幼馴染から告白されたので断ったのに、次の日学校に行くとなぜか付き合ったことになっていてなんかヤバそうです。 作:主義
僕こと、森田俊明は幼馴染から告白をされた。
そしてその答えはもう決まっていた。
「ごめん、付き合えない」
「…そっか…ごめん」
そして僕は静かにその場を後にした。
―――――――
僕の幼馴染こと島田《しまだ》美咲《みさき》は人気者だ。元々周りからは「可愛い」と言われたが、ここまでの人気になるとは僕も思っていなかった。
クラスメイトの中にも彼女に告白をした人もいる。
結果はもちろん『撃沈』だった。
そんな彼女が僕に対して好意を抱いているのは鈍感な自分でも分かっていた。毎週15日には『私と俊明の出会って〇ヵ月記念』と書いてある贈り物が届くのだ。それ以外にも週末は絶対に僕の家に来る。
僕の家は一軒家だけど、両親は海外出張で兄と姉はそれぞれ一人暮らしをしているため、僕だけだ。
さすがにそんなところに彼女をあげるわけにいかないので、近場のカフェとかゲームセンターに行ったりしている。毎回僕のところに来るので、さすがに彼女が特別な想いを僕に対して抱いているのは嫌でも分かる。
だから、僕は遠回しに彼女の好意を受け入れられないことを伝えてきたつもりだ。なんで遠回しなのかと言えば、それは彼女の性格にある。
クラスメイトが彼女に対して抱く評価は『優しい』『文武両道』『完璧超人』とかそういうものが多いはずだ。確かに僕も彼女と高校で初めて出会ったのであればそう思う。
だけど、僕は幼馴染として彼女との付き合いは長い。彼女の性格を彼女以上に理解しているつもりだ。彼女は感情的になってしまう性格なのだ。
僕が正直に受け入れられない事を伝えたら彼女は何をするか分からない。だからこそ遠回しに伝えていた。
でも、今日彼女は僕に告白をしてきた。受け入れるつもりはないので、僕は少し怖いけど『拒否』を明確的に伝えた。そしてそれを聞いた時の彼女は少し笑みを浮かべていたのだ。
それが実に怖いと感じたので、僕はすぐにその場を後にした。
―――――――
一日が経ち、僕が教室に入ると何故か騒がしかった。
いつもはもっと静かなのに。
疑問に思いながらも自分の机に荷物を置き、椅子に座った。すると急にクラス中の視線が集まって来た。
そしてクラスの男子の一人が僕の机まで来て、話しかけてきた。
「お前って島田と付き合ったのか?」
「なん……いや、付き合ってない」
一瞬、なんでと出そうになってしまったけど、そこは引っ込めた。こいつがなんでそんな質問をしたのかは分からないが、昨日の今日でこの質問はたぶん、僕が告白されているところを見たのか、目撃した誰かから聞いたのだろう。
「ほんとか、クラスではお前と島田が付き合ったっていう話で持ち切りだぞ」
だからクラスがいつもより騒がしいのか。なんで僕に視線が集まっているのかもある程度は把握することができた。
「本当だ。僕は誰とも付き合っていないよ」
「そうだよな…お前と島田なんて釣り合わせないしな」
「そうだ、どう考えたら島田と付き合ったっていう話が広まるのか」
僕の言葉はクラスにいる全員の耳に入った。そしてやっと全員は冷静を取り戻したようで「よく考えればそうだよね」とか「島田さんに限って、森田くんと付き合うなんて」という声が聞こえて来る。
これはいい方向だ。本当に僕は彼女と付き合っていないのだ。変なデマを広められても僕にとって良いことはない。
彼女の人気を考えるとその彼氏の注目は尋常じゃない。というか彼女に対して好意を抱いている人たちから恨みのこもった目で見られるのだけは勘弁したい。
誰が付き合っているなんてデマを広めたのかは知らないが、マジで止めてくれ。
そんなことを思っていると島田が教室内へと入って来た。島田は自分の机に向かうわけではなく、なぜか僕の机の前までやってきた。
彼女のことをクラスメイトは静かに見守っていた。
「ねぇ、俊明」
「…なんだ?」
「お昼一緒に食べよう?」
「なぜ、僕が…」
「なぜって決まってるじゃん」
その後、彼女から出て来る言葉に僕は目を見開かずにいられなかった。
「私たち、付き合っているんだしさ」