貞操逆転世界で教師を辞めようとしたら、生徒たちがデモを起こして、辞められなくなった。今までは普通に接してくれた生徒も急に牙をむくのはなんで? 作:主義
私は先生のことをお慕いしています。この世界で一番尊敬できる方で心の底から愛している方。
クラスメイトの中には先生の素晴らしさを理解していない方もいるみたいですけど、本当に人を見る目がないですね。あの方以上に素晴らしい方がこの世界にいるわけないですのに。
まぁ…私も最初は先生のことを別に恋愛対象として見ていなかった。
この世界においての男性の価値は私もよく知っている。幼い頃から、『松平家』の一人娘として育てられてきた私は男についての知識を色々と叩き込まれた。
私が将来結婚する方との子供は『松平家』の跡取りになることが確定している。だからこそ結婚相手は慎重に選びながらも、成人する日に婚約相手を選ばなくてはならない。
先生の第一印象は…あんまりやる気がない方だった。
すごくハキハキしている感じでもなければ、爽やかな感じでもない。私の周りの男性とは全然違ったものの、世間にはこういう男性が多いことも知っていた。
たぶん、先生は結婚しないんだろう。
この世界の男性の価値は高いし、別にそれが年齢がいくつになっても変わらない。だが、なるべく若い男性の方が繁殖力の関係上、良いとはされている。
そして若いうちに男性は色々と縁談を申し込まれたりするものだ。そして普通の男性であればその中からお金持ちや著名人と結婚したりするもの。先生は結婚指輪もしていないし、先生の年齢からこの年齢まで独身を貫いているなら結婚意欲がないのだと。
逆に私のクラスには石浦良人という男子生徒がいる。爽やかで、クラスメートの女性たちはほとんど彼に夢中だ。あれで人気が出ないわけがないという感じだ。
私は別に石浦くんに興味はそこまでなかった。なんかあの人は少し特殊な感じがしましたから。
私の先生を見る目が変わったのは…ある日を境にだった。どうやら女というのは相手を恨むものらしく、私が石浦くんと話しているのは気に食わなかったみたいですね。
私はただ普通に話していただけですが。
放課後の教室で私は彼女たちから暴力を振るわれた。
私に権力があっても、私には武力で対抗する手段はないのだ。このまま全てが終わるのを待つしかないのかと思った。多少の恐怖を覚えつつも、それを悟らせないようにいつもの顔で彼女たちを見据える。
そんな時に先生が来た。
「お前たち、何をしているんだ。そろそろ鍵を閉めるからどこか行け」
先生の顔は別にいつもと変わらず、やる気が無さそうな感じだ。
「それと…松平以外の生徒はちょっと来てくれ」
その日以降、彼女たちが私に接触してくることはなかった。
私はすぐに分かった。
先生が何かしらの手を打ってくれたのだろう。
今までボディガードに護られることはあった。でも、男の人に自分の身を護られたのは初めての経験だった。ボディガードは全員女性ですし。
教師という立場であれば、生徒を護ることは当たり前だというかもしれない。でも、女が男に護られるなんてこと、この世界ではあり得ない。
むしろ、うちの家系では女が男に護られるなんて恥とまで言われた。でも、私はそれに気付いた時に、恥ずかしいというより、嬉しいという気持ちが沸き上がって来たのを今でも覚えている。
先生が自分のことを護ってくれたんだと。
それから自然と先生のことを目で追ってしまうようになった。先生に彼女たちに何を言ったのかと聞いても「俺は別に何もしていない」の一点張り。だけど、そんなことがあり得ないのは私が一番分かっている。
先生と接するようになって分かったのはこの人は生徒想いであることだ。私は上辺しか見ていなかったけど、先生に助けられている生徒はこのクラスに多いことも知った。放課後に生徒と面談をしたり、悩み解決をしたり、勉強を教えたり、生徒同士の他愛ない喧嘩でも仲裁をして仲を取り持ったりと。
普通の先生よりも生徒に寄り添っている。普段の姿からそれを感じさせることはないけど。
そういう姿を見ていれば自然と好意を抱いてしまう。
その気持ちが爆発したのは、先生が学校を辞めると言い出した時。今まで先生が居なくなるなんて一度も想定したことがなかった。
初めていなくなると知って、私はどうしようもない位に先生のことが好きなんだと分かった。
だからどうにかそれを阻止するために色々と頑張った。今まで先生に救われていた子たちをたきつけて、デモに必要なものを全て用意し、いざという時の最終手段を含めて全てやった。
そしてその計画は結果的に成功を収めた。先生をこの高校に引き留めることができた。
私が高校を卒業するまで先生にはずっと担任として側にいてもらわないと困る。
「私は先生のことが大好きなので、絶対に離れませんよ。どんな権力を使ったとしても絶対に」