【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第34話からは新章『ローグタウン編』が開幕!
ココヤシ村を後にして穏やかな海を進む出航直後の船上に、とんでもないニュースが届きます。
一味を待ち受ける新たな運命と、海軍が下した衝撃の評価をぜひお楽しみください!
ココヤシ村での盛大な宴と、村人たちとの涙と笑顔の別れを終え、麦わらの一味の船は再び大海原へと漕ぎ出していた。
「う~ん! いい天気だなぁっ!」
船首の特等席でルフィが両手を大きく広げて深呼吸をする。
そのすぐ横では、ナミが新しくデッキに配置したミカンの木々に水をやりながら、晴れやかな笑顔を浮かべていた。
「ふふ、やっぱり海の上は最高ね。あんな暗い部屋で一人で地図を描いていた頃とは、比べものにならないわ」
「おいおいナミさん、喉が乾いたら俺が最高のエスプレッソを淹れてあげるぜ~♡」
ハート目を浮かべてナミに擦り寄るサンジ。その傍らで、ウソップはデッキに腰を下ろし、誇らしげにパチンコの手入れをしながら自慢話を打ち上げていた。
「へへん! あの時の俺の『必殺・火薬星連続ブースト』の活躍を見たかよ! まあ俺にしてみれば朝飯前だったけどな!」
「へいへい、大豪傑ウソップ様、自慢話はもうお腹いっぱいだよ」
甲板の隅で腕を組み、壁に背を預けていたゾロが、呆れたように片目を開けて軽口を叩く。胸元の包帯はまだ痛々しいが、表情にはすっかり余裕が戻っていた。
そして、操縦席の前に立つルーサスは、ポケットに両手を突っ込んだまま、電脳空間(VR)のホログラム画面に映し出される気象データと海流パラメータをチェックしていた。
(海流の流速、および気圧配置の推移……問題なし。このままのペースで行けば、数日後には『ローグタウン』へ到達する)
参謀として航路の安全を計算し終えたルーサスが、ふと空を見上げたその時――。
バサバサバサ……。
空から一羽の海鴎――新聞配達を司る『ニュースクー』が舞い降りてきた。
「おっ、新聞鳥だ! おいナミ、新聞買ってくれよ!」
ルフィが声を上げると、ナミがポケットからコインを取り出してニュースクーのカバンに投げ入れ、束になった最新の世界経済新聞を受け取った。
「はいはい、今日のニュースは……って、あら?」
ナミが新聞を開くと、パラリと二枚の重厚な紙片が甲板の上に落ちた。
「ん? なんだそれ?」
ウソップが覗き込み、落ちた手配書の表面に印刷された顔写真を目にした瞬間――その目が目玉飛び出さんばかりに剥き出された。
「ヒィィィィィィっ!?!? な、な、なんだコレはぁぁぁぁっ!?」
「どうしたのよウソップ、うるさいわね……って、えぇぇぇっ!?」
ナミもまた手配書を拾い上げ、絶句して固まった。
一枚目の手配書には、大口を開けて豪快に笑うルフィの顔写真。
『指名手配 - モンキー・D・ルフィ』
『生死不問 - 30,000,000-(3,000万ベリー)』
そして二枚目の手配書。
そこには、ポケットに手を突っ込み、冷徹な眼光で前を見据えるルーサスの写真と、その上の二つ名。
『指名手配 - 盤上の規格外 ルーサス』
『生死不問 - 30,000,000-(3,000万ベリー)』
「う、嘘でしょ……!? うちら、お尋ね者になっちゃったぁぁぁぁっ!?」
ナミが頭を抱えて甲板を転げ回るように絶叫した。
「イーストブルー(東の海)の初額でいきなり3000万ベリーなんて……しかも二人同額で! これから世界中の海軍や賞金稼ぎに追われる生活が始まるってことじゃないのよーーっ!!」
「ひ、ヒデェ! 俺様にはまだ賞金がかかってねぇぞ! いや、かかってなくて良かったのか悪かったのか……!」
ウソップが自分の顔を指さして青ざめる。
ルフィは自分の手配書を引っ手繰り、顔をクシャクシャにして大爆笑した。
「しししっ! すごいぞ! 俺、ついに賞金首になったんだ! 3000万ベリーだぞ!」
ゾロがニヤリと鋭い笑みを浮かべ、ルーサスの手配書の裏書きを指差す。
「おい、裏に『島外全域を氷壁により完全封絶。常軌を逸した物理制御能力を確認』ってデカデカと書かれてやがるぞ。ルーサス、お前のその力を見せつけた脅威度が、船長と同等に評価されたってわけだ」
サンジが煙草に火を点け、紫煙を吐き出しながらフッと笑った。
「ヘッ……暴れ回る船長と、裏で気候すら操る化け物参謀か。海軍本部からすりゃ、どっちも同じくらい危険な厄介者ってわけだな」
当のルーサスは、ポケットに両手を突っ込んだまま、冷静に思考を巡らせていた。
(海軍の査定基準……ルフィの純粋な破壊力と、俺がアーロンパークで見せつけた『絶対領域』による空間掌握能力の危険度を同等と判定したか。これで世界中に俺たちの存在が認知され、ガープジジイでも隠蔽できない盤面が完璧に完成した)
「よ~し! 3000万ベリーの賞金首二人だ! これからもっとすげぇ冒険が始まるぞーっ!」
ルフィが拳を空へ突き上げて歓声を上げる。頭を抱えて絶叫していたナミも、やれやれといった顔で天を仰ぐしかなかったが、その口元にはどこかワクワクとした笑みが浮かんでいた。一味の士気は最高潮に達していた。
◇
それから数日後。
前方に、重厚な石造りの港湾と、巨大な街並みが姿を現した。
「見えたわ! あれが『ローグタウン』よ!」
ナミが航海図を広げながら叫ぶ。
ローグタウン――かつてゴールド・ロジャーが生まれ、そして公開処刑によってその生涯を終えた場所。「始まりと終わりの町」と称される、グランドライン手前最大の貿易都市だ。
「ここが……海賊王の生まれた町か!」
ルフィが目を輝かせる。
船が港に着岸すると、一味はそれぞれの目的のために街へと散っていった。
ナミは買い出しへ、ウソップは買い物へ、サンジは食材の仕入れへ。そしてゾロは、折れた刀の代わりを探すため街の武器屋へ向かった。
「ルーサス、お前はどうするんだ?」
ルフィに聞かれ、ルーサスは静かに答えた。
「俺は街の情報収集と、海軍の動向の監視だ。この街の指揮官は、ただの雑魚じゃない」
「へぇ、そうなのか? じゃあ俺は処刑台見てくる!」
ルフィが無邪気に笑って走り去るのを見送り、ルーサスは電脳空間のセンサーを街全体へと広げた。
(ローグタウン駐屯海軍支部……指揮官は海軍本部准将『スモーカー』。自然系(ロギア)『モクモクの実』の能力者……。面白いデータが取れそうだ)
空から、ぽつり、ぽつりと冷たい雨粒が落ち始める。
大気が不穏な電気を帯び、雷雲がローグタウンの上空を覆い尽くそうとする中、始まりと終わりの町で、運命の歯車が激しく動き始めようとしていた――!
ご覧いただきありがとうございました!
第34話は、ココヤシ村を出発した船上に届いた「ダブル3,000万ベリー手配書(ルフィ&ルーサス『盤上の規格外』)」と、ナミの定番の絶叫リアクション、そして「始まりと終わりの町」ローグタウンへの到着を描きました!
次回第35話では、この衝撃の二枚の手配書を受け取ったルフィゆかりの人々や世界中の面々のリアクションをお届けします!
ルフィを育てたフーシャ村のマキノさんや村長、コルボ山のダダンたち山賊団の大騒ぎ、そしてシャンクスやミホーク、海軍本部のガープやセンゴク、コビーやスモーカー准将まで、ルフィと関わりを持つ人々がこの史上初の大偉業にどう反応するのか――1万字超の超大ボリュームで描き出す反響編となります。どうぞお楽しみに!
※今作のルフィは「敵の全力を引き出しつつ自分も戦いを楽しむ」ために、あえて初手から全力を出さずに力をセーブするスタンス(ドラゴンボールの孫悟空スタイル)をとっています。参謀ルーサスだけがその本質を見抜いている信頼関係にもぜひご注目ください!
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