貞操逆転世界で教師を辞めようとしたら、生徒たちがデモを起こして、辞められなくなった。今までは普通に接してくれた生徒も急に牙をむくのはなんで? 作:主義
高校の教師として俺は働いている。
別にそれ自体は普通のことと捉えられるかもしれないでも、この世界で高校の教師として男の俺があることはとてもおかしいことなのだ。
それはこの世界の男女比率によるものだ。明らかに女に偏っていて、男は少ない。そんな世界では男は重宝されるし、別に仕事をしなくても生きていけるようにできてる。
結論から言えば働かなくてもいい。
ニートのような生活を送ったとしても男であれば許されるのだ。
そんなことがあっていいのかと思う人もいるかもしれないが、この世界でそれは良いのだ。何より女がそれに反対しないのだ。この世界では男は守られていて当たり前で女は男のために頑張って当たり前だというのが常識なのだ。
そしてそんな世界で俺は高校の教師になった。
教師になったのは前世が教師だったということもあって、一番やりやすく理解している仕事だったからだ。それ以上の理由は存在しない。
俺が勤めている高校はクラスに40人のうち、1人か2人が男という編成だ。圧倒的に少ないが、いないというわけではない。
これまでの説明で察した人もいるかもしれないが、教師として働いている男は俺しかない。同僚も全員が女だけ。そんな環境にも必然と慣れて来るもので、もうそこまで気にすることもなくなった。
そんな俺はそろそろ教師を辞める。
これは少し前から決めていたことだ。この世界において男はとても重要な存在だからこそ、働かなくても生活できる。
今まで教師として頑張っていた時間を他に費やしてもいいんじゃないかと思うようになった。前世では仕事が忙しくて他のことに時間を費やすこともできなかったけど、この世界でならそれもできる。
教師としてある程度は勤めたし、この辺りが潮時かもしれない。
よし、辞めよう。
そこからは早かった。
校長に『職を辞する』ことを伝え、了承を得て、引き継ぎ業務などを行った。同僚からは『辞めないで欲しい』と言われたものの、さすがに一度決めたことを辞める気にならなかった。
俺にとって最後の出勤日。その日はいつも通り晴天だったので、歩いて高校まで出勤することにした。
問題が起きたのは放課後だ。担当しているクラスの奴らが『花束』や『色紙』など色んなものを渡してくれた。その瞬間の気持ちは言葉に言い表すのも難しいぐらい嬉しかった。
問題はその後。
職員室で改めて引き継ぎの確認と最後の挨拶をしていたら、微かに声が聞こえてきた。それもどこかで誰かが大声で何かを叫んでいるみたいな。
それがグラウンドだと気付くのに時間は掛からなかった。グラウンドにはプラカードやメガホンを持っている生徒がたくさん集まっていた。
結果として、俺が教師を辞めることに対する抗議だった。まさか教師が辞めるだけであそこまで大きなことになるとは思ってもいなかった。
そして後々、校長から「残って欲しい」という話をされ、教職員から説得され、僕は残ることになった。
まさかこんなことになるなんて思わなかったし、予想できない。
どうやら俺は思っていたよりも生徒たちから好かれていた。そのこと自体は嬉しいが、恐怖という感情も同時に沸き上がって来る。なので、出来ることなら俺はこの高校から離れたいという気持ちがある。
本能がここに留まるとヤバいと言っている気がするんだ。
数日して俺の本能は正しかったんだと知った。
―――――
「なんで俺は手錠をされているんだ?」
「そんなの決まってるじゃないですか。先生が勝手に辞めるなんて言い出しからですよ」
「いや、別におかしいことだと思わない。仕事を辞める権利はあると思うが」
「私たちを置いて辞めることは許されませんよ。もう私たちは先生がいないと生きていけない体になってしまったんですよ。そんな私たちを置いて行くなんてヒドいことをするんですね」
別に俺は何かをした覚えはない。普通に教師として勉強を教えていただけ。相談にのることもあるが、あくまで教師という枠組みの中だ。そこから逸脱するような行動をとった覚えはない。
やっぱり…あの時、強引にでも辞めておけばよかったんだ。