ギャルゲーの世界で攻略対象の幼馴染キャラの兄に転生したので、大人しく見守ることにした。それなのに主人公とヒロインが病むし、死のうとするのでそれをどうにか回避しようと頑張っていたら依存された。 作:主義
僕の妹はギャルゲーで鉄板ともいえる幼馴染。
主人公と幼い時から同じ環境で育ち、恋心を抱く。主人公に対する恋心を抱きながらも、中々告げられないという存在。
それが僕の妹、藤田《ふじた》真梨奈《まりな》。
家族というフィルターを通しているものの、妹の容姿はモデルでも全然やれるぐらいに可愛い。黒髪ロングもザ・幼馴染という感じでいいし、性格も明るい、誰に対しても分け隔てなく接していける社交性。
どれをとってもモテる。というかモテない理由を挙げる方が難しいだろう。
そんな妹と主人公はもう出会っている。
僕は高校2年で妹は小学5年。小学校で主人公と出会っているものの、まだそこまで親しいわけではないようだ。妹の口から主人公の話が出るのは稀でほとんど女の子友達との話ばかり。別に僕は妹が楽しく過ごせているんであれば別に構わない。
こんなことを言ったら身も蓋もないけど、主人公と結ばれず、他の男と結ばれてもいいと思っている。この世界でそんなことがあるのかは分からないけど。僕が妹に対して思っているのは一つで幸せになって欲しいということ。
前世でプレイしている時も幸せになって欲しいと思っていたけど、やっぱり妹になって一緒に過ごすとその想いがより強くなっていく。ずっと妹には笑っていて欲しい。
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そして妹は僕に懐いてくれている。
まぁ…幼い頃からずっと過ごしてきたからなんだと思うけど、申し訳ないぐらい兄に懐ているんだよね。少なくてもゲームで藤田真梨奈というキャラクターにブラコンというものはなかったと記憶している。
だけど、原作まではまだ時間があるから、その時には妹も全然兄のことなんて見向きもしなくなるのかな。それはそれで寂しいけど。
現在も僕は妹の引き留めにあっている。妹が僕の膝の上にのったきりで全く降りてくれない。
「真梨奈、そろそろ離れてくれるか?」
「お兄ちゃんは私のこと嫌いなの?」
「もちろん嫌いじゃないけど、そろそろ高校に行かないといけないんだ」
「いやだ」
「いやだと言われても…高校にはいかないと」
「だめ、だめ、だめ、だめ!」
「真梨奈の気持ちは嬉しいけど、僕も高校にいかないと怒られちゃうんだ」
「真梨奈の近くにいてよ!」
「…ど、どうしようかな」
今、この家にいるのは僕と妹だけだ。父さんや母さんは少し前から旅行に出かけている。それもどうやら今回は世界一周旅行をするらしく、かなりの間、時間を空けると聞いている。
あの人たちは家にいることの方が少ないので、家事もほとんど僕がやっているんだよね。
いや、今はそんなことはどうでもいい。どうにか妹には自分の意思で退いて欲しい。そうじゃないと無理に退かしても妹は泣いてしまうだろうし、そうなると妹が学校に行かなくなってしまうかもしれない。
「真梨奈は僕のこと好きかい?」
「大好きだよ!」
「そうか。僕も真梨奈のことが好きだ」
「えへへ」
「じゃあ、もしこのまま真梨奈が僕の膝の上にのったままだと僕は高校に行けない。それはこの際どうでもいいけど、僕は真梨奈が学校に行ってくれないと悲しいんだ」
「悲しいの?」
「うん。真梨奈には学校に行って欲しい。行ってくれたら次の休みにどこかに出かけようか?」
「ほんと!?」
「本当だ。それじゃあ、退いてくれるかい?」
「…わ、わかった」
渋々ながら真梨奈は膝から下りてくれた。時計を見るとこの時間だといくら急いでも遅刻は免れない。こうなったらもうどの道、遅刻なのでのんびり行くことにしよう。
「ほんとにお出掛けしてくれるんだよね?」
「約束は守るよ。真梨奈はどこに行きたい?」
「真梨奈はお兄ちゃんと一緒ならどこでもいい」
こんなことを言ってくれる妹が近くにいる幸せを噛みしめなくては。いつかはこんな妹も「お兄ちゃんのことなんて大嫌い!」とか「どっか遠くに行って!」とか「お兄ちゃんの洗濯と真梨奈の洗濯は絶対に分けて」とか言われるのかな。
そんないつか起こるであろう未来を予想して、僕は涙を流しそうになるけど、今目の前にいるのは純粋な小学五年生の妹だ。
「お兄ちゃんも真梨奈と一緒ならどこでも行くぞ!多少無理して今回は遠くに行ってみるか」
普段は日帰りで帰れるところに行くようにしてる。僕もまだ高校生だし、一応部活とか勉強とか色々とやらなくちゃいけないことがあるから、遠くに行くといっても近場になってしまう。
でも、妹と遊びに行ける機会があと何回あるかも分からないんだ。主人公と同じクラスということを考えれば、僕じゃなくて主人公と遊びに行く機会が増えるだろう。
こんな風にお兄ちゃんと行きたいと言ってくれているうちに思い出をたくさん作るしかない。
そして次の休みに泊りで旅行に行った。