【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
今回からいよいよ『アーロンパーク編』が開幕します!
バラティエを後にした直後、メリー号とともに姿を消したナミ。
ショックを受ける仲間たちに対し、参謀ルーサスが一味の意識を自身の超高精度VR電脳空間(仮想現実)へとダイブさせます!
ルーサスが創り出した驚愕のVR空間での一味の爆笑リアクションと、そこで明かされるナミの過酷な真実。そしてココヤシ村への追撃戦をお楽しみください!
バラティエでの激闘を終え、最高のコック・サンジを仲間に加えた麦わらの一味。
しかし、大満足の宴の余韻も束の間――バラティエの裏手につないであったはずの『ゴーイング・メリー号』の姿が消えていた。
「な……ないぞ!? メリー号がない!!」
ウソップが髪をむしり取らんばかりの勢いで悲鳴を上げた。
デッキに残されていたのは、小さなサバガシラ1号と、ぽつんと残された宝箱の残骸だけ。
「ナミさんの姿もない……! まさか、あの野郎どもに浚われたのか!?」
新しく加わったサンジが煙草を激しく踏みつけ、青筋を立てて周囲を見回す。
だが、俺は両手をポケットに突っ込んだまま、静かに海を見つめていた。
「浚われたんじゃない。ナミが自分の意思で、俺たちの宝とメリー号を持って船出したんだ」
「なっ……! ルーサス、お前何を言って……! ナミが俺たちを裏切ったって言うのか!?」
ウソップが目を見開いて詰め寄ってくる。傷の手当てを終えたゾロも、腕を組んで静かに俺の言葉を待っていた。
俺は息を吐くと、ポケットから手を出し、仲間たちを見回した。
「口で説明するより、見せた方が早いな。全員、少しだけ俺に意識を預けろ。害は絶対に及ぼさない」
ルフィが「おう!」と即答し、ゾロやサンジ、ウソップも戸惑いつつ頷いた。全員の同意を確認した瞬間、俺は固有技『絶対領域・電脳神経接続(VRダイブ)』を発動させた。
パチンッ――!
指を鳴らしたコンマ一秒後。
全員の視界が白銀の光に包まれ、次の瞬間には――果てしない蒼空と、どこまでも広がる完璧な幾何学模様の白い床が広がる『異次元の空間』へと立っていた。
「うおあぁぁぁぁぁっ!? ななな、なんだここぉぉぉっ!?」
ウソップが自分の顔や体をペタペタ触りながら、目玉を飛び出させて叫んだ。
「空中に立ってる!? 踏み込んでも沈まねぇ!? どうなってんだコレ!!」
「む……!? 傷の痛みが消えている……? いや、それどころか自分の体じゃないような……」
ゾロが自分の掌を握り締め、驚愕に目を丸くする。
さらにルフィは、宙を跳ね回りながら目を輝かせて大興奮していた。
「すげぇぁぁぁっ! 浮いてるぞ! おいルーサス! 肉出せ肉! でっかい肉!」
「うおおっ!? 俺の服がスーツからコックコートに勝手に変わったぞ!? 魔法か!? ルーサス、お前神様か何かに覚醒したのか!?」
サンジまでもが自分の服が瞬時に切り替わる現象に煙草を落としそうなほどオーバーにのけ反っている。
「落ち着け。ここは俺の脳内演算と電磁場によって構築した『超高精度VR(仮想現実)空間』だ。お前たちの意識だけを一時的にここに接続させている。物理法則も、視覚も、触覚も、俺の演算一つで自由自在だ」
俺が指を一本立てると、ルフィの目の前に巨大な肉が現れ、ウソップの前に巨大な金塊が現れ、サンジの周りには大量の花束が出現した。
「うひょーーーっ! 肉うまぁい!」
「金だぁぁぁっ! 本物みたいに重ぇぞ! どうやってんだこれ!」
「……すげぇな、お前。戦術だけじゃなくてこんな事までできるのか……」
一通りのリアクション芸で騒ぎ倒した仲間たちを制し、俺はパンッと手を叩いた。
一瞬で肉も金も消え去り、周囲の白い空間が、暗く湿った村の風景――『ココヤシ村』の3Dグラフィック映像へと一変した。
「遊ぶのはここまでだ。本題に入る」
俺は周囲に浮遊するデータパネルを指し示した。
「俺の能力は、海上で交わされる『電電虫』の微弱な通信波を常時ジャックして解析できる。さらに海軍内部データベースや東の海の裏情報ネットワークにもアクセス権を持っている。Orange Townでナミと出会った時から、俺は彼女の『1億ベリー』という数字への異常な執着を解析していたんだ」
空間上に、8年前のココヤシ村の情景と、魚人海賊団アーロン一味の悪逆非道な映像が立体的に再生される。
「ナミの本当の狙いは、自分自身の贅沢のためじゃない。彼女の故郷である『ココヤシ村』を、東の海最強と言われる魚人海賊団『アーロン一味』の支配から買い戻すためだ」
静まり返るVR空間。
幼いナミが、育ての親であるベルメールさんをアーロンに殺され、村人たちの命を盾に取られて『測量士』として奴隷同然に働かされている過酷な立体映像が目の前に広がる。
「……っ!! そんな胸糞悪い話があるかよ……!!」
サンジが拳を激しく固く握り締め、怒りで髪を逆立てた。ゾロも目元を険しくし、腰の刀に手をかける。
「ナミは俺たちを巻き込まないために、一人で1億ベリーを盗み溜め、一人で決着をつけるつもりで姿を消したんだ」
「……へっ、水臭ぇマネしやがって」
ゾロが不敵に口元を歪めた。
ルフィは肉を食べていた時の表情から一変、静かに帽子を目深にかぶると、ニシシと笑った。
「なんだ、そんなことか」
「そんなことだと!? ルフィ、ナミは今、こんな怪物どもがいる恐ろしい島に向かってるんだぞ!?」
「理由なんてどうでもいい。ナミは俺たちの仲間で、俺たちの船の航海士だ。泣いてるなら、助けに行ってブッ飛ばすだけだ!」
相変わらずの単純明快さ。だが、その言葉こそが麦わらの一味の意思そのものだった。
「ふ……言ったろ、俺の船長は大物になるってな」
俺が指を鳴らすと、VR電脳空間が一瞬で霧散し、全員の意識が現実のバラティエの甲板へと一気に引き戻された。
「ハッ……! 戻った! メリー号の前に戻ったぞ!」
「現実に戻っても……あの怒りは消えねぇな」
俺はポケットから予備の小型高速艇の起動キーを取り出した。
「安心しろ。ナミが乗っているメリー号の船底には、俺が事前に『絶対領域』の電磁標識(ビーマー)を打ち込んでおいた。ナミの進行ルートも、現在の速度も完璧に把握している」
俺が指先から空間に投影した現実の海図上に、鮮やかな赤い光点がココヤシ村へ向かって一直線に伸びていく。
「追撃戦を開始する。小型艇に乗り込め。……魚人どもに、人間の参謀の力と、麦わらの一味の怒りを教えてやる」
「おうっ!!」
ルフィの力強い雄叫びとともに、麦わらの一味はナミを追い、決戦の地『アーロンパーク』へと向けて出撃したのだった――。
ご覧いただきありがとうございました!
第28話より、ついに『アーロンパーク編』が開幕いたしました!
ルーサスの規格外の固有技『VR電脳空間ダイブ』による一味の爆爆リアクションと、電電虫通信解析によるナミの過酷な過去の立体映像共有を描きました!
ナミの真意を知り、迷わず「助けに行く」と即決するルフィたちの絆、そしてルーサスの電磁ビーコンによる圧倒的な追撃陣形が整い、物語はいよいよ魚人海賊団との全面対決へ突入します!
次回第29話は、ココヤシ村への到着と、アーロン一味の非道な支配に対するルフィ&ルーサスの開戦前夜をお届けします!
※ちなみに今作のルフィは、どんな敵相手でも「相手の能力や全力を引き出しつつ、自分も戦闘を楽しむため」にあえて最初から全力を出さず力をセーブして戦うスタンスをとっています(ドラゴンボールの孫悟空のようなイメージです)。参謀ルーサスから見ても「またあいつ遊んでるな」と見抜かれている、ルフィの底知れぬ強さにもぜひご注目ください!
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