ギャルゲーの世界で攻略対象の幼馴染キャラの兄に転生したので、大人しく見守ることにした。それなのに主人公とヒロインが病むし、死のうとするのでそれをどうにか回避しようと頑張っていたら依存された。 作:主義
僕がこの世界を『にじこい』だと認識したのは、妹が生まれた時だ。
そこで僕はここが前世のギャルゲーで人気を博していた『にじこい』の世界だと理解した。
この世界で僕は攻略対象の幼馴染の兄というポジションだ。僕はゲームをやったこともあるけど、さすがに昔過ぎてあんまり覚えてない。というか幼馴染の兄貴なんてギャルゲーにおいてそこまで関わるような相手ではないし、掘り下げられるようなキャラクターでもないから覚えていなくてもおかしくはないだろう。
まぁ…僕は部外者に転生したということだ。
まだ僕が6歳で妹が1歳だ。物語が大きく動き出すのは妹が高校に上がってからだ。その前から主人公とは小学校・中学校と仲良くなっていく過程はあると思うけど、そこはゲームでは描かれていなかった。
だからこそ、原作の始まりは高校だ。
僕は妹が幼馴染と結ばれていく過程を大人しく見守るとしよう。でも、ちょっとだけ危惧があるとすれば『にじこい』というギャルゲーの特性だ。『にじこい』がギャルゲーの中でも人気を博した大きな理由としては今までのギャルゲーでは絶対にありなかった……『死』という概念が存在するのだ。
大概のギャルゲーはバッドエンドでも主人公がヒロインと結ばれなかったりするぐらいだけど、このギャルゲーは主人公やヒロインに『死』というものがある。例えば、選択肢を数回間違えるだけでもヒロインは病み、自殺へと足を進めていく。それに加えてヒロインとの好感度が下がっていけば今度はヒロインと一緒に主人公も自分を責め続けて、自殺してしまうのだ。
まだヒロインが自ら命を断つだけならあるかもしれないけど、このギャルゲーでは主人公すらも自殺するのだ。
だから、『にじこい』の世界では一つの選択が大きく作用するのだ。それに僕はこの世界に転生した。前世ではゲームだったかもしれないけど、僕はこの世界に生きている。
それに転生とは言っても、妹のことも大切に想っている。だから将来は主人公と幸せな未来を過ごして欲しいと心の底から思う。ゲームの時のようにやり直せる可能性は低いと考えていい。
主人公には最善の手を打って、ヒロインとの好感度高めてもらわないといけない。主人公に掛かる負担が大きすぎる気もするけど、そこはどうにかやる気で乗り切って欲しい。
まだ主人公とは出会っていないけど、いずれ出会うこともあるだろう。そこである程度の関係値を作って、主人公が頼りやすい相手として機能してあげた方がいいかもしれない。
あくまで僕は幼馴染の兄だ。
それ以上でもそれ以下でもない。自殺者が出ないのであれば僕は物語に干渉するつもりはない。
僕もこの世界に転生して、自分なりの道を歩んでいきたいと思う。少なくても記憶では僕がどんな職業に就くのかは分からないし、描かれていたのかも覚えてはいない。だとすれば僕としては楽しみだ。
ヒロインたちの選択肢や自殺の仕方や主人公の自殺など知っていることはたくさんあるけど、僕の人生は知らない。
これからは楽しみな生活だ。
この時はそんなことを考えていた。
物語にそこまで干渉する必要もなく、適度な距離感で過ごしていくと。
でも、結局僕はこの『にじこい』という物語に大きく干渉してしまった。
その所為で僕は主人公から恨まれ、ヒロインからなぜか好意的な目で見られているのだ。