人生周回中ネフェルピトーの軌道修正が間に合わないーー世界がボクを殺しに来る件ーー 作:周回中NFLPT
ボクは、NGLの
目指すのは一週目で全てが始まった、あの忌まわしき丘の周辺。
幸い護衛軍の、ゲロキモ色ボケニチャリ熊は、ボクほど広範囲かつ高精度な『円』を持たない。
だからあいつが、彼らを強襲している可能性はゼロに近いはずだった。
ボクは必死に、未だ潜む人間のオーラを円で探した。
そして、ついに見つけた。
強い輝きを放つ三つのオーラを。
どうやら彼らは円に触れ、臨戦態勢を取っていたらしい。
ボクが木の上から地上へと舞い降りた瞬間、
「来たぞ! 二人共、下がーー」
「待つニャ! ボクは戦いに来たんじゃないのニャ!」
有無を言わさぬ、被せ気味非戦闘アピール。
よし、まずは先手を取れ…てないニャ、うん。
銀髪をなびかせる、かなりのオーラを纏った男、
その手にはすでに、クレイジースロットが変化した武器が握られていた。
「なら、何をしに来た?」
カイトは、一周目ではボクが戯れに抹殺し弄び、二周目でもハチャメチャ実力差を突き付け、三周目では会えてさえいない男。
でも、師団長の今なら分かる。
彼は強い。
今のボクでは五分五分か、或いは…
「気を付けろよカイト、罠かも」
白髪チビガキ、キルアがボクを睨みつける。
二周目ではファインプレーだったけど、今回はちょっと良くないよキミ。
「分かっている」
「罠じゃない! 話し合いに来たのニャ! ボクの名前はネフェルピトー。キメラアント師団長なんだけど、今の状況を憂慮しキミ達人間に接触しにきたのニャ!」
「…ほう?」
カイトが怪訝そうに眉をひそめる。
が、武器の銃口はまだボクに向けられたままだ。
ボクはサラサラと清涼感ある汗を流しつつ、カイトから決して視線を外さなかった。
「ねえカイト、この蟻…なんか変だよ?」
そこに、将来クソ長髪筆頭の怪物と化してしまう、緑の服を着たツンツン頭の少年、ゴンが言った。
正直、一週目でボクを撲殺した張本人、ゴンが口を開いた瞬間が一番怖かった。
だって今のボクはただの師団長なのだ。
クソ長髪筆頭モードの彼なら、きっと指先一つでボクはバラバラだろう。
しかしカイトが生きている限り、化物スイッチは入らないのは確認済みだ。
「ああ、確かに。なんか必死だよね」
「そりゃ必死にもなるニャ」
ボクは極力彼らを刺激しないよう、これまでの事を語り始めた。
――その頃、王が向かった地、東ゴルトーにて。
「攻撃だ! 早くやりなさい兵隊達!」(東ゴルトー語翻訳)
鳴り響くヤケクソ銃声と怒号。
東ゴルトー共和国の人民軍兵士たちが、防衛戦を展開しているのだ。
国境を越え侵入してきた、頭おかしいハチャメチャ強い集団を阻止するため、重機関銃や戦車砲が火を噴く。
だが、降り注ぐ弾丸のオーバーキルラインを、一匹の蟻が鼻歌混じりに歩いていた。
「ウフフ、元気がいいわねえ。お外のニンゲンさんは、もっと楽しめそうかしら?」
カデシュブムだ。
クマ耳を弾丸がかすめるが、傷一つ付かない。
それどころか、彼女が纏う激ヤバオーラ…強化系の極致たる『堅』が、近代兵器の火力を完全に無効化していた。
「なんですかあの危険な存在は! こちらに来ないで下さい!」(東ゴルトー語翻訳)
エグい恐怖に駆られた兵士が、対戦車ロケットランチャーを味方もろとも放つ。
直撃コース。
だが、カデシュブムはかわすどころか、裏拳でロケット弾を叩き飛ばした。
「ウフ…ヌゥフフフフフフフ!!」
そしてブムはゲロキモニチャニチャ笑いを漏らしながら突進。
ドッ、と彼女の背後で弾頭が炸裂。
爆風で周囲の兵士がなぎ倒される。
「アッァアンハハハハハハ!!」
跳躍。百メートルもの距離をひとっ飛びすると、装甲車の上に着地。
その丸みのある拳を、ただ無造作に振り下ろした。
グシャアッ!!
強化系の凄まじい質量攻撃に、装甲車がアルミ缶のように一撃でひしゃげ、爆発炎上。
爆炎の中から演出優先で姿を現したブムは、生き残った、特に若い兵士を見回して、妖艶に唇を舐めた。
「若い子見ーっけ…貴方達はまだ、まだまだ動けるわよねェェ…若い個体だから、若い個体だからァ!」
彼女が丸い尻尾を振った瞬間、ハチミツの如き芳香と共に、金色に輝く無数のオーラが解き放たれた。
【
球状のオーラは一瞬で金色の蜜蜂へと変化し、兵士らをバチクソに蹂躙した。
「これは蜂です! これは蜂です!」(東ゴルトー語翻訳)
「おお神よ! こちらに来ないで! 私はあなたたちを必要としていません、うわあああ!」(東ゴルトー語翻訳)
しかし、蜂に刺された兵士たちの動きが、ピタリと止まった。
次の瞬間、彼らの顔が真っ赤に上気し、瞳が狂気的な快楽に染まっていく。
「あ、あ…ッ! 何故ですか!? 私の力がみなぎっていきます!」(東ゴルトー語翻訳)
叫んだ隊長の全身から、アホみたいな密度のオーラが吹き出した。
精孔の強制開放。
更にブムの強化のオーラを流し込まれたことで、肉体が限界を超えさせられてオーバーブーストされているのだ。
「うおおおお! 私の肉体が燃えているかのように熱くなっています! 熱くなっています!」(東ゴルトー語翻訳)
隊長は、そして兵士らはトランス状態のまま武器を投げ捨て、狂乱の様相でブムに特攻を仕掛けた。
戦う、という意志までもが過剰に強化され、能力を
「ウフフフフ、素敵よ、とーってもステキ。もっともっと、アタシのために命を燃やしてェェェェン!!」
無論の事ながら『堅』でガードしているブムを、殴る蹴るした兵士らは、骨が砕け、手足をあらぬ方向に捻じ曲げ、千切れ、へしゃげていった。
それでも兵士らは、ニチャついた笑みを浮かべ、頭突きし、首の骨を折るまで戦い続けた。
或いは、過剰なオーラ消費に耐えかね、一人、また一人と、生命力を限界まで搾り尽くされ、ニチャついた笑みのまま干からび、絶命した。
彼らの消費したオーラは、ブムの肉体へと吸収され、浸透し、更なる力を彼女に与えてゆく。
相手をわざわざ強化し、限界を超えた力を引き出させた上で、最終的には根こそぎ生命力を奪う。
これがブムの【
「おい、ブム。ちったぁ加減しろ」
干からびた死体の山を前に、呆れたような声を上げたのは、彼女と同じく護衛軍のモントゥトゥユピー。
「
「うぅん、あぁ…手厳しいのねユピー」
ブムはクマ耳をシュンと伏せ、これ見よがしに悲しそうなポーズをとってみせる。
(キショいなコイツ…)
等とユピーが思っているのも露知らず、
「アタシはただ、あの子たちの好きな様にさせてあげただけなのにねえ? やっぱり…アタシの遊び相手はぁ…あのイケてる猫ちゃんじゃないとねェ、ウフフ、ヌゥウフフフフ!」
狂気に染まったバチクソキモい笑い声が、血の海と化した防衛線にいつまでも響き渡っていた。
【神聖なる蜜蜂】
自身のオーラを蜜蜂に変換し相手に打ち込む。オーラを注入された者は精孔を強制開放され、肉体、精神を暴走させられる。そして強引に放出されたオーラは全てカデシュブムの元に流れ、彼女のオーラを強化してゆく。
抽出したオーラはストックもでき、念巨大ハチミツボールとして他者に譲渡(王への受け渡し等)も出来るようだが、彼女は絶対にしなかった
東ゴルトー語
四周目世界に存在する独自の言語。翻訳をより正確にしたものを以下に示す。
「攻撃だ! 早くやりなさい兵隊達!」→「ヤツらを決して通すな! 構わん撃ちまくれ!」
「なんですかあの危険な存在は! こちらに来ないで下さい!」→「馬鹿な無傷だと!? クソッ、こっちに来るんじゃねえ!!」
「これは蜂です! これは蜂です」→「金色の…コイツは蜂だ!」
「おお神よ! こちらに来ないで! 私はあなたたちを必要としていません、うわあああ!」→「なんてこった! もう蜜蜂はコリゴリなんだよォォ!! うわあああ!!」
※なんてこった→オーマイゴッド→おお神よ
※もう蜂蜜はコリゴリ→この兵士の家は貧しい養蜂場
「あ、あ…ッ! 何故ですか!? 私の力がみなぎっていきます!」→「う、ああ…な、んだこりゃあ…力が、みなぎりやがるぞォォ!!」
「うおおおお! 私の肉体が燃えているかのように熱くなっています! 熱くなっています!」→「熱い、熱いぞォォ! このままオレぁ燃えちまうのかァアハハハハハハ!!」