【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第42話は、40度を超える高熱で倒れたナミを求めて医者を探す一味と、ルーサスの脳内VR(電脳空間)内で繰り広げられる特別エピソード!
VRのアーカイブで今までの旅の記憶を見て照れるナミ(/ω\*)、そしてルフィの衝撃的なルーツを知って大驚愕する大リアクションを描いたのち、いよいよ冬島「ドラム王国」への上陸と過酷な雪山登頂へ!
病を忘れさせるほどのVR体験と、新たな冒険の幕開けをお楽しみください!
「……はぁ……っ、はぁ……あつい……寒……い……っ」
猛吹雪が吹き荒れる冬の海。メリー号の船室で、ナミは40度を超える高熱に身をよじらせてうなされていた。
「ナミ! しっかりしろナミ!!」
ルフィがベッドの横で必死に声をかけ、サンジは額の氷嚢を何度も取り替えながら青ざめている。
そこへ静かに歩み寄った参謀ルーサスは、ナミの額に手をかざし、温度・分子運動ハック『ミクロ・サーモスタシス』を発動。ウイルスの分子活動を物理的に不活化させることで進行を急停止させ、急激な体温上昇を抑え込んだ。
「勘違いするな。いま行ったのは分子運動の物理的アレスト(一時停止)に過ぎん。病気そのものを根治させたわけではない。完全な駆逐には専門の医療と薬が不可欠だ」
ルーサスは冷徹に言い放つと、肉体の負担と痛感を遮断するため、ナミの脳波シグナルを同調させた。
「VRシステム――『絶対電脳空間(ヴァーチャル・ワールド)』アクセス承認」
◇
「……え? ここ、どこ……?」
次の瞬間、ナミが目を開けると、そこは寒風吹き荒ぶ船室ではなく、青空と心地よい潮風が吹き抜ける真っ白で広大な未来都市のような空間だった。
高熱の苦しみも体の重さも嘘のように消え去り、まるで病気にかかる前の健康そのものの状態に戻っていた。
「熱くない……痛くもないわ!? 一体どうなってるの!?」
「ここは俺の脳内ニューラルネットワークと繋がった仮想世界だ。現実の時間軸と1:1で同期させている。現実の肉体は眠らせたままだが、ここで過ごす限り、お前の精神は病魔の痛感から完全に遮断される」
ルーサスが傍らに佇み、静かに説明する。
ナミが驚きながら周囲を見渡すと、空間のあちこちに宙に浮く巨大な立体ホログラムが展開されていた。
「な……なにこれ……!? これ、ローグタウン!? それにリトルガーデンに、ウイスキーピーク……!?」
ナミが目を見開いたのは、これまで自分たちが旅してきた島々が、完璧な立体グラフィックとして目の前に再現されていたからだった。
手を伸ばすと、まるで実際にその場に立っているかのように風の感触や波の音、街の喧噪までが完璧な五感として伝わってくる。
「すごい……! 本当にその場にいるみたい! 訓練用のシミュレーターまであるの……!?」
「ああ。これまでの航海ログと環境データをすべてアーカイブしてある。今後の仲間や今の仲間が、自分たちがどんな場所を冒険してきたのかを一目で理解できるように、世界規模での地球儀型ワールドマップとして構築中だ。気候や大気の流れの計算モデルも組み込んである」
「世界規模のマップ……!? アニメーションみたいに気候や雲の流れがリアルタイムで動いてるわ……! ちょっとルーサス、なんでこんなに詳細な世界の気象データや地理を知ってるのよ!?」
ナミが目を輝かせて詰め寄る。
(……あ、そうか! きっとルーサスは世界中の情報デンデンムシの通信をハックして、世界政府や海軍の極秘気象データを全部調べ尽くしたんだわ……! 流石は元海軍の天才児ね……!)
ナミは勝手に一人で納得し、感心したように深く頷いた。
「……まぁ、そういうことにしておこう」
ルーサスは苦笑しつつ、追求を否定しなかった。
ルーサスが指を鳴らすと、ナミの周囲に無数の最新ファッションブランドの衣装や、見たこともない世界中の絶品スイーツや何千億ベリーの山、金銀財宝や宝石など様々な物がずらりと現れた。
「きゃあぁあぁーーーっ!! 何これすごーいっ!!」
ナミの目がドルマークになり、テンションは最高潮に達する。
病気のことなど綺麗さっぱり忘れたかのように、次々と豪華なドレスや最新の航海服、可愛らしい街着に着替えて一人ファッションショーを始めるナミ。ポーズを決めながらくるくると回り、高級パフェを口へと運ぶ。
「んん〜〜〜〜っ! 美味しい!! 甘くてとろける〜〜っ!! 質感も味覚も完全に本物じゃない!!」
さらに、ナミはアーカイブエリアのホログラムを興味津々で操作し始めた。
「きゃっ……! ちょっとルーサス、これ見ちゃったわよ! あの時の私、めちゃくちゃ怒ってなかった……!? は、恥ずかしすぎるんだけどっ(/ω\*)!」
ナミが両手で顔を覆いながらも、指の隙間からじっとホログラムの映像を覗き見して赤面している。そこには、アーロンパークでルフィに麦わら帽子を預けられたあの感動の瞬間や、これまでの過酷な戦いと仲間の絆がリアルに映し出されていた。
「過去の行動ログの客観的再確認だ。恥ずかしがる必要はない」
ルーサスが淡々と告げると、ナミは「そういう問題じゃないでしょ!」と頬を膨らませてふてくされてみせる。
だが、アーカイブのデータをさらに奥へと進めていくと、ナミの表情は一転して驚愕に染まった。
「ちょっとこれ……何なの……!? ルフィやルーサス、仲間達のこれまでの出会いの記録……っ!」
宙に浮かぶホログラムの数々。
幼少期のルフィが東の海で出会った、あの『赤髪のシャンクス』との記憶。そして、メラメラの実の能力者であり、海賊王ゴールド・ロジャーの息子でもある義兄・『ポートガス・D・エース』との邂逅。
さらに――ルーサスの情報網が海軍の極秘データベースからハックし、世界規模の相関図として構築していた衝撃のデータが目の前に現れた。
「えっ……嘘でしょ……!? 海軍の本部中将……『モンキー・D・ガープ』って……ルフィのおじいちゃん!? 海軍の英雄がなんで海賊の家族なのよ!?」
ナミはあまりのスケールの大きさと、ルフィという男が背負ってきたルーツの規格外さに、開いた口が塞がらなかった。
「ルフィの親族構成や俺たちのこれまでの交友関係のパラメータ解析結果だ。……まあ、ルフィとかその人物の脳みそにこの複雑な相関図がどこまで理解できているかは怪しいがな」
「ほんとよね……! 私の知らないゾロとの出会いとか船長のルフィってば、子どもの頃から一ミリも中身が変わってないし! でも、あんな凄まじい人たちと繋がってたなんて……本当に底が知れないバカ……じゃなくて、凄い船長だわ……」
ナミが感心したように息を呑んだその時、現実世界との同期シグナルが微かに波打った。
◇
現実世界。
ゴーイング・メリー号は猛吹雪の吹き荒れる冬の海を抜け、ついに『ドラム王国』の巨大な雪山に囲まれた海岸へと接触した。
「おいみんな! 島に着いたぞーーっ!!」
甲板でルフィが大きな声で叫ぶ。
「よし、一刻も早くナミを診てくれる医者を探すぞ!」
ビビが防寒着をしっかりと固めながら叫ぶ。
ルーサスによって病気もかなり良くなったので、現実の肉体へと意識を戻されたナミは、VR空間でたっぷりと英気を養い、精神的にはすっかり元気になっていた。
「ふふっ、たっぷりと美味しいケーキも食べたし、最新の可愛い防寒服もバッチリ! 行くわよ野郎ども、私のために最高の医者を探し出しなさいっ!」
元気を取り戻したナミの声が響き、一味は雪に閉ざされたドラム王国の険しい雪山へと足を踏み入れた。
「ルーサス、サンキューな! 助かったぞ!」
ルフィがニカッと笑ってルーサスの肩を叩く。
「……勘違いするな。俺の能力は時間稼ぎに過ぎん。本物の医者の手で根治させねば意味がない。……行くぞ、船長」
ルーサスは冷徹にコートの襟を立て、極寒の雪山へと一歩を踏み出す。
ナミの命を救うため、そしてこの国を支配する悪政と「新たな仲間候補」との運命の出会いに向けて、参謀と一味の新たな戦いが今、幕を開けるのだった――!
ご覧いただきありがとうございました!
第42話は、40度を超える高熱で倒れたナミを一時的に救うルーサスの熱量ハック、脳内VR内での立体アーカイブログ鑑賞、自分の過去映像に赤面するナミの可愛いリアクション(/ω\*)、ルフィの凄まじいルーツ(ガープ中将、シャンクス、エース)への大驚愕、そしてドラム王国への到達までをひと繋ぎにした完全大ボリュームでお届けしました!
次回第43話では、ドラム王国上陸と、雪山での過酷な医者探です。
※今作のルフィは「敵の全力を引き出しつつ自分も戦いを楽しむ」ために、あえて初手から全力を出さずに力をセーブするスタンス(ドラゴンボールの孫悟空スタイル)をとっています。参謀ルーサスだけがその本質を見抜いている信頼関係にもぜひご注目ください!
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