人生周回中ネフェルピトーの軌道修正が間に合わないーー世界がボクを殺しに来る件ーー 作:周回中NFLPT
ーーそこから数日後、ついに人間襲来の日がやってきた。
ボクは巣の、王の間から本気で『円』を放った。
オーラがバチバチと音を立て、円は巣どころかNGLの全土を覆い尽くすほどの、バチクソデカいサイズに膨れ上がる。
そして円が捉えたものの中から特に力の強い存在を見定めてゆく。
「全員、持ち場につくニャ!! 敵は地上と上空から来るよ!」
かつて二回もキメラアントを滅ぼした敵が迫りつつあるのを察知し、ボクは鋭く叫んだ。
前回の記憶があるボクはこの日のために、兵や護衛軍に、限界を超えたスパルタ特訓を行っていた。
まあ実際はそれを口実に、護衛軍のエッグイお世継ぎ誘惑から逃れ続けていたんだけど。
結果ボクの能力は、王補正もあるが、前回の護衛軍スペックを遥かに凌駕していたのだ。
そして、皆がパワーアップしているからこそ
『皆、人間どもの相手は護衛軍に任せて。護衛軍は人間を殺さず、ある程度ボコボコにしたら撤退させるのニャ!』
との命令を下す事が出来た。
もちろん、始末されないのですか!? だの、王様の命令なら従いますが、何故? などと不満の声は出た。
でも今のボクは王だ。
少々の無茶は押し通せる。
それに…ここで人間を容赦なく虐殺すると、ミニチュアローズとかいう兵器が火を噴く。
更に、二周目で体験したことだが、
「じゃあボクは上空から来る連中を相手にするから、護衛軍は地上を頼むニャ!」
「ネフェルピトー様お一人で!? わたくしもーー」
いけない。
いくらプ子が強くなったとはいえ、上空から来る連中は人間側の切り札ともいえる存在だ。
ここは…やるしかないニャ!
ボクはスッとプ子の前に歩み寄ると、彼女の肩に手を添え、至近距離から瞳を覗き込んだ。
そして、左目をパチンとウインクさせて、低音ヴォイスで囁く。
「ダメニャ、プ子は一番厄介な奴を頼むニャ。ええと…き、【キミの事、とっても信頼しているからね】」
そう、王になるに当たって本をメチャクチャ読んだボクは、こういった所作を学んでいた。
その効果は…
「あ、あ、あああ、ほ、ほわあああああああああああああああああ承知致しましたァァァァァ! 不肖シャウアプ子! 敵を適度に粉砕せしめまする!!」
プ子は凄まじい速度で巣を飛び出し、幾何学模様の軌跡を残しながら、地上部隊掃討に向かった。
「チッ、プ子のヤツ舞い上がりやがって」
おおっと、特別扱いはいけないって学んだボクだ。
すかさず残されたユピ子にも、優しく微笑みかけながら、ボディタッチしつつ一声掛けるよ。
「キミも当然信頼しているさユピ子。どうかケガなく無事に帰って来て欲しいニャ」
「お、王様ァァ!! ハハッ、このユピ子、人間共を適度に千切飛ばし痣一つなく
そう言うと、彼女も地響きを伴い、爆速で飛び出して行く。
(ふぅ…終わったらメルエットにも、何か言ってあげるニャ。それじゃあーー)
ボクはキッと空を睨む。
視線は、雲間より出でた金色の龍を捉えた。
あそこに…
(行くニャ!!)
空中の敵に対し、これまでのボクには跳躍しかなかった。
だが今のボクには翼がある。
一瞬で龍の、その中に紛れる二人の元へと飛翔した。
「
「ほっほっほ、そりゃあ悪手ーー」
百式観音の初撃がボクに向かって放たれる…
が、更にその前の刹那、ボクは既に身体へ操り人形を纏わせ終えていた。
「
高速飛翔というか、もはやただのワープ。
ネテロの背後に回り込んだボクは、彼の首筋にビシッと爪を突きつけた。
「チェックメイトだニャおじいさん。ボクたちは戦う気無いから、大人しくお家に帰るか、客間で大人しくしてて欲しいニャ。あと、自決もダメだニャ」
「な…!? 」
あのヤバいじいさんが、驚愕している。
よし。まずはボクの勝ちニャ。
ーーその頃、地上ではシュートや
だが一周目、二周目より格段に念の扱い方も、パワーも向上した護衛軍を前に、もはや彼らでは相手にすらならなかった。
「ハッ、痛くも痒くもないねえ! もっと来な人間共ォ!!」
ユピ子は元々頑丈な肉体に加え、完璧に制御された怒りの爆発を的確に用い、戦った。
結果あっという間に、一人の死人も出さず制圧してしまったのだ。
一方、プ子はというと…
「ハァ…ハァ…ネフェルピトー様が『殺すな』と仰ったのです! 本来なら貴方たちのような羽虫、一瞬で始末して差し上げるところですが…王の慈悲に感謝しなさいッ!!」
彼女の能力【
因みにだが、
「くそっ、化け物共め! 歯が立たねえ…」
ボロクソにされながらも、命だけは助けられ、困惑するプロハンターらは次々と引き上げてゆく。
ーーそして、地上の別働隊…
「クソッ、あいつも護衛軍か!?」
「みんな油断するな、とんでもないオーラだ!」
カイトが
だが、メルエットは顔色一つ変えない。
彼女は、性別が変わろうが能力は王のそれなのだ。
「では、行きますわ」
メルエットの姿がブレ、消失する。
「がっ…!?」
直後にはポックルが吹き飛び岩壁に衝突、白目を剥いて気絶した。
「ポックル!? …く!」
カイトが、いつの間にか隣に現れていたメルエットに鎌を振るうが、彼女はひらりとそれを避け、反撃の前蹴り。
「ぐああっ!?」
「フン、ピトー様が殺すな、と言ってなければ終わっていたわよ」
その場に崩れ落ちたカイトの横をスタスタと歩き、残る二人を睨むメルエット。
「カイトォォォーッ!!」
ゴンが激昂し【ジャジャン拳】をチャージ。
横ではキルアが【
(これなら反応は出来ーー)
「遅いわよ、少年」
キルアがメルエットの背中に迫っていたが、彼女は完全にその動きを見切っていた。
振り返りざま、キルアに強烈なデコピンを炸裂させた。
パァン、と銃声のような音が響き、キルアはコマのように回転しながら床を転がる。
「キルアァァ!! じゃああぁぁんけぇぇん、グーーー!!! 」
ゴンの最大出力の拳がメルエットに迫る。
だが、彼女は敢えて避けず、ゴンの拳をパシッと受け止めた。
「おとなしく寝ていなさい」
続け様にゴンの首筋にチョップを落とすと彼は「う、うにゃあ…」と声を漏らして崩れ落ち、そのまま気絶した。
※補足 本来、キメラアント護衛軍は生殖能力の有る無しが明言されていないが、王を守る事に特化している為、無いが基本設定としています。でも三周目はあります。つまりキメラアントがより脅威な存在と化している