転生したのでポケモン世界をのんびり旅します   作:AIは許される?許してよ

3 / 5
トキワシティ到着そして博士からのお小言

ポケモントレーナーとして旅立ってから、まだ1日も経っていない。

 

そんな俺だが、現在ちょっとした問題を抱えている。

 

いや、問題というほど深刻なものでもないんだけど。

 

「ソウブレイズ、ひのこ」

 

「ソウ!」

 

ボフッ!

 

「キャタピー!?」

 

「ああっ!僕のキャタピーが!」

 

目の前でキャタピーが倒れた。

 

これで何連勝目だっただろうか。

 

確か、5連勝くらいだった気がする。

 

「キャタピー、戦闘不能!勝者、リンヤ!」

 

対戦相手の少年が悔しそうにモンスターボールを取り出す。

 

「戻れ、キャタピー!」

 

赤い光に包まれ、キャタピーがボールへ戻っていった。

 

「うぅ……強いなぁ、君のポケモン」

 

「ありがとう。こいつとは長い付き合いだからねぇ」

 

「それにしても、ソウブレイズなんて初めて見たよ」

 

「パルデア地方のポケモンなんだ」

 

「へぇ〜!格好いいなぁ!」

 

少年は興味深そうにソウブレイズを見上げた。

 

ソウブレイズは静かに胸を張っている。

 

……うん。

 

褒められるのは嬉しいらしい。

 

「それじゃあ、これが賞金ね」

 

少年が財布からお金を取り出した。

 

「ありがとう」

 

俺は受け取った賞金を確認する。

 

……うん。

 

なかなかいい金額だ。

 

なぜなら、ソウブレイズには現在、ある道具を持たせているからである。

 

その名も、おまもりこばん。

 

前世のゲームでは、持たせたポケモンが戦闘に参加すると、バトル後に貰える賞金が2倍になる便利なアイテムだ。

 

そして、この世界でも同じ効果がある。

 

……いや、本当にどういう仕組みなんだろうね、これ。

 

相手が支払う賞金そのものが増えているのか、それとも何らかの不思議な力で増えているのか。

 

実際に確認したところ、相手が支払った金額以上のお金が、いつの間にか俺の財布に入っていた。

 

怖い。

 

便利だけど怖い。

 

お金が増える道具なんて、前世の世界に存在していたら大騒ぎになっていただろう。

 

しかも、偽札でも何でもない普通のお金である。

 

……ポケモン世界の不思議って、こういうところにもあるんだなぁ。

 

「それじゃあ、またね〜」

 

「うん!次は負けないからね!」

 

少年と別れ、俺たちは再び歩き始めた。

 

マサラタウンからトキワシティへ続く1番道路。

 

ゲームでは序盤の短い道路だが、現実ではそれなりの距離がある。

 

そして、道中には俺と同じように旅をしているトレーナーもいる。

 

彼らと目が合えば、バトルを申し込まれることも珍しくない。

 

……いや、ゲームみたいに目が合った瞬間、強制的に戦闘が始まるわけじゃないよ?

 

ちゃんと声をかけてくる。

 

当たり前だけど。

 

「それにしても、結構稼げたねぇ」

 

俺は財布の中身を確認した。

 

旅立つ前に両親から渡されたお小遣い。

 

それに加えて、道中のトレーナーとのバトルで獲得した賞金。

 

しかも、おまもりこばんのおかげで通常より多く貰えている。

 

……これはしばらく食費に困らなさそうだ。

 

「ソウブレイズ、今日の夕飯はちょっと豪華にしようか」

 

「ソウ?」

 

「頑張ってくれたしね。美味しいもの食べよう」

 

「ソウ!」

 

ソウブレイズが嬉しそうに頷く。

 

まあ、バトルで頑張っているのは基本的にソウブレイズだからなぁ。

 

俺は指示を出しているだけだ。

 

もちろん、指示にもそれなりの技術は必要だけど。

 

今回のように相手との実力差が大きい場合、細かい戦術を考える必要もない。

 

ひのこを撃てば大体終わる。

 

……いや、本当にそれでいいのか?

 

少し心配になってきた。

 

このままだと、ソウブレイズがひのこしか使えないポケモンだと思われそうだ。

 

実際には、ほかの技も使えるんだけどね。

 

「……まあ、強い相手と戦うときに見せればいいか」

 

「ソウ?」

 

「なんでもないよ〜」

 

そんな会話をしながら歩いていると、遠くに建物が見えてきた。

 

「おっ」

 

見覚えのある景色だ。

 

大きな建物。

 

整備された道路。

 

そして、町の入口に立てられた看板。

 

『トキワシティ』

 

「……着いたねぇ」

 

「ソウ!」

 

ソウブレイズが嬉しそうに頷いた。

 

こうして俺たちは、最初の目的地であるトキワシティへ到着した。

 

トキワシティ。

 

カントー地方の西部に位置する都市であり、ポケモンリーグへ続く道の入口でもある。

 

ゲームでは最初に訪れる町の1つだ。

 

ちなみに、ここにはトキワジムが存在する。

 

ジムリーダーは……まあ、知っている。

 

前世の知識が正しければ、ロケット団のボスであるサカキだ。

 

……いや、なんでそんな人物が堂々とジムリーダーをやっているんだろうね。

 

しかも、ポケモンリーグ公認のジムである。

 

この世界の審査制度、大丈夫なのだろうか。

 

もっとも、今の俺がそれをどうこうするつもりはない。

 

そもそも、サカキが本当にロケット団のボスなのかどうかも確認していない。

 

前世の知識と現実が完全に一致する保証はないからだ。

 

下手に首を突っ込んで面倒事に巻き込まれるのは御免である。

 

……うん。

 

とりあえず、ジムは後回しにしよう。

 

「さて、まずはポケモンセンターだね」

 

「ソウ」

 

ソウブレイズと一緒に町を歩く。

 

マサラタウンとは違い、トキワシティには多くの人が行き交っていた。

 

ポケモンを連れたトレーナー。

 

買い物袋を持った主婦。

 

仕事帰りらしい会社員。

 

そして、空を飛ぶポッポの群れ。

 

……こうして見ると、普通の町なんだよなぁ。

 

ポケモンがいることを除けば、前世の日本とそれほど変わらない。

 

いや、よく考えれば結構違うか。

 

道端を歩いている人の隣に、普通に巨大なポケモンがいるんだから。

 

「あ、ポケモンセンターだ」

 

赤い屋根に、大きなモンスターボールのマーク。

 

間違えようがない。

 

俺は自動ドアをくぐり、建物の中へ入った。

 

「いらっしゃいませ!ポケモンセンターへようこそ!」

 

カウンターの向こうから、ピンク色の髪をした女性が声をかけてきた。

 

ジョーイさんだ。

 

……本当にアニメと同じ顔だなぁ。

 

いや、そもそもジョーイ一族はみんな似た顔をしているらしいけど。

 

遺伝子どうなってるんだろう。

 

「こんにちは〜」

 

「こんにちは。ポケモンの回復ですか?」

 

「はい。お願いします」

 

俺はソウブレイズのモンスターボールを取り出した。

 

「ソウブレイズ、ちょっと戻ってね」

 

「ソウ」

 

ソウブレイズが赤い光に包まれ、ボールの中へ戻っていく。

 

俺はそのボールをジョーイさんに渡した。

 

「お預かりしますね。少々お待ちください」

 

「は〜い」

 

さて。

 

回復が終わるまで暇だなぁ。

 

……そうだ。

 

オーキド博士に連絡しておこう。

 

ポケモンセンターには、トレーナーが利用できる通信設備が設置されている。

 

電話だけでなく、映像を使った通話も可能だ。

 

俺は通信機の前に座り、オーキド研究所の番号を入力した。

 

数回の呼び出し音のあと、画面に見慣れた顔が映し出された。

 

『おお、リンヤか!』

 

「こんにちは、博士〜」

 

『ほっほっほ。無事に旅立ったようじゃな。それで、今はどこにおるんじゃ?』

 

「トキワシティのポケモンセンターです」

 

『ほう!もう到着したのか!』

 

「はい。のんびり歩いてきました」

 

『お前さんのことじゃから、途中で昼寝でもしておるかと思ったぞ』

 

「しましたよ?」

 

『したんかい!』

 

博士が思わず突っ込んだ。

 

……いや、そんなに驚かなくても。

 

「ソウブレイズに膝枕してもらって、1時間くらい寝てました」

 

『……ソウブレイズも大変じゃのう』

 

「そうですかね?」

 

『まあ、よい。それで、旅の調子はどうじゃ?』

 

「順調ですよ。道中でトレーナーと何回かバトルしましたけど、全部勝ちました」

 

『ほう!それは素晴らしい!』

 

「おまもりこばんのおかげで賞金も結構貰えましたし」

 

『……お前さん、旅立って早々に金儲けか?』

 

「旅費は大事ですからねぇ」

 

『それはそうじゃが……』

 

博士が苦笑する。

 

まあ、実際に旅をするとなればお金は必要だ。

 

食費、宿泊費、道具代。

 

ポケモンセンターのサービスが充実しているとはいえ、何もかも無料というわけではない。

 

だから、稼げるときに稼いでおく。

 

……うん。合理的だ。

 

『ところでリンヤ』

 

「はい?」

 

『新しいポケモンは何匹捕まえたんじゃ?』

 

「……え?」

 

『いや、だから新しいポケモンじゃ。1番道路にはポッポやコラッタがおるじゃろう?』

 

「ああ〜」

 

そういえば。

 

「まだ1匹も捕まえてませんねぇ」

 

『……なんじゃと?』

 

博士の表情が固まった。

 

『お前さん、まだ1匹もゲットしておらんのか?』

 

「はい」

 

『モンスターボールは渡したじゃろう?』

 

「ちゃんと持ってますよ〜」

 

『なら、どうして捕まえんのじゃ?』

 

「いやぁ、それがですねぇ……」

 

俺は少し困ったように頬を掻いた。

 

「ゲットする前に、ソウブレイズが倒しちゃうんですよ」

 

『…………』

 

博士が無言になった。

 

「野生のポッポと戦ったんですけど、ひのこ1発で倒れちゃって」

 

『……ひのこで?』

 

「はい」

 

『1発で?』

 

「はい」

 

『…………』

 

博士は額に手を当てた。

 

『リンヤよ……』

 

「はい?」

 

『少しは手加減というものを覚えんか!』

 

「いやぁ、手加減してるつもりなんですけどねぇ」

 

『最終進化したソウブレイズと、野生のポッポでは実力差がありすぎるじゃろう!』

 

「それはそうなんですけど……」

 

『捕まえたいなら、倒してしまう前にモンスターボールを投げることも考えなさい!』

 

「なるほど〜」

 

確かに。

 

ゲームでは相手のHPを減らしてからボールを投げるのが基本だ。

 

でも、現実では必ずしも戦闘不能寸前まで弱らせる必要はない。

 

そもそも、野生のポケモンが自分から仲間になりたがることもあるらしい。

 

アニメではそういう場面も何度かあった。

 

……まあ、俺の場合はソウブレイズが強すぎるのが問題なんだけど。

 

『まったく……せっかく旅に出たんじゃから、いろいろなポケモンと出会いなさい』

 

「分かりましたよ〜」

 

『本当に分かっておるのか?』

 

「もちろんです」

 

『……怪しいのう』

 

博士がため息をつく。

 

「まあ、気になるポケモンがいたら捕まえますよ」

 

『うむ。それでよい。無理に数を増やす必要はないが、いろいろなポケモンと触れ合うことも大切じゃからな』

 

「はい」

 

『それと、ソウブレイズにもよろしく伝えておいてくれ』

 

「分かりました」

 

『では、旅を楽しむんじゃぞ!』

 

「は〜い。また連絡しますね」

 

通信が終了した。

 

画面が暗くなる。

 

……ふむ。

 

新しいポケモンかぁ。

 

確かに、いつまでもソウブレイズ1匹というわけにはいかないだろう。

 

ジム戦では複数のポケモンを使うこともあるし、リーグに出場するなら手持ちを増やしておいた方がいい。

 

ただ、適当に捕まえるつもりはない。

 

せっかく一緒に旅をするなら、気に入ったポケモンがいい。

 

……まあ、どんなポケモンと出会えるかは運次第だけどね。

 

「お待たせしました!」

 

ジョーイさんの声が聞こえてきた。

 

「ソウブレイズの回復が終わりましたよ」

 

「ありがとうございます」

 

俺はボールを受け取り、ソウブレイズを外へ出した。

 

「出ておいで、ソウブレイズ」

 

「ソウ!」

 

赤い光とともにソウブレイズが現れる。

 

「お疲れ様。調子はどう?」

 

「ソウ」

 

元気そうだ。

 

「そうそう。さっき博士と話したんだけどさ」

 

「ソウ?」

 

「俺たち、まだ新しいポケモンを1匹も捕まえてないって注意されちゃった」

 

「ソウ……」

 

ソウブレイズが少し首を傾げる。

 

「いや、別にソウブレイズが悪いわけじゃないよ」

 

「ソウ?」

 

「ただ、野生のポケモンを1発で倒しちゃうから、ゲットするタイミングがないんだよねぇ」

 

「…………」

 

ソウブレイズが自分の腕を見下ろした。

 

……いや、そんなに気にしなくても。

 

「まあ、次からは少し考えようか」

 

「ソウ」

 

「とりあえず、今日はもうバトルしなくていいかな」

 

「ソウ?」

 

「だって、お腹空いたし」

 

「ソウ……」

 

また呆れられた。

 

……なんでだろう。

 

俺としては非常に合理的な判断だと思うんだけど。

 

「ほら、今日は結構稼いだし、美味しいものでも食べに行こう」

 

「ソウ!」

 

途端に元気になった。

 

……やっぱり、食べ物の話には弱いらしい。

 

まあ、俺もだけど。

 

こうして俺たちは、トキワシティの町へ繰り出した。

 

まだ手持ちはソウブレイズだけ。

 

だけど、旅は始まったばかりだ。

 

焦ってポケモンを増やす必要はない。

 

いつか気の合う仲間が見つかれば、それでいい。

 

 




現在の手持ちポケモン

ソウブレイズ♀ Lv.15
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。