【ONE PIECE】電気(ことわり)を統べる者 〜海賊王の右腕となる雷の能力者〜 作:フォレスティアル
第45話は、冬島「ドラム王国編」の感動の完結回!
悪王ワポル軍との城内での激闘、参謀ルーサスによる物理・重力ベクトルハックの圧倒的戦闘サポート、ルフィの一撃決着、そしてチョッパーの旅立ちとドラムロックに咲き誇る「ヒルルクの奇跡の桜」までを描いた超大ボリュームでお届けします!
どうぞお楽しみください!
「ワハハハハ! 邪魔立てする虫ケラどもめ! このワタクシの城で死ねい!!」
ブリキの鎧を纏った暴君ワポルが醜悪な大口を開け、城内の大砲や武具を次々と食らい尽くしていく。『バクバクの実』の能力によって自らの肉体を兵器そのものへと改造する「バクバク工場(ファクトリー)」を展開し、両腕を巨大な大砲へと変貌させた。
「食らえ! 大型大砲・ウソマツ砲――!!」
ドバババババアアンっ!!!
放たれた無数の砲弾が、轟音とともにルフィたちへ向かって水平射撃される。
だが、その砲火の正面に立っていた参謀ルーサスは、眼鏡の奥の瞳を冷徹に光らせたまま、静かに右手の手のひらを突き出した。
「物理ベクトルの緊急改変(ベクトル・スワップ)――『絶対領域』」
――ズワアアッ……!!
青白い幾何学模様の展開領域に触れた瞬間、着弾するはずだった数十発の砲弾が一瞬で空中でピタリと停止した。
そればかりか、運動エネルギーと重力加速度の向きが180度反転する。
「な……なにィ!? 砲弾が途中で止まった……!?」ワポルが目を丸くする。
「エネルギーの返還だ。――返せ」
ルーサスが指先を軽く弾いた瞬間、停止していた砲弾の群れが、来た時以上の倍速の運動ベクトルでワポルとその側近チェス、クロマーモへ向かって一斉に逆噴射された!
「ギャアアアアッ!?」
ドドドドドカンッ!!!
「ウソだろ!? 自作の砲弾が全部跳ね返ってきたぞ!?」
「あいつ、手をかざしただけで攻撃を返した……!?」
煙の中から転がり出た幹部たちが悲鳴を上げる。
チョッパーはその光景に目を見張り、口をぐうっと開けて驚愕していた。
「す、すっげぇ……! 手も触れずに大砲を跳ね返したぞ……!?」
ルーサスは冷ややかに眼鏡のブリッジを押し上げた。
「重力場と熱力学の法則を理解していれば、質量兵器の軌道変更など容易い。……船長、敵の戦力パラメータの測定は完了した。攻撃に移れ」
「ニシシ! サンキュー、ルーサス!」
ルフィが腕を回しながら前へ出る。今作のルフィは「相手の力を引き出しつつ自分も戦いを楽しむ」スタンスだ。ワポルの兵器変形を面白そうに観察しながらも、その目はしっかりと怒りを宿していた。
「ワポル! お前はこの国の民を苦しめて、ヒルルクのドクロの旗を踏みにじった! だから俺はお前をぶっ飛ばす!!」
「フン! 青二才が図に乗るな! ワタクシはこのドラム王国の王だぞ!!」
ワポルが巨体を歪め、城の最上階にあるロイヤル・ドラムポッド(ロケット砲塔)と合体しようと跳び上がる。
「逃がさん」
ルーサスが指先をワポルに向けた。
「局所重力固定――『ヘビー・グラビティ・ピン』」
――ドスンッ!!!
「ぬぐわぁぁぁ!?? な、身体が急に重っ……!? 地面にめり込むぅぅぅ!?」
ワポルにかかる重力が通常の数十倍へと跳ね上がり、跳躍するどころか床の石畳を叩き割ってそのまま平伏するように地面へ叩きつけられた。動きが完全に封じられる。
「今だ、ルフィ!」
「おう!!」
ルフィが両腕を遥か後方へと伸ばす。ゴムの弾性エネルギーが極限まで溜め込まれていく。
「ドクロの旗は……死んでも折れねぇ旗なんだぞ!!!――ゴムゴムの〜〜っ!!」
逃げ場を失い、恐怖で顔をひきつらせるワポルに向けて、ルフィの全力の一撃が解き放たれる。
「――バズーカァァァアアアアッ!!!!」
ドゴォォォォォォンッ!!!!
重力固定を解除された瞬間、ルフィの双拳を受けたワポルは城の天井と吹雪を突き破り、遥か彼方の雪山の空へと星となって吹き飛んでいった。
◇
決着がついた城内。
ルーサスが静かに精神アクセスを解除すると、ベッドの上のナミが「ん〜〜っ!」と大きく両手を伸ばして爽快に目を覚ました。
「ん〜〜っ、よく寝たっ!!」
高熱もダルさも完全に消え去り、ナミの身体は病気が嘘のように軽くなっていた。
むくっと起き上がったナミは、ルフィやサンジ、そして周囲の面々をドヤ顔で見回すと、テンション高めに自慢話を始めた。
「聞いてよみんな! 私ね、さっきまで凄かったのよ!? 寒さも病気の辛さも全然なくってさ、ルーサスが作ってくれた南国の海みたいなあったかい世界で、贅沢なスイーツ食べながらふかふかのソファでずーっとくつろいでたの! まさに天国! あなたたち極寒の中でバタバタしてたんでしょ? 私だけ最高に快適で悪かったわねーっ!」
腰に手を当てて「ふふん!」と鼻高々に自慢するナミ。
「なっ……!? ナミさん……! 僕たちが心配してハラハラしてる間に、そんな夢のような贅沢体験を……!?」
サンジが羨ましそうに叫び、ルフィも目を丸くしてルーサスに詰め寄った。
「すっげぇぇえ!! なんだその天国みたいな場所! 俺も行きたい!! ルーサス、俺にもそのケーキ食わせろ!!」
「……ただの医療用精神隔離プロセスだ。自慢するようなことではない」
ルーサスが呆れたように眼鏡を押し上げると、ナミはルーサスの隣に並び、彼の肩をポンポンと叩いた。
「いいじゃない、事実最高だったんだから! 本当にどこまでも気が利く参謀さんなんだから♪」
ナミの無邪気で元気いっぱいな姿を見て、ドクター・クレハも酒瓶をあおりながら「ハッハッハ! 賑やかな連中だねぇ!」と笑みをこぼした。
そして、ルフィは涙を浮かべて物物陰から見つめるチョッパーの元へ歩み寄った。
「おい、トナカイ!」
「ひっ……! な、なんだよ……! おれは化け物だぞ! 仲間になんかなれねぇ……!」
チョッパーが泣きながら顔を背けようとする。だが、ルフィは満面の笑みで両腕を広げて叫んだ。
「うるせぇ!! 行くぞ!!!」
「……え?」
「お前は俺たちの仲間だ!! 一緒に海へ出よう!!!」
その言葉に、チョッパーの溢れる涙が止まらなくなった。
「怪物」ではなく、「医者」として、「仲間」として自分を必要としてくれたその叫びに、チョッパーは涙と鼻水を流しながら「うああああああん!!」と大声で泣き叫び、ルフィの胸へと飛び込んだ。
こうして、麦わらの一味に最高の船医――トニートニー・チョッパーが加わった。
◇
ドラムロックの麓。
ソリに乗って旅立つ一味を見送るため、ドクター・クレハが城の砲台の前に立っていた。
「まったく……生意気なガキどもが。勝手に手下を連れ去りやがって……」
クレハはフッと寂しげに微笑むと、ヒルルクが遺した「奇跡の粉」を込めた大砲の導火線に火をつけた。
ドォォォォン……!!!
ドラムロックの全砲台から、一斉にピンク色の粉末が冬空へと打ち上げられる。
上空の寒気と反応した粉末は、雪の結晶に密着し、ドラムロック全体を包み込む巨大なピンク色の光を放ち始めた。
「な……なんだこれ……!?」
ソリの上でチョッパーが振り返り、目を見開く。
雲を突くような巨岩『ドラムロック』の山頂から、まるで満開の『巨大なピンク色の桜の木』が冬空に咲き誇っているかのような、幻想的で奇跡的な光景が広がっていた。
「桜だ……!! ヒルルクの桜だぁーーーーっ!!!」
チョッパーは大粒の涙をボロボロとこぼしながら、雪空に咲く奇跡の桜に向かって叫んだ。
その傍らで、ルーサスは静かに眼鏡の縁に指を添え、網膜の視覚シグナルを脳内サーバーへと直結させていた。
(光学的波長、大気中の化学粉末の拡散度、雪結晶との熱力学結合パターン……そして、この空間の光景と感動。――すべて最高精度のアーカイブデータとして保管(アーカイブ)完了)
ルーサスの頭の中で、VR電脳空間のデータベースに新しいフォルダが作成される。
【ドラム王国/ヒルルクの桜/チョッパーの出航】。
いつでもあの常春のVR世界の中で、この美しく奇跡的な桜の光景を何千回でも完璧に再現・閲覧できる永続データとして、ルーサスはしっかりと記録を刻み込んだ。
「……綺麗なデータだな」
ルーサスが小さく呟き、口元をかすかに綻ばせる。
ヒルルクの遺言通り、この冬島に咲いた「人の心を救う桜」とその奇跡の瞬間を見送られながら、麦わらの一味は次なる目的地――砂漠の王国『アラバスタ』を目指して出航するのだった。
ご覧いただきありがとうございました!
冬島「ドラム王国編」、これにて完全決着です!
ルフィの一撃とルーサスの物理ハック、目覚めたナミの超快適VR自慢、ルーサスによる奇跡の桜のVRアーカイブ保存、そしてチョッパーの仲間入りと「ヒルルクの奇跡の桜」のラストシーンをお楽しみいただけましたでしょうか!
次回からは、いよいよ砂漠の王国「アラバスタ編」へと突入します!
クロコダイルの自然系(ロギア)能力に対するルーサスの超スケール科学ハック(クーゲルブリッツ、人工太陽、アラバスタ全土を救うノアの方舟規模の大雨)が解禁される激熱展開となりますので、どうぞご期待ください!
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