4月上旬。
兵庫県神戸市。
夜叉神家の屋敷では、朝から慌ただしく準備が進められていた。
「お嬢様、お支度はお済みでしょうか?」
「とっくに終わってるわよ」
池田晶が部屋を訪ねると、夜叉神天衣は既に着替えを済ませ、机に向かっていた。
その手には、使い込まれた詰将棋の本がある。
「……また将棋のお勉強ですか?」
「何よ。悪い?」
「いいえ。ただ、そろそろ朝食のお時間ですので」
「分かってるわよ」
天衣は本を閉じた。
今日は研修会の入会試験がある。
これまで新世界の将棋道場で実戦経験を積み、猿飛角晴から指導を受けてきた。
そして、いよいよ自分の実力を試す日がやってきたのだ。
(……別に、緊張なんかしてないわ)
天衣はそう自分に言い聞かせた。
しかし、昨夜はいつもより寝付きが悪かった。
原因は分かっている。
研修会の試験そのものではない。
(……あいつ、今日も来るのよね)
猿飛角晴。
15歳にして三冠を保持する、将棋界の帝王。
そして、現在の天衣に将棋を教えている少年だ。
初めて指した4枚落ちでは、まったく歯が立たなかった。
そのうえ、角晴は難しい局面になるほど楽しそうに笑い、天衣が悪手を指した途端、露骨につまらなそうな表情になった。
あのときの悔しさは、今でも忘れていない。
けれど。
(……あいつに、認めてもらいたい)
いつからか、そう思うようになっていた。
角晴は自分の将棋を真剣に見てくれる。
いい手を指せば褒めてくれるし、悪いところがあれば遠慮なく指摘してくる。
何より、将棋を指しているときの角晴は、本当に楽しそうだった。
そんな姿を見ているうちに、天衣の中に新しい願いが生まれていた。
(……弟子に、なりたい)
もちろん、自分から頼むつもりはない。
そんなことを言うのは、何だか負けを認めるみたいで悔しい。
だからこそ。
(今日の試験で、実力を見せつけてやるんだから)
天衣は立ち上がった。
「晶!」
「はい」
「今日は絶対に勝つわよ」
晶は、そんな主人の姿を見て小さく微笑んだ。
「はい。応援しております」
───
午前8時30分。
夜叉神家の玄関。
「おはようございます!」
明るい声とともに姿を現したのは、猿飛角晴だった。
濃紺の髪を整え、いつものように柔らかな笑顔を浮かべている。
「おお、猿飛三冠。朝早くからすまんな」
弘天が声をかけた。
「いえいえ! 今日は俺も楽しみにしてたので!」
角晴は笑って答える。
「天衣ちゃんは?」
「もうすぐ来るはずや」
その言葉と同時に、廊下の奥から天衣が姿を現した。
「……何よ。もう来てたの?」
「おはよう、天衣ちゃん!」
「……おはよう」
天衣は小さく返事をする。
角晴は、その姿を見て笑った。
「準備はばっちり?」
「当然でしょ」
「そっか! じゃあ今日は頑張ろうね」
「言われなくても分かってるわよ」
天衣は腕を組んだ。
そして、角晴をまっすぐに見上げる。
「今日はちゃんと私の将棋を見てなさいよ」
「もちろん!」
角晴は即答した。
「どんな将棋を指すのか、楽しみにしてるよ」
「……ふん」
天衣は顔を背けた。
しかし、その言葉に胸が少し高鳴ったことは、誰にも気付かれていなかった。
───
大阪へ向かう車内。
運転席には晶。
後部座席には角晴と天衣が座っていた。
天衣は窓の外を眺めながら、時折スマートフォンで詰将棋を確認している。
角晴は、その横でのんびりと景色を眺めていた。
「……ねえ」
「ん?」
「本当に試験って、そんなに難しいの?」
天衣が尋ねた。
角晴は少し考える。
「相手にもよるけど、簡単ではないと思うよ」
「……そう」
「でも、今の天衣ちゃんなら十分戦えると思う」
「……本当に?」
「うん」
角晴は笑った。
「じゃなきゃ、試験を受けてみようなんて言わないよ」
天衣は少し黙った。
(……そっか)
角晴は、自分なら戦えると思っている。
その事実が、天衣には嬉しかった。
しかし、すぐにいつもの調子に戻る。
「まあ、当然よね!」
「あはは、そうだね」
「……何よ、その笑い方」
「いや、天衣ちゃんらしいなって」
「……変なの」
天衣は再び窓の外へ顔を向けた。
角晴は気付いていなかったが、その口元には小さな笑みが浮かんでいた。
───
午前9時30分。
関西将棋会館。
「おはようございます!」
角晴が受付に挨拶すると、職員が笑顔で頭を下げた。
「猿飛三冠、おはようございます」
「今日はよろしくお願いします!」
「はい。夜叉神さんの試験ですね」
「そうです!」
その隣で、天衣が少し不満そうに口を開いた。
「……何であんたの方が張り切ってるのよ」
「え? だって楽しみじゃん」
「試験を受けるのは私なんだけど」
「分かってるって!」
角晴は笑った。
「だから、天衣ちゃんの将棋を楽しみにしてるんだよ」
「……そう」
天衣は少しだけ視線を逸らした。
そのとき。
「……兄弟子!」
聞き慣れた声が響いた。
角晴が振り返ると、九頭竜八一が歩いてきた。
その隣には、雛鶴あいがいる。
「おっ、八一! おはよう!」
「おはようございます!」
「猿飛三冠、おはようございます!」
「あいちゃんもおはよう!」
角晴は笑顔で挨拶した。
しかし、その横で天衣は目を細めていた。
「……あら」
あいも天衣に気付く。
「あっ! 夜叉神さん!」
「久しぶりね」
「はい!」
あいは元気よく頷いた。
「今日は研修会の試験なんですよね?」
「そうよ」
天衣は腕を組んだ。
「あなたも来てたのね」
「はい! ししょーと一緒に来ました!」
「……ふぅん」
天衣は八一へ視線を向ける。
「相変わらずなのね、ロリコン竜王」
「ちょっと待って!?」
八一が即座に反応した。
「その呼び方、やめてくれない!?」
「何よ。違うの?」
「違うから!!」
角晴は思わず吹き出した。
「ぶっ……あははは!」
「兄弟子! 笑ってないで助けてくださいよ!」
「無理!」
「何でですか!?」
「いや、だって面白いし!」
「僕の名誉がかかってるんですよ!?」
「でも、ネットでもロリ竜王って呼ばれてるじゃん」
「それを今言わないでください!!」
角晴は肩を震わせた。
天衣は呆れたように八一を見ていた。
「……本当に、こんなのが竜王なのね」
「こんなのって何!?」
八一の悲鳴が廊下に響く。
すると、あいが慌てて口を開いた。
「夜叉神さん! ししょーはロリコンじゃありません!」
「……そうなの?」
「はい! ししょーはすごく優しくて、将棋も強くて、立派な方なんです!」
八一は感動したようにあいを見た。
「あい……!」
しかし。
「……でも、小学生の女の子ばっかり連れてるのは事実でしょ?」
天衣の一言で、八一は再び固まった。
「…………」
角晴はとうとう堪えきれず、声を上げて笑った。
「あははは! 八一、もう諦めたら?」
「諦めませんよ!!」
───
しばらくして。
試験の説明が始まる時間となり、天衣たちは対局室へ向かった。
そこには、研修会幹事を務める久留野義経七段の姿があった。
「おはようございます、猿飛三冠」
「おはようございます! 今日はよろしくお願いします!」
「こちらこそ」
久留野は笑顔で答えた。
そして、天衣へ顔を向ける。
「君が夜叉神天衣さんだね」
「はい」
「今日は君の将棋を見せてもらうよ」
「……分かりました」
天衣は真剣な表情で頷いた。
久留野は試験の流れを説明した。
研修会員との対局。
そして、棋力を確認するための対局。
複数の相手との実戦を通し、入会を認められるだけの実力があるかを判断する。
角晴は、天衣の隣で説明を聞いていた。
「天衣ちゃん」
「……何よ」
「いつも通り指せば大丈夫だからね」
「……分かってるわよ」
天衣は小さく答えた。
そして、盤の前へ向かった。
(……見てなさいよ)
角晴へ一瞬だけ視線を向ける。
(私がどれだけ強いか、思い知らせてあげるんだから)
───
午前10時。
第1局。
対局相手は、研修会に所属する少年だった。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
互いに頭を下げる。
駒が並べられ、対局が始まった。
パチンッ。
天衣は序盤から落ち着いた指し回しを見せていた。
相手の駒組みを観察しながら、自分の陣形を整えていく。
以前の天衣なら、攻められる形を見つけるとすぐに仕掛けていたかもしれない。
しかし、今は違う。
(……焦る必要なんてないわ)
相手の狙いを確認する。
守るべきところを守る。
そのうえで、攻める機会を探す。
新世界の将棋道場で、何度も教わったことだった。
「…………」
対局相手の少年は、少しずつ考慮時間を使い始めた。
天衣の指し手が、思っていたよりも厳しい。
攻めようとすると、先回りされる。
守りを固めようとすると、別の場所に圧力がかかる。
そして、中盤。
天衣が一枚の銀を進めた。
パチンッ。
(……よし)
その一手には、明確な狙いがあった。
相手が受ければ、別の場所から攻める。
攻めてくれば、反撃する。
どちらに転んでも、天衣が主導権を握れる形だった。
少し離れた場所で盤面を見ていた角晴は、楽しそうに笑った。
(へぇ、いいじゃん)
新世界で教えたことを、ちゃんと自分の将棋に取り入れている。
ただ覚えただけではない。
天衣なりに理解し、使いこなそうとしていた。
(……やっぱり、教えがいがあるな)
角晴は満足そうに頷いた。
そして。
「……負けました」
対局相手の少年が頭を下げた。
「ありがとうございました」
天衣も丁寧に頭を下げる。
第1局。
夜叉神天衣、勝利。
───
「お疲れ様!」
対局を終えた天衣へ、角晴が声をかける。
「……当然でしょ」
天衣は腕を組んだ。
「これくらい、勝てなきゃ困るわ」
「ははっ、そうだね」
角晴は笑った。
「でも、さっきの銀はよかったよ」
「……そう?」
「うん。前だったら、もう少し早く攻めてたと思うけど」
角晴は盤面を思い出しながら続ける。
「ちゃんと相手の反撃まで考えられてたね」
天衣は、少しだけ目を丸くした。
(……褒められた)
しかし、すぐに顔を背ける。
「……当たり前よ」
角晴は、その反応に苦笑した。
「じゃあ、次も頑張ろうか」
「言われなくても!」
天衣は再び対局室へ向かった。
───
第2局。
今度の相手は、天衣より年上の研修会員だった。
序盤から、激しい駒のぶつかり合いが始まる。
相手は積極的に攻めてきた。
天衣の陣形に圧力をかけ、早い段階から主導権を握ろうとする。
(……ふぅん)
天衣は盤面を見つめた。
(なかなかやるじゃない)
しかし、焦りはなかった。
相手の攻めには勢いがある。
だが、その分だけ自陣に隙も生まれていた。
(……そこね)
天衣は、じっと機会を待った。
そして、相手が攻め駒を前進させた瞬間。
パチンッ。
静かに角を打ち込んだ。
「……っ!」
相手の表情が変わる。
攻めながら守るつもりだった陣形に、思わぬ弱点が生まれていた。
そこを、天衣は見逃さなかった。
(……そうよ)
天衣の口元が、わずかに緩む。
(こういう手を待ってたのよ)
その後も、天衣は落ち着いて指し続けた。
相手の攻めを受け止めながら、少しずつ反撃を強めていく。
そして、終盤。
「……負けました」
相手が投了した。
第2局。
夜叉神天衣、勝利。
2連勝。
その結果に、周囲の研修会員たちも少しずつ注目し始めていた。
「……あの子、強くない?」
「まだ9歳なんだろ?」
「猿飛三冠が教えてる子らしいよ」
そんな声が聞こえてくる。
天衣は、少しだけ得意げに顔を上げた。
(……当然でしょ)
しかし、すぐに角晴の姿を探した。
角晴は、少し離れた場所で久留野と将棋の話をしていた。
その表情は楽しそうだった。
(……ちゃんと見てたわよね?)
天衣は、少しだけ不満そうに眉を寄せた。
───
昼休憩。
将棋会館の休憩スペース。
「お疲れ様、天衣ちゃん!」
角晴が声をかけると、天衣は椅子に腰かけたまま顔を上げた。
「……何よ」
「2連勝だね! いい調子じゃん!」
「当然よ」
天衣は腕を組む。
「私が負けるわけないでしょ」
角晴は笑った。
「ははっ、それくらい自信がある方がいいよ」
「……ふん」
天衣は少しだけ視線を逸らした。
そのとき、晶が昼食を用意してきた。
「お嬢様、お食事をどうぞ」
「ありがとう、晶」
天衣は箸を手に取る。
角晴も隣で昼食を食べ始めた。
「……ねえ」
「ん?」
「私の将棋、どうだった?」
天衣が、何気ない口調を装って尋ねる。
角晴は少し考えた。
「うん、かなりよかったよ」
「……そう」
「特に2局目。あの角打ちは面白かったね」
「……分かってたの?」
「もちろん」
角晴は笑った。
「あそこ、相手も結構嫌だったと思うよ」
天衣は、少しだけ嬉しくなった。
しかし、角晴は続ける。
「ただ、終盤はちょっと危なかったかな」
「……え?」
「途中で、もっと厳しく攻められる手があったんだよね」
「…………」
天衣の表情が変わった。
角晴は、そんな様子を見て少し笑った。
「あとで一緒に確認しようか」
「……分かったわよ」
天衣は、少し不満そうに答えた。
(……やっぱり)
簡単には褒めてくれない。
いや、褒めてはくれる。
けれど、まだ自分が気付いていないところまで、角晴は見えている。
(……悔しい)
そして。
(……もっと、強くなりたい)
天衣は、静かに箸を置いた。
───
午後1時。
研修会の対局室。
「それでは、次の対局を始めます」
久留野の声が響いた。
天衣は盤の前へ向かう。
そして。
「……あっ」
目の前に座っていた少女を見て、少し目を丸くした。
雛鶴あい。
「……夜叉神さん!」
あいも驚いたように顔を上げる。
「……あなたが相手なのね」
天衣は、ゆっくりと口元を緩めた。
「はい!」
あいは力強く頷いた。
「よろしくお願いします!」
「……ふぅん」
天衣は向かい側へ座る。
そして、挑戦的に笑った。
「この前の続きね」
「はい!」
あいも笑った。
「ずっと指してみたかったんです!」
「奇遇ね」
天衣は駒を並べ始める。
「私もよ」
その様子を、少し離れた場所から角晴と八一が見守っていた。
「……兄弟子」
「ん?」
「とうとうですね」
「うん」
角晴は楽しそうに笑った。
「いやー、楽しみだな!」
八一も小さく頷く。
「僕もです。あいがどこまで戦えるか……」
角晴は、八一へ顔を向けた。
「どっちが勝つと思う?」
「……難しいですね」
八一は少し考えた。
「兄弟子は?」
角晴は、再び2人へ視線を向ける。
そして、笑った。
「分かんない!」
「えっ!?」
八一が驚く。
「兄弟子でも分からないんですか?」
「うん。だって、2人とも面白い将棋を指すからね」
角晴は続ける。
「天衣ちゃんは勝負どころの感覚が鋭いし、あいちゃんは終盤の読みがすごい」
「……そうですね」
「どっちが勝ってもおかしくないと思うよ」
角晴は、楽しそうに笑った。
「だから面白いんじゃん!」
八一も、少しだけ笑った。
「……確かに」
───
午後1時10分。
夜叉神天衣。
雛鶴あい。
同じ9歳の少女たちが、初めて正式な対局で向かい合った。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
互いに頭を下げる。
そして。
パチンッ。
対局が始まった。
───
序盤。
先手のあいは、慎重に駒組みを進めていた。
相手は、自分と同い年の少女。
しかし、猿飛角晴が才能を認めた相手でもある。
(……絶対に負けたくない)
あいは、静かに駒を進めた。
一方の天衣も、相手の指し手を注意深く観察していた。
(……なるほど)
雛鶴あい。
九頭竜竜王の弟子。
その実力は、まだ分からない。
けれど。
(……弱いわけないわよね)
天衣は、ゆっくりと駒を進める。
パチンッ。
序盤から、互いに一歩も引かない展開となっていた。
あいは自分の形を整えながら、攻める機会を探る。
天衣は相手の狙いを読み、先回りするように駒を配置する。
2人とも、年齢からは想像できないほど落ち着いた指し回しだった。
「…………」
八一は、盤面を見つめていた。
(……なるほど)
兄弟子が天衣の才能を認めた理由が、少しずつ分かってきた。
天衣は、あいとは違う。
あいは読みの深さで勝負する。
一つの局面から、何手も先まで読み進めていく。
一方の天衣は、相手が何をしたいのかを見抜くのが上手い。
そして、相手が嫌がる場所に駒を進める。
(……厄介な相手だな)
八一は、少しだけ眉を寄せた。
その隣で、角晴が楽しそうに笑っていた。
「……いいねぇ」
「兄弟子?」
「いや、天衣ちゃん、ちゃんと考えてるなって」
角晴は小さく頷いた。
「でも、あいちゃんもいい形だね」
八一も盤面へ視線を戻す。
確かに、あいの陣形は整っていた。
互いに簡単には崩れそうにない。
(……これは、長くなりそうだ)
八一は、静かに息を吐いた。
───
中盤。
先に仕掛けたのは、あいだった。
パチンッ。
銀が前進する。
その一手を見た瞬間、天衣の表情が変わった。
(……来たわね)
あいの攻めは鋭かった。
一見すると普通の銀の進出。
しかし、その先には複数の攻め筋が隠されている。
(……なるほど)
天衣は、相手の狙いを読んだ。
そして、静かに応じる。
パチンッ。
あいは、すぐに次の手を指した。
「…………」
天衣の目が細くなる。
(……速い)
迷いがない。
あいは、既にその先の変化まで読んでいるようだった。
(……面白いじゃない)
天衣は、少しだけ笑った。
しかし、あいの攻めは止まらなかった。
次々と駒がぶつかる。
盤面は、あっという間に激しい戦いへと変わっていった。
───
「……兄弟子」
八一が、小さく呟いた。
「これ、あいが少しいいですよね?」
角晴は盤面を見つめた。
「うん。今はそうだね」
「……やっぱり」
八一は、少しだけ安心した。
しかし、角晴は続ける。
「でも、まだ分かんないよ」
「え?」
「天衣ちゃん、こういう将棋は得意だからね」
角晴は楽しそうに笑った。
「相手に攻めさせて、隙を見つけるのが上手いんだ」
その言葉通り。
天衣は、あいの攻めを受けながら反撃の機会を探っていた。
(……まだよ)
自玉は少しずつ危険になっている。
しかし、相手の攻めも無理をしている。
(……ここで焦ったら負ける)
天衣は、静かに駒を進めた。
パチンッ。
その一手を見た瞬間。
あいの表情が変わった。
「……っ!」
(……この手!)
読みになかった受け。
しかも、ただ守るだけではない。
自分の攻め駒の働きを制限しながら、次の反撃を狙っている。
(……そんな)
あいは、慌てて盤面を読み直した。
しかし、簡単には答えが見つからない。
(……どうしよう)
その様子を見て、天衣は少しだけ笑った。
(……そう簡単には勝たせないわよ)
───
終盤。
対局は、完全な混戦となっていた。
互いの玉が危険な位置にあり、一手の間違いがそのまま敗北につながる。
あいは、必死に読みを進めていた。
(……こうして……)
頭の中で駒を動かす。
(……こうして……)
さらに先を読む。
(……だったら……)
あいの身体が、小さく揺れ始めた。
それは、深く読みを進めるときに見せる癖だった。
一方の天衣は、そんな相手の様子を観察していた。
(……すごい)
読みの深さ。
それだけなら、自分より上かもしれない。
しかし。
(……負けない)
天衣は、静かに駒を進めた。
パチンッ。
その一手に、あいの表情が変わる。
(……また!)
読みを外された。
自分が予想していた手とは違う。
しかし、決して悪い手ではない。
むしろ、こちらが一番嫌がる場所を突いてくる。
(……この子、強い!)
あいは、初めてはっきりとそう感じた。
同い年。
同じ名前。
けれど、自分とはまったく違う将棋を指す。
(……でも!)
あいは、駒を手に取った。
(わたしだって、負けません!)
パチンッ。
攻めは続く。
天衣の玉へ、少しずつ迫っていく。
───
「……すごいですね」
八一が、小さく呟いた。
角晴も盤面を見つめていた。
「うん。かなり面白い将棋になってる」
2人とも、予想以上の力を発揮していた。
特に、あいの終盤力は凄まじい。
普通なら諦めてしまうような局面でも、攻め筋を見つけてくる。
一方、天衣も簡単には崩れない。
相手の読みを外し、最も嫌な場所に駒を進める。
まさに、異なる才能のぶつかり合いだった。
しかし。
角晴は、ある局面で少しだけ目を細めた。
(……あれ?)
盤面を見つめる。
(……ここ、もしかして)
天衣の玉には、非常に厳しい攻めが迫っていた。
あいが正確に読み切れば、勝ち切れる可能性がある。
角晴は、頭の中で手順を進めた。
(……ああ、なるほど)
そして、口元が少しだけ緩む。
(……見つけられるかな)
もちろん、対局中に助言することはできない。
角晴は黙って盤面を見つめた。
その隣で、八一も真剣な表情をしていた。
───
天衣は、必死に考えていた。
(……まずいわね)
あいの攻めが、想像以上に厳しい。
自玉は、今にも詰まされそうな状態だった。
(……でも)
天衣は、相手の表情を確認する。
あいは、深く考え込んでいた。
(……まだ、何かあるはず)
天衣は、自分の持ち駒を確認した。
そして、盤面へ視線を戻す。
(……これなら)
一手。
まだ、戦える手がある。
天衣は、静かに駒を進めた。
パチンッ。
あいが顔を上げる。
「……っ!」
その一手は、あいの読みを外すものだった。
(……そんな!)
あいは、慌てて次の手を探す。
しかし、残り時間は少ない。
(……どうしよう)
頭の中で、いくつもの変化が浮かんでは消える。
(……これじゃ、駄目)
別の手を読む。
(……こっちも……)
そして。
パチンッ。
あいは、ようやく一手を指した。
その瞬間。
角晴の表情が、わずかに変わった。
(……あ)
天衣の玉を詰ます手順が、消えた。
(……そっちか)
角晴は、静かに盤面を見つめた。
しかし、何も言わなかった。
対局は、まだ終わっていない。
───
天衣は、あいの指した手を見た。
(……なるほど)
その一手で、自玉への攻めが少しだけ緩んだ。
(……なら)
天衣は、すぐに反撃の手順を読んだ。
(……いける!)
パチンッ。
鋭い一手。
あいの玉へ攻めが迫る。
「……っ!」
あいの表情が変わった。
(……まずい!)
自分の攻めが止まった。
それどころか、今度は自分の玉が危険になっている。
(……何で……)
あいは必死に読みを進めた。
しかし、勝ち筋が見つからない。
(……まだ!)
諦めたくない。
負けたくない。
ししょーに教わったことを、全部出し切りたい。
あいは、懸命に駒を進めた。
しかし。
天衣の攻めは止まらなかった。
そして、数手後。
「…………」
あいの手が止まった。
盤面を見つめる。
何度読んでも、自玉を守る手が見つからない。
「……負けました」
小さな声だった。
天衣は、ゆっくりと頭を下げる。
「ありがとうございました」
夜叉神天衣。
雛鶴あい。
初対局。
勝者、夜叉神天衣。
───
「……勝った」
天衣は、静かに呟いた。
そして、少しずつ実感が湧いてくる。
(……勝った!)
九頭竜八一の弟子。
自分と同じ9歳の少女。
その相手に、勝つことができた。
天衣は、思わず笑みを浮かべた。
「……ふふっ」
そして、あいを見る。
「なかなか強かったわよ」
「…………」
あいは、俯いたまま動かなかった。
悔しい。
負けた。
同い年の少女に。
しかも、自分が得意な終盤で押し切れなかった。
(……何で……)
あいの目に、涙が浮かび始める。
その様子を見て、天衣は少しだけ眉を寄せた。
(……泣くほど悔しいのね)
しかし、天衣自身も負けた悔しさは知っていた。
角晴との4枚落ち対局。
パンサーとの連敗。
あのとき、自分も同じ気持ちだった。
だからこそ、余計なことは言わなかった。
───
「お疲れ様!」
対局を終えた2人へ、角晴が声をかけた。
その隣には八一もいる。
「2人とも、すごくいい将棋だったよ!」
角晴は笑った。
天衣は、少しだけ得意げに顔を上げる。
「当然でしょ」
そして、ちらりと角晴を見る。
(……どう?)
勝った。
ちゃんと結果を出した。
これなら、認めてもらえるはずだ。
天衣は、期待を隠しながら尋ねた。
「……で?」
「ん?」
「私の将棋、どうだったのよ」
角晴は少し考えた。
「うん。かなりよかったよ」
「……そう」
「特に、あいちゃんの攻めを受け切ったところ。あれはよかったね」
天衣は、少しだけ嬉しくなった。
しかし。
「ただ……」
角晴が続ける。
「最後、ちょっと危なかったかな」
「……え?」
天衣は目を丸くした。
「危なかった?」
「うん」
角晴は盤面へ視線を向ける。
「実は、あいちゃんに勝ち筋があったんだよね」
「……は?」
天衣の表情が変わった。
そのとき。
「そうですね」
久留野が、2人の近くへ歩いてきた。
「ちょうど感想戦をしようと思っていたところです」
角晴は頷いた。
「お願いします!」
───
感想戦。
久留野は、終盤の局面まで盤面を戻した。
「ここです」
天衣とあいが、盤面を覗き込む。
「……ここ?」
天衣が眉を寄せる。
久留野は頷いた。
「はい。この局面では、先手の雛鶴さんに勝ち筋がありました」
「……えっ?」
あいが顔を上げる。
久留野は、静かに駒を動かした。
パチンッ。
「まず、4二竜」
「……!」
あいの表情が変わる。
「同飛と取らせて、2三金」
久留野は、手順を進めていく。
「3一玉に、4三桂」
「……あっ」
あいが、小さく声を上げた。
「同飛と取れば、3二金まで」
パチンッ。
盤上に、詰みの形が現れた。
「……7手詰です」
「…………」
あいは、盤面を見つめたまま動かなかった。
天衣も、目を見開いていた。
(……嘘)
詰んでいた。
自分の玉は、あの局面で詰んでいたのだ。
(……こんな手が)
天衣は、何度も盤面を確認した。
しかし、どう読んでも逃げ道がない。
完全な詰みだった。
「……あ」
その隣で、あいが小さく声を漏らした。
(……何で)
7手詰。
普段の自分なら、解けないはずがない。
それなのに。
(……何で、気付かなかったの……)
あいの目から、涙がこぼれた。
「……っ」
一粒。
また一粒。
涙が盤面へ落ちそうになる。
「……わたし……」
声が震える。
「……勝てたのに……」
八一は、そんな弟子の姿を静かに見つめていた。
「……あい」
しかし、すぐに慰める言葉はかけなかった。
将棋で負ける悔しさ。
自分の見落としで勝ちを逃す苦しさ。
それは、棋士なら誰もが経験するものだった。
そして、あいも今、それを経験している。
───
一方。
天衣も、複雑な表情で盤面を見つめていた。
勝った。
確かに、自分が勝った。
しかし。
(……見逃してもらっただけじゃない)
相手が正確に指していれば、負けていた。
それは、天衣にとって受け入れがたい事実だった。
(……こんなの)
天衣は、唇を噛んだ。
(……こんなの、勝った気がしないじゃない!)
そのとき。
「天衣ちゃん」
角晴が声をかけた。
「……何よ」
天衣は、少しだけ顔を上げる。
角晴は、穏やかな表情をしていた。
「勝ったことは、ちゃんと誇っていいと思うよ」
「……でも」
「うん。あいちゃんに勝ち筋があったのも事実だね」
角晴は頷いた。
「でも、将棋って相手が間違えることも含めて勝負だからさ」
「…………」
「最後まで諦めずに指したから、天衣ちゃんは勝てたんだよ」
天衣は、黙って聞いていた。
角晴は続ける。
「ただ、次はもっといい将棋にしたいね」
「……!」
その言葉に、天衣の表情が変わった。
角晴は笑った。
「今日の将棋、面白かったよ。でも、まだまだ強くなれると思う」
天衣は、しばらく何も言わなかった。
そして。
「……当然でしょ」
小さく答えた。
「次は、もっと強くなってやるわ」
角晴は笑った。
「うん! 楽しみにしてる!」
その言葉に、天衣は少しだけ口元を緩めた。
しかし、胸の奥には別の感情が残っていた。
(……まだ)
まだ、足りない。
角晴に認めてもらうには。
正式な弟子にしてもらうには。
もっと、強くならなければならない。
───
感想戦を終えた後。
あいは、八一とともに休憩スペースへ向かった。
「……ししょー」
「ん?」
「……わたし、負けちゃいました」
八一は、静かに頷いた。
「うん」
「……勝てたのに」
あいの声が震える。
「……勝てたのに、気付けませんでした」
八一は、少しだけ考えた。
そして、あいの隣へしゃがんだ。
「……悔しい?」
「……はい」
あいは、小さく頷いた。
「すごく、悔しいです……!」
八一は、そんな弟子の姿を見つめた。
そして、静かに言った。
「じゃあ、その悔しさを忘れないで」
「……え?」
「今日の負けは、あいにとって大事な経験になると思う」
八一は続ける。
「将棋って、強い人でも間違えるんだ。俺だって、何度も間違えて負けてきた」
「…………」
「でも、そのたびに勉強して、少しずつ強くなっていくんだよ」
あいは、涙を拭った。
そして、まっすぐに八一を見る。
「……ししょー」
「うん?」
「……もっと、厳しくしてください」
八一は少し驚いた。
「……え?」
「もっと将棋を教えてください!」
あいは、力強く続けた。
「わたし、もっと強くなりたいです!」
その声には、迷いがなかった。
「……夜叉神さんに、負けたくないです!」
八一は、少しだけ笑った。
そして。
「……分かった」
静かに頷いた。
「じゃあ、これからもっと厳しくなるよ?」
「はい!」
あいは、涙を拭いながら笑った。
「望むところです!」
八一も笑った。
「うん。一緒に頑張ろう」
───
夕方。
研修会の試験が終了した。
夜叉神天衣は、入会を認められることになった。
「……合格です」
久留野の言葉に、天衣は少しだけ目を丸くした。
「……そう」
そして、すぐにいつもの調子に戻る。
「当然でしょ」
久留野は、小さく笑った。
「これからも頑張ってください」
「……はい」
天衣は、丁寧に頭を下げた。
その隣で、弘天が嬉しそうに笑っていた。
「よう頑張ったな、天衣!」
「……別に」
天衣は顔を背けた。
「これくらい、当然よ」
しかし、その表情は少しだけ嬉しそうだった。
晶も、静かに微笑んでいた。
「おめでとうございます、お嬢様」
「……ありがとう」
そして。
「天衣ちゃん!」
角晴が声をかける。
「合格おめでとう!」
「……ふん」
天衣は腕を組んだ。
「当然でしょ」
角晴は笑った。
「ははっ、そうだね!」
そして、少し真剣な表情になる。
「でも、今日の将棋は本当によかったよ」
「……そう?」
「うん。最初に会ったときより、かなり強くなってる」
天衣は、少しだけ目を丸くした。
(……強くなってる)
角晴が、そう言ってくれた。
それが、何より嬉しかった。
「……まあ、当たり前よね」
天衣は、少しだけ得意げに答えた。
角晴は笑った。
「じゃあ、これからも一緒に頑張ろうか!」
「……ええ」
天衣は頷いた。
しかし、心の中では別のことを考えていた。
(……一緒に)
その言葉が、妙に嬉しかった。
けれど。
(……まだ、弟子じゃないのよね)
角晴は、今も自分を指導しているだけだ。
正式な師匠と弟子ではない。
その事実が、少しだけ寂しかった。
(……でも)
天衣は、静かに拳を握った。
(もっと強くなれば、きっと……)
いつか。
角晴の方から、弟子に誘ってくれる。
その日まで。
(……絶対に、諦めないんだから)
天衣は、角晴の横顔を見つめた。
───
その日の夜。
大阪。
猿飛角晴のマンション。
「……ふぅ」
帰宅した角晴は、ソファへ腰を下ろした。
今日は、なかなか充実した1日だった。
夜叉神天衣。
雛鶴あい。
同じ9歳の少女たちが、初めて本気でぶつかり合った。
その将棋は、想像以上に面白かった。
(……いい勝負だったな)
角晴は、小さく笑った。
2人とも、まだまだ未熟だ。
しかし、それぞれに素晴らしい才能を持っている。
あいの読みの深さ。
天衣の勝負勘。
どちらも、簡単に身に付けられるものではない。
(……これからが楽しみだ)
角晴は、ふと今日の対局を思い出した。
終盤。
あいに詰みがあった局面。
そして、それを見逃した一手。
(……あそこ、惜しかったなぁ)
しかし。
(……でも、天衣ちゃんもよく粘った)
あの局面から勝ち切ったのは、見事だった。
そして、あいも最後まで諦めなかった。
(……2人とも、もっと強くなるだろうな)
角晴は立ち上がった。
研究室へ向かう。
机の上には、研究中の相掛かりの局面が残されていた。
角晴は盤の前へ座り、駒を手に取る。
パチンッ。
「……さて」
少し考える。
そして、口元に笑みが浮かんだ。
「……こっちも面白そうだな」
将棋は、まだまだ奥が深い。
どれだけ強くなっても、知らないことがある。
難しい局面がある。
そして、自分より強い相手がいるかもしれない。
だからこそ。
(……もっと強くなりたい)
角晴は、楽しそうに駒を進めた。
───
一方。
神戸。
夜叉神家。
天衣は、自室の将棋盤に向かっていた。
目の前には、今日の対局を記録した棋譜。
雛鶴あいとの初対局。
「……ここで……」
駒を動かす。
パチンッ。
「……こうしておけば……」
さらに一手。
しかし、すぐに首を振った。
「……違う」
もう一度並べ直す。
久留野から教わった7手詰。
自分の玉が詰んでいた局面。
天衣は、何度もその手順を確認していた。
(……あの子)
雛鶴あい。
同い年。
同じ名前。
そして、自分とはまったく違う才能を持つ少女。
(……強かった)
それは、認めざるを得なかった。
けれど。
(……次も、絶対に負けない)
天衣は、静かに駒を進めた。
パチンッ。
そして、ふと角晴の顔を思い出した。
試験の合格を伝えたとき。
角晴は、嬉しそうに笑ってくれた。
『合格おめでとう!』
『最初に会ったときより、かなり強くなってる』
その言葉が、今でも胸に残っている。
(……もっと)
もっと強くなりたい。
もっと褒めてもらいたい。
そして。
(……あいつの弟子に、なりたい)
天衣は、静かに駒を握った。
自分から頼むつもりはない。
そんなことをしたら、負けを認めるみたいで悔しいから。
だから。
(……絶対に認めさせてやるんだから)
いつか、角晴が自分を正式な弟子にしたいと思うほど強くなる。
そのために。
「……見てなさいよ」
天衣は、小さく呟いた。
「絶対に、あんたの弟子になってやるんだから」
その瞳には、強い決意が宿っていた。
───
同じ頃。
大阪。
九頭竜八一のマンション。
「……ししょー!」
研究室から、あいの元気な声が響いた。
「ん? どうしたの?」
八一が顔を上げる。
「この詰将棋、もう1回お願いします!」
八一は、少しだけ驚いた。
「……まだやるの?」
「はい!」
あいは力強く頷いた。
「今日は、まだ終わりたくないです!」
八一は、そんな弟子を見つめた。
そして、少しだけ笑った。
「……分かった」
駒を並べ直す。
「じゃあ、次はもう少し難しい問題にしようか」
「はい!」
あいの目が輝いた。
その姿を見て、八一は思う。
今日の敗北は、確かに悔しいものだった。
しかし、その悔しさが、あいをさらに強くする。
そして、夜叉神天衣というライバルの存在が、これからのあいに大きな影響を与えるだろう。
(……兄弟子)
八一は、ふと角晴の顔を思い出した。
兄弟子が見つけてきた少女。
その存在が、あいを変え始めている。
(……本当に、すごい人だな)
八一は小さく笑った。
そして、再び将棋盤へ向き直る。
「じゃあ、始めようか」
「はい!」
駒音が、静かな部屋に響いた。
───
夜叉神天衣。
雛鶴あい。
同じ9歳。
同じ名前。
しかし、まったく異なる才能を持つ少女たち。
初めての対局は、天衣の勝利に終わった。
けれど、それは決して終わりではない。
勝った者には、次への課題が残った。
負けた者には、忘れられない悔しさが残った。
そして、その両方が。
2人を、さらに強くしていく。
将棋盤の上で生まれた、小さなライバル関係。
その物語は、まだ始まったばかりだった。