このSSを読んでくださる人に申し訳ないと思いつつ、これから頑張って生きたいと思います。
「ふぅ〜やっぱいいよな、風呂って」
なんでも今日は、男子が大浴場を使っていいそうだ。結局は日本人。風呂はいい。
「お、お邪魔します……」
「嫌だ。帰れ」
「酷いっ!?」
なんか聞こえてきたのは、本来こんなところで聞くはずのないやつの声。
「なんでお前が来るんだビッチ。お前が先入っていいって言ったから入ったのに、何がどうなったらお前も入るなんていう馬鹿な結論に達するんだよ。なんだ?俺のこと襲おうってか?」
「そんなんじゃないよっ!」
そんなんにしか思えねぇっての。
「……僕が一緒だと嫌?」
「嫌」
「…清々しいほどに素直だね。ちょっと傷つくよ」
「知るか」
なんで俺が悪いみたいな言い方しやがる。よ〜く見やがれ、どう見ても俺の『俺』の方が危ないだろうが。
「んで、なんのようだ?ホント襲おうってのは勘弁な……」
「違うって……お礼、言えてなかったからさ」
「……お礼?」
こいつに感謝されるようなことしたっけ?
「君が、僕に居場所をくれた」
「居場所もなにも、提供者が屑だから、監獄みたいに最悪だろ?」
「かもね」
微笑を浮かべて同意する。
「でも、僕が居られる中では一番マシだと思うから」
「どうしようもないな、お前の人生」
「だね」
ただこっちの気まぐれで巻き混んだだけなのに、
「……ありがとう、一夏くん」
そんな言葉が欲しかったんじゃ……ない……。
「あとね」
「…なに?」
「僕、シャルロット・デュノアとして生きていこうと思う」
「あ、そ」
堂々とする場所間違えてんだろ。また、面倒なことになるじゃねぇか。
「…だったら、ちゃんと話しとけ」
「え…何を?」
「お前がなんで男装なんていう屑なことしてたか。ちゃんと説明しろ。お前に非がなくても謝罪しろ。お前は多くのやつらを騙したんだから」
「…そう、だね」
というか、絶対俺にもとばっちりが来る。
「…やっぱり優しいね、一夏くんは」
「キモいからやめろ。ぶっ壊すぞ」
なんでお前らはそういうことばっかり言う?
「一夏くんって……ツンデレ?」
「誰がツンデレだ!……べ、別にお前のために優しくしたんじゃねぇからな」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………はい、ぶっ殺すーーーー」
「えっ?ちょっ待って!それ僕悪くないじゃん!君が勝手にやった…痛いっ!痛い痛い痛い痛いって!頭が潰れる!握力が強い人が誇示する時に使う林檎みたいに潰れちゃう!」
「そんなに丁寧に解説出来る余裕はあるんじゃねぇか、あぁ?おとなしく、潰れてろ」
「だから待ってって!!ホント痛いからっ!あーなんか目の前が白くなってきたー。あ、お母さんー」
走馬灯見ちゃってるよこいつ。
「安心しろ、すぐに会わせてやる!」
「僕は、こんなところで…死ねないんだ…!僕は、生きる!!」
ウルセェ。そんなドラマチックな場面じゃねぇよ。
「第一!君が勝手にいかにもツンデレ〜みたいな、テンプレなことして、恥ずかしくなっただけでしょ!?誤魔化すためにここで生命の灯火を消さないでよ!!」
「はい、死刑」
こいつの頭は林檎。こいつの頭は林檎。こいつの頭は林檎。こいつの頭は…。
「いちいち長ったらしいし、無駄に詩的な言い回しがウッゼェんだよっ!」
より強く潰す。
「新しい始まりに祝福を。シャルロット・デュノア」
「ここでそのセリフは駄目ーーーーー!!」
「……冗談だ」
「冗談で死にかけたらそれもう冗談のレベルを逸してるよね!?僕は毎日走馬灯なんか見たくないよ!」
「ゴチャゴチャウルセェな、犬は犬らしくワンワン言ってろ」
「もはや人間でもなくなった!?」
俺からしてみりゃ捨て犬だ。
「……もういいや。話したいことは話したし、僕はそろそろ出るね?」
「……ちょ待てよ」
あいつの腕を引っ張ってこっちへ引き寄せる。バランスが取れなくて俺の方に転ぶビッチ。
「えっ?あの、何か………」
「お前、忘れてるだろ?」
目の前の女の耳に囁く。
「何、を……?」
「俺が男だってこと」
一糸纏ぬ男女がひと組。
「目の前にあられもないメスが一匹いるんだぜ?こういう時、どうなると思う?」
「……あっ、それは……その……」
「優しい俺ならなにもしないだろうって?甘いわ、お前」
「……駄目!」
抵抗を続けるビッチ。
「……逃がさねぇよ?」
いや、なにもしてないからね?
結局優しい一夏はなにもしてないからね!!