神時代に現れた戦闘民族 作:SS4のビジュアルが一番好き
老人の背中を見送った後、ターメリクもゆっくりと身を起こし、後を追うように外へと出た。
空を見上げると日はすでに真上に上っており、どうやら気絶している間にすっかり昼になっていたようだ。
眩しい日差しに目を細めていると、突如としてターメリクの腹から『ぐきゅるるる』と大きな音が鳴り響いた。
「……ちっ、腹減ったな」
考えてみれば、森で熊を食っただけで満腹には程遠い、サイヤ人の燃費の悪い胃袋が限界を主張している。
空腹を誤魔化すように腹をさすりながら視線を向けると、河原で白髪の子供――ベルが、先ほどと同じように焚き火で魚を焼いていた。
「おお、来たか。さあ、遠慮なく食うがよい」
促されるままに、ターメリクは焼けた魚を手に取り、無言で齧り付く。先ほどの熊肉に比べれば腹の足しにはならないが、状況を整理しながら腹を満たすにはちょうどよかった。ベルは少し離れた場所から、ターメリクの尻尾や食べっぷりをビクビクと覗き見ている。
魚を平らげ、ターメリクが骨を放り捨て、さらにもう一匹魚を手に取ろうとした時、老人が不意に口を開いた。
「どうじゃ小僧。わしがお主に、戦い方を教えてやろうか?」
「……あ?」
ターメリクは手を止め、鋭い視線を老人に向ける。
「テメェ、いったい何を企んでやがる。俺に戦い方を教えて、何が目的だ」
見ず知らずの他人に強くなる術を教えるなど、サイヤ人の常識にはない。ターメリクが警戒を露わにするが、老人はのらりくらりとした態度で髭を撫でた。
「ほっほ、細かいことは気にするな。それよりも……折角の強くなれるチャンスを、こんな所で逃してしまっていいのかのう?」
「ッ……!」
その挑発に、ターメリクは歯を食いしばる。胡散臭い爺だ。だが、先ほど自分が手も足も出ずに地面に転がされたのは紛れもない事実。圧倒的な技術の差を見せつけられた今、強さを求める本能がこの誘いを断ることを許さなかった。
「……いいだろう。教えてもらうぜ」
ターメリクは悔しさを噛み殺しながら頷き、すぐさま問い返す。
「ただし、俺を投げ飛ばしたあの妙な『
しかし、老人はあっさりと首を横に振った。
「いや、あれはお主には教えん。というより、サイヤ人であるお主には絶望的に合わんのじゃ」
「なんだと?」
出し惜しみか、と凄むターメリクに対し、老人は真剣な顔つきで諭すように言う。
「わしが教えるのは、サイヤ人が生まれ持つその戦闘センスをより研ぎ澄ませ、お主の持つ力を最大限に活用する戦い方じゃ」
老人はターメリクを真っ直ぐに見据え、はっきりと告げた。
「お主の動きには無駄が多すぎる」
「無駄だと……?」
「そうじゃ。滅びる寸前のサイヤ人たちはな、終わりの見えない長い殺し合いの中で、ただ力任せに暴れるのをやめた。奴らは己の血に刻まれた圧倒的な戦闘センスを、極限まで研ぎ澄ましていったんじゃよ。微細な魔力をも捉える感知能力、そして自らの膨大な魔力を自在に操るコントロール能力……それらをサイヤ人が生まれ持つ本能と理性の完全な融合により成し遂げたのじゃ」
老人の言葉に、ターメリクの目が大きく見開かれる。
「わしならば、その境地へ至る道を教えてやれる。……どうじゃ、やるか?」
老人はターメリクを試すようにニヤリと笑いながら問うのだった。