【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第26話はいよいよ『バラティエ編』屈指の歴史的名シーン!
海を二つに割る一筋の斬撃とともに、世界最強の剣士『鷹の目ミホーク』が降臨します。
ゾロが人生の全てを賭けて挑む世界最強への挑戦と、敗北の果てにルフィへと捧げる伝説の誓いを長文で熱く丁寧に描きます!
ルーサスの固有技『戦術眼』が導き出す「ミホークとの本当の実力差」と、頂点を見据える参謀の静かな確信をお楽しみください!
海を割るような一筋の漆黒の斬撃が、首領・クリークの巨大戦艦を一瞬で真っ二つに両断した。
ドゴォォォォォン……!!
轟音とともに巨大な鉄の塊が海へと崩れ落ち、盛大な水柱が上がった。
バラティエのデッキにいた全員が、開いた口が塞がらないままその光景に固まっている。
「な……なんだ今の斬撃は……!? 船が一瞬で切り刻まれたぞ!?」
ウソップが腰を抜かして悲鳴を上げる。ナミも顔を蒼白にして海を見つめていた。
その二分割された巨大戦艦の隙間から、黒い棺のような小舟が静かに滑り出してきた。
十字架を模した帆先には揺らめく緑の炎。そこに座っていたのは、漆黒のマントを羽織り、猛禽類のような鋭い黄色の瞳を持つ一人の男だった。
王下七武海――『鷹の目』ジュラキュール・ミホーク。
「ひ、ヒィィィッ!? 追ってきた……! 暇つぶしのために、俺たちの50隻の艦隊を滅ぼした悪魔だぁぁっ!!」
クリークの部下たちが恐怖のあまり叫び声を上げる。
俺は両手をポケットに突っ込んだまま、眼前に降臨した『世界最強の剣士』から放たれる圧倒的な覇気と物理運動量を、脳内演算(固有技:戦術眼)で静かに計測していた。
(……なるほど。「世界最強の剣士」の称号は伊達じゃない。一振りで戦艦を裁断する斬撃の集束度、無駄のない身体操作、そして隙のない覇気。確かに世間から見れば雲の上の存在だろう)
だが――分析を深めれば深めるほど、俺の口元には静かな笑みが浮かんでいた。
(……だが、絶望するほどの実力差(ひらき)はない。俺の『絶対領域(イベント・ホライゾン)』による物理法則の書き換えとベクトルの強制反射をもってすれば、あの黒刀の斬撃すら完封・反転が可能だ。そして何より、隣にいるルフィの秘めた底力と概念すら凌駕する直感……。世間がどう評価しようと、俺たちの本当の実力は、すでにこの『世界の頂点』の背中を捉えている)
俺の思考と視線に気づいたのか、ミホークの猛禽のような黄色の瞳が、一瞬だけ俺の顔を捉えた。
ミホークの眉がわずかに動く。ただの従者や参謀ではない、己の斬撃を軽々と見切り、いつでも首を跳ね飛ばせるだけの『異次元の圧』を殺している俺の存在を、彼もまた即座に察知したのだ。
言葉はなくとも、一瞬の視線の交錯だけで互いの領域の高さを理解し合う。
しかし、今は俺が出張る場面ではない。
「……あいつだ。俺がずっと探し続けていた男……」
ゾロが静かに刀を抜いた。その瞳には恐れなど微塵もなく、燃え盛るような狂気と歓喜が宿っていた。
ゾロは腰の三本の刀を引き抜き、黒い手ぬぐいを頭に固く結び直すと、まっすぐにデッキの縁へと歩み出た。
「おい……! 暇つぶしで海賊艦隊を滅ぼすような暇があるなら、俺と勝負しろ」
ミホークはゾロへと視線を戻し、冷ややかに呟いた。
「ほう……剣士か。哀れな強者よ」
ミホークは背中に背負った世界最強の黒刀『夜』に手をかけることすらせず、首から下げていた小さな十字架のナイフを取り出した。
「お前と俺の力の差を教えるには、これで十分だ」
「舐めやがって……!!」
ゾロの身体から凄まじい威圧感が溢れ出す。
「三刀流――鬼斬り(オニギリ)!!」
空気を切り裂く三条の刃が、一直線にミホークの首元へと迫る!
――だが、カチリ、と小さな音が響いた。
ゾロの渾身の三刀流が、ミホークの掲げた数センチの小さなナイフ一本によって、完全に受け止められていたのだった。
「な……っ!? 動かねぇ……!? 俺の全力が……こんな玩具みたいなナイフ一本に……!?」
ゾロの額から冷や汗が流れる。
ミホークは微動だにせず、静かに言い放った。
「井の中の蛙、大海を知る……。世界は広い」
そこから始まったのは、凄惨なまでの圧倒だった。
ゾロが放つ怒涛の連続斬撃を、ミホークは最小限の動きとナイフ一本で全て受け流し、見切り、ゾロの胸元へと容赦なくナイフを突き立てた。
「ガハッ……!?」
胸から血を流しながらも、ゾロは一歩も引かず、むしろナイフに押し込むように前へ出た。
「なぜ引かん」
ミホークの瞳に、かすかな驚きが走る。
「引いたら……今まで交わしてきた大切な約束も、誓いも、全部破れて二度とここへ戻れねぇ気がする……」
「それが敗北というものだ」
「だから引けねぇんだよ……!」
ゾロの覚悟に、ミホークは初めて己の非を認めるように目を細めた。
「名は何という」
「ロロノア・ゾロ」
「覚えておく。強き者よ……」
ミホークはナイフを収め、背中から世界最強の黒刀『夜』を引き抜いた。
「剣士の礼として、世界最強のこの刀で葬ってやる」
ゾロは笑った。血まみれの顔で、最高の笑みを浮かべた。
「そいつは……光栄だ!!」
ゾロは刀を大きく交叉させ、己の全存在をかけた最強の一撃を構える。
「三刀流奥義―――『三千世界(さんぜんせかい)』!!」
ドォォォォォン!!
二人のすれ違いざま、交錯する刃の閃光。
次の瞬間、ゾロの二本の刀が派手に粉砕され、胸元から大量の血が噴き出した。
ゾロはゆっくりと刀を収め、ミホークへと背を向けることなく、両腕を大きく広げて正面からミホークを見つめた。
「……何をしている」
「背中の傷は、剣士の恥だ」
「……見事」
ミホークの黒刀が一閃し、ゾロの胸板を深く切り裂いた。
「ゾロ―――っ!!」
ルフィとウソップが悲鳴を上げて駆け寄る。
俺はポケットから静かに手を出すと、すれ違いざまに固有技『絶対領域・局所事象改変』を発動。ゾロの創傷面に極小の電磁力場を集中させ、細胞固定と止血を完璧に施した。コンマ数秒で最悪の失血死を防ぐ俺の流れるような処置に、ミホークの黄色の瞳が鋭く光る。
海へと倒れ込んだゾロは、ルフィに向かって血まみれの和道一文字を空高く掲げた。
「ル……ルフィ……聞こえるか……! 不安にさせやがって……! 俺が……世界一の剣豪にでもならねぇと……お前が困るんだろ……!!」
溢れ出る涙と血を流しながら、ゾロは叫んだ。
「俺はもう……二度と負けねぇから!! アイツに勝って……大剣豪になる日まで……二度と敗けねぇ!! ……文句あるか、海賊王!!」
「しししっ! 無ぇ!!」
ルフィが太陽のような笑顔で応える。
ミホークは満足そうに口元を緩めると、ルフィとゾロ、そして一切の動揺を見せず静かにゾロを手当てした俺を深く見つめ、静かに言葉を遺して漆黒の小舟へと戻っていった。
「我を知り、世界を知り、強くなれロロノア。……そして、そこにいる参謀。貴様らの首が跳ね上がるのを、楽しみに待っている」
ミホークの去り際の言葉に、俺はポケットに手を戻しながら、ただ冷ややかな不敵な笑みで返した。
世界最強の背中を見送りながら、麦わらの一味の絆はより一層、固く強く結ばれたのだった――。
ご覧いただきありがとうございました!
第26話では、原作屈指の名シーンである「鷹の目ミホークの降臨」と「ゾロの敗北&ルフィへの伝説の誓い」を描きました!
ルーサスの固有技『戦術眼』による冷静な分析によって、「ミホークとの本当の実力差は絶望的ではなく、実は紙一重まで迫っている」という参謀としての底知れぬ凄みと確信を表現しました。
次回第27話は、いよいよ首領・クリークとの最終決戦!
東の海(イーストブルー)最強を誇る艦隊の猛毒や全ての兵器に対し、ルーサスの科学・物理制御がどう牙をむくのか……そして、激闘の果てにバラティエと一味を待ち受ける運命の結末をお届けします!
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