人生周回中ネフェルピトーの軌道修正が間に合わないーー世界がボクを殺しに来る件ーー   作:周回中NFLPT

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この作品は短編【二周目ネフェルピトーの軌道修正は間に合わない】のブラッシュアップ+連載形式とした作品です。三周目ネフェルピトー短編、その先もこちらにて投稿します(短編は投稿後、一時的に検索除外します)


二周目ネフェルピトーの軌道修正は間に合わない〜王と護衛軍がボクの忠告を鼻で笑う件〜
始まりはいつでも手遅れ寸前


 

一体どこで間違えてしまったのだろう。

 

キメラアント、それも、頂点である王に次いで強い護衛軍として生まれたボク…ネフェルピトーは、超速走馬灯のなか、漠然とそう思っていた。

 

既にバチボコにぶん殴られ、現在は宙に蹴り上げられて、頭から無抵抗に落下している最中。

 

眼下にはかつてチビガキだったハンター。

 

彼は、ボクに対抗する為、オーラの力により肉体をハチャメチャに急成長させ、鋼の様な身体と、バチクソ長い天を衝く様な黒髪を手に入れていた。

 

そして彼の丸太の如き腕に、おおよそ人間が発していいレベルではないクソ莫大なオーラが、ミッチミチに圧縮され、ボクを待ち構えていた。

 

(短い…人生だったにゃあ…でも、王を守れて、良かっ…た…)

 

「ジャン…ケン…グー!!」

 

鳴っちゃいけない音をさせながら、金色に発光するグーパンが、ボクのそれなりにいいツラとチャームポイントの猫耳…どころか、顔面そのものを消し飛ばした。

 

ボクは、こうして壮絶に死んだ。

そして我らが王と、同じく護衛軍である、プフとユピーは…

 

ボクをビームで吹き飛ばしたじいさんが、体内に仕込んでいた、爆炎で薔薇の花を咲かせるとかいう意味不明の兵器に呑まれ、絶命した。

 

これにより、進化したボク達キメラアントの未来は完全に閉ざされたのである。

 

(ああ…終わったニャ…もしも、生まれ変われたら…今度は上手くやりたいにゃあ…)

 

ボクの意識は、そこで消え失せた。

 

 

 

 

 

ーー「見ぃつけた」

 

ボクは、自分の【円】…念のレーダーに引っ掛かったターゲットへと狙いを定めた。

 

居城、蟻の巣からターゲットまでの距離は約二キロメートル。

ボクならひとっ飛びで到達出来る。

 

脚に力を込め、一気に解き放ち、獲物目掛け跳躍した。

そのまま獲物を強襲してーー

 

 

【もしも、生まれ変われたら…今度は上手くやりたいにゃあ…】

 

 

「ッッッッ!!?」

 

その時、ボクの脳内に溢れ出した、有り得ない記憶。

 

ボクが生まれてから、死ぬまでの…キメラアントが滅びるまでの記憶。

 

(ちょっ、待つニャ!! ど、どういう事…)

 

ついさっきまで、獲物を狩る気マンマンだったが…

 

この状況といい行動といい…もしかして今のボクは、選択を誤り始めた頃なんじゃないか!?

 

ボクは慌てて身体を強引に捻り、軌道を変更した。

 

「…化け物、か」

 

一方、プロハンター、カイトはダラダラと冷や汗を流していた。

同行していたゴンが声をかけようとしたその瞬間、彼は叫んだ。

 

「逃げろ! 今すぐ俺から離れて走れッ!」

 

直後にボク、ネフェルピトーが顔面からズガガガガと地面に突き刺さる様に不時着した。

 

だが即座に、何事もなく立ち上がれる自分はやはりスゴイ。

 

(今コイツ顔面から行ったな)

 

等と、ハンター側に思われているとも知らず、ボクは即座に頭をフル回転させた。

 

(ふぅぅ…やっぱり、間違いないニャ! 今は、まだボクが産まれたばかりの時間!!)

 

前のボクならここで、彼の…プロハンターカイトの腕の1本でも、戯れにぶっ千切っていただろう。

 

だが、今のボクは違う。

慎重さを手に入れているのだ。

 

だって脳裏に焼き付く、クソ長い筆みたいな頭の、黒い怪物の恐怖がある。

 

ボクはアラサーピエロ(カイト)の背後にいるチビガキ…ゴンを盗み見る。

 

(…よかった。今の彼にはまだ、クソ長髪筆頭になる兆候は一切なさそうだニャ)

 

だが、ヤツはヤバい。

 

将来的にボクはおろか、王さえボコボコにしかねないポテンシャルを秘めているのだ。

そして、彼がそうなってしまったのも…ボクが、ここでカイトを殺(首チョンパ)してしまったからだ。

 

(ヤバいヤツらを覚醒させない、そして人間を過剰に刺激しない…今回のボクのテーマはそれで行くニャ!)

 

背中に清涼感あるサラッサラの冷や汗を流しながらも、ボクは表面上、チビガキみたいな無邪気な笑みを張り付かせた。

 

「キミたち、ここから先はボク達キメラアントの領土ニャ。これ以上進むならバラバラにしちゃうよ? でも今すぐ帰るなら、見逃してやってもいいニャ? どうする?」

 

指をパキポキ鳴らし、あえての提示。

これを聞き入れて逃げてくれれば、ひとまずの脅威は去るニャ。

 

カイトは葛藤の表情を浮かべ、背後の少年たちをチラリと見ていた。

 

その二人は、この時点ではまだまだ未熟らしい。

 

ボクの過剰に放った、激ヤバオーラに完全に呑まれている。

 

しかも爪にメッチャオーラを流し込んで剣みたいにしたりして、威嚇しまくってる!

ここまでやってるんだから、プロらしく一刻も早く引き下がってほしい。

 

(…クソ長髪筆頭の原石(ゴン)が覚醒したりしない、よね? 任意に変身出来ないよね? 大丈夫だよね?)

 

絶対大丈夫! あれは極限状態で発動したミラクルだから!

などと言い切れないのがまた、恐ろしい。

 

触らぬ神に祟りなし、という言葉もあるくらいだ。

この場合の神はボクでもあり、ゴンでもある。

 

「カイト…ここは…」

 

白髪チビガキ、キルアが、震える声で絞り出した。

 

(おぉ、彼はボクをちゃんと格上と認識し、撤退を進言しようとしている…見どころある少年だニャ!)

 

「うっ、く……っ」

 

ピクリ、とボクの猫耳がビコビコ異常反応した。

ゴンの喉から、不穏すぎる微かな声が漏れたのだ。

 

(え…?)

 

「う、うおおおおおおお!!」

 

刹那、ゴンの身体からオーラが爆発的に立ち昇る。

背後にヤバい怒髪天シルエットが垣間見えた。

 

(な、何でコイツは戦う気満々なのニャ!? ボクはまだ何もしてないし、煽ってもいないニャァァ!!)

 

いっそ…

いっそここで将来の憂いを断つべきか!?

 

いやでも、プロハンターを犠牲にすれば、人間側の本気を引き出してしまう。

 

有象無象の一般人数百人とプロハンターひとりの価値はほぼ一緒であろう、とするボクの完璧な思考がそう導き出したのだ。

 

ボクがピクリと身動ぎしたその時、素早く動いたのはキルアだった。

 

ゴンの首筋へ、容赦ない手刀がゴンとブチ込まれる。

白目を剥き、ゴンはゴンと地面に倒れた。

 

(おおっ!! よくやったニャ白髪チビガキ! ファインプレーだニャ!!)

 

「よし! キルア、ゴンを連れて走れ! 早くッ!」

 

カイトの叫びと共に、バチクソ脱兎の如く逃亡するキルア。

 

だがカイトは続かず、再びボクへと向き直った。

 

「お前の相手はオレだ」

 

「えと…その、キミは逃げないの?」

 

「どうもお前はゴンに興味があるらしい…アイツらを追わせる訳にはいかんな」

 

(え゛!? ボクそんなにゴンをガン見してたニャ!?)

 

するとボクの前で、カイトの指が引き絞られる。

 

「気狂いピエ(クレイジースロッ)ーー」

 

(――っと、それはさせないニャ!)

 

念能力を使わせてはダメだ!

ハンターが武器を手にすれば、逃げる事を考えなくなる。

 

直後、ボクの踏み込みで大気が爆ぜた。

 

勢いで本気ステップをぶちかまし、音を置き去りにする程の速度でカイトの懐へと潜り込む。

 

そして…ボクは、カイトの肩をポンと軽く叩いた。

 

「ッ!?」

 

それだけで、具現化しかけのオーラが霧散した。

 

「言ったでしょ? ボクがその気なら、キミたちはとっくにミンチだニャ。だから…」

 

そのままカイトの身体を、ゴンたちの逃げた方向へと軽く押し出す。

 

「ボクの気が変わらないうちに、早く帰るニャ」

 

オーバーキル過ぎるハチャメチャ格の違いを叩き込まれたカイト。

彼はこれ以上の交戦は無駄と悟り、踵を返して跳躍した。

 

カイトの気配が、完全に遠ざかっていく。

 

(よし、よぉぉぉし! これで一つ脅威が消えたニャ!!)

 

静まり返った森の中、ボクは小さくガッツポーズを決めていた。





ピトーのあだ名命名法則

興味の無い相手であるなら、パッと目に付いたままのあだ名を付ける。例えばキルアなら、白髪チビガキとなる。

逆に興味のある相手、例えばカイトのアラサーピエロなどは、アラサー(本人に確認するか調べないと分からない)+ピエロ(能力で出てくる)と、外観からは分かりにくい内面や能力要素を拾ったりしている。

ゴン→クソ長髪筆頭
ネテロ→爆弾じいさん
等、警戒している相手は警戒すべき要素が入っている
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