地下生活者
→結構厚めウェディングヴェールを被ってるダークベージュの髪をしたダウナー系カトリック少女(CV.秋●かえで)、言動も性格も前世と変わらないが少しだけ他人に敬意を持つように色彩に怒られたらしい。
ベアトリーチェ
→赤と白を基調としたセーラー服を着ている大きい白メッシュ入り真紅髪少女(CV.釘●理恵)、性格と言動に関しては最初から丁寧さが消えている。先生と殴り合って負けたのが功を奏したのか先生が頑張ってる世界を楽しむよう色彩に言われたようだ。
上杉 カゲカツ
→濃紫色のポニテパーカーオレ系少女(CV.若い時の石●彰)、色彩が欲をかいて第二のデカグラとして用意した『PA花の慶次〜傾奇一転 87ver.』を台パンで破壊し挙句花の軽自、あと未成年パチンコの罪で矯正局にぶち込まれた。色彩に目をつけられ自由と引き換えに上の二人との生活中。
「FOX EATSでーす」
「ああどうも」
ここはD.U.にあるマンションの一室。
さほど高級というものではないが、それでも管理人がいてフロントもいるくらいはいいところ。
「仕事成功記念で、色々買ってきてもらった。食べようじゃないか」
「ようやくですかあ、小生結構お腹減って死にそーなんですよ」
「人間の体の不憫なところだな」
「えっと、酒とコーラとピザ四枚にポテト大量だ。結構ピザの種類あるから足りなかったらまあコンビニでチキンとか焼きそばとか買ってこい」
ベージュ色で統一されたシスター風の様相の少女と、赤白の激しい色使いの少女がテーブルにいる。
ガラスのテーブルを半分囲うように置かれたソファに座り込んで、当たり前のような形のリビングでそれぞれが食いたいピザに手を伸ばし、氷を適当にコップに突っ込んで、コーラと酒を飲み始めた。
彼女達は一仕事終えて、一般人のふりしながら拠点に帰ってきたのである。
「今回の長期輸送護衛任務は結構骨が折れたな、アレはなんだったんだ?」
「中身を見たけどよく分からなかったんだよなぁ、オレがちょっとばかしなんか自販機みたいなのを輸送してたのは見えたんだが」
「例のデカグラマトンとやらですかな」
「んなわけ、アレはもう終わりを迎えたっつー話だっただろ」
ベージュのASMRしそうな少女が元地下生活者、赤白のセーラー服がベアトリーチェ。
彼女達はしっかり先生達にしばかれた後、色彩によって蘇生した姿がこれ。
『お前達には使い道がある』
曰く色彩からは『デカグラマトンが役目を終え、ゲマトリアが顔を出さなくなって久しい今少しだけ新しい刺激として必要』と言われて蘇ったようだ。
その目付け役も当然存在していて、それこそ今ピザとかを受け取って酒を飲んでる少女《上杉 カゲカツ》である。
武将と同じ名前を付けられた少女は元々は違う名前であり、百鬼夜行の出身。
しかし、パチ屋に入り浸った挙句パチンコを破壊して軽自動車で突っ込むというギャンブル中毒の二の舞を踏み、さらに壊した台が第二のデカグラマトン化しかけてたという悲劇。
『お前が暴れてくれたせいで計画が無茶苦茶になってくれたぞどうしてくれる』
いちゃもん甚だしいが上位存在が相手ではどうしようもないカゲカツは相手の提案を受け入れるしかなく、今の名前と立場と問題児二人を手に入れて脱獄。
今はいろいろな仕事に手を出しながら、のんびり過ごしているのであった。
「ああそう、今回の金は当然山分けだが、一人当たり600万になるってさ」
「随分と高額だな。そこまで価値のある物だったのか?」
「お前が捕まった時、ゲマトリアの連中がそそくさと資料を掻っ攫ったと小生は聞いておりますぞ」
「研究すらせず粋がって無様に始末された男がよく口を開けるな」
「なんですと!?」
「どーどー、落ち着けよ」
カゲカツが手を広げて抑える。
「地下生活者の言うとおり、神秘関連のデータというのはアホほど価値がある。それも、シャーレ側に渡ろうが渡るまいが第三者が見ても大変な話になりかねない。ゲマトリアは研究者の集団だったと聞いているが、研究もなくイタズラに被害を出しそうなものを放置する訳にも行くまいさ」
今回の依頼主がカイザーコーポレーションという、キヴォトスのインフラや経済に多大なる影響を与えている企業。
経済活動の場を闇雲に破壊してしまうものを野放しにする訳にはいかないのは自明の理で、必然的に危険物を管理する善行を積まされているが、それを理解してくれる連中はそう多くない。
シャーレの先生なら分かってくれるだろうが、シャーレそのものが黙認するかは別問題。
「ま、今回はそれだけのものを三人で護衛した事を誇りに思おう。金目の物かと思って仕掛けてきた不良ども、正直地下生活者一人で十分だったしな」
「小生ばかりが仕事させられて可哀想だとは」
「「一切思ったことはない」」
「ハモらないで貰えますか?」
実践経験ほぼ皆無の三人でそんなミッションを達成するというには当然、インチキがあって然るべき。
地下生活者は自身が持っていた精神干渉に加えて、色彩が接触してきた事によって“あるゲームルールを指定した相手に適応できる”という力を入手。
技能がオール初期値の状態で相手を失敗させ運転を事故らせたりすることで適度に追っ払っていようで、それにより残り二人が暇を持て余し、挙句荷台の上で爆睡していたらいつのまにか護衛任務は終了していた。
「先回りしてベアトリーチェが潰してくれば小生も楽だったのですが」
「理由はないからな、あくまで荷物の護衛であって先鋒ではない」
ピザが半分、ビールは空で、コーラが1/3消えるほど喰った彼女達はまだ手を伸ばし続ける。
「次の仕事はいつ来ますかね?しばらくは小生達遊んで暮らせる額ですし」
「残念仕事は山積みだ。アリウスでの物品納入作業か、まあ私は行かないが」
「他にも依頼は来てたりするぞ〜。警護任務が大半だが、輸送任務もあったりする」
「たとえば?」
「麻薬2kg」
「やめておけ、そういうのは洒落にならない」
ベアトリーチェの冷静なツッコミ。
自分がそういう世界を上から見れる立場だったからこそのアドバイス、アングラすぎる奴らと関わるのは大して金にならないことも知っていた。
「とはいえ自営業は忙しいうちが華だからな、仕事に早るのは悪くない。そこの汚いやつは置いといて、カゲカツと私の二人で出来る仕事がいい」
「ならこれどうよ」
カゲカツがスマホで見せた依頼が一つ。
《展示会用の油絵輸送護衛》
「いや流石にこれは……ん?なんでこんな高いんだ」
「依頼主によると授業代だそうだ、ただワイルドハントって芸術的な学校ってのもあって名画を確保して高く売り払おうとする輩が存在するらしいぜ」
「高々一枚の絵がそうなるまで何年かかると思っている、しかもAI全盛期に」
「ま、それくらいの頭しかない連中に壊されるのも癪だから多少高くついても守りたいって話だろうさ。どうする?」
「乗った」
仕事を担当する二人は、少しばかり口元を緩ませて次の仕事を決定。
連絡するのは明日にして今はこのパーティーを……と思ったが、皆がそれぞれ手を出してコーラが少ししか残っていなかった。
「お開きしろってさ」
「ハァ〜?小生まだ満腹じゃないんですが〜?」
「じゃあ自分で買ってくることだな。私は動かないぞ」
「オレは腹八分目でデザートがなかったから探してくるが、どうだ一緒に行くか?」
「むぅ」
女の子仕草が板につきやすいのは、元々CoCとかを嗜んでいたからだろうか。
●ヴァでよく見るリリスを超ウェザリングしたようなあんな俗物的格好ではなくて、D●siteのエロ同人作品を彷彿とさせるタイプの可愛さを持った少女の破壊力は兵器よりも上回る。声もエロ同人。
地下生活者とカゲカツの二人で外に出て、夜道を歩く。
「やっぱあの女いけスカない、あれと同じゲマトリアですってよ小生」
「オレもゲマトリアの仲間入りか、面白そうだ」
「もっと不愉快ですね、パチカスのゲマトリアなどと」
「そう言ってくれるな」
歩いてすぐの場所にコンビニがあるのは、都会人の特権だろう。
そのまま歩いて行く時に、警察官に出会した。
「あっすいません」
「ご苦労様です」
背も胸も大きい、尾刃カンナの登場だ。
「私そこらで仕事をしている尾刃カンナという警察で、ちょっとだけ聞き込みをしたいと思いましてね」
「できる協力ならなんでも」
「少し前にパチンコ店を台無しにした百鬼夜行の生徒を探していましてね」
出された写真は、百鬼夜行のあの分かりやすい制服に少しばかり薄紫の髪をした少女。
行動を鑑みればどこをどうしてもカゲカツなのだが、そもそもその時と名前も顔も何もかも違う。
「彼女捕まっていたのですがいくらか前に突然消えてしまったんです。それで探しているのですが、見覚えは?」
「いや、ないな。顔は覚えておこう」
「小せ……私もないかなぁ」
「そうですか」
「一応、身分証をお出ししましょうか?とは言っても学園所属ではなく、D.U.での住民用カードなのですが」
「ええ、お願いします」
地下生活者とカゲカツの分を、カンナに提示。
顔も職歴も情報を照会の上、怪しいところはないとして返却された。
「こちらお返ししますね。もし、彼女を見かけたら通報をお願いします。昨今は何かと危ないので」
「ええこちらこそ、身体を張るのは大変ですがお気をつけて」
「ありがとうございます、では」
そう言って、危なげなく別れた。
カンナがコーヒーを買って車に乗り、去って行くのを見送る。
元ゲマトリアという特大の爆弾を横に抱えておいて、けろっとして対応しているカゲカツはパチンコのやり過ぎで情緒が壊れているからだろうか。
「ふぅ、随分と怖い目つきでしたねぇ。小生心臓バクバク」
「よかったな元から根暗で、違和感がないってことらしい」
「逆に貴様は心臓が硬すぎる」
「自営業やってたらパチンコよりもドキドキすることしてるから警察一人じゃ動かんよ」
「心臓動かなかったら死んでるのでは?」
笑うカゲカツ。
一本取られた、というべきか。ツッコミにえらくツボってしまったらしい。
その姿が、逆に二人のことを安全に見せたのはいうまでもない。警察を前にしてちゃんと応対し、終われば何事もなかったように戻る”日常”に馴染む二人を誰しも警戒しようとは思うはずもなかった。
「さて、そろそろ真面目にスイーツを買って帰るか。オレアイス食いたい、気ぶってハーゲンダッツの苺を食うのも悪くない」
「小生は大きくケーキを食おうかと、あとみたらし団子」
「食い過ぎじゃないか? 太るぞ」
「神秘は血糖値を抑える効果があるので大丈夫です」
「どの栄養も使いきれなきゃ溜まるもんだぜ……」
呆れる彼女に、地下生活者は無視してカゴに入れる。
「ベアはどうする?」
「適当にチョコケーキでも入れておきましょう、2切れ」
「いいな」
「他には?」
「第二ラウンドでチキンと米だ」
「よし来た!小生も食いますぞ」
「OK!」
コンビニであれだこれだと言い合いながら、600万を手に入れてもたまにやりたくなってしまう深夜のコンビニフルコースへと踏み込んでいく二人。
そこから先は食って寝るだけ、寝るまでが長いパーティ。
キャッキャ騒ぐ二人の帰ってくる遅さに呆れたのか、ベアトリーチェはソファで寝てしまっている。
依頼を受けて、クリアして、飯を食い、遊ぶ。
これはそういうお話で、ある。