【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第32話はいよいよアーロンパークの幹部戦が決着へと向かいます!
死線を越えて戦うウソップ、サンジ、ゾロの熱い生き様と、圧倒的な強さを見せつけるルフィの戦い。
激化する決戦の行方をぜひお楽しみください!
ズボァァァァンッ!!
アーロンパークの奥深く、深い樹木が立ち並ぶ森の中で、激しい爆炎が大気を焦がしていた。
「ぐあぁぁっ!? 熱い、目が、目がぁぁぁっ!?」
顔面を『火の鳥星』の直撃を受けたキス魚の魚人『チュウ』が、狂ったように地面を転げ回る。
その数メートル先。ウソップは全身傷だらけになり、衣服もあちこちが破れ、両脚をガクガクと震わせながらも、必死の形相で黒いパチンコを構えていた。
「ハァ……ハァ……っ! どうだ、この野郎……!!」
ウソップの額から血が流れ落ち、目に染み入る。
先ほどからチュウの執拗な水鉄砲を受け続け、肋骨が何本か折れているような鈍い激痛が全身を駆け巡っていた。恐怖で逃げ出したい衝動が何度も脳裏をよぎるが、その度にウソップは自分の唇を噛み締め、両足を踏ん張った。
(逃げたら……ナミを救えねぇ! ここで負けたら、俺は一生……自分のことを誇れなくなるんだよ……っ!!)
「おのれ……! 人間の分際で、この俺をここまでコケにしやがって……!! 許さねぇ! 蜂の巣にしてやる!!」
怒り狂ったチュウが、顔の火を払いのけて立ち上がり、再び強烈な高圧水弾を構えた。周囲の湿気を吸い込み、チュウの口元に恐ろしい水圧の塊が収束していく。
「死ねぇ、下等種族!! 『水大砲(みずたいほう)』っ!!」
ドゴォォォンッ!!
先ほどとは比較にならないほどの巨大な水圧弾が、一直線にウソップへと放たれた。回避する余裕などない。直撃すれば、ウソップの身体など一瞬で粉々に吹き飛ぶほどの威力だ。
だが――ウソップの目は、恐怖ではなく強い決意の色に染まっていた。
「逃げねぇ……! 俺は『勇敢なる海の戦士』になる男だぁぁぁっ!!」
ウソップはポケットから取り出した『とっておきの武器』を思い切り振りかぶった。それはただの小石でも爆薬でもない――先ほどの戦闘でチュウに激突させて利用した『酒樽の破片』と、周囲に散らばる可燃性の油脂だった。
「喰らえ……! 『必殺・ウソップハンマー……じゃねぇ! 必殺・火薬星連続ブースト!!』」
ウソップが放った無数の小さな火薬星が、空中で油脂の飛沫と混ざり合い、森全体を巻き込む巨大な連鎖爆発を引き起こした。
ドドォォォォン――ッ!!!
「ギャアァァァァ――――っ!??」
凄まじい爆風と炎の壁がチュウの巨体を飲み込み、チュウは白目を剥いたまま背後の巨岩に激突して、完全に沈黙した。
「はぁ……はぁ……勝った……のか……?」
ウソップは力尽きたようにパチンコを取り落とし、その場にガクンと膝をついた。そして、満身創痍の身体で天井を見上げ、大の字にひっくり返って叫んだ。
「見たかぁぁぁっ!! 俺の勝利だぁぁぁっ!!」
森の中に、ウソップの誇らしげな、しかし涙混じりの咆哮が響き渡った。
――その頃、アーロンパークのプールサイド。
ドガァァァンッ!!
「ガハッ……! ゴホッ……!!」
エイの魚人『クロオビ』の巨体が、凄まじい衝撃とともに地面のタイルを割りながら崩れ落ちた。
その眼はすでに完全にひっくり返り、二度と立ち上がる気配はない。
対するサンジは、スーツの裾を乱し、荒い息を吐きながらも、背筋を真っ直ぐに伸ばしてクロオビを見下ろしていた。その足元には、無数の激闘の軌跡である深い足跡が刻まれている。
「魚人空手の百枚瓦か……確かに、骨が折れるほど硬い拳だったぜ」
サンジはポケットからタバコを取り出そうとしたが、激しい戦闘で指が震え、うまく箱から取り出せない。それでも不敵な笑みを崩さず、倒れたクロオビに向かって静かに吐き捨てた。
「だがな。人間を『下等種族』と侮ったその慢心こそが、お前の一番の弱点だったんだよ。……レディの涙を踏みにじった報いだ、せいぜい地獄で反省しな」
サンジが静かに背中を向けた瞬間、クロオビの巨体が完全に沈黙した。
東の海で恐れられた魚人幹部の一人が、料理人の怒りの足技の前に完全敗北を喫したのだった。
――そして、中庭。
カキィィン――ッ!!
「ぐあぁっ……!」
タコ魚人『ハチ』の六本の剣が、凄まじい勢いで四散した。
ハチの身体中に無数の浅い、しかし決定的な斬撃の痕が刻まれ、ハチはバランスを崩してドッと地面に倒れ込んだ。
「ば、馬鹿な……俺様の六刀流が……人間に……」
ハチが絶望したような目で天井を見上げる。
その目の前には、三本の刀を納め、胸元の傷口から血を流しながらも仁王立ちするゾロの姿があった。ゾロの息は荒く、鷹の目から受けた致命傷の包帯は赤黒い血で染まりきっている。
「……六本だろうが十本だろうが関係ねぇよ」
ゾロは荒い息を整えながら、ハチを見据えた。
「お前たちの強さは『種族の腕力』と『数の暴力』だ。だが、命を賭けて自分の信念を貫く剣の重さに比べたら……お前たちの刃なんて、ただの鉄くずと変わらねぇんだよ」
「うっ……ぐう……」
ハチはそれ以上言葉を返すことができず、そのまま意識を失って気絶した。
ゾロは深く息を吐き出し、腰の刀をゆっくりと鞘に収めると、その場に片膝をついて傷口を押さえた。
(……ふう。流石にこたえたか。だが、これで幹部は片付いた……!)
森のウソップ、プールのサンジ、そして中庭のゾロ。
三人の仲間たちが、それぞれの死闘を自らの力で制し、魚人幹部を全員撃破したのだ。
――そして、戦場の中心。
ドォォォンッ!!
激しい爆風とともに、アーロンパークの中央広場が真っ二つに引き裂かれた。
「シャハハハハ! いいぞ、麦わら! 人間の分際でここまで俺を怒らせた奴は貴様が初めてだ!!」
異形の巨躯を誇る魚人海賊団船長『アーロン』が、その巨大なノコギリ刀『キリバチ』を振り上げ、狂気に満ちた笑みを浮かべていた。その全身には、ルフィの猛攻によって無数の打撲痕と裂傷が刻まれているが、その殺気は衰えるどころか、ますます増大している。
だが、ルフィの表情には焦りも疲労の色も一切なかった。
ただ、静かに目を細め、アーロンの動きを一つ残さず観察するように見据えている。
(……ふむ)
少し離れた崩壊した壁の陰。
両手をポケットに突っ込んだまま、参謀ルーサスは静かにその攻防を見守っていた。
ルーサスの電脳空間(VRデータ解析フレーム)では、アーロンの全盛期の筋力データと、ルフィの体内で解放されつつある本当のエネルギー量が、数値となって冷酷に浮かび上がっている。
(ウソップ、サンジ、ゾロ……全員がそれぞれの限界を突破し、幹部を撃破した。盤面の雑音はすべて排除されたな)
ルーサスの頭脳の中で、勝利へ向けての最適解が瞬時に組み上げられていく。
(そして――ルフィの方も、そろそろ『遊び』の時間は終わりのようだな)
ルーサスの眼には、ルフィの体内でこれまで三割に制限されていた心拍数と血流速度が、一気に跳ね上がり始める瞬間が鮮明に捉えられていた。
アーロンがどれほど強大な技を繰り出そうとも、それは所詮「東の海を井戸の蛙として君臨していた魚人の限界」に過ぎない。ナミを泣かせ、この島全体の未来を奪おうとした悪党に対する、ルフィの本当の怒りと全力が、いよいよ解き放たれようとしていた。
「おい、魚の野郎」
ルフィが低い声で呟いた。その小さな背中から、周囲の空気を歪ませるほどの凄まじい覇気が立ち昇る。
「お前、さっきから随分と偉そうな口を叩いてたな……。ナミを泣かせて、村をボロボロにして、それが『支配』だなんてふざけたことを抜かしやがって」
「んだと……? 下等種族の人間が、この俺に説教垂れるつもりかぁっ!?」
「お前みたいな奴はな……」
ルフィがぐっと拳を握りしめ、地面を大きく踏み鳴らした。
「――俺が、完全に叩きのめさなきゃ気がすまねぇんだよっ!!」
轟音とともに、ルフィの身体が凄まじい加速でアーロンへと肉薄する。
その拳に宿るエネルギーは、これまでの「セーブされた戦い」とは次元の違う、すべてを粉砕する破壊の塊へと変貌していた。
アーロンパークの頂点を決する最終決戦は、いよいよ最高潮のクライマックスへと突入していくのだった――!
ご覧いただきありがとうございました!
第32話は、ウソップの決死の勝利、サンジとゾロの幹部撃破、そしてルフィがついに本気を解放するクライマックス直前の熱い展開をお届けしました!
一味の成長と、参謀ルーサスの冷静な分析眼が交差するアーロンパーク決戦の行方を、ぜひ次回もお楽しみに!
※今作のルフィは「敵の全力を引き出しつつ自分も戦いを楽しむ」ために、あえて初手から全力を出さずに力をセーブするスタンス(ドラゴンボールの孫悟空スタイル)をとっています。参謀ルーサスだけがその本質を見抜いている信頼関係にもぜひご注目ください!
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