転生したのでポケモン世界をのんびり旅します   作:AIは許される?許してよ

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マサラタウンののんびり転生者

「……朝か」

 

目を覚ますと、見慣れた天井が視界に入った。

 

窓から差し込む朝日。遠くから聞こえるポッポの鳴き声。そして、ベッドの横に置かれた目覚まし時計。

 

時刻は午前七時。

 

……うん。もう少し寝られるな。

 

そう判断して布団を被り直したところで、肩を軽く叩かれた。

 

「……ソウ」

 

「ん〜……あと五分」

 

「ソウブレイズ」

 

「いや、まだ目覚まし鳴ってないし……」

 

「ソウ」

 

シャッ!

 

カーテンが開かれ、容赦なく朝日が差し込んできた。

 

「うわ、眩しっ……」

 

仕方なく身体を起こすと、ベッドの横には黒い鎧を纏ったポケモンが立っていた。

 

頭には紫色の炎。両腕には剣のような形状の装甲。

 

ほのお・ゴーストタイプのポケモン、ソウブレイズ。

 

俺の最初のパートナーであり、五歳の頃から一緒に暮らしている相棒だ。

 

ちなみに女の子である。

 

……いや、女の子って表現が似合う外見ではないけど。

 

「おはよう、ソウブレイズ」

 

「ソウ」

 

「今日も早起きだねぇ」

 

「ソウブレイズ」

 

ソウブレイズは俺の机の上に置かれたリュックを指差した。

 

ああ、そうだった。

 

今日は俺がポケモントレーナーとして旅立つ日だ。

 

「分かってるよ。ちゃんと準備してあるって」

 

「ソウ」

 

「……本当に?って顔してるね」

 

「ソウ」

 

……信用されてないなぁ。

 

まあ、普段からのんびりしている自覚はある。

 

別に急ぐ必要がなければ急がなくてもいいと思っているし、昼寝も好きだ。

 

ただ、必要なときにはちゃんと動く。

 

特にポケモンバトルではね。

 

「さて、起きますかぁ」

 

俺は大きく伸びをした。

 

今日から旅が始まる。

 

目指すはカントー地方のセキエイリーグ。

 

……まあ、焦らずのんびり行こう。

 

そもそも、俺には前世の記憶がある。

 

前世は日本で暮らしていた普通の男だった。

 

別に特別な能力があったわけでも、神様に選ばれた記憶があるわけでもない。

 

ただ普通に生活していたはずなのに、気がつけば赤ん坊として生まれ変わっていた。

 

しかも転生先は、あのポケットモンスターの世界である。

 

最初は本当に驚いた。

 

なにせテレビをつければポケモンのニュースが流れ、庭にはポッポが飛び、近所のおじさんがコラッタに畑を荒らされたと愚痴をこぼしている。

 

前世の常識から考えれば、とんでもない世界だ。

 

口から炎を吐く生物。

 

電撃を放つネズミ。

 

空を飛ぶ巨大なドラゴン。

 

そんな連中が当たり前のように存在している。

 

しかも、それらを十歳の子供が連れて旅をする。

 

前世の日本だったら、まず間違いなく大問題になるだろう。

 

しかし、この世界にはこの世界の常識がある。

 

ポケモントレーナーは社会的に認められた存在であり、旅をする子供に対する支援制度も整備されている。

 

ポケモンセンターではポケモンの治療が受けられるし、トレーナー向けの宿泊施設も存在する。

 

ただし、すべてが安全というわけではない。

 

野生のポケモンは普通に危険だ。

 

考えてもみてほしい。

 

ゲームでは序盤の雑魚扱いされるポッポやコラッタだって、現実で遭遇すれば十分に脅威になる。

 

ましてや、ギャラドスやバンギラスなんかが暴れ始めたらどうなることやら。

 

……想像したくないな。

 

そして、何より恐ろしいのが伝説のポケモンたちである。

 

時間を操るディアルガ。

 

空間を操るパルキア。

 

世界を創造したとされるアルセウス。

 

……いや、何なんだよこの世界。

 

そんな存在が実在する世界で、人間が普通に生活しているのだから不思議なものだ。

 

まあ、十年間暮らしてきて分かったこともある。

 

この世界の人間は、前世の人間よりも遥かに頑丈らしい。

 

アニメでサトシがピカチュウの電撃を受けても平気だった理由が、なんとなく分かった気がする。

 

……いや、実際に十万ボルトを受けたいとは思わないけどね。

 

「リンヤ!朝ご飯よ!」

 

「は〜い」

 

母さんに呼ばれ、俺はソウブレイズと一緒に一階へ降りた。

 

食卓には白米、味噌汁、卵焼き、焼き魚。

 

実に普通の和朝食である。

 

「おはよう、母さん」

 

「おはよう。今日から旅立ちね」

 

「そうだねぇ」

 

「……本当に大丈夫?」

 

「何が?」

 

「あなた、昔からのんびりしてるから」

 

「まあ、なんとかなるでしょ」

 

「その考え方が心配なのよ……」

 

母さんがため息をつく。

 

父さんは新聞を読みながら笑っていた。

 

「まあ、ソウブレイズが一緒なら大丈夫だろう」

 

「ソウ」

 

ソウブレイズが胸を張る。

 

「ほら、本人も大丈夫って言ってるし」

 

「あなたがしっかりしなさい」

 

「は〜い」

 

俺は朝食を食べながら、隣に立つソウブレイズを見た。

 

黒い鎧のような身体に、紫色の炎。

 

初めて見た人なら、かなり威圧感を覚えるだろう。

 

しかし、俺にとっては昔から一緒にいる大切な家族だ。

 

そもそも、こいつは少し特殊な生まれ方をしている。

 

……いや、正確には生まれ方ではなく、生まれた直後に起きた出来事が特殊なのだ。

 

俺の両親はパルデア地方の出身である。

 

結婚を機にカントー地方へ移住し、マサラタウンで暮らし始めたらしい。

 

そんな両親が、俺の五歳の誕生日にプレゼントしてくれたもの。

 

それがカルボウのタマゴだった。

 

前世でポケモンを知っていた俺は、当然ながら大喜びした。

 

カルボウといえば、グレンアルマかソウブレイズに進化するポケモンだ。

 

どちらも格好いい。

 

特にソウブレイズは、俺が前世で好きだったポケモンの一匹である。

 

だから、タマゴが孵化する日を楽しみにしていた。

 

そして、ある日のこと。

 

「リンヤ!タマゴが光ってるわよ!」

 

「本当!?」

 

母さんに呼ばれて部屋へ駆け込むと、タマゴが淡い光を放っていた。

 

ゲームで何度も見た光景だ。

 

ただし、実際に目の前で見ると感動が違う。

 

タマゴが揺れる。

 

光が強くなる。

 

そして――。

 

「カル!」

 

小さなカルボウが生まれた。

 

「おお〜!カルボウだ!」

 

かわいい。

 

いや、本当にかわいい。

 

小さな身体に燃える炎。

 

ゲーム画面で見ていたときよりも、ずっと愛嬌がある。

 

「よろしくね、カルボウ」

 

「カル!」

 

カルボウは元気よく返事をした。

 

……ここまではよかった。

 

問題はその直後である。

 

「カル?」

 

カルボウが何かに気づいたように振り返った。

 

そこには、父さんがパルデア地方から持ってきたノロイノヨロイが置かれていた。

 

本来ならカルボウが成長してから使う予定だった進化用の道具だ。

 

ただ、父さんが片付け忘れていたらしい。

 

そして、生まれたばかりのカルボウがその鎧に触れた瞬間。

 

「……え?」

 

身体が光り始めた。

 

「ちょっと待て」

 

俺は思わず素の口調になった。

 

いやいやいや。

 

待ってくれ。

 

確かにカルボウはノロイノヨロイで進化する。

 

それは知っている。

 

だけど、今生まれたばかりだぞ?

 

レベル一だぞ?

 

いや、ゲームと違って現実ではレベルという概念がどこまで正確なのか分からないけど!

 

「カル……!」

 

カルボウの身体が光に包まれ、大きくなっていく。

 

小さな身体が黒い鎧に覆われ、頭の炎が紫色に変わる。

 

そして、両腕には炎の剣が現れた。

 

「……ソウブレイズ」

 

…………。

 

「……進化しちゃった」

 

「…………」

 

「…………」

 

両親も固まっていた。

 

そりゃそうだろう。

 

生まれた瞬間に最終進化したのだから。

 

「……父さん」

 

「なんだ、リンヤ」

 

「これって普通なの?」

 

「……いや、普通じゃないな」

 

「だよねぇ」

 

母さんが父さんを睨んだ。

 

「だからノロイノヨロイは片付けておいてって言ったじゃない!」

 

「いや、まさか孵化した瞬間に進化するとは思わなくて……」

 

まあ、普通は思わないだろう。

 

俺だって思わなかった。

 

ちなみに、その後オーキド博士にも相談した。

 

博士は非常に興味深そうにソウブレイズを調べていたが、結局のところ、生まれたばかりでも進化条件を満たせば進化することがある、という結論になった。

 

……本当にそれでいいのだろうか。

 

まあ、今となってはどうでもいい。

 

ソウブレイズはソウブレイズだ。

 

俺の大切な相棒であることに変わりはない。

 

「リンヤ、ちゃんと聞いてる?」

 

「ん?何が?」

 

母さんの声で現実に戻る。

 

「だから、旅の途中で困ったら連絡するのよ」

 

「分かってるよ〜」

 

「それと、知らない人についていかないこと」

 

「俺、十歳だよ?」

 

「十歳だから言ってるの!」

 

……ごもっとも。

 

朝食を食べ終えた俺は、リュックを背負った。

 

中には着替え、寝袋、調理器具、食料、水筒、傷薬などが入っている。

 

ちなみに、この世界のリュックは前世の常識では考えられないほど便利だ。

 

大量の荷物を入れても、ほとんど重さを感じない。

 

どういう技術なのかは知らないが、非常にありがたい。

 

前世でキャンプをしたことがある人なら分かると思う。

 

普通にキャンプ道具を揃えると、とんでもなく重いのだ。

 

……この世界の技術、地味にすごいよなぁ。

 

午前九時。

 

俺はソウブレイズと一緒にオーキド博士の研究所へ向かっていた。

 

「いやぁ、いい天気だねぇ」

 

「ソウ」

 

「旅立ちにはちょうどいい日だ」

 

「ソウブレイズ」

 

ソウブレイズは俺の隣を歩いている。

 

身長は俺より少し高い。

 

まあ、十歳の子供と比べれば当然か。

 

それにしても、ソウブレイズを連れて歩いていると目立つ。

 

カントー地方ではほとんど見かけないポケモンだからだ。

 

「あっ!リンヤくん!」

 

近所のおばさんが声をかけてきた。

 

「今日から旅に出るんでしょう?」

 

「はい。そうですよ〜」

 

「頑張ってね!シゲルくんも今日旅立つみたいよ!」

 

「へぇ〜」

 

「サトシくんもよ!」

 

「そうなんですねぇ」

 

「……あなた、興味なさそうね」

 

「まあ、俺は俺ですから」

 

別にサトシやシゲルが嫌いなわけじゃない。

 

同じ町で育った顔見知りだし、話したこともある。

 

ただ、二人が何を目指していようが、俺には関係ない。

 

サトシはポケモンマスターを目指している。

 

シゲルは祖父であるオーキド博士を超えるような立派なトレーナーを目指している。

 

それぞれ素晴らしい目標だと思う。

 

でも、俺は別に誰かと競争したいわけじゃない。

 

俺は俺のペースで旅をして、ポケモンリーグに出られればそれでいい。

 

もちろん、出場するからには優勝を目指すけどね。

 

「おお、リンヤか!待っておったぞ!」

 

研究所に到着すると、オーキド博士が出迎えてくれた。

 

「おはようございます、博士」

 

「ほっほっほ。相変わらずのんびりしておるのう」

 

「急いでも疲れるだけですからねぇ」

 

「それもそうじゃな」

 

博士はソウブレイズを見上げた。

 

「ソウブレイズも元気そうじゃのう」

 

「ソウ」

 

「しかし、何度見ても立派に育ったものじゃ」

 

「生まれたときから最終進化してましたけどね」

 

「ほっほっほ!そうじゃったな!」

 

博士は笑いながら机の上からポケモン図鑑を取り出した。

 

「これを持っていきなさい」

 

「ありがとうございます」

 

ポケモン図鑑。

 

前世ではゲームのメニュー画面で何度も開いたものだ。

 

それが今、実際に俺の手の中にある。

 

……なんだか感慨深い。

 

「それから、モンスターボールじゃ」

 

博士から空のモンスターボールを五個受け取る。

 

「ソウブレイズのボールは持っておるからのう」

 

「はい」

 

「リンヤ、お前さんもセキエイリーグを目指すんじゃろう?」

 

「そうですねぇ。せっかくですし」

 

「せっかく、か。相変わらず欲がないのう」

 

「優勝はしたいですよ?」

 

「ほう?」

 

「参加するなら勝った方が楽しいですから」

 

博士は少し驚いたあと、愉快そうに笑った。

 

「なるほどのう。お前さんらしい」

 

「そうですかね?」

 

「うむ。ただし、油断は禁物じゃぞ」

 

「分かってますよ〜」

 

俺は図鑑をポケットにしまった。

 

さて。

 

これで準備は整った。

 

「それじゃあ博士、行ってきます」

 

「うむ!気をつけてな!」

 

「ソウ」

 

ソウブレイズも軽く頭を下げた。

 

研究所を出ると、遠くから賑やかな声が聞こえてきた。

 

「シゲルさまー!」

 

「頑張ってー!」

 

「絶対優勝してねー!」

 

……ああ。

 

シゲルの応援団か。

 

相変わらずすごい人気だねぇ。

 

「おや?リンヤじゃないか」

 

声をかけられて振り返る。

 

そこにはシゲルが立っていた。

 

「やあ、シゲル」

 

「君も今日から旅立つんだね」

 

「うん」

 

「ふふん。僕はカントー地方のジムを制覇して、セキエイリーグで優勝するつもりさ」

 

「へぇ〜、頑張ってね」

 

「……君もリーグを目指すんだろう?」

 

「そうだよ〜」

 

「だったら僕たちはライバルってことになるね」

 

「そうなの?」

 

「……そうなのって」

 

シゲルが眉をひそめた。

 

「同じ大会で優勝を目指すんだから当然だろう?」

 

「ん〜、別に誰がライバルとか考えたことないなぁ」

 

「君は本当に変わってるね」

 

「よく言われる」

 

シゲルは肩をすくめた。

 

「まあいいさ。リーグで会えたら、僕の実力を見せてあげるよ」

 

「楽しみにしてるね〜」

 

「それじゃあ、お先に!」

 

シゲルは車に乗り込み、応援団とともに走り去っていった。

 

「……賑やかだねぇ」

 

「ソウ」

 

ソウブレイズが頷く。

 

さて。

 

俺たちも行こうか。

 

マサラタウンを抜け、トキワシティへ続く道を歩く。

 

空は青く、風は心地よい。

 

遠くではポッポが飛び、草むらからコラッタが顔を出している。

 

……本当にポケモンの世界なんだなぁ。

 

十年間暮らしていても、たまにそう思う。

 

前世では画面越しにしか見られなかった光景が、今では当たり前のように広がっている。

 

「ソウブレイズ」

 

「ソウ?」

 

「これからよろしくね」

 

「ソウ」

 

ソウブレイズは静かに頷いた。

 

俺が五歳の頃から一緒にいる相棒。

 

生まれた瞬間に進化するという、とんでもない出来事を起こしたポケモン。

 

だけど、俺にとってはただの大切な家族だ。

 

強いから一緒にいるわけじゃない。

 

珍しいから連れているわけでもない。

 

ただ、こいつと一緒に旅をしたい。

 

それだけだ。

 

「……さて、まずはトキワシティだねぇ」

 

「ソウ」

 

「でも、その前にちょっと休憩しようか」

 

「ソウ!?」

 

ソウブレイズが驚いたように振り返った。

 

「え?まだ出発したばかり?」

 

「ソウブレイズ!」

 

「まあまあ、先は長いんだから」

 

「ソウ……」

 

ソウブレイズは頭を抱えた。

 

……いや、そんなに呆れなくても。

 

俺だってちゃんと考えている。

 

旅は長い。

 

無理をして体調を崩すより、適度に休憩を取った方がいい。

 

それに、今日は天気もいい。

 

木陰で昼寝するには最高の日和だ。

 

「ほら、あそこの木なんか良さそうじゃない?」

 

「ソウ……」

 

ソウブレイズはしばらく俺を見つめていたが、やがて諦めたように頷いた。

 

「よし、決まり!」

 

俺は木陰に向かって歩き出した。

 

……ああ、そうだ。

 

一つだけ言っておこう。

 

俺はポケモンバトルが嫌いなわけじゃない。

 

むしろ好きな方だ。

 

前世でもゲームでは対戦を楽しんでいたし、タイプ相性や技の組み合わせを考えるのは得意だった。

 

ただ、誰かと競争すること自体にはあまり興味がない。

 

勝ちたいとは思う。

 

だけど、他人より上に立ちたいとは思わない。

 

その違いは結構大きいと思う。

 

「……まあ、リーグでは優勝したいけどね」

 

「ソウ?」

 

「いや、なんでもない」

 

俺は笑って手を振った。

 

そして、木陰に腰を下ろす。

 

ソウブレイズは隣に立ち、周囲を警戒していた。

 

「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」

 

「ソウ」

 

「……まあ、頼りにしてるけどね」

 

ソウブレイズは小さく頷いた。

 

俺はリュックから水筒を取り出し、一口飲む。

 

冷たいお茶が美味しい。

 

……うん。

 

最高だ。

 

「さて、これからどんなポケモンに出会えるかなぁ」

 

「ソウ」

 

「楽しみだね」

 

ソウブレイズは俺を見て、静かに頷いた。

 

こうして、俺とソウブレイズの旅が始まった。

 

目指すはセキエイリーグ。

 

ただし、急ぐつもりはない。

 

焦らず、無理せず、自分たちのペースで。

 

……とりあえず、今日はトキワシティまで行ければいいかな。

 

 




現在の手持ちポケモン

ソウブレイズ♀ Lv.15
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