【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第16話は『シェルズタウン編』の完結回です!
まだ正式に海賊旗を掲げていないルフィたちと、ルーサスが持つ「ガープ中将の謎の隠し子(仮面の天才)」という海軍内での恐ろしい伝手、そしてコビーの破格の入隊と感動の出航をお楽しみください!
モーガン大佐の恐怖政治が終わりを告げたシェルズタウンには、久方ぶりの明るい陽光と歓声が戻っていた。
街のレストランでは、モーガンを倒してくれた俺たち三人――ルフィ、ゾロ、そして俺(ルーサス)のための豪勢な宴が開かれていた。
「モグモグ……美味ぇ! 肉美味ぇぞーっ!」
ルフィは両手に持った骨付き肉を文字通り吸引するように飲み込み、山積みになった皿を次々と空にしていく。
「おいおい、よくそれだけ胃袋に入るな……。俺は三日ぶりの飯だってのに、お前の方が食ってねぇか?」
ゾロは呆れ顔でビールをあおりながら、腹帯を叩いて笑った。
「ふふ、ルフィの胃袋は底なしだからな。……さてコビー、お前はどうする?」
俺が静かに問いかけると、向かいの席に座っていたコビーは、手に持ったスプーンを強く握りしめ、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「僕……僕、やっぱり諦めたくありません! ここシェルズタウンの海軍支部で、海兵として一からやり直したいです! 正義のコートを羽織る夢を、絶対に叶えて見せます!」
「しししっ! いいじゃねぇか! 頑張れよ、コビー!」
ルフィがニカッと笑ってコビーの背中をバシバシと叩く。
その時――レストランの重い扉が静かに開いた。
足音を揃えて入ってきたのは、モーガンの解任によって支部の暫定トップとなった海軍中尉率いる、十数名の海兵たちだった。
「……失礼する。街を救ってくれた君たちに、挨拶と確認がしたくて来た」
中尉が凛とした表情で前へ進み出ると、緊張の走る食堂内で、俺は静かに立ち上がりポケットに手を突っ込んだ。
「確認、か。俺たちはまだ海賊旗も掲げていなけりゃ、賞金首でもないただの旅人だぞ、中尉さん」
俺が不敵に笑うと、中尉は冷や汗をダラダラと流しながら、俺の顔とルフィの顔を交互に見つめた。
戦闘の最中にモーガンが叫んでいた「ガープ中将の孫」という言葉。そして、俺の素性と静かな威圧感から、中尉の脳裏に海軍内部で囁かれる“ある恐ろしい都市伝説”が合致していたのだ。
(まさか……あのガープ中将が昔、素性を隠して連れ歩いていたという『仮面の天才隠し子』……!? あの伝説の怪物と、ガープ中将の孫が組んでいるというのか……!? そんな二人組みに下手に手を出せるわけがない……!)
中尉はゴクリと唾を飲み込み、姿勢を正した。
「あ、いや……咎めるつもりはない! モーガンを倒してくれたことには、海兵一同心から感謝している! ただ……君たちがこれからどうするのかを聞きたかっただけだ」
「俺たちは次の海へ行くさ。最高の仲間も手に入ったからな」
ルフィがニシシと笑う。
その時、俺は隣でガクガクと震えているコビーの肩にそっと手を置いた。
「中尉さん。このコビーという少年は、根性と筋が良い。海軍に入隊させたいんだが……手続きをしてやってくれないか?」
「え……!?」
中尉とコビーが同時に声を上げる。
「い、入隊ですか……!? しかし身元や過去の経歴の調査が――」
「心配いらんさ」
俺はポケットから手を出し、かつてガープのもとにいた頃に身につけていた古びた仮面の装飾部分(裏の紋章)をチラリと見せ、静かに口角を上げた。
「本部への報告書には『ガープ中将の隠し子(仮面)からの強い推薦』とでも書いておけ。上層部も文句は言わん」
「……!!」
中尉の顔面が蒼白になり、直立不動で猛烈な敬礼をとった。
「はっ!! 了解いたしました! 本部への報告はそのように処理し、コビー君の入隊を即時・特例許可いたします!!」
「え……えぇぇぇぇぇっ!??!?!?」
コビーの目玉がポーンと飛び出した。
「僕の……僕の入隊が、ガープ中将の隠し子さん(ルーサスさん)のコネで一瞬で決まっちゃったぁぁぁぁっ!? 夢みたいだけど、いいんですかぁぁぁ!?」
「しししっ! 良かったなコビー! これで海兵だぞ!」
ルフィが爆笑しながらコビーの頭をワシワシと撫で回す。
コビーは大粒の涙を眼の端から溢れさせながら、俺とルフィに向かって深々と頭を下げた。
「ルーサスさん……ルフィさん……! ありがとうございます! 僕は絶対に立派な海軍将校になってみせます!!」
◇
シェルズタウンの港。
漆黒と金のラインが眩しい俺たちの探検船が、爽やかな海風を受けて揺れていた。
「よし! 出航だーーーっ!!」
ルフィが船首に飛び乗り、錨が引き上げられる。
船が岸壁を離れ、ゆっくりと大海原へと滑り出したその時――
「ルフィさぁぁぁぁん!! ルーサスさぁぁぁぁん!! ゾロさぁぁぁぁん!!」
港の埠頭へ、涙と鼻水を撒き散らしながら走ってくるコビーの姿があった。
「ありがとうございましたぁぁぁっ! 僕は……僕、絶対に夢を叶えます! あなたたちの恩は一生忘れません!!」
コビーは胸を張り、ピシッと綺麗な敬礼を俺たちに向けた。
すると、その背後に並んでいた中尉をはじめとする海兵全員が、一斉に直立不動の姿勢をとり、俺たちの船に向かって深々と敬礼を捧げたのだ。
「街を救ってくれた英雄たちに、最大限の敬意を!! 敬礼っ!!」
「「「ありがとうございましたーーーっ!!」」」
「しししっ! またな、コビー!」
ルフィは麦わら帽子を大きく掲げ、太陽のような笑顔で手を振り返した。
「へっ……海軍のくせに粋なマネをしやがる」
ゾロも不敵に笑い、刀の柄に手を置いて海を見据える。
俺は船のデッキで腕を組み、港で小さくなっていくコビーの姿を見つめながら、不敵に口角を上げた。
(頑張れよ、コビー。次に会う時は、海軍本部で正義のコートを羽織ったお前とだな)
参謀としての冷徹な計算の裏で、ほんの少し胸が熱くなるのを感じていた。
「よし! ルーサス、ゾロ! 次の島へ向かって出発だーっ!」
「おう! 東の海をさっさと制覇して、グランドラインへ突入するぞ!」
最高の船長ルフィ、世界一の剣豪を目指すゾロ、そして『ガープの仮面の隠し子』と噂される最強の参謀ルーサス。
三人となった旅立ちの船は、次なる冒険の舞台――『オレンジの町』へと向かって、大海原を疾走していくのだった。
ご覧いただきありがとうございました!
第16話にて『シェルズタウン編』が堂々の完結です!
ルーサスの海軍側での立ち位置を「ガープ中将の謎の隠し子(仮面の天才)」という都市伝説的な存在感にブラッシュアップし、コビーの入隊と出航をより熱く描きました!
次回第17話からは、次なる目的地『オレンジの町』へ突入!
偉大なる航路(グランドライン)の海図を巡る天才航海士ナミとの出会い、そして『バラバラの実』の能力者・道化のバギー海賊団との爽快な属性擬装バトルをお届けします!
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