貞操逆転した新エリー都に住む『あなた』とエージェントのお話 作:ぽこちー
六分街のとある場所にあるコンテナハウス。
小さなテラスに、室内がよく見える大きな2枚の窓。その窓は特殊な加工により、外から覗き見ることができなくなっている。いわゆる、マジックミラーと呼ばれるガラスであった。
路地裏を抜け、薄暗い住宅地の家と家の狭い空間をさらに抜け、さらにさらによく分かんねぇところを抜けた、人気の少ない場所にあるコンテナハウス。そこは、かの何でも屋『邪兎屋』の隠れ家であった。
コンテナハウスは1LDK程度の広い空間となっており、部屋の隅には仕事用の武器や道具のほかに、高そうな撮影器具がいくつか設置されている。武器や道具は分かるが、撮影器具に関しては何に使うのか分からない。潜入用の偽造写真の作成などに使うのだろうか。
あのドケチで守銭奴なニコを知っている者は全員、こんなにも金をかけた隠れ家を持っているとは夢にも思わないだろう。
それこそ、小汚い小さなセーフハウスを各地に何個か持っている、というイメージが強い。だが、それ故にこの場所が世間にバレていないのだろう。
コンテナハウス内の中心では、『あなた』とニコが向き合っていた。
それを囲うようにアンビーと猫又が座っており、2人の真剣な戦いを見守っている。
すると、どこからか軽快な音楽が流れ始めた。
その音楽に乗せて、『あなた』とニコがリズムをとり始める。
続いて外野のアンビーと猫又も手拍子を始めた。
テレレレテッテ♪♪
テレレレレ〜♪♪ テレレッテレ〜♪♪
テ〜テ〜♪♪テッテテッテ♪♪ テレレレレ〜♪♪
「「「アウト!! セーフ!! よよいのよいっ!!!!」」」
『あなた』が繰り出したのは、鍛え抜かれたその握り拳。
対するニコは、その手で数々の犯罪(?)を犯してきた手のひらだった。
つまり、勝者はニコである。
「よっしゃーーー!! 連勝よっ!!!!」
「やるじゃないかニコっ!!」
「さぁ、ルールはルール。『あなた』は何を脱ぐの?」
詰め寄るアンビーに、『あなた』は渋々シャツを脱ぎ始めようとする。
「あーあーあーあー?!!? ちょっと待ちなさいっ!! そんないきなりっ!? もっ、もうちょっと順序というか、そのっ……心の準備が……っ!!」
「う、うにゃあ!!?! くっ、靴下っ!! 靴下でいいぞっ!!」
しかし、ニコと猫又が慌てて『あなた』を止め、靴下を要求した。
『あなた』は不思議そうに首を傾げたが、まぁそれでいいならばと靴下を脱ぎ始める。
「……どうして邪魔したの?」
不服そうなアンビーに対し、ニコは猫又の首根っこを引っ張りながら部屋の角へと連れ出した。
「あっ、アンタねぇ……!! そんな、いきなり上半身裸になられたら、こっちの身が持たないわよっ!!」
「最終的には全部剥ぐのだから、変わらないじゃない」
「それはそれっ、これはこれだぞっ!! ショートケーキのイチゴさんは最後に食べた方が美味しいっていうのは常識だっ!!」
「……なるほど。確かにジワジワと剥いでいく方が、正直興奮するわ」
「「でしょう!?」」
フンスフンスと鼻を鳴らすニコと猫又。
そして、何かを妄想し目が少しガンギまってるアンビー。
そう。
このコンテナハウスで行われているもの。
それは——
野球拳である!!
「アンタ、ちょっと無防備すぎるわよ。そんなんじゃ表の世界ではやっていけても、私たち裏の社会では絶対無理ね」
突然、そう言ってきたニコに対し、『あなた』は、ではどうすればいい、と問いかけた。
すると、ニコは少し声を裏返しながらも堂々と宣言した。
「わっ、私たちが裏社会の厳しさをおっ、教えてあげるわっ!! 感謝しなさいっ!!」
そうして連れてこられたのがこのコンテナハウスである。
聡明な読者の皆さんなら既にお分かりだろうが、ニコの頭に『裏社会の厳しさ』なんてものは存在してない。完全に、私利私欲のために『あなた』を騙しているだけだ。
このコンテナハウスもそうである。
隠れ家なんてかっこいいことを言っているが、ぶっちゃけてしまうとただのマジックミラー号である。
完全にエッチなことをするためだけに建てられているのである!!
このためだけに、ニコは多額の借金をしたのである!!!!
部屋の隅にある武器や道具もそうだ。
そういうことに使うための物である。
撮影器具もそう。
もし、そういうことが起きた場合に、後で自分たちが楽しむために準備しているだけなのである。
もしそういうことを撮影したとしても、それを裏社会で売り捌く、ということは絶対しない。なぜなら、邪兎屋の全員は純愛イチャラブ性癖であり、外部の雌共に『あなた』のエ゛ッ゛ッ゛ッ゛な姿を見せることなど許さないからである。
そうして『あなた』はあれよあれよと言いくるめられ、このコンテナハウスにという名のドスケベトラップダンジョンに、1匹の雄が迷い込むこととなったのである!!
「つ、次はあたしの番だっ!!」
鼻息の荒い猫又が、フンスフンスと『あなた』の目の前までやってくる。
『あなた』は今度は負けないと袖をまくり、肩を回す。
その瞬間、チラリと見えた『あなた』の上腕二頭筋にギンッッッ!! と、視線が向く。
これが、裏社会の厳しさとやらを知っている者の姿なのか。こんなんじゃ、やっすいハニートラップに引っかかってブタ箱送りだろう。だが、『あなた』がそのようなことを思うことはない。
猫又は意識を目の前の『あなた』へと集中させる。
(かっ、かっこいいぞ……)
(あの逞しい腕にギュッとされたら、あたしはきっと……♡♡♡)
(じゅるり♡♡♡)
頭真っピンクな猫又をよそに、再び音楽が流れ始める。
テレレレテッテ♪♪
テレレレレ〜♪♪ テレレッテレ〜♪♪
テ〜テ〜♪♪テッテテッテ♪♪ テレレレレ〜♪♪
その瞬間、猫又はカッと意識を覚醒させ、全神経を目の前の『あなた』の手へと集中させる。
コンマ0.11秒をも見逃さない、驚異的な反応速度。
100年に1人の天才しか持ち得ない超人特性。
その名は、『神速のインパルス』!!!!
「「「アウト!! セーフ!! よよいのよいっ!!!!」」」
当然、神速のインパルスを前に『あなた』が勝てるはずもない。
「「「やったーーーーーー!!!!」」」
3人は勝利に酔いしれ、全力で歓喜の声をあげる。
対する『あなた』は、また負けたとしょんぼり肩を落とした。
そして、次は何を差し出さなければならないのかと考え始める。
とはいえ、残っているのはシャツとボトムスのみ。女性の前で半裸になるのはいかがなことかと思い始めるも、これも裏社会の厳しさを知るためだ、と納得させ、シャツに手をかけた。
その瞬間、アンビーが『あなた』の手を掴み、制止させた。
そして、言い放つ。
「上じゃなくて、下を脱いでもらうわ……!!!!」
ピシャリ、とニコと猫又に雷が落ちた。
「あっ、あああああアンビー!?!? アンタ、正気!?!?」
「にゃにゃにゃ!? にゃーーー!?!?」
顔を真っ赤にさせ、アワアワと慌てふためく2人。
いや、そもそも残りはシャツとボトムスしか無いのだから、正気もクソもないのであるが。というか、『あなた』を騙してこんなセクハラを押し付けてる時点で正気の沙汰じゃないのだが。そして、先ほどの順序とか心の準備とかショートケーキのイチゴさんは最後に食べるとかの会話は全く意味を成していなかったのだが。
しかし、アンビーは動じずに凛と言い放つ。
「私は雄っぱいより……ご立派様派よっ!!!!」
「「ッッッッッッ!!!!」」
ニコと猫又に電流走る。
そして、3人の脳裏に浮かぶご立派様。
当然、ボトムスの奥にはもう一枚残っている。
だがそれが、よりニコたちの欲望を増幅させるのだ。
全裸より脱ぎかけの方がエロいよね理論である。
脱ぎかけというか、完全にシルエットが浮かび上がるのでそれ以上にエロいのだが。
「「「はぁ……はぁ……♡♡♡」」」
僕らの明日の光の希望の夢の扉のパンツの下のご立派様の。
想像しただけで達してしまうソレが、薄いバリケード越しに見える。
あぁ、なんて、素晴らしいのだろう。
「さあ、早く下を脱いで頂戴……!!」
今までに見たこともないアンビーの気迫に押され、『あなた』はベルトへと手を伸ばす。
……あっ、まだベルトがあるじゃん。
そう思ったのも束の間、神速のインパルスにより猫又にベルトを奪われてしまう。いやそれがありならもうなんでもありじゃん。というツッコミができる空気ではない。
『あなた』はくぅ……と声を漏らし、ボトムスへと手をかけた。その行為がまた、3人をより駆り立てる。
「「「D・V・D!! D・V・D!!!!」」」
意味の分からない掛け声を受けながら、『あなた』はゆっくりとボトムスを下ろし始める。
その時。
「お巡りさん、この人たちですっ!!!!」
突如扉が開かれ、1人の知能構造体が声を張り上げた。
そして、その声と共に大勢の治安官がコンテナハウスへと入り込んできた。
「チッ!! アンビー、猫又!! 逃げるわよっ!!」
「うにゃあ!! 良いところだったのにー!!」
「ビリー……!! この借りは高くつくわ……!!」
3人は手際の良い動きで、コンテナハウスの非常口から脱出していく。
治安官が変態3人組を追いかける中、駆け寄ってきたビリーは『あなた』の肩を掴み、心配そうに声をかける。
「おい、大丈夫か!? 親分たちに何か変なことされてないか!?!?」
しかし、『あなた』はビリーではなく、逃げた3人に視線を向けていた。
あれが、裏社会を生きてきた者の動きか……
参考になるなぁ〜。
と、事の重大さを理解しないまま。
なんで俺、雄っぱいとかご立派様みたいな逆ドスケベな話を書いてるんだろう……と、自分が分からなくなります。
自分の癖を男時点から女時点に変えて書いてるんですけど、これを続けていくとそのうち俺が俺でなくなってしまうような……
なんかこう、力の解放+5くらい解放しちゃって、俺自身がホモオウガになってしまう気がするんです……
ほんとは、女性エージェントのドスケベを書きたいし読みたいだけなのに……
まぁ、主人公の『あなた』にキャラ付けせず描いてるのが原因なんですけどね。
でも、主人公くんに「周りのエージェントえっろ……ッ!!」って言わせるのもなんか違う気がして……
無自覚に周りの人間をムラムラさせる系の貞操逆転系が好きなだけなんですけど。
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