【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第25話は『バラティエ編』の大きな転換点!
東の海(イーストブルー)最強の海賊艦隊を率いる首領・クリークが、ボロボロの巨大戦艦でバラティエへと乗り込んきます。恩を仇で返すクリークの身勝手な暴挙に対し、ルーサスの固有技による圧倒的な物理制御が火を吹きます!
さらに、一皿の飯の恩義と首領への絶対的な忠誠の間で激しく揺れ動く『鬼人ギン』とサンジの泥臭くも切ない激闘を、長文でじっくり丁寧にお届けします!
ギンの必死の懇願に応じ、サンジが船尾のデッキへと大量の賄いを用意したその時――バラティエの穏やかな海面が、異様な地響きとともに大きく揺らいだ。
「な……なんだ!? 地震か!?」
ウソップが青ざめて叫ぶ。ナミが海図台から飛び出し、双眼鏡を遠くの水平線へと向けた。
「あれは……! 船じゃないわ、まるで海に浮かぶ鉄の城よ……!!」
視線の先に現れたのは、無数の砲身を備え、ボロボロに破壊されながらも異様な威圧感を放つ巨大な戦艦――首領・クリークのメインシップだった。
ドオォォォン……!!
巨大な戦艦がバラティエの脇腹にすさまじい音を立てて接触し、木製の甲板や柵が派手にひしゃげて飛び散る。店内では恐怖に満ちた客たちが悲鳴を上げて逃げ惑い、料理人たちが包丁やフライパンを握り締めて警戒を強めた。
その戦艦の甲板から、重々しい金属音が響く。
「め、飯を……肉を寄こせ……!! 船にはまだ死にかけの部下が何百人もいるんだ……!」
全身を重厚な黄金の鎧に包み、無数の武器を身に宿した巨漢――『東の海(イーストブルー)の覇者』首領・クリークが、血まみれの姿で降り立った。
サンジが一切の躊躇なく差し出した温かい料理を、クリークは獣のように貪り喰らった。腹を満たし、一時の活力を取り戻したクリークの瞳に宿ったのは、感謝ではなく――底知れぬ狂気と傲慢な支配欲だった。
「ふはは……! 生き返ったぞ……! おいコックども、この店の美味い飯と水、すべてを我が艦隊の部下どものために差し出せ。それと、このレストランの構造図とすべての航海日誌を渡せば、命だけは助けてやる。今日からこの船は、俺様の新しいメインシップだ」
恩を仇で返し、あろうことか命を救ってくれたレストランを乗っ取ろうとするクリークの身勝手な要求に、店内は激しい怒りに包まれた。
「ふざけやがって……! 恩を仇で返すクズ野郎が! うちの店から出ていけ!!」
「殺せぇ! クリーク海賊団を叩き出せ!!」
パティをはじめとする荒くれ者の料理人たちが一斉に飛びかかる。
だが、クリークは邪悪な嘲笑を浮かべると、黄金のマントを一気に翻した。その内側に隠された数十本の銃身、連発式拳銃、さらには着火した爆薬が一斉にこちらへと照準を合わせる。
「烏合の衆が。死ねぇぇぇっ!!」
ドババババババババババッ!!!!
圧倒的な銃弾と爆薬の雨が店内を蜂の巣にすべく一斉に掃射された。死を覚悟して悲鳴を上げる料理人たち。
――その瞬間、俺は両手をポケットに入れたまま、静かに一歩前へ踏み出した。
固有技の発動――『絶対領域・局所事象改変(イベント・ホライゾン)』。
カッ……!!
空間そのものが凍りついたかのような異常事態。
迫り来る数百発の鉛の銃弾、ニードル、そして爆発の炎を上げる爆薬の群れが、俺の目の前わずか数十センチの空間で『完全静止』した。
「な……っ!? 弾が……止まっている……!?」
クリークが目玉を飛び出させて絶句する。
俺はポケットに手を入れたまま、冷ややかに片方の眉を上げた。
「東の海の覇者ね。その程度の玩具で、俺の仲間の店(バラティエ)を脅かせると思ったか?」
視線一つで、脳内演算の数式を現実に解放する。
「――運動ベクトル、倍速反転(ベクトルフリップ)」
ドカァァァァァァァァン!!!!
完全静止していた全弾頭と爆薬が、元以上の凄まじい物理衝撃波を伴って『倍速』で一斉にクリークへと逆流した! 自身の誇る兵器の暴風を至近距離で正面から喰らったクリークは、黄金の鎧をバチバチと火花させながら、巨大なバラティエの壁をブチ破って屋外のデッキまで盛大に吹き飛ばされた!
「がはっ……!? 貴様……おのれぇ……!」
壁の瓦礫を叩き割り、血を吐きながら立ち上がるクリーク。黄金の鎧を軋ませながら、怒りに満ちた視線を部下に向けた。
「何をしているギン!! 殺せ……! あのコックどもを殺して、この船を奪い取れぇ!!」
「し、首領……! しかし、あのサンジさんは俺に飯を……餓死寸前だった俺の命を救ってくれた恩人が……!」
「黙れぇ! 命令に従わん奴は死刑だ!! 殺せ、ギン!! 命令だ!!」
「……っ!!」
クリークの絶対的な命令と脅迫に、ギンの顔が絶望と葛藤で激しく歪む。ギンは震える手で二本の鉄球付きトンファーを構え、溢れる涙を拭いもせずサンジの前へと立ち塞がった。
「すまねぇ……サンジさん……! 俺は首領の命令には逆らえねぇ……!!」
「……へっ、気にすんなよ。お前がその気なら、容赦なく蹴り飛ばすだけだ」
サンジが煙草を吹き消し、鋭い眼光で足技の構えを取る。
ガシィィィン!!
ギンの重厚なトンファーと、サンジの疾風のごとき蹴りが激しくぶつかり合い、甲板上に眩い火花が散った!
「うおあぁぁぁっ!!」
「甘ぇんだよ!!」
互いの意地と矜持をかけた激しい打撃戦。首領への恐怖と忠誠で動くギンの猛攻に対し、サンジは流麗な足技で応戦する。ギンの一撃がサンジの肋骨を激しく締め上げるが、サンジの強烈な『首肉(コリエ)シュート』がギンの武器を弾き飛ばし、追い詰める。
だが、勝負の決着がつくその瞬間――ギンは首元へ突き出されたサンジの蹴りを受け止めようとせず、自身の武器も投げ出し、涙をボロボロとこぼしながら床へと突っ伏した。
「ダメだ……! できねぇ……! 俺には……俺を救ってくれたあんたを殺すことなんてできねぇ……!!」
頭を床に擦り付け、声を出して泣き叫ぶギン。
「首領……頼みます……! この船から手を引いてください! この人たちは、俺たちに優しくしてくれたんだ……!」
その光景を冷ややかに見下ろしていたクリークが、勝ち誇ったような邪悪な笑みを浮かべてマントの手甲を掲げた。
「フハハハ! 役に立たん豚め……恩義だと? くだらん情にほだされた奴から死んでいくのだ! ならばまとめて死ね! 猛毒ガス弾『M・H・5(エム・エイチ・ファイブ)』でお掃除だぁ!!」
凶悪な毒兵器が展開され、一瞬にして緊迫が頂点に達したその時――。
海原の遥か彼方から、一筋の巨大な漆黒の斬撃が、海を二つに切り裂きながら飛来したのだった――。
ご覧いただきありがとうございました!
第25話では、長文での丁寧な描写を意識し、クリークの暴虐に対するルーサスの固有技『絶対領域』の圧倒的威圧感、そしてサンジとギンの涙なしには語れない泥臭い激闘をじっくりとお届けしました!
一皿の飯が繋いだ二人の絆と、それを踏みにじるクリークの非道さが際立つ回となっていれば幸いです。
次回第26話は、いよいよ海を切り裂く一筋の斬撃とともに「世界最強の剣士・鷹の目ミホーク」が降臨! ゾロの命を懸けた誓いと決闘、そして参謀ルーサスの次なる一手をお届けします!
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