神時代に現れた戦闘民族 作:SS4のビジュアルが一番好き
だってこいつ、サイヤ人だぜ。
絶対断るだろ。
……どうしよ、ヘスティア・ファミリアに入れるつもりだったのに。
……まあ、なくてもいいか、サイヤ人だし。
むしろ、ステイタスとか考えなくて楽だしな。
「…………は?」
つい先ほどまで地面に立って、魔光弾を老人に突き付けていたにもかかわらず、気付けば宙を舞い空を眺めていることに唖然とする。……次の瞬間、ターメリクは地面に背中から叩きつけられた。
「……ガハッ!?!?」
無防備な状態で地面に叩きつけられたせいで、空気を強制的に吐き出させられ、呼吸が乱れる。そんな状態で、魔光弾を維持できるわけもなく、魔光弾は霧散する。
「ッ!!!」
地面に叩きつけられた衝撃で正気に戻ったターメリクは、即座に老人から距離を取り体制を立て直す。
おかしい、油断していたとは言え、自分は確かにあの老人から目は離していなかった、にも拘わらず気づけば宙を舞い、地面に叩きつけられていた。
「爺!!テメェ今何をしやがった!!」
ターメリクは自分を投げ飛ばしただろう老人を睨み付けながら声を荒げる。
「ほっほ!物騒な物を突き付けてくるもんじゃから……投げ飛ばした。あんな物がわしらに当たれば死んでしまうのでな」
老人は髭を撫でながらまるで当然のことをしたかのように振る舞う。
「そういうことを聞いてんじゃねぇ!!俺はテメェから一度も目を離さなかった、ほんの一瞬もだ!なのに、気づけば俺は地面に叩きつけられていた!」
混乱する頭でどうにか冷静になろうと、今何が起こったのか老人に問いただす。
「もう十分理解しておるではないか」
老人はターメリクをニヤニヤといやらしい顔をしながら笑う。
「……ッ!!ふざけんな!」
ついに我慢できずにターメリクは老人に向かって殴り掛かる。そしてまたしても、気づけばターメリクは地面にうつ伏せに抑え込まれていた。
「ッぐ!畜生!離せッ!!」
ターメリクが老人の腕を振りほどこうとした瞬間、ガクッと体中から力が抜けた。力の入らない状態で何とか振り向けば、老人がターメリクの尻尾を強く握りしめていた。
「き…さ…ま、俺の尻尾を……!」
「ほっほ!いかんのう、ちゃんと尻尾も鍛えんと。しかし、やはり尻尾が弱点じゃったか……。先ほどの魔光弾といい飛行能力といい、おぬし……サイヤ人じゃな?」
老人が確信をもって尋ねる。
「だったら、なんだ……!」
ターメリクが意味のわからない質問をしてくる老人を睨み付ける。
「いやなに、はるか昔に滅んだはずの戦闘民族サイヤ人がどうしてこんな場所にいるのか気になっただけじゃ」
「…………は?サイヤ人が滅んだだと?いったいどういう――」
そこまで口にしたところでターメリクは老人に気絶されられた。
「さあベル、家に帰ろう」
気絶したターメリクを担いだ老人は、少し離れた場所で怯えていた白髪の子供――ベルに声をかける。
「う、うん。でもそのお兄さん大丈夫なの?すごく怒ってたけど」
「な~に、おじいちゃんに任せておけ!」
そう言って老人はベルの手を引き歩き出した。
◇◇◇
「うッ……。ここは、いったい…………」
窓から日の光が差す部屋の中、ターメリクは目を覚ました。
頭がボーッとするなか、自分が何をしていたのかを思い出す。
「……そうだ!!あの爺にやられて――」
「目が覚めたようじゃな」
声の聞こえた方を反射的に見る。
そこには自分を取り押さえた老人がいた。
ターメリクはすぐに殴り掛かろうとするが、如何やら体と一緒に尻尾まできつく縛られているようで、いつもなら簡単に引きちぎれる縄をちぎることが出来なかった。
「ほっほ!無駄じゃよ、目を覚ましたお主に暴れられると困るのでな、ちょいときつく縛っておいた」
「貴様……!」
ターメリクが忌々しそうに老人を睨み付けるが、老人はまるで堪えた様子もなく、飄々としている。
「さて、お主を連れて帰ってきたのは、お主に聞きたいことがあるからじゃ」
「ハッ!!俺が素直に答えるとでも思ってんのか!!」
ターメリクは老人を馬鹿にしたように鼻で笑う。
「まあ、そうじゃろうな。わしも最初からお主が素直に話すとは思っておらん。……じゃが、取引ならどうじゃ?」
「なんだと?」
老人はニヤリと笑いながらターメリクに問いかける。
「お主がわしの質問に答えてくれるなら、わしもお主の質問に答えよう。……何やら聞きたいことがあるのじゃろ?」
ターメリクは老人の取引について考える。
どうせこちらには知られて困る情報などない、それよりも今の自分の状況について知ることができるチャンスだ。それに、サイヤ人が滅んだことなど聞きたいことが山ほどある。
「……いいだろう、その取引受けてやる」
「取引成立じゃな」
老人がニッと口角を上げて笑った。