【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第40話は、常識を外れた太古の島「リトルガーデン」での大冒険回!
二手に分かれてジャングルを進む一味の表情豊かな掛け合いや、別々の場所で暮らすエルバフの巨人ドリー&ブロギーとの出会いを大ボリュームでお届けします。ぜひお楽しみください!
ウイスキーピークでの惨劇と、夜の海に散ったイガラムの船の炎。
その悲痛な光景を背に受けながら、ゴーイング・メリー号は暗く静かな偉大なる航路(グランドライン)を進んでいた。
「イガラム……っ、ううっ……!」
甲板の片隅で、アラバスタ王国第一王女・ビビは膝を抱え、絶え間なく涙を流していた。
国を守るために潜入した悪の組織『バロックワークス』。そのボスの正体が「王下七武海クロコダイル」であると突き止めた代償はあまりにも大きく、長年自分を実の娘のように見守ってくれた忠臣を失った絶望が、彼女の華奢な肩を激しく震わせる。
ナミがそっと寄り添い、優しくその背中をさすっていた。
「ビビ……辛いでしょうけど、今は前を向きましょ。私たちが絶対にあなたをアラバスタまで送り届けるわ」
「うん……うん……! ごめんなさい、私……!」
その様子を、船首の段差に腰掛けたルフィが静かに見つめていた。
ルフィは普段のふざけた態度を一切見せず、帽子の庇(ひさし)を深くかぶりながら、海の向こうをじっと睨み据えている。敵の強さを引き出し、相手の全力とぶつかり合う戦いを楽しむルフィであっても、他人の故郷や仲間を理不尽に踏みにじる悪党に対しては、胸の奥底で静かに漆黒の怒りを燃やしていた。
「おい、ルーサス」
ルフィが低い声で呟く。
「なんだ、ルフィ」
両手をコートのポケットに突っ込み、壁に背を預けていた参謀ルーサスが淡々と応じる。
「その『クロコダイル』って奴……どんくらい強いんだ?」
「王下七武海の一角。自然系(ロギア)『スナスナの実』の能力者だ。砂嵐を巻き起こし、触れたものの水分を極限まで干からびさせる。東の海(イーストブルー)で出会ったどの敵とも次元が違う」
「へっ……そうか」
ルフィはニカッと口元を吊り上げた。
「楽しみになってきたぞ。そんな強い奴が、お前やオレたちの前に立ち塞がるんだな」
ルーサスは冷徹に目を細め、静かに息を吐いた。
(ルフィの奴……恐怖など微塵もないな。己の肉体のポテンシャルを極限までセーブしつつ、強敵との生死をかけた戦いを渇望している。……この男の底力、どこまで引き出せるかが見ものだな)
「油断するなよ、馬鹿船長。盤面を整えるのは俺の役目だが、王下七武海という駒は生半可な手で詰む相手ではない」
「ししし! わかってるって!」
◇
数日後。
ログポースが指し示す次なる目的地へと辿り着いたメリー号。
しかし、船上に漂う空気は、一変して異様な緊張感に包み込まれていた。
「な……なに……この島……!?」
ナミが息を飲み、海図を握りしめる手が震える。
目の前に広がっていたのは、ジャングルという言葉すら生温い、鬱蒼とした巨木と見たこともない巨大な植物群が群生する不気味な島――『リトルガーデン』であった。
空を突くような太古の植物、湿り気を帯びた濃霧、そして森の奥から響いてくるドシン、ドシンという地響き。
「う、うわあああ! なんだこの不気味な気配はぁーっ!」
ウソップがメリー号の柵にしがみつき、ガクガクと膝を震わせる。
「おいおい……街なんてどこにも見当たらねぇぞ。まるで人類が誕生する前の世界だ」
ゾロが腰の『三代鬼徹』と『雪走』の柄に手をかけ、鋭い視線でジャングルを睨み据える。
サンジはタバコに火をつけ、うっとりとハートの目を浮かべる。
「だが、ロマンにあふれているぜ……! ナミすゎ〜んやビビちゃんが驚くような珍しい植物やフルーツがあるかもしれない。ちょっと探検してくる価値はあるぜ♡」
「よし! オレ探検行くーーーっ!! 冒険だーーーっ!!」
ルフィが大興奮で甲板から飛び出しそうになる。
「ちょっと待ってよ! 島外れの磁気が安定するまでログポースの溜まりに時間がかかるから、船を離れるなら二手に分かれて手分けして探検しましょ!」
ナミの提案により、一味はくじ引きでペアを決めることになった。
結果――
**【ルフィ、ビビ(+カルー)チーム】**
**【ウソップ、ナミチーム】**
**【ゾロ、サンジチーム(狩り勝負)】**
そして、船の留守番と環境解析を希望した**【ルーサス】**がメリー号に残ることに決定した。
◇
「それじゃあなー! お宝探してくるぞー!」
ルフィたちはそれぞれジャングルの異なる方角へと足を踏み入れていった。
**【ゾロ&サンジチームの狩り勝負】**
「おいマリモ、どっちがデカい肉を獲って来れるか勝負だ」
「ハッ、負けた方がこの船の掃除を一生やるってのはどうだクソコック。乗ってやるよ」
二人は互いに睨み合いながら、ジャングルの奥へと勢いよく飛び出していった。
**【ウソップ&ナミチームの恐怖体験】**
一方、ウソップとナミのコンビはビクビクしながらジャングルを歩いていた。
「うわあぁーーっ! なんだこの虫のデカさはぁーーっ!?」
人ほどもあるトンボや巨大なムカデに悲鳴を上げるウソップ。ナミも「ちょっとウソップ、しっかりしなさいよ!」と叫びつつ、巨大な食肉植物に食べられそうになって二人で泣きながら走り回っていた。
**【ルーサスの監視】**
一人メリー号に残ったルーサスは、電脳空間(VR)上の広域センサーを起動させていた。
(……島の各所で生物の生体反応が激しく蠢いている。それに、ジャングルの至る所に設置された監視用の微弱な波長……。やはり、バロックワークスの上級エージェントがすでに潜伏しているな)
ルーサスは冷徹に分析しつつ、静かに盤面の配置を確認していた。
◇
**【ルフィ&ビビチーム:青鬼のドリーとの遭遇】**
ジャングルの東側を進んでいたルフィとビビ、そしてカルー。
突如として、巨大な影が樹海を割って姿を現した。
体長数メートルを超える猛烈なトリケラトプスが、地響きを立てて突進してくる!
「ぎゃあああ! 恐竜よルフィ!!」ビビが叫ぶ。
「ししし! 楽勝楽勝!」
ルフィが「ゴムゴムのピストル」で恐竜をぶっ飛ばした、まさにその直後――。
**「ゲギャギャギャギャ! 見事な拳だな、小さな人間よ!」**
ドシン……!! と大地を揺るがす足音とともに現れたのは、山の如き巨体を誇る男。
長い髭を蓄え、剣と盾を携えたエルバフの巨人族の戦士――**『青鬼のドリー』**であった!
「で、でけぇえええええっっ!!」
ビビが腰を抜かしかける中、ルフィは首が痛くなるほど見上げて目を丸くしていた。
「うわあ! お前、すっげぇでけぇな!!」
ドリーはルフィたちを自分の拠点へと招き、豪快に焼いた恐竜の肉を振る舞ってくれた。
ドリーはこの島の東側に一人で暮らし、もう100年もの間、このリトルガーデンに留まり続けているという。
◇
**【ウソップ&ナミチーム:赤鬼のブロギーとの遭遇】**
同じ頃、恐竜に追いかけられて島の西側へ逃げ延びていたウソップとナミの前にも、地響きとともに恐ろしい巨影が現れていた。
「ギャあああ! 助けてくれーーーっ!!」
逃げ惑う二人の目の前で、巨大な恐竜の首を一斧で叩き切った男――ヘルメットをかぶり、斧を持ったもう一人の巨人――**『赤鬼のブロギー』**!
「ガババババ! 怯えることはない、我が名はブロギー! エルバフの戦士なり!」
ブロギーもまた、ウソップとナミを自身の拠点である島の西側のキャンプへと連れて行き、巨大な肉を切り分けてくれた。
ウソップは最初は恐怖で震えていたものの、ブロギーの豪快で誇り高い人柄に触れ、「エルバフの戦士」という言葉に深く心を揺さぶられ始めるのだった。
◇
ドリーの拠点で肉を食っていたルフィは、疑問を口にした。
「なぁドリー、お前なんでこんな島に100年も一人でいるんだ?」
ドリーは遠い目をし、静かに答えた。
「……ここにはな、もう一人、我が宿敵にして親友であるブロギーという男が住んでいる。我らは100年前、エルバフの神の審判を仰ぐため、この島で決闘を始めたのだ」
「決闘……? 100年も!?」
「そうだ。なぜ戦い始めたのか、そのきっかけの理由はとうの昔に忘れてしまった。だが……神がどちらか一方に勝利を授けるまで、我らは誇りを懸けて戦い続けるのだ!」
その清々しくも壮絶な生き様に、ルフィは心底惚れ込むように目を輝かせた。
「すっげぇな……お前ら、カッコいいな!!」
その時だった。
**ドゴォオオオオオオオオン!!!!**
島の中央にそびえ立つ巨大な火山が、大気を震わせるような爆音とともに激しく噴火した!
ドリーの目が一瞬にして鋭く光る。
「ガバババ……いや、ゲギャギャギャ! 決闘の合図だ!!」
ドリーは巨大な剣を引き抜き、ブロギーの住む島の反対側――そして中央の決闘場へと向かって歩み出した。
時を同じくして、西側の拠点にいたブロギーもまた、斧を掲げて中央へと向かい始めていた。
100年間、幾度となく繰り返されてきた誇り高き戦い。
ルフィはその背中を熱い眼差しで見送っていた。
しかし――その誇り高き決闘の裏で、不気味で冷酷な「悪意の影」が静かに動き出していた。
バロックワークスから遣わされた高級エージェントたちが、巨人たちの酒に爆弾を仕掛け、彼らの誇りを踏みにじる卑劣な罠を準備していたのだ。
メリー号からその波長を感じ取った参謀ルーサスは、冷たい瞳でジャングルを見据えていた――!
ご覧いただきありがとうございました!
第40話は、リトルガーデンへの到着、ペアに分かれた探検、そして島の東側で「青鬼のドリー」と出会うルフィたち、西側で「赤鬼のブロギー」と出会うウソップたちの原作通りの展開を描きました!
次回第41話では、火山の噴火とともに始まる巨人たちの決闘と、裏で蠢くバロックワークス(Mr.3たち)の卑劣な罠、そしてルーサスの冷徹な介入を描いていきます。どうぞお楽しみに!
※今作のルフィは「敵の全力を引き出しつつ自分も戦いを楽しむ」ために、あえて初手から全力を出さずに力をセーブするスタンス(ドラゴンボールの孫悟空スタイル)をとっています。参謀ルーサスだけがその本質を見抜いている信頼関係にもぜひご注目ください!
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