チャドの霊圧が消えないヒーローアカデミア! 作:チャドの霊圧が……消えた?
ヒロアカならチャドはかなりの強個性だと思う。
なお、強個性だからといって霊圧が消えない保証はない。
合否通知
俺の名前は、茶渡泰虎。……そう、茶渡泰虎だ。
大人気少年漫画ことBLEACHの主人公────の親友を務めていた、あの茶渡泰虎である。通称チャド、またの名を霊圧が消える男。
どんな因果か茶渡泰虎に転生? 憑依? してしまったらしいが、不思議なことは他にもある。
この世界は、BLEACHの世界ではなかったのだ。
『HAHAHAHA! 私が投影された!』
この世界に死神はいない。虚もいないし、滅却師もいない。
だが、代わりにヒーローとヴィランがいた。
霊力ではなく個性という超能力にも等しい能力が存在し、しかも個性は特別な才能や訓練によって発現する力ではなく、人口の約8割が発現しているイかれた世界だ。
誰しも力を持っているのが当たり前の世界で、人々は当然のように大まかに二極化した。
即ち────正義か悪。必然、両者は対立した。
『私が何故、雄英の合否通知を告げるのか気になるかい? 実はね、雄英に教師として務めることになったのさ! 驚いてくれたかな!? ……えっ、巻きで? ──んんんぅ〜っ、OK!」
転生当初は茶渡泰虎になったことに混乱、恐怖、疑問など様々な感情に翻弄されることになった俺は、偶然にも周囲に恵まれて歪むことなく成長した結果、ヒーローを目指して国内で最も有名なヒーローを育成する学校である雄英高校の入学試験を受けた。
その合格通知をつい先刻受け取ったところだったのだが、まさかオールマイトが雄英教師になるとは、素直に驚かされた。
ちなみに、オールマイトは国内最強にして最高のヒーローの名だ。世界でも有数のトップヒーローであり、日本国内で彼の名前を知らない人はいたとしても僅かだろう。
熱狂的なファンが国内外問わず大勢存在し、ヒーローを目指す子供の過半数がオールマイトのファンと言っても過言ではない。もちろん俺もファンだ。
『まず君の筆記試験だが、文句なしの合格さ! しかも、学年3位だ! 勉学にも全力を以って臨む君の姿勢は、間違いなくヒーローの在るべき姿だよ!』
「……学年3位か。上には上がいるものだな」
これでも人生2週目という下駄を履いているのだ。かつて大人だった者として、勉学を疎かにするわけにはいかない。
個性という超常の力があり、それに伴って軽犯罪から重犯罪まで入り乱れた時代があったことから近代史などは完全に学び直す羽目になったが、想定以上の成績を残すことができた。
しかし、ここで安心はできない。雄英高校の入試には、筆記試験とは別に実技試験があったのだ。
実技の方も手応えはある。問題ないはずだが、果たして……。
『そして、茶渡少年も気になっているだろう実技試験の結果だ! 君のヴィランポイントは、79ポイント! この時点で既に合格圏内だが、この実技試験には実はもう一つの採点基準があったんだぜ! ────その名も、レスキューポイント!! 綺麗ごと上等! ヒーローたるもの如何なる時も人救けの精神を忘れるべからず! 君は試験というライバルたちと競い合う場面でも躊躇なく危機に陥った人を時に救け、時に守り、時に立ちはだかる敵を打倒してみせた! 自分より遥かに巨大な
「レスキューポイント!? ……いや、言われてみれば当然だ。人を救けてこそ、守ってこそヒーロー! 一見して戦闘が得意な個性持ちに有利な試験に見えて、戦いが苦手な個性でも合格できるように組まれた試験だったのか……!」
雄英の実技試験は仮想ヴィラン役のロボットを破壊してポイントを稼ぐという仕組みの試験だった。
明らかに戦闘向きの個性が有利な試験。ヒーローである以上は最低限の戦闘技能が求められるとはいえ、まだ本格的な訓練もしていない大多数の子供には荷が勝ちすぎるものだ。
そんな俺の予想通り、記念受験や物見遊山で来ていた受験生は試験場の至るところで危機に陥って、周囲の者より幾分か余裕があった俺は目に見える端から、悲鳴が聞こえた端から救けていった。
俺にできることは誰かを護り、敵を打ち砕くことだけ。だからこそ、俺にできる全力で試験に臨んだ結果、所謂お邪魔ギミックである巨大なロボットこと0Pの仮想ヴィランに立ち向かったのも己の信条に従ったまでのこと。
それがこのように評価されるとは思っていなかったが、手放しに褒められるのは嬉しいものだな。
『茶渡少年! これは雄英がヒーローの卵である君に贈る期待の表れ! 我々は君を待ってるぜ!』
最後にキラッと歯を輝かせ、投影されたオールマイトが消えて部屋に静寂が戻る。
しかし、俺の胸の奥には未だ冷めやらぬ興奮が根付いており、気が付けば強く握り込んでいた拳は微かに震えていた。余程力が入っていたのか、上手く手が開けない。
すると、タイミングよく携帯の着信音が鳴ったお陰でふっと気が抜けた。相手を確認して、通話ボタンを押す────直後、甲高い声が鼓膜を貫いた。
『泰虎くん! 結果はっ、入試はどうです!? もちろん受かりましたよね……!?』
電話口の声だけでも、ともすれば合否通知を開ける直前の俺以上に緊張しているのが伝わる通話相手の心配そうな顔を想像して、知らず笑みを浮かべる。
まるで自分のことのように心の底から心配してくれる相手に、これ以上の不安を与えないよう力強く答えた。
「────ああ、合格だ。心配かけたな、
『よっっっっ…………よかったぁぁああああ──!!!! 合格おめでとうですっ、泰虎くん! 本当は直接面と向かってお祝いしたいですが……』
「言葉だけでも充分だ。改めて、応援してくれてありがとう」
通話相手は渡我被身子、同じ中学の一つ上の学年だった少女だ。
偶然知り合う機会があり、彼女の悩みや個性について相談を受けるうちに仲良くなった。
ちなみに彼女も雄英に入学しているが、所属していたクラスが
俺とは学年が違うので何ができるかは分からないけど、入学したら今より相談には乗ってあげられるだろう。
そのあと他愛もない話をして通話を切り、再び部屋が静かになった。
うっかり通話に夢中になって昼食を中断していた彼女は、果たして午後の授業に間に合うだろうか。
結構厳しい担任と聞いているので叱られてなければいいけど……。
そう心配していると、玄関の扉が開く音がした。どうやら保護者が買い物から帰ってきたらしい。
何故か恐る恐るといった様子でリビングに繋がる扉を開けた女性と目が合い、数秒見つめ合った後に彼女はふと安堵の息を吐いた。
「フッ……ただいま、泰虎。その様子だと結果は聞くまでもないようだな?」
「おかえり、
「だろうな。お前が不合格なら誰も受からないだろ」
買い物袋をキッチンに置きながら、彼女は至極当然のように言った。
彼女の名前は筒美火伊那。亡き母親の親友だった女性であり、数年前まで俺の身元引受人になってくれていた祖父が亡くなった際、他に親族の宛てが無かった俺を引き取ると声を上げてくれた人だ。
詳しい話は教えてもらっていないが、どうやら母に返しきれない恩があるとかで俺の身元保証人と身元引受人に立候補したとのこと。
その恩とやらはあくまで母に対するものであり、ただ息子であるというだけで俺が受け取るわけにはいかないと初対面で言った俺に対して、彼女は怒るでもなく優しく笑って言った。
『私はあいつに恩がある。どうしようもない時に救けられた恩がな。だが、私の心を救ってくれたのはお前なんだぞ、泰虎』
尤も、当時赤子だったお前は覚えていないだろうけどな、と付け加えて。
彼女はそう言ったが、俺は覚えている。まだ生後1年くらいの頃、母が赤子の俺を連れて彼女に会いに行った時のことを。
一人暗い部屋で俯いて、母に泣きそうな作り笑顔を向けていた彼女を、恐々と俺を抱き上げて絞り出すように泣きながら笑っていた彼女のことを、俺は覚えている。
何があったのかは分からない。どんな過去があって、何を思って泣いていたのかも知らない。
けれど、あの時の彼女は確かに救われたような
そんなこともあり、彼女は俺の保護者になってくれた。
初めの頃はお互いにぎこちなかったが、今ではしっかり家族になれたと思う。少なくとも俺はそう思っているし、彼女もそう思ってくれているだろうも信じている。
彼女はレディ・ナガンという名でヒーロー活動をしていたが、俺を引き取ったのを契機に活動範囲を縮小した。
俺のせいでヒーロー活動の邪魔をしてしまったと思いそうにもなったけれど、昔に見た表情とは比べようもなく穏やかな顔の彼女を見れば決して悪いことではなかったのだろう。
ちなみに、彼女は時間が空いた時に俺の訓練の相手やトレーニングメニューを確認してくれている。
現役ヒーローとの模擬戦は言うに及ばず、理に適ったトレーニングは茶渡泰虎という恵まれた肉体と個性を強く育ててくれた。
その成果が実技試験1位という結果だ。彼女には本当にあらゆる面で助けられている。
「それじゃ、今日はお祝いだね。お前の好物をふんだんに使って作るから楽しみにしておけよ?」
その日の食卓には、トマトを大量に使用した料理が机に所狭しと並んだ。
なお、クールに取り繕っていた裏でテンションが上がりすぎて勢い余ってトマト料理フルコースを作った本人は、もうしばらくの間トマトは見るのも食べるのも遠慮したいとか、なんとか……。
・茶渡泰虎
ヒーロー名:未定
個性:????
学校・学年:雄英高校ヒーロー科1年A組
誕生日:4月7日
身長:207cm(原作+10cm)
体重:142kg(原作+30kg)
血液型:AO型
好きなもの:トマト
入試実技:1位