取り敢えず話は終わってから。
「大丈夫なのか?」
「あんなんでくたばるかよ馬鹿が。知ってんだろ?俺、頑丈なんだよ」
心配してくる堕姉。涙浮かべてんじゃねぇよ。
「一夏……」
「おうおう、お前らも結構ボロボロだなぁおい。随分ファイトしてたんだな」
「し、心配かけてんじゃないわよっ!」
「勝手に心配してんじゃねーよ。後でいくらでも怒られてやるから、今はそこらでおとなしくしてろ」
これ以上、こいつらの惨めな姿なんざ見たくない。
「でも一夏くんだけじゃ!!」
「いたんだな、シャルロット・デュノア」
「いたよっ!このくだりにホッとしている僕がいるよっ!」
いや、知らんがな。
「ともかく俺一人で十分、瞬殺してやるわ」
「ですが……」
「うるさい。俺がいいって言ってんだ。知らねぇのか?主人公がコテンパンにやられた後ってのは、大抵強くなって復活するんだよ」
「だがそれは、フィクションの中の……」
「あぁもうしつけぇなぁ。実際俺、さっきよりだいぶ強いし」
というか、それ以前に。
「フィクションだろうがなんだろうが、この世界の主人公は俺だから。主人公補正かかりまくりのチーターが、こんないかにもテンプレな場面で、何も変わらず戻ってくるわけねぇだろ。それこそマジカッコ悪いわ」
女共が、文字通り命懸けで殺りあってるのに、黙って見てるとか、男として屑だろう。てか、死んだほうがいいそんなやつ。
「…………任せて、いいんだな」
「おうおう任せておけ。さっさと終わらせて、ご期待通り感動の再会してやるから」
「……全員、撤退するぞ」
「教官!!」
「大丈夫だ」
ほらほらさっさと安全なとこまで下がってろ。迷惑極まりないわマジで。
「あいつの今の目は、信じられる」
どいつもこいつも、俺の目がああだこうだって言うけど、俺の目どうなってんだっての。
「……さて、と」
目の前のやつに改めて意識を集中する。
「俺もちっと前に遊んでもらったけどよ、あのメス共も結構お世話になったみてぇじゃねぇか、あぁ?」
相変わらずのダンマリでイラつく。
「な〜に勝手に人のもんに手ぇ出してんだジャンク風情が。俺の許可なしで、勝手に傷物にすんじゃねぇよ」
分からせなきゃなぁ。
「この世界のトップは俺だ。お前邪魔」
「-----!」
瞬間弾ける気。空間が紅くなっていく。
「あらかじめ仕込んでおいたってか?用意周到だねぇ見かけによらず」
「けど…」
その中をただ駆け、ただ近づき、ただ殴る。
「-----!!」
「びっくり仰天か?前は必殺技ぶっ放しただけでくたばったやつが、飄々と自分のとこまで来て、あげくは殴られて。変わりっぷりに開いた口が塞がらないってな」
数十メートル吹飛んだ白貌は驚いたような顔をしている。いや、多分だけど。
「俺がお前に敵わなかったのは、お前が一つ上の段階にいたからだ。元のスペックで言えば、俺の方が遥かに上だ」
『形成』位階と『創造』位階の差。だが、並んだ今はその差はない。出るとしたらそれは、使役者の実力の差。
「んでも、ダルいもんはダルいんだよ」
実力が並んだことで、虚脱感は減ったが、それでも多少の疲労は感じる。
「つぅわけで、この気色悪い世界ぶっ壊すけどいいよなぁ?答えなんざ聞いてねぇけど」
そして、唱えろ。己の渇望を。
「本当の…渇望……」
「気づいているのだろう?わざわざ私が口にする必要などない。あぁ、分かっている。認めたくないのだろう?だが、認めなければならない。偽りの願いに応える者など何もない。そしてそれは君から口にしなければならない。君の言葉に耳を傾けろ。君の魂胆にあるものを感じろ。素直になりたまえ。あるがままに君の言葉を叫びたまえ。私に聞かせてくれ、君の嘘偽りのない真実の言葉を」
「……俺は」
「今、君は何を成したい?今、君はどうしたい?」
「……ぶっ壊したい」
知らず知らず溢れていた言葉。
「俺の
揺るぎはしない。
「そのために犠牲は惜しまない。今更何も残ってねぇ俺が捨てれるものなんてねぇけど、何か成そうってしてんだ。何も捨てれないで出来るか」
代償など付き物。
「……ただ」
ただ、増えただけ。
「今は、あいつをどうしようもなくぶっ壊したい」
俺が変えたくない、壊した後でも創り、残したいものが。
「俺のもんを勝手に傷つけたあの野郎をぶっ壊す!!」
「ふふ、ふふふ、ふふふふふふふ、ははははははははっ!!!」
叫び笑う蛇。狂ったかのように声を上げる。
「それが君の心の底からの叫びか!あぁ実に素晴らしい!久々に心揺さぶられたよ。ふふ、ふふふははははっ!なんとも美しい願いではないか。君の破壊願望は、憎悪や憤怒だけでなく、護りたいというまさに聖人のようだ。君は幼き頃から何も変わってはいなかった。あの時感じた愛を護りたい、今感じることの出来る愛を護りたい。常にそれ一つ。あぁ実に素晴らしい。認めざるを得ないな。君は私が描く新たな舞台の主役に相応しい。誰が、何を言おうとも、君のその思い描く世界を否定はさせぬし、冒涜させはしない。私を魅せてくれ、君のその理想で!」
歪みが広がり、向こうの世界と繋がる。
「……いろいろあんがと、お二人さん」
「私は別に何も……」
「その通り。お前がただ、登っただけだ。理想への階段を」
「あぁ、ツァラトゥストラ」
「そのツァラトゥストラってのはやめてくれ。俺は藤井 蓮。それが俺の名だ」
「そうか。なら、織斑一夏。それが俺の名だ。いろいろ世話になった」
「あぁ」
もしかすると、彼らとは戦うことになるかもしれない。互いの理想は違うから。
「そん時は、負けねぇ……蓮」
目を覚ました。
「あの少年は剣を手にする
己を無力と嘆くのみ
其の者に何を変えられると言う?」
頭から流れ出す言葉の旋律。何を意味し何処からやって来たのか。それは至極些細である。
「あの少年は黒い剣を手にする
憤怒と憎悪を纏いて、
やがて彼は運命にも牙をむくだろう」
手の中から、形を成す剣。俺がジークフリートなら、さしずめ
「この舞台に立つのは彼一人
恐れを知らぬ少年は、愛をも知らぬ
私は誰か?私は何なのか?
ただ手に入れたのは呪われたこの身
孤独を嘆いた先に、彼は愛を欲する」
恐怖は忘れた。愛も忘れた。自分も忘れた。
でも、分かる気がする。いつの話か分からないけど。
「渇きが満たされ原初に還るのならば、
なにもいらないのか?
今何を成せるという?
願うだけで何を成せるという?」
理想の世界が出来たら、何をするんだろう?
……またあいつらの世話を焼くのも、悪くないかもな。
そのためには、まずやるべきことがある。
「僅かに触れたもの
決して忘れはしない」
「終焉の音 再誕の声
運命に耳を傾ける時間などない」
俺が終わらせて、俺が始める。
それは全て、俺が決める。
「操られるだけの人形ならば
その鎖を断ち切り新たに始めよう」
おい蛇、今はお前の手の平の上で踊っといてやる。
けど、いずれてめぇもぶっ壊してやる。
「救済か罰か?
正義か悪か?
生か死か?」
それらを従えんのは俺だ。
「果てが見えなくとも舞台の幕は上がる」
さぁ、始めようか。
「
俺の世界で
「
俺が主役の
「
舞台の開演だ。
「-----!!」
白貌はただ、驚いていた。
自分の世界がひび割れていく様に。
紅い夜には亀裂が入り、紅い満月は崩れていく。
「なにポツンとしてんだ白色バンピー。お前の世界が壊されてガッカリか?悔しいか?怒ったか?」
一夏を襲っていた虚脱感も薄れていく。
「悪ぃけどよ、俺が参上した時から、既にクライマックスなんだ。んでもって最後まで、俺のターンだ」
「-----!」
不意に駆け出し杭を放ちながら襲う白貌。
「……無駄だって」
しかし杭は放たれた瞬間に消散した。
「今は、俺の世界だ。この世界でのお前は、ただの破壊対象に過ぎない」
手を伸ばし砕こうとする。
「そしてお前の勝利はない」
その手は頭に届いた。だが届いただけ。握り潰すことなど出来はしない。
「なぜなら…」
ノートゥンクを握りしめる。
「既に俺が『勝利』を創ったからだ」
その一刺しで光と化し白貌は消え去った。
「さ〜てと、お前ら」
後ろの女連中に、声をかける。
「帰んぞ?」
「「「「「っ!!!」」」」」
途端飛びついてくる専用機持ち共。
「痛いわお前ら!!暑苦しい!!離れろメス共!!」
「嫌だ!決して離れはせん!!」
「離れろバカ!!大和撫子がしゃしゃんじゃねぇ!!」
「一生側にいますわ一夏さん!!」
「なんかいろいろ重いわ!!」
「一夏〜〜っ!!うわぁ〜〜ん!!」
「泣きすぎだてめぇ!!」
「僕いるから!ここにいるから!!」
「先にネタ潰すんじゃねぇ!!」
「さぁ帰って夫婦の営みを!!」
「お前はブレねぇなっ!!」
どいつもこいつも邪魔なんだよ!!
「おい糞姉貴!こいつらどかせって!」
「……今、姉貴って」
「あん?おい!聞いてんのーー!」
「私のことを、姉貴、と……」
「お前もかよ!!」
「織斑くん!!」
「いっく〜〜〜〜ん!!」
いきなり抱きついてくる変態科学者。
「なんだってんだ万年発情期!!」
「良かったよ〜無事で良かった〜〜!!」
「あ〜ハイハイ。そりゃ良かったな」
「………その」
「お前はキャラじゃねぇから抱きついてくんな」
「なっ!?」
なっ!?じゃねぇよ。糞姉貴共。
「…………あんたらの罪を許すことは出来ねぇ」
「っ……」
「だろうな……」
辛気臭ぇ面してんな。
「けど、あんたらだけが悪いとも思わねぇ」
「え……」
「それは……」
「覚えてろ。忘れるな。ずっとだ。それがあんたらが出来る償いだ」
「いっくん……」
「一夏……」
今暴露したって世界が混乱するだけ。
悪いのは創ったやつだけじゃねぇ、それを使うやつにも責任がある。当たり前のことだ。
「……まぁ、あれだ」
「「?」」
「……小さい頃は、いろいろ世話になった」
「「え………」」
「っ!ただそれだけだ馬鹿姉貴共!」
あーあツンデレのレッテルが……。
後ろで俺の名前呼びながら泣くんじゃねぇよ!!
「……さて」
やっとスタートラインか?先長いなぁ……。
まぁ、気楽にやるか。
あいつらもどうにかしないといけねぇし。
「ぶっ壊すか」
いずれ、必ず、この腐りきった世界を。
ということで、一旦完結です。
自分が最初予定したところまでは書いたので、キリもいいしここで区切りとさせていただきます。
まず皆様には謝罪を。すみませんでした。
多分、話が進むにつれてつまらなくなったり、置いてけぼりだったこともあると思います。その点は本当にすみませんでした。
そして付き合って頂いた方々ありがとうございました。
……別に終わったわけじゃありませんが。
今後について、
特に予定はしてませんがどうせしばらくしたら書くと思います。
その時は、原作に沿って展開していくのか。Diesと絡めていくのか。もしかしたらヒロインズが、エイヴィヒカイト使ったり……どうなんだそれは?
ひとまずは、他のSSを書き進めたり、溜まったゲームをやろうと思います。オリジナルも考えていこうかな。
最後に、
お気に入り300件突破と、自分の中では初の記録で、本当感謝申し上げます。感想をくれた方々もありがとうございました。
引き続き、感想・アドバイス・指摘、受け付けておりますので、よろしくお願いします。この作品の今後、自分の執筆活動の参考にさせていただきます。
何度もあれですが、ありがとうございました。この作品の続き、別の作品でお会い出来たらと思います。
ソナ刹那
追伸
補足説明を同時に上げましたので、そちらについても感想等貰えるとありがたいです。