人生周回中ネフェルピトーの軌道修正が間に合わないーー世界がボクを殺しに来る件ーー 作:周回中NFLPT
二章あらすじ
ゴンさんに撲殺された一周目。狂い咲きミニチュアローズに焼かれた二周目。そして三周目の人生では何故か、ネフェルピトーは「キメラアントの王(♂)」として産み落とされてしまう。
困惑する彼の前に現れたのは、バチクソ美女と化したプフならぬプ子、色々クソデカ筋肉美女のユピーならぬユピ子、そしてハチャメチャ美少女のメルエムならぬメルエットの護衛軍3匹。彼女らの目的はただ一つ「ピトー様! お世継ぎを是非ッッ!!」
三周目ピトーの、絶対に負けられない戦いが始まる。
※二章はTS、軽い性的描写、表現を含みます。苦手な方は即時バックをお願いします
生まれてきたことには必ず意味がある
「うおおおお! 我らが王の誕生だァ!!」
え、王が誕生するの!? どこどこ?
とボク、ネフェルピトーが卵から出るなり、皆がそう言うもんだから、キョロキョロと周りを見る。
(どこに王…メルエム様が居るのかニャ?)
どうして産まれたてのボクがメルエム様の名前を知ってるかって?
そりゃあボクには前世、というか、前回と前々回の記憶があるからだ。
一回目の人生。キメラアント護衛軍ネフェルピトーは、王の御言い付けを忠実に守っていたら人間の強襲に遭い、
そして二回目の人生。キメラアント護衛軍ネフェルピトーは、色々足掻いたが
そんな記憶だ。
そして現在、三周目があったらなぁと思ったら何故かまた、キメラアント女王の卵より産まれてきた。
(しっかしマズいにゃあ…産まれた途端に王がいらっしゃるんじゃ、王にしこたま尻尾ビンタ食らいながら軌道修正するしかないニャ)
等と思っていると女王が、メッチャ早口で
『あ、ああ…私の、子供、王…エジプト神話の神ネフェルトゥムからネフェルを拝借し異国の絵本カロリーヌとゆかいな8ひきに登場するヒョウのキャラクターであるピトーから引用して貴方の名前はネフェルピトー』
「ニャ!?」
女王は言い終えるなり絶命した。
ていうかボクは、卵からと思ったらダイレクトに女王の腹を突き破って産まれていた。
「え、え?」
「うおおおおお!! ネフェルピトー王様ァァ!!」
周りの下級キメラアントらが口々に叫ぶ。
「ぼ、ボクが王ニャァァァ!?」
「はいネフェルピトー様。その通りでございますわ」
「あ、プフ!? じゃない、誰キミ!?」
そこに居たのはバイオリンを携え、タキシードを纏った蝶の羽を持つ優男…ではなく!
シルエットからして違う、そりゃもうバチクソにスタイルの良いエライ美女であった。
「名乗りもせずに発言とは大変な無礼を。わたくしはシャウアプ子と申します」
(なんかまた言いにくい名前だニャ。プ子って語感悪いし…あとめっちゃバインバインだニャ…)
ここで初めて、ピトーは違和感を覚えて自分の身体を見た。
そういえば、前回まで胸部に微かに感じていた、あのチョイ重な膨らみが、影も形もない。
なんか身体もゴツゴツしてるし…プフが身長縮んだのかと思ったが、ボクの方が背が伸びてるっぽいし…
というか…
これが一番なのだが、股の辺りに何やら身に覚えのない感触が追加されている。
(…え、えぇ…? もしかしてボク、王だからオスになってるニャ?)
そう、ピトーは男性型になっていた。
ということは必然的に、
「私はモントゥトゥユピ子と申します、王様」
「
となる。
筋骨隆々の色々クソデカお姉さんと、底しれぬ圧倒的姫オーラを放つ美少女がそこに跪いていた。
「あ、わわ、わぁ…」
ボクは意味不明な悲鳴を漏らす事しか出来なかった。
ーーボクが誕生し、王の間を用意してもらった直後。
そう、直後だよ?
色々とヤバい現状を必死に紐解き飲み込もうとしているタイミングで、プ子が貧者の薔薇クラスのアトミック爆撃を繰り出して来た。
「ピトー様! お世継ぎを是非ッッッッ!!」
「お、お世継ぎ…だとニャ!?」
いきなり何を言っているのだろうこのプフモドキは。
しかもバインバインをこれでもかと強調し、目を血走らせながら鼻息荒くだよ?
少なくとも誕生した直後の自分達の王に言うべき言葉では断じてないよね?
「当然ですわピトー様!! 蟻の繁栄は王の生殖能力にかかっております!
「色ボケが過ぎるだろプ子。お前相当キモいぞ…王様がドン引いてるだろ」
そう言いプ子の顔面をアイアンクローで持ち上げ雑に放り投げたのは、色々クソデカ筋肉美女、モントゥトゥユピ子だ。
彼女は少し目を背けながらも、ピトーの前に片膝をついた。
「王様、私は王の盾としての頑丈さなら誰にも負けないつもりです。貴方様の為ならば、喜んでこの命を捨てましょう」
(ゆ、ユピー! 姿形が変わっても、キミはキミなんだね…)
「だからその…御相手の際も、壊れない自信はあります。いつでも言っていただければ喜んでこの肉体を捧げましょう。頑丈な次代をバカスカと…ああ、やってやりますよ!」
(キミもかァァァ! あーあキミもなんだね!)
なんなんだニャ、この地獄のハーレム。
ボクの知ってる護衛軍はもっとこう、命を賭して王を守る集団だったはずだニャ!
「フン…どいつもこいつも、浅ましい。それで護衛軍のつもりかしらね」
そんな時、どこか幼さの残る声が響く。
護衛軍最後の一人、圧倒的なオーラを放つ美少女キメラアント、メルエットだった。
彼女は腕を組み、そっぽを向きながらも、チラチラとこちらを盗み見ていた。
「ピトー様。妾は貴方様に、こんな衆目ある中でお世継ぎをねだるほど色ボケてはおりませんわ。妾はあくまで護衛軍、不埒な輩の指一本でも御身に触れさせはしません」
「メルエ…ット様…」
「ただ、キメラアントの遺伝子を残すという大義名分があるのでしたら、妾に命じて下さいませ。護衛軍最強の者として、勤めを果たさせて頂きますわ」
(結局そこに着地してるニャアアアア!!)
ダメだ、ヤバいよこの護衛軍。
前と違う意味で阿呆になってるニャ!
「め、めめメルエットォォ!! 何故貴女はネフェルピトー様に【様】をつけられて寵愛されているのです!!? ズルい…ズルいズルいズルいズルい、いくら護衛軍最強だからといって調子に乗らないで欲しいですわァァーッ!!」
その瞬間、プ子が爆発した。
背中の蝶の羽を限界まで激しく羽ばたかせ、バイオリンを力任せに掻き鳴らす。
あ、しまった…今はボクが王なんだから、護衛軍のメンバーに【様】をつけたら特別扱いになっちゃうんだ…
「ふふん…プ子、ピトー様が妾をどう呼ぼうが勝手でしょう。そもそもその言い分は、ピトー様のお考えに反抗するということになるのではないかしら?」
「な、ち、違います! 違うのですピトー様! わた、わたくしは、決してーー」
「おい、王様が困っていらっしゃるだろ。揉めるなら他所でやれ」
ギャーギャーと騒ぐ護衛軍を遠い目で眺めながら、ボクはどうにか頭の中を整理した。
(マズい、マズすぎるニャ…このままだと人間に襲撃される前に、巣が崩壊する可能性があるよね…)
前世、前々世とは全く違うベクトルの危機を感じながら、ボクは一人、若干ベトベトの冷や汗を流す。
人間は退けねばならない。
そして人間の兵器を退けなければならない。
ついでに、王に産まれたからには遺伝子を残さなければならない。
どうやら、護衛軍相手でも次代は築けるようだが…この三匹を相手に無事に生き残る自信は無かった。
(…と、取り敢えず、人間の襲撃に備える必要があるよね。面倒事は後回しにするにゃあ…)
「護衛軍の皆、聞いて欲しいことがあるんだけど…」