどうだ?」

 

「……なんで私が『いろP』なのよ」

 

間髪入れずに、呆れ顔の彩葉からツッコミが飛んできた。

 

「だって、彩葉はかぐやのプロデューサー的な立ち位置になるんだろ? じゃあ『いろP』で決まりじゃん」

 

「なによそれ、安直すぎるでしょ。……っていうか、なんであんたの名前が入ってないのよ。『あさP』でいいんじゃないの?」

 

「いや、二人も『P』がつくと語感がごちゃごちゃするだろ。俺の分は『裏方さん』で十分だよ」

 

「……あんた、自分のことになると途端に適当になるわね」

 

彩葉は深々とため息をつきながら、額を押さえて眉をひそめた。

 

「裏方さんって……それじゃ動画に出る気ないじゃない」

 

「そりゃそうさ、裏方だもん」

 

「裏方さん! いろP! かぐや、どっちも面白くて好きー!」

 

一人だけ話の輪の中でキャッキャとはしゃぐかぐやを横目に、彩葉は「はぁ……」と本日何度目かわからない溜め息を吐き出すのだった。

 

◇

 

チャンネル名も決まり、機材といっても大げさなマイクやヘッドフォンを揃えるわけでもなく、ノートPC一台のカメラと内蔵マイクだけでシンプルに配信活動がスタートした。

複雑な音響設定も確認も要らない。案出しが終わって配信が始まってしまえば、あとはすべてかぐやの独壇場だ。

 

俺は異性ということもあって配信中ずっと二人の部屋に居座るわけにもいかず、自分の部屋に戻って課題をやったり、気が向いた時にアイデアを出す程度に収めていた。

 

配信スタイルは、ツクヨミのアバター姿での配信と、リアルの顔出し配信のふたつ。かぐやの気分次第でその日のスタイルが決まる。

 

そして、そのゆるさとカオスさが、じわじわと視聴者を惹きつけていった。

 

ある日の節分企画。リアル顔出しでの恵方巻大食い配信では、調子に乗ったかぐやが「一気に食べるのがルールだからねー!」と巨大な恵方巻を口一杯に無理やり突っ込んだ。案の定、喉を詰まらせて本気で吐きそうになり、画面の前で悶絶。見かねた彩葉が慌てて配信を強制終了するという事故が発生した。

 

コメント欄は『配信終了www』『喉詰まらせてるwww』『大丈夫か!?ww』と大荒れだったが、反応は上々だった。

 

またある日は、俺が自室で思いついた企画を持ち込んだ。

 

「次はペットボトルロケットをやってみようぜ」

 

「ペットボトルロケット!? なにそれ!! ちょー!! 面白そう!!」

 

目を輝かせるかぐやだったが、ふと首を傾げる。

 

「でもそれって、色んな人がやってるからあんまり珍しくないんじゃない?」

 

「ふっふっふ、それはわかっているさ」

 

自信満々にニヤリと笑ってみせると、かぐやが引き気味に顔をひそめた。

 

「うわ、なんかすごいキメ顔……」

 

「むかつくわね……」

 

勉強の手を止めた彩葉からも容赦ない一撃が飛んでくる。

 

「そんなに!?……まあいいか、これを見たまえ」

 

俺が自室から運んできた試作品をドカンとテーブルに置くと、かぐやが身を乗り出した。

 

「おぉ〜!! なにこれ、ロケットランチャー?」

 

「そう!! これを発射すると、内部の紙やすりと導火線が擦れて花火に火が付き、夜空に綺麗なロケットが飛ぶ仕組みだ!!」

 

「おぉ〜!! すげー!!」

 

「これ、ちゃんとうまくいくの?」

 

腕を組んでジト目を向ける彩葉に、俺は胸を叩いた。

 

「心配無用!! しっかり考えて作ってるからな」

 

数日後、河川敷での屋外リアル配信。彩葉も同行し、カメラの画角外で見守る中、ランチャーを構えたかぐやがテンション高くカウントダウンを行う。

 

「3、2、1……発射ー!!」

 

――シュボッ。……シーン。

 

勢いよく打ち出されたペットボトルは、虚しく数メートル先に落ち、花火の火も付かないままゴロゴロと転がった。

 

「あれ、あs……裏方さ〜ん? これ花火付かないよ?」

 

素で名前を呼びかけて慌てて言い直すかぐや。俺は画面外から手招きをしてかぐやを読んだ、配信に乗らないような小さく低い声で「あれ? おかしいな」と呟きながら画面端へ歩み寄った。

 

かぐやと一緒に導火線と紙やすりの位置を調整し直し、再度装填。

 

『裏方さんしっかりして〜w』

『頑張れ〜!!』

『画面端のコソコソ感ww』

 

コメント欄が温かい応援で埋まる中、二度目の発射。

バシュッ!!という快音と共に、今度は綺麗に火を吹いたロケットが夜空へ一直線に飛んでいき、見事な放物線を描いた。

 

「飛んだー!! すごーい!!」

 

大喜びではしゃぐかぐやの横で、呆れ顔の彩葉も「……まったく、ヒヤヒヤさせないでよ」と言いながら、どこか楽しそうに口元を緩めていた。

 

◇

 

さらに、彩葉の高校の友人でありインフルエンサーである芦花や真実とのリアルコラボ配信も実現した。

 

美容系インフルエンサーであるROKA(芦花)とのメイク配信では、かぐやが超・無防備な姿で登場する。

 

「今日はROKAとメイク配信をしちゃいまーす!!」

 

「かぐやちゃんよろしくね〜」

 

「とりま、メイクしたことないからすっぴんだよ!!」

 

画面にドアップで映ったかぐやの素顔に、コメント欄は一瞬で埋め尽くされた。

 

『え? すっぴん?』

『は? レベル高すぎじゃね』

『肌綺麗すぎるだろww』

『素でこれとか勝ち組かよ』

 

配信後、カメラの入っていないところで「彩葉もやってあげる!」と芦花がノリノリで彩葉に本格的なメイクを施す場面もあった。

 

普段はナチュラルな彩葉が華やかに変身し、メイクしてもらったかぐやが嬉しそうに「いろP? どう?」と彩葉に聞いてみると、彩葉は少し照れくさそうに「……よく似合ってるわよ、かぐや」と優しく微笑むのだった。

 

一方、グルメ系インフルエンサーの真実とのコラボでは、超大盛りラーメン店でのガチ食い配信。

豪快に麺をすする真実の隣で、かぐやも負けじと丼に喰らいつく。

 

「んむ!! おいしー!! これ、持って帰っていろPたちに作ってあげたら絶対喜ぶんじゃね!?」

 

「あはは、かぐやちゃんたら本当に二人のお世話(?)が好きだよね〜。裏方さんとかいろPさん、いつもどんなご飯食べてるの?」

 

「裏方さんはねー、料理上手だからたまにすごい美味しいご飯作ってくれるんだよー!」

 

食いしん坊同士の賑やかな雑談に、コメント欄も大盛り上がりとなった。

 

◇

 

そんな現実での配信を重ねて少しずつファンが増えていったある日。

 

「……ねぇ彩葉〜? ツクヨミで路上ライブやろー?」

 

かぐやがアパートの部屋で、甘えるように彩葉の服の袖を引っ張った。

 

「嫌よ。仮想世界とはいえ、人前で目立つような真似は……」

 

「えー! 伴奏してよー! 彩葉のピアノ聴きたいなー!! ねぇねぇー!!」

 

顔を寄せてぐいぐいとおねだりしてくるかぐやに、彩葉は露骨に嫌そうな顔をする。だが、結局最後には折れてしまうのが彩葉だった。

 

「……はぁ。分かったわよ。ただし、顔は絶対に隠すからね」

 

そうして仮想世界ツクヨミへとダイブした二人。

かぐやが彩葉に渡したアバターの衣装は、大きなモコモコの『キツネの着ぐるみ』だった。

 

ショルダーキーボードを抱えた着ぐるみ姿の彩葉を見て、かぐやは大喜びで「かわいいー!!」と抱きつく。

 

「くっつかないで、動きづらいでしょ……」

 

不機嫌そうに着ぐるみの頭を揺らす彩葉だったが、かぐやが路上に立ち、弾けるような笑顔で歌声を響かせ始めると、その指先は完璧な旋律を奏で始めた。

 

最初は、足を止めた観客はたったの4人。

猫耳を生やした女性や通りすがりの人々が、「お、なんだ?」と足を止めて見ているだけだった。

 

だが、路上ライブの回数を重ねていくごとに、一人、また一人と足を止める観客が増えていった。

かぐやのどこまでも明るく天真爛漫な伸びやかな歌声と、聴く人を自然と笑顔にする圧倒的なパワー。そこにキツネの着ぐるみが繰り出すプロ顔負けの繊細なキーボードの音が重なり合うと、通りかかった人々が吸い寄せられるように足を止め始める。

 

実は、チャンネル開設当初のファン数はたったの14人だった。

 

それが、アパートからのカオスで愛くるしいリアル配信と、ツクヨミで見せる太陽のように眩しく全力な歌と演奏の「ギャップ」がSNSや口コミで爆発的に拡散され、大きな相乗効果を生み出していったのだ。

 

『リアル配信のかぐやちゃんも面白いけど、ツクヨミで歌ってる時は聴いてるだけで元気出る! マジで最高』

 

そんな評判が広まり、ツクヨミでの路上ライブを重ねるたびに観客は通りを埋め尽くすほど膨れ上がり、そこからリアル配信へとなだれ込む新規リスナーの勢いも止まらなくなっていく。

 

そして――気づけば、ファン数は驚異の20万人を突破していたのだった。




なんかここまでに人に見られているとは思いませんでした
びっくりですね~
これからも自由気ままにノリと勢いでだしていきますね~
お気に入り登録してくださっている皆様!!ありがとうございます~!!
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