【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第4話はポルシェーミ戦からの、エースの告白と感動の義兄弟の杯の回です!
サボと出会い、共に過ごすようになってから翌日のこと。
「おいエース、サボ! 俺たちの宝は隠し場所にちゃんと残ってたぞ」
「おう、サンキューなサボ。……って、そういえばルフィの奴はどこ行った?」
「あいつなら、さっき『虫取りに行く!』って言って一人で森の中に走っていったぞ……」
俺とサボが嫌な予感を抱いた、まさにその時だった。
「――へっへっへ……見つけたぞ。俺たちの金を盗み出しやがったガキどもはここだな?」
突如として不確定物の終着駅(グレイ・ターミナル)の空気が凍りついた。
現れたのは、凶悪な面構えをした巨漢――ブルージャム海賊団の幹部、ポルシェーミとその手下たちだった。
「しまった、尾行されてたか……!」
サボが顔をしかめ、エースがすぐに鉄パイプを構えて一歩前に出る。
だが、ポルシェーミはニヤニヤと卑劣な笑みを浮かべながら、背後から一人の少年を放り投げた。
「おいおい、仲間を探してたのか? 一人で森をうろついてたこのガキを捕まえて、宝の隠し場所を吐かせようとしたんだがね……口の固ぇ生意気なガキだ」
「ルフィ!!」
地面に転がされたのは、縄で縛られ、ボロボロに傷ついたルフィだった。
一人で森を走っている最中にポルシェーミたちに見つかり、宝のありかを吐かせるために捕まってしまったのだ。
ルフィを人質に取られたことで、エースとサボは迂闊に手出しができなくなっていた。
(なるほど、ルフィが捕まる展開か……。だが、俺がここにいる以上、これ以上の無駄な暴力を受けさせる必要はない)
俺は静かに一歩前に踏み出した。
「おい、そこの大男。ガキを人質に取るなんて、いい大人が恥ずかしくないのか?」
「あª? なんお前は……ガキのくせにいい度胸だな。まとめて蜂の巣にして――」
ポルシェーミが銃を向けようとした瞬間、俺は右手の指先をほんの数ミリだけ動かした。
『――【低周波電磁誘導:神経麻痺(パルシブ・ブロック)】』
バチッ……!
目に見えないほどの超微弱な高周波パルス電流が空気中を走り、ポルシェーミとその手下たちの運動神経を直接ハッキングするように直撃する。
「ぐっ……!? な、なんだコレは……体が……動か……っ!」
ガシャン、と手下たちが次々と持っていた銃や剣を落とし、その場に崩れ落ちるように膝をついた。ポルシェーミもまた、筋肉が勝手に痙攣(けいれん)を起こして地面に這いつくばる。
「なっ……何をしたんだお前……!? 体にしびれが……っ!」
「物理の理を少し応用しただけさ。人間の筋肉は生体電気で動いている。その電気信号をこちらの電磁界で強制的に乱せば、動けなくすることなど容易い」
俺は冷ややかに見下ろしながら、地面に転がるポルシェーミの顔の横に、青白いスパークを纏わせた鉄パイプを突き立てた。
「ルフィを離せ。それとも、これ以上の高電圧で全身を焼き尽くされたいか?」
「ひっ……! 化け物め……っ!」
恐怖に顔を引きつらせたポルシェーミは、部下たちを放り出して逃げ出していった。
静まり返った終着駅の中で、エースとサボ、そして解放されたルフィがポカンと口を開けて俺を見つめている。
◇
ブルージャム一件の後、隠れ家に戻った俺たちは、焚き火を囲んで静かに座っていた。
仲間となったエースは、どこか言いづらそうに視線を落とし、ぽつりと口を開いた。
「……なぁ、お前ら。世界中で忌み嫌われている『海賊王・ゴール・D・ロジャー』って知ってるか?」
「あぁ、知ってるぞ。処刑されたんだろ?」とルフィが首をかしげる。
エースの拳がぎっと握りしめられ、その瞳に涙と激しい怒りが滲んでいた。
「……俺の父親は、そのロジャーだ。世界中が、あんな奴はいなくなっちまえって言ってる。血筋のせいで、俺は何度も殺されそうになった。……俺なんて、生まれてこない方がよかったのか?」
庵の空気が重く張り詰める。サボが息を呑み、俺も静かにエースを見つめた。
だが、そんな重苦しい空気の一切を、ルフィは真っ直ぐな瞳で吹き飛ばした。
「なに言ってんだエース!!」
「……ルフィ?」
「死ねなんて言うな! 生まれてきてよかったのかなんて、そんなの生きてりゃ分かるだろ!!」
ルフィのまっすぐな言葉が、エースの胸を強く穿つ。
ぽろり、とエースの目から大粒の涙がこぼれ落ちた。誰もが否定し続けた自身の存在を、目の前の少年が真っ向から肯定してくれたのだ。
(原作通りの、最高の瞬間だ……。ルフィのこの在り方こそが、エースの心を救う唯一の光だった)
俺は静かに立ち上がり、エースの肩にそっと手を置いた。
「悩む必要なんてないさ、エース。お前の親が誰であろうと、今目の前で生きているお前は『お前自身』だ。……俺たちの仲間で、大切な友人だろう?」
エースは乱暴に涙を拭うと、鼻をすすりながら力強く笑った。
「……っ、ありがとよ、ルフィ、ルーサス、サボ……!」
◇
夕暮れのコルボ山。
三人の少年と一人の転生者は、満天の星空の下で盃を掲げ合っていた。
「なぁ、これからは俺たち三人……いや、ルーサスを含めた四人で、本当の兄弟の契りを結ばないか?」
サボが嬉しそうに人数分の盃と酒瓶を取り出す。
「あぁ、いいぜ!」とエースが笑い、ルフィが「やったー!!」と飛び跳ねる。
俺は盃を受け取り、静かに頷いた。
かつてロジャー海賊団の副船長が仲間たちと絆を結んだように――未来の海賊王とその仲間たちの礎が、今、この深緑の山の中で固い絆となって結ばれようとしている。
「じゃあ、盃を交わそう。今日から俺たちは――『義兄弟』だ!」
「「「おーーっ!!」」」
森の木々が風に揺れ、4人の少年たちの笑い声が夜空へ高く響いていった。
理(物理)を統べる少年・ルーサスをその右腕に据え、未来へ羽ばたく4人の熱い冒険の日々が、ここから本格的に始動するのだった。
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次回からいよいよ4人での本格的な修行や、それぞれの夢に向けたエピソードに入っていきます!