やっぱバトルは苦手だ。なんか淡々としている。
一応、正田卿をリスペクトしてますが、まるで及ばない。
意図的なのか、偶然なのか、代表候補生たちが追加パッケージの換装を終えるその瞬間まで、一夏は戦っていた。
(考えすぎか……)
砲戦パッケージ『パンツァー・カノニーア』。両肩に装備した八十口径レールカノン《ブリッツ》が火を噴いた。
「…初弾、目標の装備に着弾。爆散し、目標変わった様子なくこちらへ進行中。引き続き砲撃を行う」
迎撃対象『白貌』は杭を打ち出しこっちの砲撃に応戦する。かつ、速度を落とすことなくこちらへ向かってくる。
「くっ…やはりスピードは落ちるか……!!」
名前の通り、遠距離からの戦闘を考えられたこのパッケージは機動性に重点を置いてはいない。
気づけば、視認出来るほどの距離に迫ってきている。
「-----」
「……セシリア!!」
「もらいましたわっ!!」
ステルスモードからの急接近。零距離からの大型BTレーザーライフル《スターダスト・シューター》の射撃。
「-----」
「これを躱しますの!?」
銃口先から機体までは数センチ。トリガーを引き、閃光が放たれるまでのコンマ数秒で、『白貌』は身体を捻り難なく躱した。
「セシリア!早く距離を取れ!!」
「くっ!!」
ラウラが叫んだ時には、既に杭は飛んでいた。
強襲用高機動パッケージ『ストライク・ガンナー』の機動性で10メートル以上は離れたが、その距離を一瞬で無と化す速度の投擲。
「危ないっ!」
それを防いだのはシャルロットのリヴァイヴ。防御パッケージ『ガーデン・カーテン」。並の兵器では、そうそうに落とされることはない。だが、
「嘘っ!?一撃で大破させちゃうの!?」
杭の一突きで使用不可能となった。
「全員追加パッケージで遅くなるなら直ぐに取り外せ!目標との戦闘は機動性を重視しろ!攻撃を一撃でも食らえば、前線離脱は免れんぞ!」
『パンツァー・カノニーア』を緊急脱離したシュバルツェア・レーゲンがリボルバーカノンで牽制する。
「鈴!まだか!」
『もうすぐで宿に着く!もうちょっと待ってて!』
「分かっているが速くしてくれ!」
「正直、絶体絶命だよね、この状況……」
「えぇ、お世辞にも優勢とは言えませんわね……」
一夏救出に成功し鈴が戻ってくるまでの間、三人で持ち堪えなければならない。
「けど、なんとか保ってる」
「あぁ嫁との訓練のおかげだ」
彼女らは毎日のように一夏と訓練をしていた。人外との戦闘訓練の成果が、今人外との戦闘に現れていた。以前の彼女たちなら、数分と持ち堪えることはできなかっただろう。
「しかしそれでも、絶望的なのには変わりません、がっ!!」
ビットを全てスラスターとしたブルー・ティアーズの武器はライフル一丁のみ。だが、それで得た速度はこの中で一番対抗できていた。
《スターダスト・シューター》の連射は『白貌』にとって、小雨が打ち付けるのとなんら変わりはしない。食らってもその装甲に、大した傷跡は残らない。
「頑丈過ぎますわっ!」
「全く!レーザーも実弾も効かないなんて、これこそ無理ゲーだね!」
「シャルロット!無理ゲーってなんだ!」
「無理ゲーっていうのはねラウラ!攻略が無理だろうっていうほど難しいゲームとかそういう展開のことだよっ!」
「シャルロットさん!よりによって今そんなことを説明しないでください!ラウラさんも自分で調べてください!」
『アンタたち今戦ってるのよね?』
無線で呆れたような鈴の声が聞こえる。
「こうでもしないと正気でいられない、じゃん!」
二丁拳銃により、激しく轟く銃撃音。その全てが特別な防御なしに、ただのその装甲に防がれる。
「近づき過ぎるなシャルロット!」
「分かってる!」
ここで
「-----」
「くっ!!」
「これは……!!」
「ヤバイ、ね!」
一斉に杭を狂い放つ『白貌』。
「させないわよっ!」
現れたのは甲龍を身に纏った鈴。機能増幅パッケージ『崩山』により増設された衝撃砲が無数の紅蓮の弾丸を放つ。
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
その後ろからは『紅椿』を纏った箒が、『雨月』の打突がエネルギー刃を打ち出し、残りの杭を撃ち落とす。
「遅くなっちゃってごめん!」
「すまない!待たせた!」
「いいところで来てくれた!」
「タイミングがヒーローみたい」
「とりあえずあたしと箒でやるから、三人は援護をお願い」
「分かりましたわ」
「……行くわよ、箒」
「あぁ……!」
甲龍と紅椿が翔ける。
豪炎を纏った砲弾は杭を蹴散らし、『空裂』から放たれた斬撃が斬り伏せる。
「くっ!キリがない!」
「あぁもう!しつこい!」
いくら撃っても斬っても放ち続ける。
「どうやら本当に人外みたいだね。弾数があるわけでもなくて、エネルギー系のものでもない」
「一夏さんと同じく、無制限。長期戦は得策ではありませんわね」
「だったらなおさら!」
アタックを仕掛ける箒。
「あまり前出過ぎないで!」
「はぁぁぁぁぁぁっ!」
『雨月』と『空裂』の二刀から放たれるエネルギー波が、『白貌』を仕留めるために空を走る。
杭をも斬り裂くその出力は、第四世代の名に相応しいものであった。
だが、
「ぐっ!!?」
「箒!!」
一つ。第四世代と言えども、改良の余地は大いにあり、例としてエネルギー燃費の悪さ。これほどの猛攻を凌ぐため刀を振るい続けたために、既に『紅椿』のエネルギーは限界に近くなっていた。
二つ。篠ノ之箒自体のIS経験は浅いということ。他の専用機持ちに比べ、戦闘経験の無さは否めない。
故に、一撃喰らい、その隙に他の候補生たちに攻撃が移るのは、至って当然なことでもあった。
「こんのおおおおぉぉぉっ!」
ただ、一つ。これは偶然か必然か。
「鈴!!」
箒を助けようとした鈴が『たまたま』攻撃対象になったこと。
「-----」
「……っ!!」
「鈴ーーー!!」
堕ちていく龍。たった掠っただけで、ただのISに致命傷を与えるには十分過ぎた。
「大、丈夫……」
「すまない……」
「いいって……それより次来るわよ!」
再び放たれた杭の雨。射撃・斬撃・実弾・レーザー、全てを防ぎきれるわけではない。
「きゃっ!!」
「くっ!!」
「うわっ!!」
当たったか当たってないか、其れ程にも関わらず皆のシールドエネルギーは10%を切っていた。
「このままじゃ……箒!!」
「え……っ!?」
後ろに現れたのは、『白貌』。至近距離で放たれる杭。
「くっ!!」
刹那、
「……あ、れ?」
飛んで来なかった。
「……打鉄?」
量産機の打鉄がそこにいた。
「……無事か?篠ノ之」
聞き覚えのある、凛とした力強い声。
「……千冬さん?」
そして見覚えのある姿。
「織斑先生、だ」
その目に映るは、
今回を含めて、あと3〜4話で自分が考えてたところに達すると思います。
その後は原作通りの展開に進めていくか、Dies 要素を取り入れていくか。まだ未定ですが、そのうち聞くかもしれません。
感想等お待ちしています!!来たら五体投地しながら歓喜に震えます!!